« 2014年5月 | トップページ | 2014年9月 »

2014年6月

2014年5月27日 日本代表 vs キプロス代表(下)

2014/06/01(日)

試合ははじめのうち、動きの悪い日本側が相手のロングボールと突進の勢いにタジタジとなる場面もあったが、やがて中盤を制圧し攻勢となり、前半終了間際に内田がゴールを決め、これが唯一のゴールとなった。

この攻撃の発端は、まずその前の左サイドからの攻め、長友~山口~柿谷~本田とわたり、本田が左サイドから蹴ったクロスを相手のDFがはね返し、それをまた山口が拾ったところから。
(1)山口がクリアボールを取ったところはペナルティエリア外、中央左より約10メートル。エリア内中央にキプロス側は4人、日本側はエリア一杯近くに香川と岡崎がいた。そして山口のシュートコースにはもう一人のキプロス選手がエリア外にいた
(2)互いの関係を見て、山口はダイレクトでボールを右斜めへ送る
(3)前方からこのボールの方へ戻ろうとした香川が右側、ペナルティエリアいっぱいにいた岡崎に合図する
(4)相手DFの接近の前に岡崎は右足でふわりとボールを浮かす。ボールはDFのアンゲリス・ハラランブスの足を越え、香川へ
(5)高く上がったボールを香川はジャンプして右足先で突き上げ、前方から来るイリアス・ハラランブスの頭上を抜き落下点へ
(6)それを防ごうと戻ってきたアンゲリス・ハラランブスとスライディングした香川がもつれ、そこへCDFのヨルゴス・メルキスも加わってボールはゴール前を右にころがる
(7)山口がパスを出した時(1)にはエリア外にいた、内田がゴール前へ走りあがり、このボールを右足でキック。GKの手に当たったボールが左に流れるのを内田がさらに右足でプッシュしてゴールを決めた。

この一連の動きのなかでは、左サイドの攻めを防がれた後、山口がすぐに右サイドへの攻めに変えたこと、第2に本田のクロスの時に、エリア中央部へ走りこんだ香川がクロスがクリアされるとすぐに反転してボールを受けに戻り相手DFラインとGKの間に空白を作ったこと。

第3に岡崎が人数の混み合うエリア内へフワリと浮き球を送ったこと。それまでサイドライン近くからのクロスの攻撃の多くがキプロス側のヘディングではね返されているなかで、あえて浮き球を使ったのは、もともと岡崎は空中戦に自信があるからだろうが、同時に長いボールでなく、短いフワリとしたボールで相手の意表を突いたのだろう。香川自身も背は高くはないが、天性浮き球の処理の上手なことは岡崎も知っているはず。この意表をつくフワリボールの後の相手ゴールへスライディングした香川の粘りと、後方から走りあがった内田の早さが生きたと言える。内田にとっては、故障復帰後の出場チャンスでつかんだ得点は大きな自信となったはず。

チーム全体の評価としては、この日の体調で、故障上がりの選手が本調子に向かいつつあるようで、一安心。本田が得意なはずのFKをはじめ、決定的なシュートチャンスに決めきれないなど不調丸出しだったが、90分プレーできたことで、今回はよかったといえるだろう。その本田が完調でなければ、柿谷と岡崎にいいボールが来ることは少ないのだろうが、両サイドのクロスの単調さや、攻めが中央に偏るなどの、ここしばらくの芳しくない習性もあった。もともと日本代表のサッカーは走ることが第一で、ザック監督は体が働かなくても、頭の働きが見たいと言っていたが、そちらの方もいま一息だった。

大久保嘉人が元気なプレーを見せたのはなにより。セレッソ、ヴィッセルで時折すばらしいプレーを見せながら、コンスタントとは言えなかった彼が、川崎に移って監督の理解と、パスの名手中村憲剛の協力でゴールを奪う能力を恒常的に発揮できるようになった今、ザック監督が彼を選んだのは監督として当然とはいいながら、改めて感謝したいと思う。30歳を超えて、ようやく自分の天分に目覚めた大久保はこの日のプレーを見れば体調も気迫も十分のようだ。若いころの彼とシュートの話をして、右ポスト寄りから左ポスト(ファーポスト)へのシュートのうまさをほめた時、ニアポストへのシュートも心がけては、と言った。その時、「ふん」という顔で聞いていた彼が次の試合でニアポストへズバリと決めたのに、その得点へのカンに驚いたものだ。若くして、溢れる才能を持った彼が30歳でつかんだチャンスを生かし、自分にも日本サッカーにもいい絵を描いてくれるだろう。

試合の後、地下鉄に揺られながら、その大久保はじめ、23人のプレーヤーたちがこれからの準備を完璧にしてひのき舞台で戦ってくれることを心から祈った。

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


« 2014年5月 | トップページ | 2014年9月 »