2015年5月28日 日本女子代表 対イタリア女子代表
キリンチャレンジカップ2015
5月28日 長野
日本女子代表 1(0-0、1-0)0 イタリア女子代表
――強化シリーズの第1戦、対ニュージーランド戦では澤穂希が代表に復帰しました。
賀川:得意のボレーシュートで唯一のゴールを決めましたね。
――第2戦の対イタリアがキリンチャレンジカップとなりました
賀川:対ニュージーランドが香川の丸亀で、キリンチャレンジカップは長野市でした。四国はかつてはサッカーの後進地でしたが、女子の日本代表を迎えて盛り上がりました。
――丸亀は、その四国では古い時期の女子のサッカーがあったとか?
賀川:第一次世界大戦のときに日本が中国・山東省の青島(チンタオ)にあったドイツ軍港を攻撃し、多くのドイツ人捕虜が日本に来ました。香川県にもその収容所があってドイツ人たちがサッカーをした影響で大正年間に女子校の運動会でもサッカーをしたということです。広島が似島の収容所のドイツ人たちのおかげでサッカーのレベルがアップしたのと似ています。
――信州にはそういう話はない?
賀川:第一次世界大戦のドイツ人捕虜の話は、収容所の多くが長野以西でしたからね…。長野県の松本山雅というJリーグ1部のチームが人気を集めているときに、なでしこジャパンが長野の新しいスタジアムで試合をしたのは、JFA(日本サッカー協会)のヒットですね。
――なるほど
賀川:信州は昔から文化人を多く生み出し、新聞の編集者たちも輩出しています。こういう土地でサッカーが市民の間に浸透してくれればとてもうれしいことです。なんといっても北アルプスや上高地という名勝もありますからね。その長野県で松本と張り合う長野に立派なスタジアムができたのですよ。長野県に二つのサッカースタジアム…人口の多い、スキー発祥地の神戸を持つ兵庫県と比べてみてもすごいことですよ。
――その長野の5月29日の試合では
賀川:丸亀では澤さんの復活、ここでは大儀見のストライカーの証(あかし)でしょう。
――そういえば、多くの新聞も大儀見のゴールがトップでした
賀川:相手のイタリア代表は今度の女子ワールドカップ・カナダ大会には欧州の予選で敗退して出場しません。だから次の代表への立て直しの時期で、若い選手もいて、それだけにボールを取ると攻めに出てきました。したがって互いに攻めあうことになり、とても楽しかったのですが、その中で唯一のゴールが大儀見のシュートでした。
――後半6分でした
賀川:クロスを相手DFがヘディングで防いだのを①澤さんがペナルティエリア外側で拾って、落として、弾んでいるのをしっかりコントロールし、②グラウンダーのパスを右サイドにいた宇津木に渡しました。③宇津木はドリブルし、5歩目の右足を大きく踏み込んで左足サイドキックで中央へパスを送りました。
――宇津木は左足はうまいですからね
賀川:宇津木にボールが渡ったときには日本の菅沢と大儀見はその前のクロスに備えてゴール前につめていたから、相手DFよりもゴールの近くにいた。
――オフサイドのポジション、相手DFの背後ですね
賀川:④宇津木がドリブルする間に大儀見はすばやく、CDFリナリの背後に近づき⑤宇津木の速いパスがリナリの前に落下する直前にリナリの前へ右足を出し、その右足アウトサイドでボールをとらえました。⑥飛んできたボールは鋭く方向を変えてゴールへ、⑦GKジュリアニの右手側を抜いてポストギリギリにゴールへ飛び込んだ。
――賀川さんは、これまで大儀見の進化を強調していました
賀川:ポルトガルでのアルガルベカップをはじめ、国際試合では、女子日本代表の試合ぶりは必ずしも良くはなかったが、昨年から今年にかけての彼女のレベルアップはとてもうれしく見ていましたよ。日本のセンターフォワード的なストライカーとして、男、女と通じて歴史的にもレベルの高い方だろうとまで書いたりしていました。
――24日は良くなかった?
賀川:欧州から戻ってきた時差の関係なのか、後半は多少よくなったが、彼女らしくなかった。相手のCDFが強かったせいもあったかも…
――イタリア戦では生き生きしていました
賀川:澤さんのいないなでしこジャパンでは、攻撃は宮間あやのパスと大儀見の決定力が大きな武器だった。しかしその大儀見を生かせる、横からあるいはゴールライン際からのクロスでなく、スルーパスが多かったのには首をひねりました。良いストライカーがいると相手DFの裏を狙いたくなるのだが、横からのパスの方が、ストライカーには相手DFのかけ引き、いわゆる「消えて出てくる」がしやすいこともあって点につながるのに、などと愚痴っていました。
――今回は斜め左からのパスでした
賀川:うーん、スロービデオを見直すと、オフサイドを取られても…という形だが、レフェリーにもそう見えないほど、パスに対する相手の背後からの動きが速く、したがってディフェンダーは完全に意表をつかれたのでしょう。
――右足アウトサイドでのシュートは
賀川:あれは右利きのCFなら、ひとつの型でしょう。大儀見は日本女子としては、168cmで大きく、リーチがある方だし、瞬間的に足を出すのが早いから生きますよ。
――宇津木もしっかりパスを出した
賀川:相手のDFのヘッドのクリア、いわゆるこぼれ球を拾った澤さんがすぐ前へ仕掛けず(2人のFWはオフサイド位置だった)左サイドの宇津木へボールを出したのが、このゴールを生む第1のポイントです。バウンドしているボールをコントロールして、全体の状況を察知して、一旦ボールを左へ送って(横パス)、2人のFWの体勢を立て直す時間の余裕を持たせたところは、さすがでしょう。宇津木のボールが渡ったときにファー(ボールから遠い方)にいた大儀見が内へ、菅沢がファーサイドへ動いたのも見事でした。この間、相手の2人のDFの視線は宇津木とボールに注がれていて2人の動きを見ていなかったはずです。
――いいゴールが生まれると賀川さんの口調も滑らかになりますね
賀川:もちろん、このキリンチャレンジカップでの満足、不満足はまだあります。宮間のパスについても、両サイドの攻めについても、もちろん澤さんについても…少し長くなるので今日はここまで。
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