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2011年8月

8月10日 日本代表 vs 韓国代表(下)

2011/08/18(木)

キリンチャレンジカップ2011
8月10日19時33分キックオフ(北海道・札幌ドーム)
日本代表 3-0(1-0、2-0) 韓国代表
 得点 日本:香川(35、55)本田(53)

――香川の1点目は?

賀川:右サイドで攻めに出て遠藤保仁が奪われたボールを奪い返して一気に優位に立った。岡崎だったか、右前へ一人が動いた。しかし遠藤は一呼吸おいてペナルティエリア中央部の李忠成にパスを送った。相手DFの前へ走り込んできた李は、ヒールで後方の香川へ渡した。香川がこのボールをトラップしたとき、接近してきた相手DFの足にボールが当たる。香川はそのリバウンドが落ちたところで右足でシュートし、これがゴール左下へ飛び込んだ。

――遠藤のパスのタイミングが上手かったのと、李のヒールパスで相手側の体制にずれが出た?

賀川:香川がゴール正面ペナルティエリアに入って来たとき、彼の左前と右後方と左後ろにDFがいた。李からボールを受けると香川はそのボールをトラップして前へ抜け出るのでなくボールを右足でタッチして自分の左足に当てた(おそらくもう一度右足の前へボールを置こうとしたのだろう)。しかしそのボールは相手DFの左足に当たった。当たったけれど、相手のモノにはならず、香川の右前に落ちる。それをタイミングよくシュートへ持っていった。

――抜いて出るのでなく、同じ位置でボールを動かしただけ?

賀川:テレビのリピートを見たらそういう感じだね。ゴール裏からのカメラは、彼が走り出すのでなく両足を広げて立っている姿勢を捉えている。右足でタッチしてボールを左へ動かし、それを左足のタッチで右前へ置くのはフェイクの一つの型で、古いところでは私達世代の代表の右ウイング・鴇田正憲がこのフェイクを使っていた。1956年のメルボルン五輪予選の1回戦で、予想を覆して韓国に勝ったときも、彼は滑りやすいグラウンドを利用してこの小さなフェイクで相手を悩ませたことを覚えている。近くは(といっても80年代だが)フランスのミッシェル・プラティニがこれで縦に持って出るのを見たし、日本のカズ(三浦知良)もやっていましたヨ。

――香川はそれで隙間をつくってシュートしようとしたのですかね。

賀川:今度会ったら聞いてみたいね。ここでシュートをすると狙っていたのだろう。咄嗟のプレーだが、囲まれながら前へ出るよりシュートチャンスと感じたのだろう。

――彼の談話に、イメージどおりとありました。

賀川:テレビ画面に戻ると、香川が右足を振ってボールを叩いた横から同じような形で韓国選手の足が映っていたハズですヨ。彼が蹴っていなければ、相手は潰しにきていた。その間一髪のタイミングをつかんだのでしょう。

――上手くなるというのは、こういう形の蹴り方というだけでなくて、一瞬のタイミングのつかみ方もあるわけですね。

賀川:それをタイミングと言う人もあれば、別の見方で、スペースという言い方をする人もあるが、まあいずれにしてもゴール前の、いわば修羅場での争いに勝つことだね。

――彼は、ゴール前で落ち着いてやれるようになったともどこかで言っていました。

賀川:それは、そこへ走り込むことが多くなり、そこで成功が増えるからですヨ。再三、ゴール前へ向かうことで、その位置、そのスペースが自分の居場所のようになるのだろう。それが経験であり練習にもつながるのですヨ。

――点を取るためには、その重要な場所でのプレーに慣れろ、と?

賀川:一概に言えるかどうかは別にして、例えば岡崎はこの試合で故障のため途中で退いたが、開始すぐにエリア右寄りから左足でゴール左ポスト側へシュートした。これは彼が今シーズンの最初のドイツでの試合で後半に出場して左足シュートを決めた角度とよく似ていた。ちょっと左足のインパクト(ボールを叩く)がドイツのときとは違っていて、このシュートは外れたが、この位からここへ――という感覚が一つできていたのだと思う。

――後半に日本が2点目を取り、相手がちょっと気分が落ちたときに香川が3点目(本人の2点目)を取りました。

賀川:このときは香川のダッシュ力、速さと、相当な距離を相当なスピードで走っても体のバランスが崩れないでシュートできるという良さが出た。清武との大きなトライアングルパスだったが、清武のパスも良かった。
 この試合で香川が別の場面でもしていたパスのキックで、自分の前にあるボールを体の向きのとおり真っ直ぐ前方へ蹴るパスをしていたことに私は注目した。彼はどちらかというとドリブルで円弧を描きながら角度のあるキックをする。前にあるボールを真っ直ぐ蹴ることは少なかったが、ドイツでその必要性を知ったのでしょう。清武へのパスもその一つだった。自分のチームのために、自分にはどういうキックが必要か、どういうプレーが重要かをいつも考えているから、バリエーションはどんどん広がる。

――もっといっぱい話を聞きたいのですが、今日は日本の3ゴールと香川くんの進化について、ということで。

賀川:いまの日本代表のサッカーは皆が積極的になっているからとても面白い。ただし3-0の対韓国勝利といっても、浮かれてはいけません。サッカーは相手のあるスポーツ。相手も、この日本にどう対応するかはすぐまた考えるでしょう。全選手の向上心とザック監督の指導力、長谷部キャプテンの全人格的プレーとチームの団結力に期待して、ワールドカップ予選を楽しみにしましょう。
 選手のみなさん、まずは良いキリンチャレンジカップをありがとう。


【了】

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8月10日 日本代表 vs 韓国代表(上)

2011/08/17(水)

キリンチャレンジカップ2011
8月10日19時33分キックオフ(北海道・札幌ドーム)
日本代表 3-0(1-0、2-0) 韓国代表
 得点 日本:香川(35、55)本田(53)


――なでしこのワールドカップ優勝で大いに喜び盛り上がったあとに、今度はキリンチャレンジカップの日本対韓国は3-0の快勝。それこそ盆と正月が一度に来た――というところですね。

賀川:喜びの二重奏、楽しみの重なりを“盆と正月”というところにあなたの年が分かりますヨ――。
 それはともかく、男の方の日本代表はいまとても面白い。「伸び盛り」――それもインターナショナルなレベルで――の選手がいると、試合に活気がありますから……。
 それに、遠藤保仁のように滋味あふれるプレーを見せてくれる経験豊かなプレーヤーもいるから、代表の試合はとても楽しいものになっている。

――“ご贔屓”の真司クン、香川真司がすごい活躍で2ゴールを決めました。

賀川:香川だけでなく内田篤人も岡崎慎司もみな上昇あるいは上昇志向だね。しばらく会わずにいて、香川に会うと刺激を受けるのかもしれない。

――ベテランの駒野友一も、長友佑都の故障による出番ですごく頑張って、2点目のきっかけを作りましたからね。

賀川:サッカーはチームゲームであることは全ての人が知っている。しかし、互いのコミュニケーションや特徴をうまく発揮するということと同時に、絶えず個人力のアップを心掛けなければならない。そのことも選手たちはよく知っていて、自分たちが練習したプレーを実戦の役割のなかで発揮しようと積極的になっている。彼(駒野)が左サイドでドリブルを仕掛けペナルティエリアに侵入してシュートをした(チームの2点目)の攻撃は、そういう駒野の心意気から出ていますヨ。

――GKチョン・ソンリョンがセーブしたそのボールが、ペナルティエリアの右いっぱいにいた清武弘嗣のところへ転がり、清武がダイレクトでゴール正面の本田圭佑へスクエアパス(横パス)を送った。

賀川:清武の判断は良かったネ。ダイレクトで、しかも心のこもったパスが本田に届いた。

――本田が左足で蹴りやすいボールでした。

賀川:清武は、香川がドイツへ去り、そのあと一気に自らの才能を見せ付けた。家長昭博もスペインに去ったあとのセレッソでぐんぐん伸びて、いまやチームの中心的プレーヤーになってきた。それだけのテクニックもあり、運動量もある。その清武のボールタッチのうまさと判断がこのシュートのリバウンドボールの処理にあらわれた。

――本田の左足ダイレクト・サイドキックはさすがでした。

賀川:これは本田の十八番(おはこ)。彼が高校を出て名古屋グランパスでプレーしているのを初めて見たとき、「立ったまま(助走なしで)」しっかり蹴れる選手がやってきた――との印象だった。その十八番が出ただけのことでしょう。それにしても、きっちりと左下隅へシュートを送りこんでいるのはさすがだ。

――試合後の談話は、「清武のいいパスが全てですよ」と。

賀川:ここのところ、メディアでは香川の働きが注目されている。新聞にはスペース、テレビには時間内で収めるというそれぞれの制限があって色々なプレーを取り上げることは難しいのだが、本田は狭いスペースで有効な働きのできる香川が出てきたので早速、彼への短い効果的なパスを使うようにしている。もちろん、マーク相手にぶつかられてもバランスの崩れないしっかりした体の彼だから出来るプレーなのだが……。そういう仲間の持ち味を引き出すところなどは、いかにも本田らしい。とても頭のいい選手ですヨ。だから上達も止まることがない。

――ふーむ。そういうふうにいってもらえ嬉しいですが、まず2得点と派手に活躍した香川について語って下さい。巷では何故急に上手くなったのか、どこが上手になったのか、聞きたい人が多いハズです。

賀川:彼は自分で考え工夫して努力する。努力するというより練習するのが苦にならないプレーヤーのハズ。だから、どんどん上手になる。人にいわれたことも、いいと思えばすぐ取り入れるタイプでしょう。
 もともとドリブルが上手で、自分のそういう好きなプレーができそうだということで(神戸から)仙台へ移って中学年齢をすごした。それをセレッソの小菊昭雄コーチが誘って大阪へきた。J2の試合でもドリブルし、逆サイドへいいパスを送って広い展開を図り、スルーパスを出して仲間のチャンスをつくった。
 岡田武史監督が19歳で日本代表候補に加えた(2008年)あたりから、パスを出したあと前へ走り込んでゴールすることに興味を持ち始めた。シュートのコースも、自分の得意の角度はしっかり持っていたから、2009年には27ゴールでJ2の得点王になった。この話は一度したかもしれないから省いた方がいいかな。

――いや、若いスターの伸び盛りの話ですから重複しても聞かせてもらいましょう。

賀川:2010年のワールドカップにも、岡田監督は連れて行った。出番はなかったが、実際のナマのワールドカップを見せておきたかったのだろう。J1で夏までプレーし(11試合7得点)ドイツへ移ったのだが……

――あのとき、賀川さんはちょっと慎重論だった

賀川:上り坂だけに、ケガだけが心配だった。先に言ったように、放っておいても上手になる選手だからネ。
 セレッソでの最後の試合で、ペナルティエリア左角から右ポスト内側をこするように入る右足のフックシュートでゴールした。このエリア左角から右ポスト内側ぎりぎりというコースは、ストライカーなら必ず持たなければいけないコース、あるいはシュートの型の一つ。たとえばマンチェスター・ユナイテッドのウェイン・ルーニーなら、ここから右ポスト内側のコースとニアポストぎりぎりに叩きこむ2つを持っている(もちろんパスもある)。真司のこのコースはそれまで見たことはなかったが、セレッソでの最終戦で演じてから加わった。

――シュート技術も絶えず上達を心掛けているということですね。アジアカップで日本代表にに加わって、みなを驚かせました。そう、昨年のキリンチャレンジカップの対アルゼンチンで彼がドリブルで抜いて出てから一気に空気が変わりました。

賀川:いいストライカーの条件として、いいドリブラーというのもある。相手をかわせる身のこなし、抜いて出る速さ。まずドリブルはサッカーのなかでの色々なテクニックの混合プレーだからね。日本でも昔から名のあるストライカーはみないいドリブラーだった。

――釜本邦茂さんも?

賀川:彼は小学生の時からドリブルが上手で知られていた。小さくて速くてね。

――ふーん、それは初耳。

賀川:早大を出てヤンマーに入った1年目の対東洋工業の第1戦で、彼がハーフラインからズバズバと3人を抜いてゴールに迫ったプレーに、長居のスタンドはどよめいたものだ。メキシコ五輪の準々決勝、対フランスの1点目は、彼の右サイドを突破してのドリブルシュートだからね。

――ちょっと横道へ行きました。今度の香川の1点目は?


【つづく】

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【Result】8月10日 日本代表 vs 韓国代表

2011/08/10(水)

キリンチャレンジカップ2011
8月10日19時33分キックオフ(北海道・札幌ドーム)
日本代表 3-0(1-0、2-0) 韓国代表
 得点 日本:香川(35、55)本田(53)

【日本代表メンバー】
GK: 1川島永嗣
DF: 3駒野友一→3槙野智章(55分)6内田篤人、15今野泰幸、20吉田麻也
MF: 7遠藤保仁→14家長昭博(73分)17長谷部誠(Cap.)→22阿部勇樹(66分)
FW: 9岡崎慎司→11清武弘嗣(35分)10香川真司→13細貝萌(85分)18本田圭佑19李忠成
SUB:12西川周作、23東口順昭、2伊野波雅彦、4栗原勇蔵、21柏木陽介、8松井大輔、24森本貴幸

【韓国代表メンバー】
GK: 1チョン・ソンリョン
DF: 3イ・ジェソン、4キム・ヨングォン→12パク・ウォンジェ(25分)→2パク・チュホ(37分)14イ・ジョンス、22チャ・ドゥリ
MF: 6イ・ヨンレ→キム・シンウク(52分)8キム・ジョンウ→20ナム・テヒ(84分)13ク・ジャチョル、16キ・ソンヨン
FW: 10パク・チュヨン(Cap.)→ユン・ビッカラム(58分)11イ・グノ→7キム・ボギョン(52分)
SUB:21キム・ジンヒョン、23キム・ヨングァン、5カク・テヒ、18チョ・ヨンチョル、15パク・ヒョンボム

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