2014年9月5日 日本代表 vs ウルグアイ代表
キリンチャレンジカップ2014
2014年9月5日 19:29 KickOff 北海道/札幌ドーム
日本代表 0-2(前半0-1) ウルグアイ代表
賀川:新しい日本代表の第1戦は、まずFWに皆川佑介(広島)、CDFに坂井達弥(鳥栖)が先発するという新しい顔の起用となった。それまでCDFのひとりだった森重真人を守備的MFの中央に持ってきたのも新しい。昨年のウルグアイ戦では、日本の背後を狙うスアレスへの後方からのパスに痛い目にあった日本代表だが、今度はそのスアレスの脅威はなく、ゲームはもっぱら互いにプレッシングをかけ合い、ボールを奪う奪われるの繰り返しになった。ただし、日本側は第3列、つまり最後のディフェンスラインから第1列への長いパスが多く、したがってミスパスも多かったのに比べ、ウルグアイは中盤で短いパスのやりとりによるキープのうまさが目立った。このあたりが同じように勤勉で、奪う積極性を掲げてワールドカップ1次リーグ突破のウルグアイと1勝もできなかった日本との差ということだろう。前半中ごろまで、それぞれヘディングシュートの決定機が1本ずつという地味な展開。こういう試合は、ミスした方が負けにつながるぞ、と見ていたら、日本のDFにミスが出て1点を奪われた。
――前半34分でした。右サイドの酒井宏樹のバックパスを坂井が止め損ない、身体から大きく離れたボールをカバニに奪われ、そこから相手のパスがつながり、カバニが決めました。
賀川:試合の流れとしては、互いに攻め合い、日本にも26分に田中順也のシュートがあった(相手に当たる)が、その後しばらくつぶし合いになっていた。
発端は、右サイド自陣のスローインを酒井宏が本田に投げ、本田が酒井宏にリターンパス。酒井宏は左足で止め、右足でバックパスをした。バックラインの中央にいた坂井はこれを左足でトラップしたのが大きくなり、そこをカバニに狙われた。
――酒井がバックパスをした時に、相手の前のプレーヤー3人が反応したように見えました
賀川:そう。前方のカバニとロデイロとディエゴ・ロランだったか、3人が酒井のバックパスの体勢を見て、取りにゆこうという気配を見せていた。ボールを受ける坂井は自分の左前から来るロランを気にして左足で止め、ボールを体の右前へ置こうとしたのだろうが、それが大きくなってコントロールできず、今度は自分の右前から詰めてくるカバニに取られてしまう。
――競り合って後方へこぼれたボールをロデイロが拾って右前のロランへ
賀川:坂井の右後方にいた吉田麻也が中央の危険地帯をカバーに来たときにはボールはロランに渡り、彼はこれを前方へ流し込む。そこにカバニが走りこんでいた。
――カバニは右へ流れて右足でシュート
賀川:シュートは遅れながらもスライディングタックルに入った細貝の足に当たり、飛び出したGK川島を越えてゴールへ。長友がクリアしようと走ったが届かなかった。
――日本のバックパスは狙われていると賀川さんはよく言っていましたが
賀川:98年のワールドカップフランス大会で、日本が初出場した時、第2戦でクロアチアに奪われたゴールも、バックパスを奪われて相手のチャンスとなり、スーケルに決められたもの。相手側は狙っていたと言っていた。初めて代表のCDFに起用された坂井にとってはいい教訓だが、もともと右サイドの酒井宏がボールを止めた時から、相手はバックパスだと読んでいたのでしょう。
――こちらの姿勢などで察知する
賀川:代表経験者はその危険をよく知っているはずなのにね。
――今後、気を付けるポイントのひとつ
賀川:試合中のバックパスの数とバックパスの次のパスの成功率を出してみるのも勉強のひとつでしょう。
――前半に日本のチャンスもあった。皆川のヘディングシュートがバーを越えたが、長身のセンターフォワードとして期待しただけに、左からのクロスをヘディングした彼に1点でも取らせたかった
賀川:皆川は大柄で、相手の守りの要であるCDFのゴディンを背にしてボールを止めることもあったし、それを食い止めるためにゴディンがファウルしたのも2度あったはず。背が高くヘディングが強いので、後方からパスを出すのにはターゲットとなる。選手育成の実績ある広島が送り出してきた大型CFといえるでしょう。
――大型と言えば、釜本さんと比較されますよ
賀川:1960~70年代、182センチのCFであった釜本邦茂は今の世界の大きさの感覚からゆけば、188センチクラスのCFということになるでしょう。当時は、ワールドカップ(74年)優勝チームのGKゼップ・マイヤーが182センチ、メキシコ五輪3位の日本代表GKが177センチだったのですから。
その釜本はヘディングがとても上手だった。
――このクロスでも、バーを越すことはない
賀川:まあヘディングに自信のある人たちは、それぞれこの皆川の唯一のチャンスのヘディングシュートをどうみるでしょうね。
――賀川さんの見解は
賀川:釜本選手にぼくが聞いた話では、こういうボールに対して上体を振りすぎると案外入らないことが多く、ジャンプしてボールをとらえるときに方向を変えるのは首をキュッと引き締めるという程度の感覚の方がビシッとボールをとらえ、いいシュートになるのだという。
――それで
賀川:その話を聞いてから、そういう形のヘディングを見ると、なるほど頭を振ったり、身体を振ったりするのが大きいと、ボールはゴールに入らない。たとえば、イタリアでヘディングが上手だったベッテガでも、右からのボールをダイビングして方向を変えて狙った時でも頭の振りがフォロースルーにまであらわれている時は角度が浅くて、ヘディングシュートは決まっていない。落下点へ入って、しっかりジャンプしたところまではよかったが、強く叩こうとして、上体を振る意識が強かったため、小さなバックスイングもあって、結局当たる瞬間のタイミングが少し遅れてボールが上へ上がったのではないだろうか。
――本人も決めなければいけないゴールと言っていました
賀川:私のように、ヘディングが上手くなかった者が言うのはおこがましいが、釜本をはじめ、多くの名選手(最近ではクリスティアーノ・ロナウドのヘディングがすばらしい)のプレーを見てきたおかげで、少年期に習った上体を振るヘディングは大人になっての実戦ではまた違っているように感じています。皆川選手はヘディングが得意なだけに、試合のひとつひとつのプレーを反省し、上達してゆくでしょう。そのためにも代表でのデビュー戦で惜しい場面で外したことは今後の進歩の大事なステップになるでしょう。
――その他にもいろいろあるが、本田のFKが3本とも不成功だったこと、またスルーパスもよくなかったこと
賀川:個々のプレーを取り上げれば、たくさんあるでしょうが、ともかく新しいスタートの第1戦で敗れたけれどウルグアイ相手に球ぎわの競り合いに(勝ったとは言えないが)負けないという気迫が見えたことは何よりです。サッカーはこれがなければただのボール遊びですからね。もちろん、飛んできたボールをピタリと止めるくらいの技術はつけておいてほしいものですが…
――後半にまたまた日本の守りにミスが出て、ゴールを追加され、0-2となった
賀川:25分のゴールですね。両者互角でボールを奪い、奪い返され、互いに攻め合っていました。20分過ぎに相手のFKがあり、高いボールを上がってきたのを川島がキャッチし、ロングボールを前へ送ったが、ウルグアイ側が取って左サイドでキープし、短い横パスをつないで右へ展開、右オープンスペースからクロスが入り、これをエリア内で酒井宏がヘディングしたボールは、内側、ゴール正面へ落下し、PKマーク近くでロデイロが走りこんでショートバウンドを右足シュート、川島が防いだが、弾いたボールは再びゴール正面にころがり、シュートを決められてしまいました。酒井宏のヘディングに続き、川島のリバウンドが正面に転がる不運ということになるのかもしれない。
――痛い失点ですが
賀川:酒井宏は前半にも右から来たクロスをヘディングでクリアするときに、内側へボールが落下したのを見て、危ないなと思った矢先だった。自分の左手から来るクロスを危なげなく処理するのは右DFにとってはポジションプレーのひとつであり、クリアの型になっているはずだが、いささかもったいないプレーだった。
――代表の試合は北海道でも満員。次の横浜でも入場券は完売しています
賀川:それだけ期待されているということでしょう。また第1戦を見ても、とても面白い。ゴールを奪えなくても、ひとつひとつに気合がこもっている、あるいは気迫が不足しているなどと、代表ひとりひとりのプレーを眺めることもまた、サッカーの面白みでしょう。
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