2013年9月10日 日本代表 vs ガーナ代表
――前半にゴールを奪われ、また4強シリーズの二の舞かと思いましたが、後半に3点を奪い逆転勝ちしました
賀川:先の対グアテマラ(3-0)と2試合をセットにしたキリンチャレンジカップでした。代表チームの強化という点からも、非常に大切な時期の2試合で、多くのファンの前で成果を見せたのが一番でしょう。
――後半の開始早々に香川真司がドリブルシュートでゴールを奪い同点にしたのが試合ではひとつのヤマでしたね
賀川:勝敗という点からも24分に奪われ、後半5分に同点にしたのだからチームも盛り上がった。
――いつもより遠くからシュートを打ちました
賀川:当方の攻撃が、本田のパスが相手に当たって、一度はじき返されたのを左サイドの長友が取ったところからが、この攻撃のスタートでした。(1)本田が前方の柿谷へ出したパスが相手DFに当たる。ただし強いボールだったから、相手はコントロールできず、リバウンドを長友が取った。(2)長友はゆっくりキープして(3)後方から左サイドを駆け上がった香川の前へパス(4)香川は左から内へドリブルし(5)ペナルティエリア左角から数メートル内、エリアいっぱいで右足シュート(6)強く叩かれたボールはニアポスト際へ一直線のグラウンダーで飛び込んだ。
――シュートを決めた香川は、喜びというより淡々とした感じでした。喜びの表情ではなかった
賀川:うれしいというより、ホッとした感じだったでしょう。ここのところ、十分働いているのに、成果が出ていなかったからね。ザック監督のヒントかもしれないが、ペナルティエリア外からのシュートが生きましたね。
――シュートそのものにも気迫がこもっていた
賀川:蹴り足のインパクトの後のフォロースルーもしっかりしていた。蹴り足の足首も効いていましたね。柿谷曜一朗という新しいFWをワントップに置く形になって、この試合でも彼の突破を生かせるためのスルーパスの仕掛けが早くなっていた。柿谷はボールを止める技術がすばらしいので、それを生かしての狭いエリアでのパス攻撃もできるのだが、この日はもう少し早めの仕掛けを監督は見たいと思ったのかな。
――前半に彼が左サイドを突破して中央へグラウンダーのクロスを送り、本田が左足シュートを決めそこなったシーンがあった
賀川:日本が1点を失った直後のビッグチャンスでした。決してやさしいシュートではないのだが、パスが左から来るという、左利きの本田にとっては得意の形だから、言い訳はできないチャンスでした。
――メディア報道でも彼はこのシュート失敗を強く受け止めていたとか
賀川:本田のような選手にとっては、こういうパスが来るようになってきたことはとてもうれしかったと思いますよ。なにしろ、この日の香川、本田、清武、柿谷の4人の攻撃陣はおそらく日本サッカー史上、最もボールテクニックの高い代表の攻撃陣ですからね。
――ふーむ
賀川:そのハイレベルの攻撃陣に、これまでのようなエリア内でのパス攻撃よりも、エリア外からのシュートというヒントを出した監督さんが面白いと思いますね。
――2点目は本田のヒールパスをエリア外から遠藤がシュートして決めました
賀川:痛快な強シュートがゴールへ、というのではなく、ゴールの右下隅へのコントロールシュートだったが、少なくとも2ゴールはエリア外から蹴ったのですからね。後半は、監督のヒントか、香川たち選手の自らの発案なのかは知りませんが、ともかくシュートのタイミングあるいはシュートに入る距離を少し変化させたことがゴールに結びつきました。
――香川真司が少し力み過ぎているように見えると賀川さんは前に言っていましたが
賀川:マンチェスター・ユナイテッドで将来を考えたファーガソンが香川を受け入れたのは、将来イングランドでもバルサ流サッカーの時期が来る、そのためにも香川のような選手を、という深謀遠慮のはずですが、そのファーガソンが代わったあと、次の監督がどういうふうに考えるかは別の話でしょう。しかしサッカーのプレーにはいろいろなタイミングもあり、その多様性もまた攻撃力アップの要素ですから、今回のエリア外シュートは香川にも代表にもプラスになったでしょう。
――本田がFKから3点目をヘディングで取りました
賀川:これもニアに吉田麻也がいて、彼が競り合いにいった裏で本田がヘディングしたのです。本田が自分のヘディングの強さを仲間との協調プレーで発揮したのは、とてもよかったと思います。
――欲を言えば、前半にゴールがほしかった
賀川:後半は相手が疲れてきますからね。それでも今回のシリーズは2試合あわせてチーム全体の守備意識の強化と、柿谷を入れた攻撃陣のテストが大きなプラスになったでしょう。
――長居で46,244人、横浜で64,525人、合わせて11万余の観客が応援してくれて、テレビでも多くのファンが代表のプレーを見るわけです。来日した両国ともに、それぞれ事情があるのに代表チームを送り込んでくれたのは、誠にありがたいことです
賀川:日本代表はこれから10月に海外で強化試合を行うことになりますが、その前も後も、海外リーグにいる者も、Jリーグにいる選手も、少しでもプレーの精度を上げてゆくことが大切です。代表はこれまでの積み重ねでいくつの攻撃ルートと、そのフィニッシュも出来上がりつつありますが、ここに柿谷と大迫がどのように加わるかで、また違った魅力が出てきます。
――今度のキリンチャレンジカップで、いよいよブラジルに向かって代表が新しいステップに入ったという感じがしてきました
賀川:ともかく、かつてない技術レベルが揃ったのだから、私たちの特性の勤勉な組織力をどう生かせるか、ですよ。
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