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2013年2月

2013年2月6日 日本代表 vs ラトビア代表(下)

2013/02/13(水)

――さて後半のゴール、チームの2点目は本田圭佑のビューティフルゴールでした。

賀川:4分に香川からのクロスを前田がヘディングして左ポストに当てた。オフサイドだったが、スタンドを沸かせたプレーだった。岡崎の縦の突破もあった。本田のシュートもあった。前田が後退してボールを受けてスペースへ本田が入ってきた。

――チームの動きがスムースになってきた。それにつれて相手のファールも多くなってきた

賀川:時々攻めに出る相手をどうするかを見ていると、13分に自陣右サイドで岡崎がボールを奪い、内田に渡した。
(1)内田はこのボールをすぐ左前にいた遠藤に
(2)遠藤はハーフウェイライン手前、センターサークルに近い本田へ
(3)その本田へ一人が向かってくる。相手の4DFはハーフウェイラインの向こう、15メートルあたりに1列に並び、前田がその裏(オフサイドの位置)にいた
(4)本田は奪いにくる相手の前で左足で左に開いていた香川にミドルパス。
(5)香川はノーマークで受けてドリブル。中央の前田にCDFがぴったり並走し、4DFは後退。
(6)香川はドリブルして、右足でのボールタッチ2回でペナルティエリア左角の手前にいるDFに接近し
(7)小さなフェイクを入れてスピードを落とし、中へ入ると見せてスクエアパスを本田の足下へ
(8)本田はこのパスを左足サイドキックでダイレクトシュート。ボールはGKの右上を抜いてゴールへ飛び込んだ
(9)香川がパスを出す直前の相手はペナルティエリア内に4人いたが、前田の右への動きで191センチの長身CDFは前田をマーク。その外にルギンスがいた。もう一人のDFイワノフは香川に対応する仲間の背後を警戒した。そちらに寄っていたから本田の前方、シュートコースはがら空きだった

――いろんな組合わせが本田の会心のシュートにつながりましたね

賀川:シュートそのものとともに、まず本田が(4)のところ、香川へパスを出す時に、相手が接近してから蹴ったためにそこで体勢が入れ替わり、本田が前へスタートした時はそのマーク相手は置いてけぼりになったこと。(7)のところで香川が内へドリブルする気配を見せたことで4DFの2人が引きつけられたこと。このため本田はフリーシュートの形となった。

――だからサッカーは面白いと言いたいのですね

賀川:ビデオをお持ちの方はもう一度ご覧になれば、いいゴールというのはとてもリーズナブルに見えます。もうひとつ、シュートの瞬間に後方から本田のラインまで岡崎が駆け上がっていることにも注目しておきたいのです。最初の自陣でのボール奪取、つまり(1)の前段階でプレーした岡崎が守から攻に転じて、攻撃にも参加しようとしている点です。一見無駄な当力のように見えますが、このあたりも日本サッカーであり、岡崎であるということでしょう。

――賀川さんは先のブラジル戦の後で、本田が自分で点を取ることにさらに意欲的になってくれるだろうと期待していましたね。3点目は2点目の1分後でした

賀川:帰ってビデオを見たとき、2点目の本田のクローズアップがとても印象的でした。彼が自分のシュートよりも、香川のパスのうまさを称揚したいという感じでしたね

――ラトビアのキックオフで始まり、相手ボールがパスミスとなり、ハーフウェイラインラインの遠藤がボールを取ったところから攻撃開始となった

賀川:(1)ハーフウェイライン中央やや右寄りで遠藤は体を左に向けておいて、すぐ右前にいる前田に短いスルーパスを通した
(2)前田は内側へごラップして相手をかわし、左へ流れながら左の香川にパス
(3)前田が受けてパスを出す直前の相手4DFはペナルティエリア前10メートルに4人いた。その左DFの内側から岡崎がDFラインの裏にスタートした
(4)ゴール正面30メートルあたりで前田からのパスを受けた香川は小さく浮かせたスルーパスを蹴る
(5)DFラインの裏で岡崎は右から左斜めへ走ってボールを取り、飛び出すGKをかわして左足でゴール中央へ流し込んだ

――ビデオで見れば、前田は相手に肩をつかまれながらパスを出していた。本田は岡崎とともにまず香川のそばに寄って祝福していました

賀川:ザッケローニさんは間髪入れず、本田に代えて乾貴士を、内田に代えて酒井高徳を投入。4分後に今野を伊野波に代えた。あと10分のところで岡崎を引っ込めて大津祐樹を投入した。

――まあ、テストしたい選手を見たわけですね

賀川:そう、これから後、私の興味はもっぱら乾にあった。

――ドリブルからのシュートですね

賀川:彼の直線的なドリブルとドリブルからのシュートやパスの能力は前から知っている。ドイツのフランクフルトでもレギュラーで出ているが、まだコース取りもフェイクもやや単調なところが気になっていた。上手な選手だからいいパスをもらえばプレーの幅も拡がるのだからね。この日、香川によって何か触発されるかという期待もあった。

――香川がトップ下に入って、長友とともに2人がこの若手主体のチームの中心となり、それを遠藤と長谷部がサポートする形になった。とても楽しい30分だった。乾のシュートがひとつでも決まっていたらもっとよかったのに

賀川:まあそんなにうまくゆけばいいけど…

――本田圭佑についてひとこと

賀川:ロシアでは休止期間のようだから、彼の状態がベストなのかどうかわからない。ゴールへの意欲を持っているようだが、得点力、シュート力そのもののアップはこれからでしょう。

――香川は

賀川:マンチェスター・ユナイテッドで左利きのストライカー、ファンペルシーとプレーしていることがこの日の本田のダイレクトシュートへの配球にもあらわれていた。ここしばらくの彼はバルサのシャビに似た感じになっているが、彼はシャビよりずっと若いのだから、もう少し動きの幅が大きくなっていいのやないかな。

――せっかくナマで見た彼らのことは日を改めてまた聞かせてもらいましょう。

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2013年2月6日 日本代表 vs ラトビア代表(上)

2013/02/09(土)

キリンチャレンジカップ2013
2013年2月6日(水) 19:20キックオフ(兵庫/ホームズスタジアム神戸)
日本代表 3-0(前半1-0) ラトビア代表
 得点 岡崎 慎司(41、61)、本田 圭佑(60)

――ラトビアに3-0。まずはよかったということですが、神戸の試合だから当然ナマで見たのでしょう

賀川:とても面白かった。本田圭祐や香川真司、岡崎慎司をはじめ海外組の主力が顔をそろえたから前売りは完売だったし、当日の場内アナウンスはプ ログラムの売り切れも告げていた。

――プログラムには賀川さんの神戸のサッカーについての書き物もありましたね。

賀川:まあ、それはともかく集まった28617人の観客は3ゴールに満足したでしょうね。

――といって問題がないわけではない

賀川:前半は前田遼一と遠藤保仁がいなくて攻撃陣のトップは岡崎でいつもの岡崎のポジションである第2列の右サイドには清武弘嗣が入った。遠藤の代わりの守備的MFには細貝萌が起用され、長谷部誠と組んだ。

――シーズン前の国内組はまだ体調が不十分で両選手とも90分は無理とザッケローニ監督は判断したと聞きました

賀川:試合後の記者会見でそう言っていました。これまでワントップの控えとしてハーフナー・マイクも入れてきたがケガで不参加だったから岡崎を持ってきたのでしょう。清武の右サイドはすでに経験済みでこのあたりはザック監督の手堅さというべきでしょうね。

――その前半はよくなかった?

賀川:寒冷地でのラトビアの国内リーグは隣国のロシアと同じく今は冬期の休止期で、半数くらいの選手はコンディションは万全ではなかったでしょう。しかし国外組が半数いた。いずれにしてもラトビア代表はワールドカップやヨーロッパ選手権の予選などで格上チームと戦うことが多いので、ゴールを相手にキープされて守勢になることには慣れていて、その流れで時に勝ったり引き分けにしたりする。だから日本のように相当な技術レベルで組織的にボールをキープする相手との試合は望むところだったでしょう。

――前半のスコアは1−0、日本代表のシュートは6本でした。前半はまず長谷部のエリア外からのが1本、本田がFKとドリブルシュートで2本、岡崎がエリア一杯での右足シュート、そしてゴールにつながった内田のシュートにタッチしたもの

賀川:賀川が右の清武からのクロスをダイレクトで蹴って大きく外したのがあったはずだが…

――シュートチャンスが少なかったのはどこが問題か?

賀川:まず、前田ではなく岡崎だったこと。ゴールを背にしてボールを受けることの上手な前田と、第2列から前へ飛びだすことに本領発揮する岡崎とではね。しかもチームは2ヶ月半ぶりに顔を合わせ、連係プレーの感覚を取り戻すのに少し時間もかかったようだ。

――岡崎には気の毒に見えました。右サイドへ移った後半のイキイキしたプレーを見れば、よくわかります

賀川:ということは、それだけ日本中にワントップを上手にやれるタイプの選手が少ないということにもなるでしょう。

――セルジオ越後さんが選手層の薄さをあらわしていると言っていたようです

賀川:まあ日本のサッカーにはポジションプレーという概念が欠けているのかも知れないが、この話はまた別の機会にしよう。

――前半のゴールは右サイド、エリア内で清武が2人を相手に粘って持ちこたえたところから。内田がシュートし、それがゴール正面あたりでDFに当たって方向が変わったのを岡崎がタッチして決めました

賀川:このゴールのきっかけとなった清武が相手に絡まれて持ちこたえたのも、彼の懐の深いボールの持ち方と柔らかさからきている。ここでの奪い合いに相手のDFたちは一瞬ボールを注視し、次に日本側にボールが出たときの対応が遅れた。

――いつも言う、のっぽ選手はいったん止まったら次の動きが出るのは遅いというところですね

賀川:ワールドカップの時にいつも思うのは、ドイツの大型選手は走れば戦車だが、立っていると…

――後半に前田が入って、岡崎が右に、本田がトップ下、左が香川となり、長谷部のペアに遠藤が入ると一気のチームの感じが変わりましたね

賀川:記者席からチームがいかにも手馴れた感じになったのがよくわかりました。余裕が出てきたから逆にミスが起きる可能性もある。そんな心配をしたほどフィールドにいる日本イレブンの空気がホッとしたように見えた。

――ミスも出ましたね。しかし後半の15分に本田の左足ダイレクトシュートが決まって2−0とし、その1分後に今度は岡崎がパスを受けて左へ流れてシュートを決めて3−0としました

賀川:起点は2ゴールとも遠藤からでラストパスはこれも2点とも香川でした。

――ちょっと詳しく説明してもらいたいですね

賀川:その前に前半の1点目をもう一度振り返っておきましょう。実はゴールしたのが40分21秒ですが、そのちょうど1分前には、ボールはハーフウェイラインにあって、そこから一度、二度、三度と攻め込みを繰り返していた。それも主として右サイドからで、相手に奪われても奪い返しての攻めの繰り返しは上手とは言えなくても、あきらめずに崩しにいこう、なんとかゴールを奪おうとする気持ちが強かった。倒れた清武が起き上がる時に相手に体を寄せたため、相手のクリアがすぐ近くの長谷部のところへ転がった。そこから長谷部、内田とわたり、内田のシュートにつながったが、こういう粘り強さに、攻撃への意欲やあきらめない気持ちといった代表の無形の進化を感じました。プロとして当然と言えばそれまでだが、なかなかのことですよ。

 

(続く)

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