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2014年11月

2014年11月18日 日本代表 対オーストラリア代表(続)

2014/11/26(水)

――ここのところ、レッズ対ガンバのJリーグトップ争いをはじめ、好試合が多く、海外からもテレビでいい試合が届けられて、サッカー人は楽しみが多いですね。

賀川:テニスの錦織選手、日米野球もあり、まさにスポーツの秋です。Jリーグをふくめ、そちらの話も楽しいけれど、キリンチャレンジカップの日本対オーストラリア戦の続きを語り合いましょう。

――アギーレ監督はシンガポールでのブラジル戦を含めた6試合での最終戦の対オーストラリアで代表チームの姿をファンの前に見せました。2−1の勝利だから、まずは成功ですね。

賀川:いまの日本サッカーの勢力からゆけば、普通に考えれば代表はブラジルワールドカップ組に何人の新顔が入るか…と考えるはずですが、アギーレさんは全く新しい選手を登用することから始めました。最終的にはブラジル組にプラスαが加わる形になった。

――ヨーロッパで働くもの、あるいはガンバの遠藤、今野たちを含めてのブラジル組は6月の不本意な成績の後、捲土重来の意気込みがあったはずだが、6試合の終盤になってはじめて彼らの顔を揃えたところが、監督らしいということ?

賀川:多分新しい顔ぶれ、それも自分が選んだプレーヤーをテストしておきたかったことと、ブラジル組を起用する時期をいつにするかを考えていたのでしょう。

――1月のアジアカップという、当面まず成果を出さなければならない試合を控えてのことですからね

賀川:ザッケローニ前監督はチーム全体に攻撃志向という大命題を用意して、その高い目標に選手を導いてゆこうとして、ある程度成功した。しかし2013年のコンフェデ杯に出場した時の初戦のブラジル戦を見て、こういう強敵と戦うための選手のモチベーションの上げ方に不満が残った。

――そういう心の中のことは、言葉の問題もある?

賀川:今度のアギーレさんは選手にとっての反復練習の重要さを説きつつ、体のコンディションとともに選手の心理を読み、試合に出場するにあたって強い気構えになるように仕向けているように感じたね。

――記者会見での受け答えもしっかりしているとか

賀川:まあ、サッカーのプロ監督だから当然ではありますが、サッカーをよく知っていて、同時にメディアの対応もなかなかのものですよ。

――特に感じたことは

賀川:岡崎慎二をFWの中央で使ったことですね。ザックさんは攻撃展開についてチーム全体の質的向上を図ったが、最後にまたCFポジションの選手選考に迷ったように見えた。新メンバーで、岡崎は確か4試合続けてこのポジションだった。

――岡崎に合っていた?

賀川:ゴールを常に狙う選手が、ゴールに最も近い位置にいるのは当たり前のことだが、日本では本田というストライカーがいても彼をCFの位置に置くよりは右サイドの方が効果的なことはすでに知られている。岡崎は背も高くないし、CDFを背にしたプレーがとても上手というわけではないが、体を張って、ボールを受けてくれる選手で、同時にいつもゴールを狙ってチャンスをうかがっている。アギーレさんはおそらく岡崎のストライカーとしての最も大切な「気性」の素質を買ったのだと思います。

――後方からのボールを受けるのも上手になった。何よりヘディングが強く、高いバウンドのボールなどの競り合いに強い。ある時期は彼が右サイドに入ることが守備面―相手の左からの攻撃を抑えるメリットも語られていた

賀川:岡崎を中央に置いて、彼の特性を生かすこと。ボールを受けるにせよ、左右に走って展開のきっかけをつくるにせよ、彼の特徴を周囲が知れば、自然に連係プレーが出来てくる。

――本田と香川は

賀川:この2人はブラジルでの不振について強く責任を感じているはずですよ。イタリアでもドイツでも自らの新しい面を切り開こうとしているようです。

――本田は自らゴールを奪う意欲をさらに強めているようです。香川はロングパスの精度が上がりましたね。

賀川:ドイツサッカーの広い動きのなかで、プレーしていますからね。視野の広さは、時には感心しますよ。ゴール前へ入り込む動きも大したものですが、ぼつぼつ得点するためには、時に大雑把の方がよいことを覚えるべきでしょう。

――というと

賀川:前半の終わり頃に素晴らしいスルーパスがあって、香川がペナルティエリア内に進入したでしょう。

――右ポスト近くに持ち込んで、岡崎にパスをしようとしたが、DFの足に当たってCKになった

賀川:あの狭いスペースで、なお岡崎へのパスコースをさがし、そこへボールを送ろうとするところは、いかにも真司らしいのですが、あの場面はパスでなく中にいたDFと岡崎の合計6本の足のどれかに当たればよいと、強いシュート性のボールを送り込んだ方がよいでしょう。もちろん、あの位置からフワリとGKライアンの上を越えるボールを送ることも選択肢のひとつです。

――ふーむ

賀川:私は本田の意表をつくスルーパスと香川のそのパスを受けての見事なプレーをこうして話題にできるようになっただけでもうれしいのですが、折角ここまで来たのだから、その見事なパスワークの後、ゴール!と叫びたいものです。

――それには?

賀川:彼自身の心の持ち方もあるでしょうが、いつも言うように、香川があのポジションでの経験、ゴールすぐ近くでのプレーを重ねることです。試合ではそれほどできないですが、シュート練習などでも、ゴール近くへ走り込んでシュートすれば、ゴールやゴールキーパーの見方を体で覚えるでしょう。

――アギーレ流で、ともかく6試合を重ね、成果をあげて、アジアカップに乗り込みます。ここまでのところは、多くのメディアも納得した?

賀川:試合はアギーレさんがするのではなく、選手がするのですよ。DFのサイドは左右複数の選手がいます。CDFは数が少ないのが心配ですが、まだまだいい素材も出てくるでしょう。ベテランのボランチに新しい選手が加わり、攻撃陣も手薄だが各パートは揃いました。

――岡崎と豊田のCFでしょうか

賀川:南半球のオーストラリアでの夏の大会となるアジアカップは決してやさしい大会ではありませんが、選手たちがまず2015年の初頭の高いを勝ち抜き、ステップアップしてほしいと思います。

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2014年11月18日 日本代表 対オーストラリア代表(下)

2014/11/21(金)

――2点目もCKからでした

賀川:その前に一言付け加えたいのは、今野が遠藤と代わってうまくいったからといって、今野と遠藤を比べて云々するのではありません。今の日本には、今野、長谷部、遠藤というそれぞれ特色を持ったすばらしい3人のベテランMFがいるということを強調しておきます。

――後半23分に今度は岡崎慎司のゴールで2-0となりました。

賀川:1-0となってオーストラリアは少し気落ちした感じになった。前半飛ばした疲れも出てきたかもしれない。日本が攻めこんだ後のセカンドボールを取れいるようになった。21分には本田がハーフウェイライン手前で相手ボールを奪い、前を走る岡崎にパスを出して、岡崎がドリブルしノーマークでシュートした。GKライアンに防がれたが…

――惜しい場面でした。しかし、この後の左CKが得点を生みます

賀川:岡崎の長い突進の後のシュートが入らなかったのは惜しいが、この時パスを出した本多、後方から右前方へ駆け抜けたすばらしいダッシュを見て、彼らの士気の高さに感心したんです。

――左CKは本田が蹴りました。今度はニアポストでした。吉田が飛び込んだが、彼と相手の2人の間を抜けてボールはゴール前に落ち、そのままペナルティエリアの右外へ転がった。先にボールへ行ったのが森重でした。

賀川:左CKの時、今度は彼はファーサイドにいた。ボールに追いついてゴールの方を向くまでに余裕があった。オーストラリア側がゴール前に固まってしまい、またボールへの寄せも遅かった。森重は前方から来る長身のウィルキンソンにキックフェイントを交えたドリブルで仕掛け、浅く切り返してその股下を抜いて、内へ持ち込んだ。

――森重、やるなぁという場面!

賀川:そのままエリアまで直進し、ウィルキンソンの前を横切ってゴールライン手前4メートルで中へパス(グラウンダーの短いクロス)。ボールは迎えうちに来たDFの足間を抜けてゴールエリアへ。

――そのゴールエリア右ポスト前、4メートルに岡崎がいました

賀川:岡崎はセインズブリーにマークされていたが、自分の後方へきたボールを右足を伸ばしてヒールキックで方向を変えた。ゴールキーパーは右手を伸ばしたが届かずゴール中央に飛び込んだ。

――クリスティアーノ・ロナウドも時々見せる両足間のヒールキックですね。

賀川:少し後ろ目に来たボールを右足を大きく開いてヒールに当てるのだが、この場合は少し強めだったのだろう、ボールが浮いた分GKライアンには難しかった。

――不器用とひたむきさが売り物の岡崎のヒールキックに拍手喝采でした。

賀川:本人は気持ちで押し込んだと言っていたが、同じヒールシュートでも彼らしい“気”のこもったものでしょうね。記者席からは赤い靴を履いた森重のドリブルが見事だったのと、やはり赤い靴の岡崎の瞬間の動きがとても印象的でした。

――直前のドリブルシュートは逃したが、そこで生まれたCKからのチャンスをものにしました。岡崎はこれで代表でのゴールが40点。釜本邦茂、三浦知良に次ぐ、歴代第3位になるはずです。

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2014年11月18日 日本代表 対オーストラリア代表(上)

2014/11/20(木)

キリンチャレンジカップ2014
2014年11月18日 19:20 KickOff 大阪/ヤンマースタジアム長居
日本代表 2-1(前半0-0) オーストラリア代表

――いい試合でした。

賀川:当日のスタジアムに集まった46,312人にも、テレビ観戦のサポーターにも、とても面白い試合だったと思います。最後まで緊迫感がありましたからね。

――アディショナルタイムで1点を奪われた時、記者席で「ヤバい」と叫んだとか

賀川:相手の右からの攻めの後、左へボールが流れてペナルティエリアの外でベヒッチが左足でクロスを蹴るときでした。ベヒッチは右でボールを止め、ゆっくり左に置き換えて左足でクロスを送った。日本側は少し離れたところに3人がいたが、誰も妨害にゆかなかった。FKと同じくらいベヒッチはしっかり狙った。その時、叫んだというより声が出た。
――前半16分にオーストラリアの右からのクロスにレッキーがヘディングシュートした。この時は川島が高いボールを防いでいますよ。

賀川:前半と違って今度ヘディングをしたのは、ケーヒルです。この日は後半28分に交代で入っていた。

――ケーヒルにはこれまでの日本代表も痛い目に合いましたね。

賀川:2006年ドイツW杯の1次リーグの初戦で、1-0とリードしていたのを、3-1に逆転されたのだが、同点ゴール、勝ち越しゴールを決めたのがケーヒルだった。この時は、足のシュートだったが、彼はヘディングもうまい。172センチと小柄なのにジャンプ力があり、ヘディングの技術も高い。その彼がゴール前にいたから、相手の左からクロスが送られる時に思わずヤバいと声が出たのですよ。2-0とリードしてアディショナルタイムに入った安心感もあったし、疲れてもいたのだろうが、残念でした。

――いまでも記者席から全体の動きはしっかり見ることができるのですね

賀川:いや、何といっても90歳ですから双眼鏡なしには背番号の判別も難しくなっています。しかしゲームの流れはつかめます。このクロスの時もそうでした。

――日本の2得点はCKからでしたね

賀川:アンジェ・ポステコグルー監督が記者会見で、「選手たちは89%よく戦っても、残り11%が悪ければ痛い目に合うことを学んだ」と2つのCKの対応のまずさを指摘していました。

――前半は相手の激しいプレッシングに日本側はタジタジとなっていた。35分ごろからこちらのペースとなりチャンスもあったが…

賀川:ホンジュラス戦で成功した長谷部のアンカー守備の形がこの試合では適応していなかった。途中から長谷部、遠藤の2ボランチにして香川真司をトップ下にしてからチームに落ち着きが出るようになった。

――ともかく、前半を0-0で終わり、後半に入ると日本の攻勢が多くなった。そして16分にCKから先制ゴールが生まれた。

賀川:後半のスタートから遠藤に代えて、今野泰幸を送り込んだ。

――若い柴崎岳ではなく、ガンバでの遠藤のパートナーであり代表経験の長いベテランが入ってきた

賀川:今野はいまさらテストの必要のないほどの選手だが、アギーレ監督としては実戦で見ておきたかったのだろう。今野と長谷部のボランチでチームに安定感が増し、ボールを狙って奪えるようになった。香川と本田の働きが冴え始め、5分に香川のと岡崎のシュートがあり、GKライアンが防いだ。

――CKで得点する4分前に乾貴士が武藤に代わって投入されました

賀川:監督にすれば、初登場の豊田での試合で2得点して乗っている乾を再度見ておきたかったのでしょう。ピッチに出て、2分後に乾は右からの酒井のクロスをヘディングした。左サイドから侵入してのヘディングはボール一つ分バーより高かったが、15分には右サイドにあらわれ、スルーパスを受けてエリア右外をえぐってクロスを蹴り、右CKを奪った。

――このCKが先制ゴールとなります。

賀川:CKのキッカーは本田です。相手のエリア内には、吉田、森重、乾、岡崎と今野が入っていた。スロービデオで確認すると、本田の左足が振られた時、吉田がニアポスト(この場合は攻撃側から見て右ポスト)へ走り、森重も同方向へ動きました。ゴールエリア一杯へ動いた吉田、その背後へ動いた松重をマークして、オーストラリア側もニアへ走り、その日豪5人を越えて、ボールはゴール中央に落下した。

――キックの直前にゴール前にいた他の3人のオーストラリア選手もニアへ動いた乾と岡崎に気を取られてボールにタッチできず

賀川:落下したボールはファーポスト側へバウンドした。そこに今野がいた。

――彼はキックの瞬間はどこに?

賀川:ペナルティキックマーク近くに岡崎と並んでいた。岡崎や乾の動きとは反対側、ファーポスト側へ移動し、バウンドして上がってくるボールを左ポストの前5メートルで待ち受けた。流れるボールをダイビングするように低い姿勢のヘディングでとらえた。

――GKライアンが両手を伸ばそうとしたが、ボールはそれより早く下から飛び込み、上部ネットを叩いた

賀川:今野はヘディングもシュートも上手で、Jリーグでも得点している。選手たちが今野の上に折り重なって喜んだ。それまでが苦しかったから喜びも大きかった。

――このCKは練習の型にあったのでしょうね。

賀川:ニアサイドへのけん制の動きで相手をひきつけ、ファーサイドで合わせるのはごく常識的なCKの得点形のひとつですが、図式は簡単でもタイミング、キックの正確さと的確なフィニッシュが要求されます。このゴールは、本田のカーブ(あるいは曲がって落ちるボール)といい、長身で相手DFに警戒されていた吉田、森重の2人のニアへの動き、さらに中央から右寄りへ動いた乾、岡崎の第2列の動きに引きずられて相手側はヘディングに失敗、ノーマーク地点にボールが落下し、それを予知し待ち構えていたのは今野だけだったというわけです。

――テニスの錦織の試合で、相手の予想外のところへ打ち込むテニスのストローク戦と心理の駆け引きを解説者は説明していましたが、サッカーのCKにも同じように陽動作戦があるのですね

賀川:それをチームとして集団で組織的に行うのがサッカーの面白さで、もちろん試合の流れの中での攻撃にもそのことは見られますが、CKのような停止球からのプレーは、そのキックの前の気配や、キッカーの目の動き、あるいは踏込のクセなどでその意図を探ることもあります。こういう停止球(プレースキック)からの駆け引きやゴールは、今の日本代表の得意技のひとつ。なでしこジャパンが先のワールドカップの決勝で左CKを宮間が蹴り、澤が右足のアウトサイドで決めたゴールもありました。

――今野が決めたことも意義があるのでしょう

賀川:また詳しくお話ししますが、今野は守備的MFとしてはおそらく日本の歴史上トップランクの選手だと私は思っています。彼はこのポジションならデシャン(フランス代表監督、1998年ワールドカップ優勝チームの首相で守備的MF)と並ぶ素材だと前々から申し上げていたのですが、ディフェンスのポジションをCDFでもサイドDFでもどこでもこなせるところから歴代の代表監督は穴埋め的に起用してきました。本来のこのポジションなら、それぞれの特色は違っても、長谷部、遠藤と同じように高い素材なのです。年齢が高くなっていますが、もう一度今野の真骨頂を見たい私には、彼がもう一度このポジションで代表に入ってほしいと思っていました。

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2014年11月14日 日本代表 対 ホンジュラス代表(続)

2014/11/17(月)

――18日、長居での対オーストラリア戦は「勝ちにいく」と17日の記者会見でアギーレ監督が言いました

賀川:試合をするのですから、「勝ちにいく」のは当然ですが、これまでのアギーレさんの選手起用について、いろいろな見方ができるので、どう戦うかを記者たちが質問したのでしょう。

――とすると、18日はホンジュラス戦のメンバーが主となる?

賀川:そうみてよいでしょう。選手ひとりひとりのコンディションの問題もありますが…

――内田はホンジュラス戦でいい働きぶりでしたが、足を痛めているとか

賀川:日本代表がアジアでの強敵オーストラリアを相手に、対ホンジュラス戦のような試合を見せられるかどうかです。

――ホンジュラスを相手にして、押し込まれる時間もあったし、ゴール前でシュートまたシュートというピンチの時間もありましたからね

賀川:オーストラリアは体格や体力の点でホンジュラスよりも上です。しかしそれに対する守りの備えも練っていることでしょう。

――当たりが強く空中戦も強いはずのオーストラリア相手に、ホンジュラス戦のような攻撃展開が見られれば楽しいが

賀川:6ゴールで注目すべきは、このうち4点がペナルティエリア内でのシュートということです。

――そう言えば先制ゴールは左CKをニアで岡崎があわせ、それをファーポストすぐそばで吉田が頭で押し込みました。

賀川:2点目は相手が攻めに出ようとした時にミスパスがあり、長谷部が奪ったボールがダイレクトでトップラインにいたノーマークの本田にわたり、彼がドリブルでエリア内に持ち込んでシュートし、GKエスコバルの左を抜いた。相手のバックラインの裏へ出て、GKと1対1になった時は、案外得点にならないことが多いのだが、本田は落ち着いていました。

――3点目はペナルティエリア外からの遠藤のシュートだった

賀川:左サイドで3人がかかわってバスを交換し、本田が正面のオープンスペースにボールを送って、遠藤が決めた。この時の遠藤の間(ま)の取り方が実にすばらしかった。彼の本領発揮というところ。

――賀川さんの好きな遠藤のタイミングをずらせるプレーについては、別の機会にしましょう。後半の3点はすべてエリア内のシュートでした。

賀川:4点目は、後半のスタートから入っていた乾が最初にからんだ。相手の右サイドからの攻めを防いで、左タッチライン際の深いところで乾にボールがわたり、そこから乾はドリブルで前進して右内側の遠藤にわたした。遠藤は右へボールを送り、本田へ。本田がドリブルで内へ持ち込む。このとき左の乾、右外の内田、右サイド内側の香川が走り上がる。本田はさらに内にドリブルし、エリア前方からエリア内左へボールを送り込んだ。フワリと上がったパスが落下したところへ乾が走り込んで落下点でシュート。バウンドにあわせたサイドキックシュートで、GKの右を抜いた。見事なカウンターだった。複数の仲間がスペースへ走り込むことで、相手もそれにつられる。したがって、本田は最も交換的なパスを選ぶことができた。乾の運動量もすごいが、内田や香川のランもこのゴールにからんでいた。

5点目は交代で入った豊田が決めた。香川が本田からのパスを受けて、エリア内で相手の2人にからまれ、ボールがこぼれたのを豊田が決めた。

――この日は攻めだけでなく、守りへの動きの量も多かった

賀川:2点目の長谷部からの本田へのパスの前に、香川が相手DFにプレスをかけ、そのミスパスを長谷部が取ったのだが、チーム全体にこういう動きが多かった。

――6点目もエリア内、本田からのパスを豊田が相手DFが競り合ってボールのバウンドにうまく合わせた。本人は「ごっつぁんゴール」と言っていましたが…

賀川:その位置へ来ている。いないと点は取れないからね。相手が期待していたより弱かった感じもあるが、全員が守る意識を持ち、攻めにゆこう、前へゆこう、という気持ちが強かったのがよかったといえるでしょう

――1月の暑いオーストラリアでの試合は、困難もあるでしょう

賀川:それだけに18日のオーストラリア戦はしっかりやってほしい。

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2014年11月14日 日本代表 対 ホンジュラス代表

2014/11/16(日)

キリンチャレンジカップ2014
2014年11月14日 19:29 KickOff 愛知/豊田スタジアム
日本代表 6-0(前半3-0) ホンジュラス代表


——快勝でした。6-0、前半9分の左CKからの先制点にはじまり、41分の本田のドリブルシュート、44分の遠藤のエリア外からのミドルシュートで3-0。後半も交代出場の乾が2得点、豊田が1ゴールしました

賀川:豊田スタジアムへ集まった42,126人もテレビ観戦の皆さんもとても気分の良い90分でしたね。

——ワールドカップのブラジル組がほとんど揃い、欠場した長友の代わりに左DFは酒井高徳、右は内田、中央のCDFは吉田と森重。二人のCDFの前で長谷部がアンカー役となり、賀川と遠藤が攻撃的MFに本田が右に開き、左には武藤、そしてトップ中央に岡崎を置きました。

賀川:ここしばらくの試合で、岡崎はトップのいわゆるCFの位置に入っています。長谷部をアンカーに置いたのは、2010年南アフリカ大会で岡田監督が阿部勇樹をアンカーに置いて成功した例もあります。日本の守備を強くするという点では、いい考え方のひとつです。これによってチーム全体に守りへの意識が高まったでしょう。

――本田がトップ下というより右サイドで起用されました。

賀川:ほとんどがブラジル組ですが、多少役割の違いがあり、それがこの日のホンジュラス相手に見事に適合したということでしょう。

――大勝の割にメディアの喜び方は控えめなのが多かった

賀川:さあ、メディア全部を見たわけではないが、テレビの解説でも押さえた感じもありましたね。

――あまりのゴールラッシュにとまどったのかな

賀川:アギーレ監督にとっては、チームづくりの過程のなかで、まず一番近い1月のアジアカップにどういうチームで優勝へ持ってゆくかがひとつのステップでしょう。そのためには11月18日の対オーストラリア(キリンチャレンジカップ、長居)の前に、ブラジル組でひとつの結果を出すことは大事だったのでしょうね。その意味では、よかったでしょう。

――いいポイントをあげると

賀川:ザック監督はブラジル大会で攻撃を強調しましたが、弱点の守備面では改良が少なく、結局成果は上がらなかった。

――今度は長谷部をボランチで攻守両面というよりアンカーで少し守りに重きを置いた?

賀川:彼自身もチーム全体も守備の意識が強くなったはずです。もちろん選手たちもブラジルの後、ひとりひとりが自分たちに不足していたものを反省したでしょうからね。

――それでいて、前へ出てゆこうという意識が前より強かったようにみえた

賀川:長谷部のアンカーで後方の中央部が固まるとなると、攻めに出るのも安心するものです。

――気候もよかったと言っていましたね

賀川:豊田も寒かったけれど、サッカーをするのには、暑いよりはいいコンディションです。先ほどの代表個人の反省のなかでもブラジルでは走らなかったという「無念」があったはずです。

――気候の上でも、ブラジル組の気構えの上でも、代表チームに動く、走るという気分が満ちていたと?

賀川:日本サッカーはまず運動量と運動の質が上がらなくてはいけません。それに本田が久しぶりに攻撃の際のボールキープというところで、役割を果たしました。4年前の南アフリカでの新しい驚きであった本田が、当時の強さの上に経験を積んでいるのだから、ホンジュラスの選手たちにはとても「やっかいな」相手だったでしょう。

――その後ろに、やる気満々の内田が控えていました

賀川:ウッチーが気のせいか、体が大きく見えましたね

――岡崎のCFは?

賀川:センターフォワードタイプとしては上背に乏しいけれど、空中戦に強いという本人の特色が、後方からのボールの受け方の上達にもつながっています。監督は日本でのCFタイプを試してきたが、トップもサイドもできる岡崎に、この顔ぶれではCFの役割を期待したのかもしれません。なんといっても、彼はこの試合の先制ゴールにからんだ殊勲者ですからね。

――前半9分の1点目、左CKを遠藤がニアポストへ蹴り、岡崎がヘディングしてボール前へ流し込み、GKが防いだボールをファーポスト側にいた吉田がヘディングでゴールへ流し込みました。やはり先制ゴールは大きい?

賀川:ホンジュラスはブラジルで1勝もできず3戦3敗で、その時の選手が数人いました。日本とあまり変わらない実力といえるでしょう。アメリカ、ヨーロッパでプレーしている選手もいますが、中米のホンジュラスのリーグの選手もいます。アウェーのうえに、この日の寒さもあったから、ホームの方が有利なのは言うまでもありません。5分ならホームが勝つのは当たり前のようですが、それでも先制ゴールはチームに落ち着きを与え、その後の展開に大きく響きます。

――岡崎がニアで合わせるヘディングがいきたわけですね

賀川:遠藤も久しぶりの代表で気持ちが入っていました。香川もドイツでのリーグ戦出場で、調子を取り戻し、新しい自分をみせようという迫力があった。そういったそれぞれの選手の気持ちを高めた点でも、先制ゴールを得意の停止球から取ったのはよかったと思います。

――あとの5ゴールも代表の歴史に残る攻撃展開のようにみえました

賀川:そのひとつひとつを楽しむことにしたいのです。相手がどうであっても、自分たちのチームがいい連係プレーで、すばらしいゴールを奪うのはとてもうれしいことです。

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