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2014年11月18日 日本代表 対オーストラリア代表(上)

2014/11/20(木)

キリンチャレンジカップ2014
2014年11月18日 19:20 KickOff 大阪/ヤンマースタジアム長居
日本代表 2-1(前半0-0) オーストラリア代表

――いい試合でした。

賀川:当日のスタジアムに集まった46,312人にも、テレビ観戦のサポーターにも、とても面白い試合だったと思います。最後まで緊迫感がありましたからね。

――アディショナルタイムで1点を奪われた時、記者席で「ヤバい」と叫んだとか

賀川:相手の右からの攻めの後、左へボールが流れてペナルティエリアの外でベヒッチが左足でクロスを蹴るときでした。ベヒッチは右でボールを止め、ゆっくり左に置き換えて左足でクロスを送った。日本側は少し離れたところに3人がいたが、誰も妨害にゆかなかった。FKと同じくらいベヒッチはしっかり狙った。その時、叫んだというより声が出た。
――前半16分にオーストラリアの右からのクロスにレッキーがヘディングシュートした。この時は川島が高いボールを防いでいますよ。

賀川:前半と違って今度ヘディングをしたのは、ケーヒルです。この日は後半28分に交代で入っていた。

――ケーヒルにはこれまでの日本代表も痛い目に合いましたね。

賀川:2006年ドイツW杯の1次リーグの初戦で、1-0とリードしていたのを、3-1に逆転されたのだが、同点ゴール、勝ち越しゴールを決めたのがケーヒルだった。この時は、足のシュートだったが、彼はヘディングもうまい。172センチと小柄なのにジャンプ力があり、ヘディングの技術も高い。その彼がゴール前にいたから、相手の左からクロスが送られる時に思わずヤバいと声が出たのですよ。2-0とリードしてアディショナルタイムに入った安心感もあったし、疲れてもいたのだろうが、残念でした。

――いまでも記者席から全体の動きはしっかり見ることができるのですね

賀川:いや、何といっても90歳ですから双眼鏡なしには背番号の判別も難しくなっています。しかしゲームの流れはつかめます。このクロスの時もそうでした。

――日本の2得点はCKからでしたね

賀川:アンジェ・ポステコグルー監督が記者会見で、「選手たちは89%よく戦っても、残り11%が悪ければ痛い目に合うことを学んだ」と2つのCKの対応のまずさを指摘していました。

――前半は相手の激しいプレッシングに日本側はタジタジとなっていた。35分ごろからこちらのペースとなりチャンスもあったが…

賀川:ホンジュラス戦で成功した長谷部のアンカー守備の形がこの試合では適応していなかった。途中から長谷部、遠藤の2ボランチにして香川真司をトップ下にしてからチームに落ち着きが出るようになった。

――ともかく、前半を0-0で終わり、後半に入ると日本の攻勢が多くなった。そして16分にCKから先制ゴールが生まれた。

賀川:後半のスタートから遠藤に代えて、今野泰幸を送り込んだ。

――若い柴崎岳ではなく、ガンバでの遠藤のパートナーであり代表経験の長いベテランが入ってきた

賀川:今野はいまさらテストの必要のないほどの選手だが、アギーレ監督としては実戦で見ておきたかったのだろう。今野と長谷部のボランチでチームに安定感が増し、ボールを狙って奪えるようになった。香川と本田の働きが冴え始め、5分に香川のと岡崎のシュートがあり、GKライアンが防いだ。

――CKで得点する4分前に乾貴士が武藤に代わって投入されました

賀川:監督にすれば、初登場の豊田での試合で2得点して乗っている乾を再度見ておきたかったのでしょう。ピッチに出て、2分後に乾は右からの酒井のクロスをヘディングした。左サイドから侵入してのヘディングはボール一つ分バーより高かったが、15分には右サイドにあらわれ、スルーパスを受けてエリア右外をえぐってクロスを蹴り、右CKを奪った。

――このCKが先制ゴールとなります。

賀川:CKのキッカーは本田です。相手のエリア内には、吉田、森重、乾、岡崎と今野が入っていた。スロービデオで確認すると、本田の左足が振られた時、吉田がニアポスト(この場合は攻撃側から見て右ポスト)へ走り、森重も同方向へ動きました。ゴールエリア一杯へ動いた吉田、その背後へ動いた松重をマークして、オーストラリア側もニアへ走り、その日豪5人を越えて、ボールはゴール中央に落下した。

――キックの直前にゴール前にいた他の3人のオーストラリア選手もニアへ動いた乾と岡崎に気を取られてボールにタッチできず

賀川:落下したボールはファーポスト側へバウンドした。そこに今野がいた。

――彼はキックの瞬間はどこに?

賀川:ペナルティキックマーク近くに岡崎と並んでいた。岡崎や乾の動きとは反対側、ファーポスト側へ移動し、バウンドして上がってくるボールを左ポストの前5メートルで待ち受けた。流れるボールをダイビングするように低い姿勢のヘディングでとらえた。

――GKライアンが両手を伸ばそうとしたが、ボールはそれより早く下から飛び込み、上部ネットを叩いた

賀川:今野はヘディングもシュートも上手で、Jリーグでも得点している。選手たちが今野の上に折り重なって喜んだ。それまでが苦しかったから喜びも大きかった。

――このCKは練習の型にあったのでしょうね。

賀川:ニアサイドへのけん制の動きで相手をひきつけ、ファーサイドで合わせるのはごく常識的なCKの得点形のひとつですが、図式は簡単でもタイミング、キックの正確さと的確なフィニッシュが要求されます。このゴールは、本田のカーブ(あるいは曲がって落ちるボール)といい、長身で相手DFに警戒されていた吉田、森重の2人のニアへの動き、さらに中央から右寄りへ動いた乾、岡崎の第2列の動きに引きずられて相手側はヘディングに失敗、ノーマーク地点にボールが落下し、それを予知し待ち構えていたのは今野だけだったというわけです。

――テニスの錦織の試合で、相手の予想外のところへ打ち込むテニスのストローク戦と心理の駆け引きを解説者は説明していましたが、サッカーのCKにも同じように陽動作戦があるのですね

賀川:それをチームとして集団で組織的に行うのがサッカーの面白さで、もちろん試合の流れの中での攻撃にもそのことは見られますが、CKのような停止球からのプレーは、そのキックの前の気配や、キッカーの目の動き、あるいは踏込のクセなどでその意図を探ることもあります。こういう停止球(プレースキック)からの駆け引きやゴールは、今の日本代表の得意技のひとつ。なでしこジャパンが先のワールドカップの決勝で左CKを宮間が蹴り、澤が右足のアウトサイドで決めたゴールもありました。

――今野が決めたことも意義があるのでしょう

賀川:また詳しくお話ししますが、今野は守備的MFとしてはおそらく日本の歴史上トップランクの選手だと私は思っています。彼はこのポジションならデシャン(フランス代表監督、1998年ワールドカップ優勝チームの首相で守備的MF)と並ぶ素材だと前々から申し上げていたのですが、ディフェンスのポジションをCDFでもサイドDFでもどこでもこなせるところから歴代の代表監督は穴埋め的に起用してきました。本来のこのポジションなら、それぞれの特色は違っても、長谷部、遠藤と同じように高い素材なのです。年齢が高くなっていますが、もう一度今野の真骨頂を見たい私には、彼がもう一度このポジションで代表に入ってほしいと思っていました。

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