10月8日 日本代表 vs アルゼンチン代表(上)
キリンチャレンジカップ2010
10月8日19時54分キックオフ(埼玉・埼玉スタジアム2002)
日本代表 1(1-0、0-0)0 アルゼンチン代表
得点 日本:岡崎慎司(19)
対アルゼンチン戦の公式プログラムは、ザッケローニ新監督が表紙を飾っていた
◆メッシのアルゼンチンを相手に誇るべき1勝
南アフリカの基礎のうえに香川たちの進歩が大きなプラス
――日本代表、やりましたね。リオネル・メッシのいるアルゼンチン代表を相手に1-0で勝ちました。
賀川:いい試合だった。最後まで緊張感があったし、リードされたアルゼンチンは当然としても、終盤に押し込まれた日本側もいいカウンター攻撃を仕掛けたから、90分間とても面白い試合だった。
ワールドカップのような“タイトルマッチ”でなくても、こんなスリリングでこんな楽しい試合が見られたことで、あらためてキリンチャレンジカップという企画に感謝したいほどだ。
――アルベルト・ザッケローニ監督の采配ぶりはいかがでしたか。
賀川:日本代表が2010年の南アフリカ大会でつかんだもの、また、大会後にそれぞれの選手が海外で、あるいは日本でのプレーによって加えたものが、それぞれの選手の実力となっている。その選手たちの持っている力が試合で出ていた。選手の力を引き出しているという点で、ザッケローニ(ザック)さんはいい監督なんだろうと思う。選手選考から起用、試合中の交代などを見てもまずは妥当で理に適っているでしょう。
――岡田武史前監督と比べて…
賀川:2010年の成績を見れば、岡田監督の手腕は十分評価されていい。私は昔から彼の監督としての適性を疑ったことはないからネ。選手の見極めも、そんなに間違っていない。香川真司を若いうちから代表に招集し(本大会には使わなかったけれど)チームに同行させたのも岡田監督でしょう。
――その香川の大会後の伸びはすごいですね。
賀川:この試合でも、真司は主役の一人だからネ。開始直後の5分間はアルゼンチン側の早いプレッシング――それもトップからのプレス――で日本は攻撃に出られなかったのだが、それを盛り返したのは、相手のパスミスを取った香川真司のドリブルからですヨ。驚くほどの好パスを相手側からもらったときの最初のトラッピングのうまさと、その後の速いドリブルで相手を引きつけての本田圭佑への短いパスは、ホレボレする見事なものだった。本田がこのパスを受けて右の岡崎慎司へ送ったパスが岡崎と合わなかったが、ビッグチャンスになるハズのものだった。
アルゼンチン側にとっては前線からのプレスで気分的に優位に立っていたのが、初めてペナルティエリア内に侵入されて崩されかけたのだから、ちょっと勢いを消された格好になり、ここからしばらく互角の流れになったのですヨ。
――相手のDFのパスミスを誘発させた長谷部誠のプレッシングも良かった。
賀川:長谷部キャプテンらしいプレーだった。このスタート時の押し込まれの時期に、本田が皆を落ち着かせようとボールを受けるときにゆっくりしたプレーを示したのに対して、長谷部はこちらから距離を走ってプレスにゆくことで展開を変えようとした。2人の個性が出ていて面白かったネ。
――へぇ、そんなことが…
賀川:埼玉スタジアム2階最前列の記者席はピッチを見やすいからネ。
――自分たちが受け身になったときにどう立て直すかは、選手それぞれにやり方があるでしょうね。
賀川:ちょっと話がそれたが、相手のパスミスからの香川の突進で一気にチャンスが来た。
――長谷部の突っかけに対して、香川の位置が良かったことと、その後の香川の仕掛けが良かったことを賀川さんは強調したいのですね。
賀川:ボールを取っても、自分で仕掛けない――というのがこれまでの日本の攻撃についての定説だった。パスを出せる相手を探すのがまず第一。それが、相手からきたボールをそのまま前へドリブルするようになったのだからネ。
――もちろん、自分よりいい位置の仲間がいればパスを送るのがいいわけですが、このときのドリブルの選択は正しかったと。
賀川:香川は本田にパスを出したあと突進してゴール前へ入り、本田のパスをクリアしたボールを長友が大きくゴール前へ送ったのに反応して、相手GKセルヒオ・ロメロとぶつかってファウルを取られた。この一連の攻めのあとしばらく日本の攻めが続き、右サイドの内田篤人からのクロスを岡崎がシュートする場面が見られた(前半9分)。
――すぐ目の前のゴールキーパーの体に当たってしまったシーンですね。
賀川:内田のクロスが相手選手に当たってゴール正面へ来たのを岡崎が走り込んだが、浮いていたボールをしっかり叩けず、目の前のGKロメロに当ててしまった。
――アルゼンチンにもメッシの速いドリブルからのチャンスがあり、試合はまさに佳境というところで19分の日本の得点が生まれました。
賀川:相手側のミスからだった。
――アルゼンチン側がDFの間でパスを回していました。
賀川:17分に長友佑都が相手の右DFニコラス・ブルディッソにぶつかってファウルを取られ、ブルディッソがしばらく倒れたあとでプレー再開となった。守りを固めた日本側に対して、アルゼンチンは後方でパスをつないでチャンスをうかがった。いったん左のDFガブリエル・エインセが受けたがまた後方へ戻し、GKロメロが右DFのブルディッソへ。これに森本がプレスをかけた。ボールはブルディッソの前のハビエル・マスケラーノに渡り、そこから長いパスを左サイドのエインセへ。このボールはエインセの少し手前に落ちてバウンドした。エインセはこのボールを左タッチラインで頭に当てただけでコントロールできず
(1)高く上がったボールを狙っていた岡崎がかっさらって
(2)ドリブルで前進、
(3)ペナルティエリア3m右外、ゴールラインから15m辺りでクロスを蹴った。
(4)ボールはペナルティエリア外で正面の本田に渡り、
(5)本田はトラップして左足シュートへ入ろうとしたが、相手DFにつぶされた。
(6)しかし、このボールが流れたところへ長谷部が走り上がって右足でシュート
(7)右足インステップで叩かれスライス気味のボールをGKロメロはいったんは防いだが、そのリバウンドを岡崎が走り込んで決めた。
――長谷部のシュート、岡崎の飛び込みがうまく重なりました。
賀川:ゴール後方からのカメラの映像では、GKロメロは右へ寄ったが、ボールのコースがスライスしたために左へセービングする形になり、ボールを止めて前方へ転がしたので、岡崎のダッシュが生きた。
【つづく】
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