« 2011年8月 | トップページ | 2012年2月 »

2011年10月

10月7日 日本代表 vs ベトナム代表

2011/10/11(火)

キリンチャレンジカップ2011
10月7日19時45分キックオフ(兵庫・ホームズスタジアム神戸)
日本代表 1(1-0、0-0)0 ベトナム代表
 得点 日本:李忠成(25)



――不満の残る日本代表の試合ぶりでしたが……それでも1-0で勝ったというべきか、1ゴールしか取れなかったというべきか――

賀川:代表チームが日本サポーターの前で試合をするのだから、勝つことが条件づけられている。と同時に、このキリンチャレンジカップは11日の対タジキスタンとの本番に備えての選手チェック、組合せ裁定という仕事も兼ねている。

――したがって、前半は手持ちのメンバーの中で一番手慣れた組合せでいった、ということですか。

賀川:本田圭佑がいないことは前から分かっている。それに遠藤保仁と岡崎慎司が故障、内田篤人も出られないとなった。

――ザックさんが試したい選手もいて、それを投入したというわけですね。

賀川:若くて売出し中の清武弘嗣まで欠場するのだからね。そこで前半のような攻撃メンバーになった。

――それにしても、ベトナムもしっかりしたプレーをしましたね。賀川さんが試合前に1967年――44年前のメキシコ五輪アジア予選での対ベトナム戦を例に挙げていたとおり、苦戦した。

賀川:日本のサッカーは1960年代から飛躍的に向上した、といっても、実際に試合の中でプレーする代表一人ひとりの技術の精度が飛躍的に向上しているわけではない。プロになり、多くのプレーヤーの動きの量が増え、技術に対する常識が高まったといっても、世界もアジアもやはりレベルアップしている。私は試合を見ながら44年前のプレーと比較していましたよ。


◆45分間に1回だけでも「あうん」の呼吸で1ゴールしたのがいい


――前半のゴールを評価していましたが……

賀川:ハーフウェーライン近くで相手選手のトラッピングミスがあって、長谷部誠が奪ったところからチャンスが生まれた。ここから香川真司-長谷部-藤本淳吾-李忠成とつながって李が決めた。
 ちょっと詳しく振り返ると、
(1)長谷部が奪ったすぐ近くに香川がいた。長谷部は真司にボールを預けて前へ走り、すかさず真司からボールを受けた。相手の守備ラインの手前でノーマークだった。
(2)真司はこの日は顔色も良くなくて、元気のない様子だったが、さすがにこういうときの「何気ないパス」は上手い。
(3)長谷部はまだ前を向いていなかったが、パスのボールのスピードが柔らかくきたから、彼はターンしてボールを持ち直し、前へドリブルした。

――ボールが強ければ長谷部の体勢は楽でなかったと?

賀川:長谷部は、最もプレーが安定し、動きの量も多く、キャプテンシーもあり私の好きな選手。この試合でも前半しっかり働いた。しかしザックさんはウズベキスタンとの試合で彼をトップ下に置いてその失敗を認めたようだ。このポジションよりもボランチ、つまりもう一つ後ろから出てゆく方がいいタイプの選手なんです。

――その長谷部がトップ下の位置へ上がったときに、香川が彼に優しいボールを送ったというわけですね。

賀川:そのスピードとタイミングがね。まあ偶然か意図的か、どちらにしても、ここでそういう「さりげないパス」を出せるのが真司の本領ですよ。
 プレーの続きだが、
(4)前を向いた長谷部がドリブルを仕掛け、
(5)右の藤本へパスをした。
(6)藤本は縦にドリブルし中へ、マイナスのクロスを送る。
(7)そこに李がいて、ノーマークでシュートを決めた。

――長谷部がドリブルを仕掛けたとき、賀川さんは何か口の中でブツブツ言っていたようですが

賀川:李が前へ飛び出したあと、また後方へ戻ろうとした。一方、香川は長谷部の左隣りをフルスピードで駆け上がり、トップへ飛び出していった。この2人の動きも良かったね。

――藤本がドリブルを仕掛けたときに、李の戻る動きと香川の前へ飛び出す動きで李がノーマークになったわけですね。

賀川:この25分のゴールの一連の動きは、それまでよく似た形をつくろうとして失敗していたのを、互いの関連性のあるラン(Run)と、それをよく見ていたボール保持者(藤本)との「あうん」の呼吸でスペースをつくり、ノーマークシュートへ持っていった。しかもボールは外から中へのグラウンダーというシューターには蹴りやすいコースできた。

――香川、李、長谷部というこれまでのメンバーに新しい藤本を加えた4人でのゴールですね。

賀川:まあ、こういうパスやドリブルが組合わされ、得点につながるのがサッカーの攻撃の面白さですよ。

――それを1点だけでも演じたのは立派だと?

賀川:1点だけという見方もあるし、45分で1回できた、という言い方もできる。
 このコースのもう一つの意味は――攻撃は中央突破もいいがちょっと相手が手薄なハズのサイドで崩し、サイドから入ってくるボールを決める方が易しいということだ。このときも、藤本の侵入とクロスに対して、相手GKは自分のいいポジションから動いて出てくることになっている。
 あうんの呼吸のゴールを1点も取れないのと、1点でも取るのとでは全く違う。魚釣りでも、1匹も釣れないのと1匹でも釣るのとは全く違うからね。


◆どんな相手と戦うにも、日本代表は走って、チームプレーをすること

――システムの問題は

賀川:サッカーは試合の状況に応じてDFが4人になることもあるし、5人になることもある。その大づかみな配列も大切だが、結局は1対1での競り合いに負けないこと。もし1対1の競り合いが難しいのなら人数をかけてボールを奪うことになる。すると、まず動きの量が必要となる。
 日本のサッカーは例え相手がFIFAランキング100位以下であっても、常に1対1の奪い合いで勝てるとは限らない。サッカーはあくまでチームゲームであって、どんなにドリブルが上手であっても、どんなにスピードがあっても、常に仲間との協力は欠かせないものなんです。
 ベトナムとの試合で、日本の多くの選手、特に若いプレーヤーは、日本代表では常にいコンディションを保ち、豊富な運動量で自分たちの機敏性と組織力を生かすことを心掛けないと苦しい戦いになることを体で感じたと思う。その意味で、対ベトナムのキリンチャレンジカップはとても良い経験だったと思いますよ。

――本田がいなくても、良いコンビネーションの展開で点を取れることも見せてくれました。

賀川:代表として築いてきたものをベースに、ここに加わった選手たちがどういうプレーをするかは、選手自身が考え、監督の意図を察し、分からなければ相談して解決し、いいチームにすることなんですよ。11日はそういう意味でとても期待を持って見つめる試合ですね。

【了】

KIRIN LOVES SOCCERへ

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


【Result】10月7日 日本代表 vs ベトナム代表

2011/10/07(金)

キリンチャレンジカップ2011
10月7日19時45分キックオフ(兵庫・ホームズスタジアム神戸)
日本代表 1(1-0、0-0)0 ベトナム代表
 得点 日本:李忠成(25)

【日本代表メンバー】
GK: 12西川周作
DF: 2伊野波雅彦→22阿部勇樹(45分)3駒野友一、5長友佑都→4栗原勇蔵(45分)15今野泰幸、6槙野智章→20吉田麻也(68分)
MF: 13細貝萌、17長谷部誠(Cap.)→14中村憲剛(45分)
FW: 10香川真司→21原口元気(45分)11藤本淳吾、19李忠成
SUB:1川島永嗣、23権田修一、9岡崎慎司

【ベトナム代表メンバー】
GK: 18ブイ・タン・チュオン
DF: 4レ・フオック・トゥ、23チャン・チ・コン、16フイン・クアン・タイン、2ドアン・ビエト・クオン
MF: 5グエン・ミン・チャウ→7グエン・バン・クエット(78分)15グエン・コン・フイ、14レ・タン・タイ→10グエン・ゴック・タイン(59分)8グエン・チョン・ホアン→3グエン・アイン・トゥアン(分)19ファム・タイン・ルオン→12ホアン・ディン・トゥン(67分)
FW: 9レ・コン・ビン→13グエン・クアン・ハイ(81分)
SUB:1グエン・マイン・ズン、24グエン・テー・アイン、6チャン・ディン・ドン、11グエン・ゴック・ズイ

KIRIN LOVES SOCCERへ

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


【Preview】10月7日 vsベトナム代表 (下)

2011/10/05(水)

キリンチャレンジカップ2011
10月7日19時45分キックオフ(兵庫・ホームズスタジアム神戸)

日本代表 対 ベトナム代表

本番前のリハーサル。東南アジアの仲間ベトナムがやってくる
44年前メキシコ五輪予選でのスリルと喜びの思い出

111004vietnam


――賀川:6ヶ国のリーグで日本はまず、9月27日の開幕試合でフィリピンに大勝し、次いで台湾に勝ち、レバノンも破って3勝した。韓国も、まず台湾、次いでレバノン、ベトナム(南ベトナム)に勝って3勝。10月7日に日本と韓国が対戦した。

――歴史に残る3-3の試合ですね。

賀川:雨の中の壮烈な試合だったが、実はこの引き分けのあとが大変だった。10月9日に韓国はフィリピンに勝った。残る試合は10日の最終日の日本とベトナム。日本はそれまでの試合で得点を稼いでいたから、日本はベトナムに勝てば4勝1分け韓国と同勝点、得失点差で1位となりアジア1組代表としてメキシコへゆけることになっていた。

――勝ちさえすればいい、と。

賀川:その「勝てばいい」がプレッシャーとなって日本の選手にのしかかっていた。ベトナムは守りを厚くしてときおりカウンターに出るという、極めて当たり前の作戦だが、それがとても効果的だった。

――ふーむ、

賀川:引き分けに終われば韓国が1位だからね。満員の観客はハラハラだった。レバノン戦でひどいタックルを受け肩を痛め、包帯を巻いた痛々しい姿の杉山(隆一)が後半に相手ゴールキーパーのキックミスを拾ってドリブルシュートを決めたので、どうやら1-0で勝った。

――大きな日の丸を持って、イレブンが場内を1周、スタンドから飛び下りた人も一緒に走ったという象徴的なフォトが残っていますね。

賀川:ベトナムといえば、私はこの44年前のシーンを今も思い出します。この日の彼らは本当に立派な試合ぶりだった。その堅固な守りに手を焼きながら、スタンドと選手が一体となって1ゴールをもぎ取った。NHK総合テレビは20%以上の視聴率だった。

――それが10月10日ですか

賀川:ベトナムは東京オリンピックの前の年に国際大会を開いて、いわば“東京”の大会運営のリハーサルをしたときにも西ドイツ代表とともに代表チームを参加させてくれたんですヨ。

――そういう古くからつきあいのあるベトナムが、今度も来てくれる。

賀川:神戸ではどのような試合になるか。守備重視でくるのか、中盤でプレッシングをするのか、あるいは何人かの素早い個人技術で私たちを驚かせるのか――。

――サッカーには色々な楽しみがありますが、今度のキリンチャレンジカップでもまた一つの歴史が生まれることになるでしょう。


【了】


KIRIN LOVES SOCCERへ

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


【Preview】10月7日 vsベトナム代表 (上)

2011/10/04(火)

キリンチャレンジカップ2011
10月7日19時45分キックオフ(兵庫・ホームズスタジアム神戸)

日本代表 対 ベトナム代表

本番前のリハーサル。東南アジアの仲間ベトナムがやってくる
44年前メキシコ五輪予選でのスリルと喜びの思い出

111004mexico

メキシコ五輪予選の大会プログラム(表紙)


――キリンチャレンジカップの日本代表対ベトナム代表が10月7日に神戸で、11日に大阪でワールドカップ・アジア3次予選の日本代表対タジキスタン代表が組まれています。
 2試合続けて代表の試合を関西で見られるのは、ファンには嬉しいですね。

賀川:神戸のホームズスタジアムも、大阪の長居競技場も、新幹線の新神戸駅や新大阪駅からの交通の便利の良いところだから、東京や九州のサポーターにもチャンスですヨ。秋のスポーツシーズンのまたとないプレゼントです。

――アジア3次予選で日本は、9月2日に埼玉で北朝鮮に1-0で勝ち、9月6日のウズベキスタンとのアウェーを1-1で引き分けた。2010年の南アフリカ・ワールドカップでの16強からアジアカップ優勝(2011年1月、カタール)、さらには女子のワールドカップ優勝と、昨年から大きく盛り上がってきた日本サッカーですが、ここのところ負けてはいないもののちょっと勢いが鈍った感じもあります。

賀川:男子のフル代表にとっては、本田圭佑が故障で離脱したのが響いたね。アウェーの対ウズベキスタンでは、阿部勇樹のアンカー役という策に出たが成功しなかった。若手有望株の清武弘嗣も足を痛めてしまった。

――ザッケローニさんの魔術もトーンダウン?

賀川:サァー、どうですかネ。どんなチームでも調子の波はありますヨ。特に今の代表のように海外でプレーする選手も多いときは、コンディションの把握が難しいもの。ただ私たちが知っていなければならないのは、日本代表はヨーロッパや南米のトップクラスのチームと戦うときにも、それより少し下のクラスのアジア勢と戦うときでも、常にしっかりした組織プレーができることが大切で、運動量の多いことが必要となる。そして、いいチームワークで攻め、守るには、選手たちの組み合わせが重大ということですヨ。

――手慣れたポジションでするということ

賀川:選手たちがそれぞれ得意な形でプレーできるようにすることが大切。それで自信がつくと、バリエーションもついてくる。

――ヨーロッパのリーグの最中の海外組、Jのタフな終盤の争いをしている国内組を、本番でもあるワールドカップ予選3試合目のタジキスタン戦の前にキリンチャレンジカップというリハーサルができるのはプラスですね。

賀川:招集している全員が揃うかどうかは別として、ベトナムとの試合を一つ持てるのはとても大事なことですヨ。

――ベトナムはFIFAランキング130位(9月21日発表)ですね。

賀川:ベトナムの力がどうこうというよりも、まず代表イレブンがどのようなコンディションで揃うかですね。ベトナムはかつては長い内戦があったが、今は経済も良くなっている。古くからサッカーの盛んなところだから、私は期待しているんですヨ。特に、この10月になると、ベトナムと日本の試合には強い思い出がありますからね。

――というと

賀川:1968年に日本代表がオリンピックの銅メダルを取ったでしょう。

――メキシコ・オリンピックですね。まだプロでなくアマチュアの時代でした。

賀川:メキシコ予選のアジア第1組が1967年9月27日から10月10日まで東京で開催されたのです。日本、韓国、台湾(当時は中華民国といっていた)レバノン、フィリピン、そしてベトナムの6ヶ国が集結した。

――そうでしたか。今から44年前ですね。そうそう、日本と韓国がすごい試合をしたと聞いています。


【つづく】


KIRIN LOVES SOCCERへ

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


« 2011年8月 | トップページ | 2012年2月 »