2012年9月7日 日本代表 vs アラブ首長国連邦代表
キリンチャレンジカップ2012
2012年9月7日(木) 19:20キックオフ(宮城/東北電力ビッグスワンスタジアム)
日本代表 1-0(前半0-0) アラブ首長国連邦代表
得点 ハーフナー・マイク(69)
――日本代表1-0、ハーフナーのヘディングでした。6日後、9月11日にワールドカップアジア最終予選の第4戦となる対イラク(埼玉)を控えての準備試合としてどうでしたか?
賀川:本番前、1週間のテストの試合としては成功だったのじゃないですか。まずハーフナーがヘディングで1点を取ったことです。
――CFができたと?
賀川:それほどではないが、194センチの長身の彼が90分間代表の中でプレーしたことで、彼の高さを得点に結びつけるクロスのコースをひとつチームに見つけ、ゴールとなったのだからね。
――駒野が左サイドから長く速く高いボールを送り、GKがジャンプして取ろうとした手をかすめてファーサイドにいたハーフナーがジャンプヘッドで決めた。
賀川:それまで2本、彼のヘディングを狙ったクロスがあったが、1本は低く、1本はファーポスト際だが合わなかった。前田遼一というFWがいて、彼はヘディングも強く、ポストプレーも上手で、この日も彼だったらもっと変化のある攻撃ができたはずだが、さあという時のためにザッケローニ監督は194センチの威力発揮のやり方をチーム全員でつかませたのだろうと思う。
――なるほど
賀川:前田の力量はすでに皆が知っていて、チームを組める。そこにもうひとつ追加の194センチができたというわけでしょう。もちろんハーフナーのヘディング技術は1968年の釜本邦茂に比べるとまだまだだが、何といっても日本チームでのこの高さは魅力ですよ。
――そういえば釜本さんは68年にはニアサイドの飛び込みもしていましたね。
賀川:天下のアーセナルを相手に点を取った。釜本は182センチで当時は74年ワールドカップ優勝チームGKのゼップ・マイヤーと同じ身長だった。ということは現代の選手の高さからいうと190センチくらいで外国人選手と比べても長身の部類となる。だから国内ではヘディングは断然強く、これが国際的にも通用するようになったのです。
――ハーフナーもこれで自信をつければ
賀川:そう反復練習してほしいね。
――攻撃に厚みが加わったというのはわかるが、ディフェンスは?
賀川:監督さんの腹づもりは、この日に吉田とペアでCDFとなった伊野波あるいは水本のどちらになるか、、、
――守りについては、CDFも大切ですが、ボランチでキャプテンの長谷部の調子がいまひとつというのも気になります。
賀川:ドイツでリーグにいても出ているわけではない。調子はいいとは見えなかったが、まあこのポジションは大切ではあるが人材もいるからね。清武がパスの供給者としてはいいプレーをいくつか見せた。ザックさんにまたチョイスが増えたという感じ。
――マンチェスター・ユナイテッドというビッグクラブに入って、香川の人気がものすごく高いが、試合では本田の方が目立った
賀川:ユナイテッドでも香川は周囲を活かそうとする姿勢が強いね。もちろん日の浅いこともあるだろうが、それが彼の人気のひとつでもあるだろう。本田へのパスの出し方などは感嘆するね。この試合で本田が目立ったのは対イラク戦のような大事な試合には自分が引っ張ってゆこうという気持ちが強く、その自分が長旅の後、どれくらいやれるか確かめようとしたのでしょう。本田と香川の二人を見ているだけでも、ビッグスワンに集まった4万の観客は楽しかったと思います。
――チャンスが多く、シュートも前半10本、後半7本あったのに決まったのは1ゴールだけでした
賀川:本田がFKを含めて6本、香川が1本だったかな。香川には本田へのうまいヒールパスや、右の清武からのパスを胸で止めそこなったのがあった。また、あの狭いスペースでボールをコントロールする(それも高速で動きながら)のは大したものだが…
――岡崎にも惜しいシュートの場面があった
賀川:ザッケローニ監督は香川に代えて、後半から岡崎を登場させた。コンディションを考えてのことだろうが、清武を長く見ておきたいと思ったのかも。
――報道だと監督は必ずしも満足ではなく、CDFもまだ決めかねているようですが
賀川:腹づもりは出来ているでしょう。選手やチームの進化は思ったより早い時もあれば、なかなか見えにくいこともありますからね。それでも、たとえばハーフナーへのクロスにしても、駒野が後半24分に長いボールを左タッチライン近くから蹴って、彼の長身の利点を引き出した。キックオフから成功までに70分以上かかっていますが、チームとしてはこれがひとつの進歩です。そしてまたベテランの駒野…彼は2006年のワールドカップドイツ大会での、あのオーストラリア戦の辛い敗戦も知っている選手ですが、そのベテランの駒野が、先日のキリンチャレンジカップ・ベネズエラ戦で右サイドバックで出場して、パスを受け、ドリブル突破して、右のゴールライン際から後ろ目のクロスを出して遠藤のゴールを生み出した。そして今度は左サイドからハーフナーのヘディングを引き出すクロスを出しています。
――31歳のベテランも新しいプレーを付け加えているわけですね
賀川:ちょっと余談だが、駒野がベネズエラ戦のドリブル突破で、ボールを相手DFの外側に通し、自分は内側を通って抜いたでしょう。あのボールを外、自分は内側を走るのは、ぼくが神戸一中2年生の時のキャプテンで右ウイングだった友貞健太郎さん(故人)の十八番のドリブルの型だった。とても懐かしかったです。この人は、兄の太郎より1年上で、昭和13年(1938年)の全国中学校選手権(現高校選手権)優勝のキャプテンでした。
――イラク戦では、その進化を監督と選手がどのように見せてくれるかですね。そうそう。香川についてもう少し話してほしいですが
賀川:また次の機会をつくりましょう。まずはイラク戦は選手たちが体と心を整えて、いい準備をしてくれることですよ。
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