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2019年6月

2019年6月9日 日本代表 対 エルサルバドル代表

2019/06/11(火)

2019/6/9(日)日本/宮城県・ひとめぼれスタジアム宮城
日本代表 2-0(2-0) エルサルバドル代表

――久保建英の話はのちほど、たっぷりお伺いします。2戦続けて3バックで臨み、この試合では追加招集のFW永井謙佑が2ゴールを挙げました

賀川:永井はとても脚が速い選手で、2012年のロンドン五輪代表でしたね。このクラスの選手は本当にレベルが上がっています。自分たちの年齢層の日本代表のサッカーというのを彼らなりに持っているような印象を受けます。これまでの代表からメンバーが入れ替わっても、自分たちの特長、個人技に合わせたやり方を周囲が理解しています。従来の日本代表のサッカーの中に彼らなりの力に合わせたプレーがありました。永井のスピードもそのひとつ。だから見ていて安定感がありました。新しい日本代表だから、コンビネーションプレーがどうこうというのでなく、彼らの世代なりの呼吸というのが自然に出ている感じがしますね。

――前半19分の永井のゴールは冨安からのフィードを受けたカウンターでした

賀川:1点目も前半41分の2点目もサイドから縦に、ペナルティーエリアの根っこの深いところまで入り込んで、そこから中に入っての決定機でした。定石的ではあるけれども、定石的なことが新しいチームになって、顔ぶれが変わっても、できている。これまでの代表のサッカーのやり方に対する積み上げを感じますね。安心して見ていました。

――代表のFWはロシアW杯で活躍した大迫が抜け出ている感じで、次の名前が出てこないような状況でした。追加招集で得たチャンスを生かした永井は期待できますね

賀川:相手が遅すぎるのか、永井が速すぎるのか、とにかく自分の特長を出していました。あれだけの走力があって、国際試合でも一歩一歩、常に優位に立てれば、自信になるでしょう。単に速いだけでなく、トップスピードでボールを受けるときでも、あまりミスをしません。個人的な技術力も上がっているのでしょう。サッカーはこういうときは、やっている選手はおもしろいものです。見ている我々もそうです。相手は大変ですが。スピードがあるので、代表では途中出場の切り札タイプに分類されそうですが、2ゴールと結果を出したわけですし、スタメンを狙う気概でやってほしいですね。もちろん本人もそのつもりでしょう。

――FC東京の先輩、永井が前半で2点を奪ったので、森保監督は18歳久保建英を出しやすくなったのでは。後半22分からの登場でした

賀川:もっと久保を見たかったと思った人が多かったかもしれませんね。森保監督なりによくよく考えて、うまくA代表デビューさせましたね。

――94歳からみた18歳はいかがでしたか

賀川:落ち着いていますね。後半28分、右サイドでボールを受けた最初のプレーでドリブルをしかけて、左に持ち替えて、シュートまでいきました。シュートもインステップで蹴っていました。あの角度で低いボールならば、だいたいGKの守備範囲にいくので、引っかけ気味に、もう少しボールの下を蹴って、GKから遠いサイドのゴールの上を狙うような余裕があれば、たいしたものでしたが。そこまでできるかと思っていましたが、そこまで求めるのはぜいたくで、欲張りというものでしょうね。ファーストタッチからとにかく落ち着いたプレーの連続でした。ソツがない。入ってから20数分、ほとんどミスがなかった。うまいです。

――出てからしばらく久保にボールが集まってきませんでしたが、そのシュートを打ってから久保を経由しての攻撃が増えました

賀川:代表でレギュラーを争う同じような立場の選手は競争しているわけですから、自分がシュートを打って点を取ってアピールしようと思っているでしょう。久保のことなんか考えていないでしょう。もうひとつ上の世代で実績のある大迫らは久保にボールを渡して、どんなプレーをするのか見たいというような考えがあったかもしれませんね。

――長くサッカーをみておられます。久保のような若い選手で印象に残っている事例は

賀川:釜本邦茂の10代のときと比べてどうや…という話になりますが、日本のレベル全体が上がっているので、単純に比較しにくいですね。釜本の場合は身体能力がずば抜けていた。体が強くて、ヘディングも負けない。グラウンドにドーンという存在感があった。天性のボールをとらえる力はありましたが、技術的にはこれからの選手だった。この素材をサッカー界としてどう伸ばしていくか、という存在でした。久保はサイズ的には普通の大きさですが、技術面で今のA代表の連中と比較すると、ボール扱いならば、上回るぐらいうまい。その上落ち着いていて、判断もよくて、常に周りを見ている。若いのに守備力もそこそこあって、相手のボールを奪い返しにいく。見ていて楽しいですね。と言ってもまだ18歳ですよ。23、24歳の代表レギュラーの中に入って普通にプレーしているわけですから。並の選手ならあそこに入っただけで、ボールを止め損なったり、ミスの1つ2つをやってもおかしくないです。ブラジルのネイマールも2014年のブラジルW杯のとき、チームで最年少でしたが、彼が引っ張っていました。どこの国にもそういう選手がいましたが、これまで日本にはいませんでした。久保のおかげで日本のサッカーの楽しみが広がりました。長生きするものですね。森保監督はがらりとメンバーが替わる南米選手権では中心選手として起用するのでしょうか。本気の南米勢を相手にどんなプレーを見せてくれるのでしょうか。楽しみですね。

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2019年6月5日 日本代表 対 トリニダード・トバゴ代表

2019/06/06(木)

2019/6/5(水)日本/愛知県豊田市・豊田スタジアム
日本代表 0-0(0-0) トリニダード・トバゴ代表

――お住まいがある神戸で開催され、久々に取材に出かけられた3月26日のボリビア戦以来の代表戦でした

賀川:ボリビア戦の試合後の記者会見で、森保監督から花束をいただきました。しばらく部屋に飾っていました。2週間ぐらい咲いていたのかな。上等な花だったんでしょうね(笑)

――0-0でした。サッカーは得点がなかなか入らないスポーツなので、代表戦でもこういう結果になることがあります

賀川:ひとつひとつのプレーをみれば、得点が入りそうなムードはありましたが、90分を通して振り返ってみると、相手のペナルティエリア奥深くまで入り込んでのチャンスというのは、少なかったですね。シュートシーンはありましたが、近くに相手がいることが多かった。相手の前でずっとボールを回していましたが、シュートチャンスを作る前のところで、相手の逆を取るプレーなどをしていないから、ボールはずっとつながっているけど、最後のシュートのところでも相手がちゃんといました。入らないわけです。日本は、新しいチームになっても、誰が入っても、ボールを回してつないで…というやり方はある程度できますが、最後のところという課題は常にありますね。これだけ押し込んでボールをキープして攻め込んでいるわけには、スリリングな場面が少なかった。相手のゴール前にパスが通るとか、誰が見てもチャンスというような、思わず腰を浮かすようなチャンスのシーンが、案外少なかった。攻めているときに全部相手をパスで交わしながら攻めているわけですが、誰かがそこで個人の力でこじあけるという気構えを見せない限りは、相手のDFに変化は起きないわけですよ。パスサッカーのうまさは見せたけれども、それだけではなかなか点が入りません。

――トリニダード・トバゴはいかがでしたか?

賀川:うまかったですよ。これだけ日本に走られても1人1人がついてきているわけですから。終盤に脚をつる選手が多く出たのも、それだけがんばって走っていたからで、決して弱いチームではなかった。向こうのCK、FKは3、4本ちゃんとヘディングで合わせていました。日本が圧倒的に攻めてチャンスの数も多かったけれど、ちゃんとシュートまでいったかと考えれば、スコア通り五分五分といえる試合でしたね。それでも相手はアウェイのチームなので、見ている側とすれば、日本はもうひとつ崩してもらいたかった。もうひとつ崩す場合には、どこかで無理しないといけない、個人的に逆を取るとか、1対1で勝負するとか、相手の意表をつくプレーが2つぐらい続くと最終的なマークがずれるわけです。味方もえーっと思うようなプレーをしないと膠着状態をやぶることはできません。パスを回しているうちに最後誰かがフリーになるなんてうまいことはなかなか起きないわけですよ。サッカーのおもしろいところとはそういうところです。

――森保監督になって初めて3バックを試しました

賀川:3バックというのは相手が2トップできたときに有効で、2人のFWを2人のDFでマークした上に1人守るDFが余るシステムで、どちらかといえば、しっかり守った上で両サイドから攻めることに重きを置いたシステムです。今の代表クラスの選手はクラブで3バックも4バックもやっているし、戦術理解度も高い。3バックだからどうだということはないでしょう。代表に帰ってきた昌子、売り出し中の冨安、Jリーグ代表の畠中は1対1でしっかりと守っていて、負けることはほとんどなかった。ディフェンスというものは、1対1で相手をつぶせばいいわけですから。日本の中盤でミスがなかったのでやられたというようなカウンターを食らうこともありませんでした。

――堂安は不完全燃焼のようでした

賀川:堂安ら森保監督が使っている若手はチームに溶け込んでいますね。堂安はもう2年ぐらい代表でプレーしているような雰囲気があります。後半14分、大迫からいいボールをペナルティエリア内でもらいましたが、タイミングが合わず、シュートまでいけませんでした。技術がある選手なのでどんどんチャレンジしてくれたらいいと思います。個人的な強さやボールの持ち方ひとつで、どこかに穴をあけられる選手だと思います。

――前半は中島の積極的なシュートが目立ちました

賀川:チームで一番たくさんシュートを打つ選手ですが、シュート力というところで、もう少しレベルアップしてほしいと感じました。彼の体の強さもあるんでしょうが、あれぐらい試合中にシュートをチャンスを作れる選手ですから、今の代表にとって、彼のシュートがとても大切な武器になる。だからシュート自体をもっと練習する必要が出てくるでしょうね。彼に限らず、日本代表クラスの選手でも、ペナルティエリアの外から蹴ったシュートが、ゴールに近づいてやや失速することがある。ゴールに近づいてから、さらに伸びるとか、落ちるとか、変化球になったりしないと、日本人の普通の力で蹴ったのではなかなかミドルレンジから入らない。FWでもMFでもシュートの力量というものは自分で1日何十本と個人練習した数によって決まるものです。シュートにはそれぞれの選手の癖があります。その気になって練習して、こういう蹴り方をすれば、こういう軌道のボールが行く、といった具合に自分の癖を自分で使えるぐらいになれば、得点力はおのずと上がります。最近の日本人は高校時代ぐらいから戦術練習が増えるので、シュートの個人練習が多くないのかなという印象があります。

――18歳久保建英はベンチ外でした

賀川:楽しみにしていましたが、これからチャンスがあるでしょう。Jリーグであれだけのプレーをしていますし、注目もされています。森保監督なりの配慮なのでは。サポーターは見たいでしょうが、まだ若いし無理に出すこともない。それは監督の胸一つ。U-20W杯にもトゥーロン国際にも出さずにA代表に招集しているわけですから、9日のエルサルバドル戦(宮城)や南米選手権でプレーする機会はあるでしょう。楽しみは先の方がいいものです。

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