2022年6月6日 日本代表 対 ブラジル代表
2022/6/6(月)日本/東京・国立競技場
日本代表 0-1(0-0) ブラジル代表
――東京五輪2020のために建て直した新国立競技場で初めての日本代表戦でした。国立競技場での代表の試合は8年ぶり、ブラジル代表の来日は優勝した2002年日韓W杯以来、20年ぶりのことでした
賀川:日本代表はブラジルを相手に後半途中まで点を取らせないで、頑張れるところまできましたね。日本は確かに上達し、実力もついていますが、試合の中でシュートをいくつか打てる形をつくらないとブラジルに勝とうということにはなりません。それが今の日本の実力というところでしょうか。向こうは本気というか、ここというところでもう一押しすればいいシーンでもしないというか、そこでシュートして入ったらええというやり方でした。やっぱりまだまだそういう点では差があります。だけども、ブラジルとここまでの試合ができるというところまで日本の実力が上がっているということです。これからもうひとつ上にいこうと思ったら、もっと自分の方から点を取りに行けるようなサッカーをせんといかんわけですね。それはまだまだこれからですね。
――前半はがんばった
賀川:これだけの試合を生で観ていたお客さんは楽しいでしょうね。いまの国立競技場は前の国立競技場の跡地に建て直したんですよね。あそこでのサッカーの試合は1975年の第3回アジア大会からずっと見ています。いつも一番いい場所で観ていたわけではないですが、国立での試合は一種独特の雰囲気がありました。陸上競技用のトラックがあるのですが、スタンドの傾斜が割合きつい構造になっていて、サッカーも見やすかった。非常にいい雰囲気でした。あのスタジアムできょうの試合のようなゲームを観ることができたらいいですね。
――日本の前にブラジルと対戦した韓国代表は1-5で敗れました
賀川:ブラジルを相手に何も準備しなかったら、それぐらいやられますよ。日本はこの試合に対して十分、いろいろ勉強してきたことがうかがえます。ある程度シュートを打たれることは織り込み済みで、シュートを打たれそうになったら、人数をかけて、密集して、ブロックしていました。前半で3点ぐらい入れられていてもおかしくありませんでした。後半いい時間帯まで0-0で来て、中盤にスペースもできて、日本がカウンターをしかけるシーンも出てきた。両翼に堂安、三笘を入れて、森保監督は勝負に出ました。しかし、前がかりになったときに堂安がボールを失って、そこでブラジルは一気に人数をかけて、日本ゴールに攻め込み、PKを得ました。日本に勝利への色気が出たところに生まれたスキを、見逃しませんね。
――いい試合をしても、勝つところまではなかなか遠い
賀川:こういう相手に対しても勝とうと思ったら、チャンスをつくらないといけません。ブラジルに押し込まれたらズルズルと下がりながらも、それでもボールを持ち直して再び前に出ていくということはできるようになりましたが、そこまでで。そこから攻撃に移るわけですが、相手の守備の外からシュートを打っているわけで、守備を崩して中に割り込んでいくということはできていない。このクラスを相手にするとそれはなかなか難しい。相手が強くても弱くても、自分から攻め込むというサッカーをできないといけません。向こうは前半から決定的な攻撃を何度か作っていて、そこから最後ゴールに押し込めないだけだった。日本は相手の防御網の外からシュートを打っている感じでした。それでも、森保監督になってから、試合全体が締まってくるようになった。ひとつ新しい日本のサッカーの形ができるようになりましたね。
――ブラジルはどうでした
賀川:ネイマールは大きくみえましたね。きょうの試合なんかみたら、やっぱりブラジル代表は世界にそういくつもないチームのひとつだということが、試合が始まって10分ほどで分かります。試合の楽しさを見てもね。選手一人一人の実力といい、うまさといい。こういうチームがすぐ作れるというのがすごい。パッと集まってこれだけのプレーができる。ブラジル代表はそれぞれのときの代表のうまさがあります。日本代表もずいぶん経験を積んだから、これだけの試合になっていますね。いつの大会でもブラジル代表が一番強いチームで、一番うまいチームですよ。だからといって、必ずその大会で勝てるとは限らない。それがサッカーのおもしろいところですね。いつみてもブラジルの試合はワクワクします。親善試合でブラジルと対戦できるのですから、日本のサッカーにとっては、結構なことです。観ている人にとっては面白い試合でした。この試合をみて、やっぱり日本とブラジルのこの差をどう埋めるかということを、サッカーのファンの人が自分たちで考えるようになれば、もっと日本のサッカーがレベルアップしてくるわけですよ。僕らにとっては非常に楽しいし、面白い試合でした。