« 2013年5月30日 日本代表 vs ブルガリア代表戦(続) | トップページ | 2013年8月14日 日本代表 vs ウルグアイ代表 »

2013年6月20日 日本女子代表 vs ニュージーランド女子代表

2013/06/25(火)

キリンチャレンジカップ2013
2013.06.20(木) 19:20キックオフ(佐賀/ベストアメニティスタジアム)
日本女子代表 1-1(前半1-0) ニュージーランド女子代表
 得点 大儀見 優季(21)、アナリー・ロンゴ(83)


なでしこジャパンの九州初登場

――久しぶりのなでしこジャパン2011年ワールドカップ優勝メンバーの主力が勢ぞろいしました

賀川:キリンチャレンジカップが女子の試合もバックアップしてくれるようになって、女子サッカーのためにもとてもうれしいことです。多くの観客の前で外国チームとの試合ができるのですからね。

――台風接近の予報が出ているなかで、たくさんの観衆が観戦し、声援しました。雨も激しくて選手たちには目に入って走りにくいのじゃないかと思われるほどでしたが…

賀川:鳥栖のベストアメニティスタジアムの芝はしっかりしていた。かつての日本の多くのピッチは国立競技場でさえ、この日ぐらい雨が降る中で試合をすれば、ぬかるんだり、水たまりができたものでした。それがスリップすることはあってもいいコンディションだったから、日本のサッカー環境はすばらしいと思った。このスタジアムは私も松本育夫さん(メキシコオリンピック銅メダル、日本サッカー殿堂入り)がいたころに訪れたことがあったが、JRの駅のすぐ目の前にある便利さと、サッカー専用でスタンドとピッチが近くてとても見やすいのですよ。

――陸上競技場供用だとトラックがあってスタンドから少し遠くなる。その点、専用だと臨場感が違います

賀川:私は大阪女子マラソンに関わっていたことがあって、その時道路で応援する人たちがランナーが目の前を通り過ぎる時の速さに驚いたと言っていたのを覚えています。近くで見ると好選手のスピードに改めて驚くものなんです。

――そういう意味でも、九州で初のなでしこジャパンが鳥栖のスタジアムに登場したのもよかったわけですね。さて、その九州でのなでしこジャパンの試合はどうでした?相手はニュージーランド代表でしたね

賀川:サッカーは九州で非常な勢いで浸透していて、高校生の世代では日本ナンバーワンのチームも相次いで出ている。遠藤保仁のようなすばらしい日本代表も鹿児島から送り込んでいるが、女子ではやや遅れています。その女子の普及、浸透のためにはこの日の試合は大きな一歩だったと言えるでしょう。多くの少女やその親たちがナマで観戦し、またテレビでなでしこの試合を見つめた(鳥栖での試合ということで、その地域の関心は高まるものです)ことはとても大きいといえます。

もうひとつの目的、なでしこの強化という点と、なでしこという女子の模範になるプレーを見せるという点では、いささか頭をひねることになります。

大儀見のファインゴールはあっても、かつてのなでしこのパスワークはない

――スコアは1-1。前半終了間際に宮間あや主将がイエロー2枚で退場処分となり、10人で戦う不利になったこともあったが、ワールドカップチャンピオンの当時の試合ぶりからはほど遠かった

――逆にニュージーランドの進歩が目立ちました

賀川:もちろん代表の個々のプレーのなかには「さすが」と思わせるものもあり、目の肥えたファンにも楽しんでもらえるところもあったが、なでしこジャパン特有の巧緻なパスワーク、息の合った攻撃展開はほとんど見られなかった。

――先制ゴールは九州出身の右サイドバック有吉佐織の長いクロスに合わせた大儀見のダッシュとシュートによるもので、ドイツリーグの得点王・大儀見の実力と伸び盛りの有吉の合作プレーでした

賀川:ビューティフルゴールでしたね。この後、もう少し距離は短いがやはり右サイドの川澄奈穂美が送った右後方からのパスに合わせた宮間のシュートもあった。ボールはゴールのバーを越えたが、これも「あうん」の呼吸のあったいいプレーだった。

――と言って賀川さんは不満も多かったらしい

賀川:レフェリーの判定について意義を申し上げるつもりはない。最終決定はレフェリーにあるということで、宮間が退場したのはいかにもフットボールらしいが、JFAの審判部としては、選手たちにこの日イエローカードを出された日本側の二つのタックルがイエローとなるのかどうかについて、説明しておくべきだろう。もしそれが世界規準である(はずなのだが)なら、徹底しておくべきだろう。

――10人になった影響はあったにせよ11人の時から必ずしも「なでしこ」らしい試合ぶりではなかった

賀川:澤穂希は故障を抱えて、万全の体調ではなかったらしく後半14分に交代した。従来のレギュラーのDF右サイドの近賀ゆかり、左サイドの鮫島彩の2人が故障で不参加。変わって前記の有吉と宇津木瑠美が出場した。岩清水梓、熊谷紗希のCDFとボランチの沢と彼女のペア阪口夢穂、攻撃的MFの川澄と宮間、そしてFWに大儀見と安藤梢と顔をそろえたから、まずはかつてのベストメンバーに近い顔ぶりだった。近賀と鮫島の両サイドは守備はもちろん攻撃でも日本の展開の外側を支えてきたため、その欠場は大きいことは確かだが、これだけの選手が集まっていて、かつてのチームワーク、パスの展開のうまさが、ほとんど見られなかった。

――久しぶりに集まって、練習の日数も少なかった

賀川:それもあるが、本来選手たちの体にも、心にも頭にもしみこんでいるはずのなでしこジャパンのチームワークがほとんど外にあらわれていなかった。

――ニュージーランドのプレッシングも強かった

賀川:それもある。しかし個人的に体格や走力の上の相手と戦うのは、日本の女子サッカーの代表、なでしこの宿命で、それに勝つためのチームワークであり、ボールテクニックであり、パスワークのはずなのだが。

――ということは、自分たちのチームではなでしこのサッカーはやっていない?

賀川:大儀見や安藤、宇津木、熊谷たちはヨーロッパのチームにいるから当然としても、日本のなでしこリーグも名は「なでしこ」だが、代表「なでしこ」とは各チームが違ったことをしているのでしょう。

――そういえば、リーグを見ても必ずしもパスサッカー、テクニックの高い試合というわけじゃない

賀川:どのチームもよく走るようになっているが、決して個々の技術、ボールを止める蹴るレベルが大きく上がっているわけではない。

――INAC神戸はなでしこジャパンの主力がいますが

賀川:私が見た限りでは、INACもいい選手が多くて、断然強いはずではあるが、試合展開はかつてのなでしこジャパンとはかなり違っている。

――アメリカ人のストライカーもいる

賀川:それは決して悪いことではないが、個人技を組織サッカーのなかで活かすことを心掛けなければならないのに、そのためのトラッピング、キックの精度などがINACといえども向上しているとは言い難い。

――ふーむ。そういえば、なでしこジャパンの佐々木監督は「パスの精度も低い。チームコンディションもよくなかったが、こういうことではワールドカップの連覇どころか、1次リーグを勝つこともできない」と言っていました

賀川:日本が10人で1人少なかったこともあり、後半ニュージーランドはガンガン攻めてきた。奪われたのは1点だけだったが、後半38分のそのゴールは…
(1)日本の右サイドからの攻めを防いだニュージーランドはアーセグが前方へパスを送り(2)ロンゴがこれを受けて(3)右前のグレゴリウスへパスをつなぐところから始まった(4)10番をつけた小柄でタフなグレゴリウスは丸山桂里奈に追走されながらドリブルで進み(5)右外を走りあがるパーシバルの前方へパス(6)パーシバルはゴールライン手前でゴールに追いつき、ダイレクトでクロスを中央へ(7)強く速いライナーが右ポスト前9メートルあたりに届くところを走りこんできたロンゴが見事に右足に当てて(8)ボールはGK海堀の上を抜いてゴールに飛び込んだ。1-1。なでしこ側は、ペナルティエリア内に5人のフィールドプレーヤーがいたが、ニュージーランド側の速い攻撃に対応できず、ロンゴはノーマークシュートだった。

――クロスを送ったパーシバルも最初のドリブルを始めて、シュートを決めたロンゴも自陣の深いところからのスタートで、パーシバルは60メートル、ロンゴは50メートルくらいの長い距離を走ってのクロスであり、シュートでした

賀川:ニュージーランドはラグビーで有名ですが、女子は陸上競技にもいいランナーが出ているところで、少女のサッカー人口も増えているそうです。こういう国や地域もこれからどんどんレベルアップするでしょうから、佐々木監督がなでしこジャパンもこれから大変だというのも当然でしょう。

不満、不安の確認もキリンチャレンジカップの効果

――なでしこは6月26日と29日にヨーロッパでイングランド代表、ドイツ代表との試合を予定しています

賀川:この2試合は強豪相手の親善試合ですが、7月20日からの東アジアカップ(会場:韓国)で中国、北朝鮮、韓国との公式試合があります。東アジアはもともと中国や北朝鮮などレベルが高いところ。韓国も急上昇しいい選手がいます。

――その前になでしこの状況をつかめた

賀川:そういう意味ではキリンチャレンジカップはとてもいい経験だったと言えます。私自身はニュージーランドの選手たちのひたむきなプレーを見ることができてとてもよかったと思います。

固定リンク | なでしこジャパン | コメント (0) | トラックバック (0)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/222697/57663903

この記事へのトラックバック一覧です: 2013年6月20日 日本女子代表 vs ニュージーランド女子代表:

コメント

コメントを書く