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2019年9月5日 日本代表 対 パラグアイ代表

2019/09/06(金)

2019/9/5(木)日本/茨城県・カシマサッカースタジアム
日本代表 2-0(2-0) パラグアイ代表

――パラグアイといえば、2010年南アフリカW杯のノックアウトステージ1回戦で対戦しPK戦の末、敗れた相手です。守備が堅くて、一筋縄でいかない相手という印象でしたが

賀川:南米といえば、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイのいわゆる御三家がAランクで、パラグアイは列強を追うBランク相当のチームになりますね。決してCクラスではない。一昔前の南米のチームは、テクニックもあって、体も強い。サッカーをよく知っていてずる賢いプレーもできるので、簡単な相手ではありませんでした。しかし、この日の試合内容が証明するように、日本の一人一人の技術が上がり、欧州でたくさんの選手がプレーするようになったので、ホームで試合をするとなれば、南米勢が相手であっても、これだけ押し込む試合ができるようになりました。日本サッカーの進歩を再確認できた試合でした。


――日本はスタメン11人中10人がいわゆる海外組でした

賀川:日本も欧州でプレーしている選手が多いので、長距離の飛行機移動で帰国して、すぐに試合となります。ホームといっても、相手同様に時差などの体力的な負担があるはずです。それを差し引いても、海外組、特に大迫、中島、南野、堂安ら前線の選手の動きがよかった。欧州のクラブは開幕してすぐ。日本はこの夏、猛暑で大変でしたが、欧州のクラブはアルプス山脈の麓の涼しい高地などでキャンプを張ることが多い。それぞれの選手が、いい練習、調整ができたのでしょう。動きの量を比べてもパラグアイと遜色なかった。昔は中堅国であっても、相手が南米勢となれば、一目置くようなところがありましたが、この試合を見る限り、まったく引けをとらなかったですね。

――前半23分の先制点は長友のクロスから大迫が決めました

賀川:相手を引きつけてからの中島-堂安のダイレクトのパス交換で、マークの選手をうまく、一気に2人かわすことができました。その結果、長友が左サイドでフリーになった。大事に入れたクロスは相手に当たってしまいましたが、幸運にも大迫のところに流れてきた。相手に当たって方向が急に変わったボールに合わせるシュートは難しいものですが、大迫は左足で合わせました。さすが技術力の高いストライカーですね。最初の決定機を決めることができたので、主導権を握ることができました。

――前半30分の2点目は中島が右サイドの酒井に展開し、ダイレクトで中央に折り返して、フリーの南野が決めました

賀川:中央でドリブルをしていた中島が、右サイドをフリーで駆け上がった酒井の動きを見逃しませんでした。いくつかの選択肢が考えられたシーンでしたが、わずかに空いたペナルティーエリア内のスペースを斜めに使いました。サイドに使って左右に揺さぶって崩す、攻撃で最も効果的なプレーを選択しました。南野も落ち着いて決めましたね。あれだけフリーだとかえって難しいものですが、サイドキックで確実に押し込みました。

――短いダイレクトパスの交換が目立ちました。前半24分、少々強引なカウンターから、堂安がシュートまでもっていったシーンが象徴的でした

賀川:その場面に限らず、短いダイレクトパスを多用していた印象がありますね。森保監督の指示なのか、日本の選手の技術が上がっているので、ボールを持っても1対1でそう簡単に負けません。技術も判断力も上がっているので、南米勢を相手にしてもこういったプレーができるようになったのでしょう。

――前半で2-0となったので、森保監督は後半から原口、久保、上田の3人を入れました。注目の18歳久保はいかがでしたか。堂安に代わっての登場でした

賀川:18歳でA代表のメンバーに入ってもまったく見劣りせず、堂々とプレーできるところに、若い選手のレベルアップを十分感じ取れました。ずば抜けてうまい、ああいう選手が、南米の代表チームとの試合で臆せずやっていた。この夏、レアル・マドリードで毎日練習していたのだから、当然かもしれませんが。シュートに対しても意欲的でした。もっともっと図々しくなってもいいと感じました。久保ここにあり、こんなプレーできる、点も取れるんだよというところを日本中に売り込んでほしい。それぐらいのレベルの選手。もっともっと厚かましくていいですよ(笑)

――後半右サイドバックに入った冨安もいいプレーをしていました

賀川:彼は久保が意図するプレーについていっているように見えました。センターバックでのプレーしか見たことがなかったですが、移籍したボローニャではサイドバックをやっているそうですね。攻め上がりも効果的で、久保の時折見せる、周囲が予想できないプレーにも反応していました。この選手のいわゆるのびしろの大きさを感じました。彼と組み合わせることで面白いコンビネーションが生まれそうですね。お互いの選手の気の合い方というのは大切です。

――しかし後半はノーゴール

賀川:後半はボールを相手から奪って攻勢に出たときに、きちんとした攻めが少なかった。前半はできていた。それぞれ自分をアピールしたいという気持ちは分かるが、チャンスを作るという姿勢をみせてもらいたかったですね。

――前線は1トップ大迫、堂安、南野、中島は決まりでしょうか。そこに久保は絡んでくるでしょうか

賀川:久保がA代表に入っても遜色ないプレー-ができることは、森保監督はもう分かっているでしょう。しかし、積み上げてきた大迫、堂安、南野、中島のコンビネーションによる攻撃力も捨てがたい。難しい選択を強いられるでしょうが、これはうれしい悩みというものです。同じ右サイドの堂安が久保に刺激を受けているのは明らか。それよりも大迫がけがや出場停止で出られないときの備えが必要でしょうね。中央でボールを収めることができる大迫と、スピード自慢の永井とはタイプがまったく違い、戦い方が変わります。中盤は人材豊富ですが、センターフォワードはいつの時代も日本の課題になります。

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