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2010年9月

9月7日 日本代表 vs グアテマラ代表(下)

2010/09/16(木)

キリンチャレンジカップ2010
9月7日19時48分キックオフ(大阪・大阪長居スタジアム)
日本代表 2(2-1、0-0)1 グアテマラ代表
 得点 日本:森本貴幸(12、20)


――後方からのボールを香川が中央で受け、ダイレクトで本田に渡しました。

賀川:そう、その前に日本の攻めがあったのだが、右DFの駒野のスルーパスが深くて相手GKが取ってキックした。そのボールを日本が取り、右サイドで本田、香川が関わり、そこから左後方へ戻したところから、この2点目の攻撃が始まるのですヨ。

――というと

賀川:左サイドへ開いた長友からボールは内に戻り、橋本がボールを取ったときに森本は左寄りの前方にいて中央へ香川が入っていた。その足元へ橋本から強いグラウンダーが送られた。それを香川はダイレクトですぐ後方の本田に渡す。ボールは浮いたけれど、さすがに本田はヘディングで自分の足元へ落としてすぐにドリブル。香川は自分をマークしていたDFの後方へ動いて、その壁から右斜めへ出ようとした。右のオープンスペースに確か駒野がいた。本田は短くドリブルしたあと香川へスルーパスを送った。香川はゴールエリア内に入り、接近した相手GKリカルド・トリゲニョの前で小さく浮かせて上を抜こうとした。トリゲニョの手に当たったボールが落ちたところへ森本が走り込んで左足に当てゴールした。

――香川の、ウラへの走り込みは第1戦と似ていましたね。

賀川:走り込むスペースの狙い方は似ていたネ。ボールを受けてからも落ち着いていた。森本が詰めていたから、彼にもいい2点目になった。

――この調子でどんどんゴールが決まるかと期待したのですが……

賀川:そううまくゆかないのがサッカー、というところだね。

――2点取ってひと安心という気になる。そして相手はこちらの動きに少し慣れてくる。

賀川:本当はここでたたみかけて3点目を取れば――。だが、相手にすぐ1ゴールが生まれたから、相手側は気分がよくなる。

――こちらのDFはあまり簡単にやられたのでちょっと不安になるというところですかね。

賀川:日本の前半はじめの早い動きには、経験したことのない相手はたいていしばらく対応が遅れるものだヨ。そしてグアテマラは個人的な能力や経験もパラグアイほどではないから、当方には余裕がある。2得点はともにいいゴールだが、そういう点もあっただろう。それが1点返され相手が元気づいて、プレッシングも強くなってくるとそう簡単にはゆかなくなった。
 この試合では、後半特に中盤での組み立てに余裕がなかった。ベテランの橋本はさすがにいいプレーをしたが、もう少し全体を引っ張り落ち着かせてほしかった。何でもできる人なんだが、やはり2CDFも初めてのペアだし、細貝は動きの量は大したものでプレーもしっかりしていたが、攻撃展開はこれからだろうネ。それでも、もう少し森本が落ち着いてプレーすれば得点は増えただろうが――。

――オシムさんなら「独りよがり」と言ったでしょうね。

賀川:森本は得点を挙げただけでも良かったといえるけれど、ボクは、彼ならもっと出来ると思っていた。イタリアで出場機会が少ないから良くなかったのだろうがネ。

――試合はそのまま2-1で終わりましたが、全体としては?

賀川:多くの観客の前で違った国の代表チームと試合する機会をつくっているということで、あらためてこのキリンチャレンジカップやキリンカップの楽しさと同時に強化策の効果について考えた。ことし代表が南アフリカへ行く前に、前の会長の犬飼基昭さんに会ったとき、「強い相手を呼んでやられると代表は叩かれるし、あまり強くないところと試合をするとこんな試合では効果はないということになる」と、強化試合の難しさを言っていた。しかし、そういう色々な経験を経て代表はチームになっていったことを考えれば、やはりこのキリンのシリーズは大切だし、見る者にもプレーする代表にも有難いことですヨ。何といっても、ナマで自分たちの代表の試合を見られるのだから……。
 今度も第1戦は南アフリカ大会の余韻と、相手がパラグアイということもあって、横浜に6万5,000。第2戦も、(初戦の)香川の1ゴールと皆の頑張りが共感を呼び4万4,000余。2試合にざっと11万人のファンが集まった。そして皆が楽しんだ。ボク自身も楽しかった。

――不満はもちろんあったでしょう

賀川:いや、不満というより、第2戦で中村憲剛がいない影響の大きさ感じたのはボクだけじゃないでしょう。日本はMF陣は揃っていると見ていたが、ボールを止めて出すというごくシンプルなパスが、彼がいないとタイミングよく出てこないことが多かった。乾の出来の悪かったのも、そんなところが原因かもね。
 岡田武史と代表が南アフリカで演じたプレーを基盤に、また新しいメンバーを加えた代表の進化をこれから期待するわけだが、Jリーグがはじまって18年経ったいま、まだまだ多くのタレントが出現してくると予想できる。

――楽しみはこれから、ということですね。


【了】


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9月7日 日本代表 vs グアテマラ代表(上)

2010/09/15(水)

キリンチャレンジカップ2010
9月7日19時48分キックオフ(大阪・大阪長居スタジアム)
日本代表 2(2-1、0-0)1 グアテマラ代表
 得点 日本:森本貴幸(12、20)

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対パラグアイ、グアテマラ戦の公式プログラム

――グアテマラ代表に勝って、日本代表は南アフリカ・ワールドカップ後の再開シリーズ2戦2勝です。

賀川:グアテマラは、北米大陸と南米大陸をつなぐ細長い地帯にある国。この中米地域にはアメリカ合衆国のすぐ南にあるメキシコという大きな国があるが、その南隣りにグアテマラがあって、さらに南へエルサルバドル、ホンジュラス、ニアカグラ、コスタリカ、パナマと続いて南アメリカ大陸のコロンビアにつながる。

――FIFA(国際サッカー連盟)の大陸別連盟では北中米カリブ海連盟(CONCACAF)に属しています。この地域ではメキシコが強く、近ごろはアメリカ合衆国もワールドカップの常連になってきた。カリブ海の国ではジャマイカが98年大会で日本を破っています。グアテマラはまだ一度もワールドカップに出ていませんね。

賀川:FIFAランクも100位より下。だからパラグアイよりは弱いだろうと誰もが考えていただろう。

――日本もケガ人が多く、南アフリカ大会の代表から中澤佑二、田中マルクス闘莉王、今野泰幸が抜け、遠藤保仁も疲労が重なり、長谷部誠、阿部勇樹も不参加だった。原さん(強化委員長、監督代行)は中村憲剛をスターティングラインアップから外しましたね。

賀川:まあ、試合が重なっていることもあり、中村なしでどれだけ中盤の格好がつくかも見たかったのだろうし、できるだけ多くの選手のプレーを新任のザッケローニ監督に見せておきたかったのだろうね。

――大幅に変わった代表が、前半に2ゴールを奪った。鮮やかなパスからの得点でした。

賀川:12分に左サイドで長友--橋本-乾-香川-乾と短いパスをつなぎ(乾に渡したあとで前進していた)長友に乾からパス、長友は自分をマークするジョナサン・ロペスをドリブルで縦にかわして中央へクロスを送ると森本貴幸が、DFの前(ニアサイド)へ入って見事なヘディングシュートを決めた。

――森本らしいゴール

賀川:森本は相手の前へ入る速さが一つの特徴で、後方からのパスでもDFの背後から体を(ボールと相手の間へ)入れて取ることもある。その彼の十八番が出た。パラグアイ戦のときは得点できずに途中で交代したが、今度はピシャリと決めた。

――これで4万4,000以上入ったスタンドは一気に盛り上がりました。

賀川:左サイドでの組み立てがとても良かった。長友が乾にパスをして、前へ走り上がったときに、すぐに縦に送らずに乾から橋本(横パス)→乾(斜めの左前へ)→香川(斜め右前)→乾(斜め左後方、タッチ際)とダイレクトでボールを動かし左から乾のパスを受けた。長友は相手が近くにいても有利な態勢でボールを持つことができ、自分から仕掛けることができた。

――それまでは縦の長いパスが多かったですよね。テレビの解説でセルジオ越後さんがちょっと不満そうに言っていました。

賀川:相手のウラを突こうと気負いすぎていたのかもしれないが、この左サイドは乾、香川に橋本が加わってのショートパスでのキープと展開だった。

――長友がいいクロスを送りました。

賀川:長友はドリブルで一度、小さくスローダウンして一気にスパートしてロペスをかわし、かわしたところで、いいタイミングのクロスを送った。このクロスを蹴るまでの間(ま)の取り方で、森本はニアへ入る前に相手を牽制できる余裕があったハズですヨ。

――最後は長友・森本の呼吸ですか。

賀川:彼らは余裕があればこれくらいのことは十分できる。

――もちろん、第1戦のパラグアイよりグアテマラの方が格下ということもあるでしょうけれど……

賀川:相手のレベルも影響することは確かだが、チームの攻撃はやはり、このときのやり方の方がロングパス一本で狙うよりは効率がいいハズですヨ。

――これで新しい代表も勢いづいた。

賀川:20分に2点目が生まれた。これは香川、本田、森本の攻撃トリオのゴールだが、橋本のくさびが効いたネ。


【つづく】


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【Result】9月7日 日本代表 vs グアテマラ代表

2010/09/07(火)

キリンチャレンジカップ2010
9月7日19時48分キックオフ(大阪・大阪長居スタジアム)
日本代表 2(2-1、0-0)1 グアテマラ代表
 得点 日本:森本貴幸(12、20)

【日本代表メンバー】
GK: 1楢崎正剛(cap)
DF: 3駒野友一、13岩政大樹、5長友佑都→25永田充(46分)23槙野智章
MF: 2橋本英郎、16細貝萌、18本田圭佑、24乾貴士→12藤本淳吾(46分)11香川真司→9岡崎慎司(66分)
FW: 19森本貴幸→14中村憲剛(83分)
SUB:21川島永嗣、6内田篤人

【グアテマラ代表メンバー】
GK: 1リカルド・トリゲニョ→22ルイス・モリーナ(46分)
DF: 4リカルド・ロドリゲス、5カルロス・ガジャルド、6グスタボ・カブレラ、8ジョナサン・ロペス
MF: 7カルロス・カスティージョ、11ギジェルモ・ラミレス→16ミノル・ロペス(61分)14エルウィン・アギラル→13フリオ・エスタクイ(67分)15エドガル・コット→9エドガル・チンチージャ(46分)
FW: 3ジョニー・ヒロン→12カルロス・カストリージョ(46分)10マリオ・ロドリゲス→17ドワイト・ペッサロッシ(78分)
SUB:18ケビン・ノラレス

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9月4日 日本代表 vs パラグアイ代表(下)

2010/09/07(火)

キリンチャレンジカップ2010
9月4日19時20分キックオフ(神奈川・日産スタジアム)
日本代表 1(0-0、1-0)0 パラグアイ代表
 得点 日本:香川真司(64)


◆南ア大会代表の遺産のうえに、香川真司のドリブル力・シュート力の向上欲が生んだ新代表の勝利とゴール

賀川:香川はこの試合、前半は必ずしも良くなかったが、後半には動きがスムースになった。逆に相手は疲れて、こちらのタフさにちょっと閉口した感じだったネ。

――点を取った場面は、中村憲剛からのスルーパスを受けてよどみなくシュートへ持っていきました。

賀川:中村のパスは素晴らしかったネ。間(ま)の計り方がよかった。実は、このハーフタイムにラジオのニッポン放送のベテラン記者、小林達彦さんと話をした。日本はやはり走り回るサッカー、パラグアイは一人ひとりのキープがまず先、という特徴が出ていた。そのため見た目に日本は忙しく、相手は落ち着いているように見える――などといっていたのだが、この場面の憲剛は相手の8人がペナルティエリア付近で守備態勢に入っているときにボールをキープしてじっくり“アナ(穴)”を見極めてパスを送った。

――その前に、香川の仕掛けがありました。

賀川:そう、この64分のゴールの数分前に香川がタテにドリブル突破してペナルティエリア内左寄りでシュートし、それを相手がタックルの足に当てて防ぐという場面があった。そのあとパラグアイにチャンスがあって、11番のホナタン・サンタナのシュートがポストをかすめてスタンドをヒヤリとさせた(川島は見切っていたが……)。
 日本は森本に代えて岡崎慎司を投入した。チャンスは相手のキープに対して日本側が守備態勢に入り、攻めあぐねたパラグアイの後方からのロングパスが日本の右タッチラインを割り、そのスローインから始まったんですよ。
 まず松井が右から中へドリブルし、そこから中村-長友と左へ、そして長友がタテにドリブルし、また戻って中村に戻し、中村は少し前の本田へ渡した。

――相手はフィールドプレーヤー8人が引いていましたね。

賀川:そう、前にたくさん相手DFがいて突破できないと見て、いったん中盤でキープした。本田、中村、長友、細貝とつなぎ、そして、
(1)細貝が今度は左サイドへ開いた香川に渡した
(2)香川は内にドリブルして、憲剛へ
(3)そしてまたリターンを受けた
(4)香川の背後からDFが一人接近し、香川のすぐ近くにレフェリーがいて進行の邪魔になった
(5)すると香川は外側へターンして相手をかわし、今度は前へ行かず後方へターンをした(彼の得意の右で持つ形に)

 相手は香川を深く追わなかったが、香川でここでまた中村にボールを渡す。ここで再び日本の攻めは一呼吸置くことになる。ゴール前30メートル辺りの中央近くに日本は香川、中村、松井が数メートルの間隔でいて、ペナルティエリアの外、中央に岡崎、左角寄り少し内に本田。左タッチ際に長友が開いていた。パラグアイ側はペナルティエリアすぐ外に4人、その前に4人がいた。

――2列の厚い守り、これまで日本が手を焼いてきた形です。

賀川:そう。しかしこのときこれまでと違ったのは、パスで仕掛けるのでなくドリブルで仕掛けたことだね。そして、香川がドリブルして結局は前へ行かず、中村にボールを預けたところで状況が変わる。
 中村はボールを持ってスキを狙う。前方の岡崎がボールをもらいに戻ろうとするのと、香川が前にスタートを切るのと、どちらが早かったか――。中央のスペースへ走り出した香川の足元へ、中村からのボールが届く。走っている足元だから難しいのだが、憲剛のボールはスピードがあったから香川には適当だったのだろう。右足で処理し、左手から来る相手より早く右足でシュートした。

――ボールはGKフスト・ビジャルの左手をかすめ、右ポスト内側に当たってネットに飛び込みました。

賀川:得点シーンからゆけば、憲剛のスルーパスを第2列から走った香川が決めたということになるのだが、その前の、香川と中村との2度のパス交換とボールキープ、後方へのドリブルもあって相手がボール注視に追われ、日本の動きがひと休みした後での攻撃にパラグアイは対応が遅れたのだろう。

――パラグアイ側には、遠征の疲れや時差の問題がこの頃になってあらわれたかも

賀川:まあ、それもあるかもしれないが……。今回のチームは火曜日から来日していて準備もしっかりしていた。むしろ日本側の方が、内田、香川、長友は初めての欧州からの戻りだし、本田はすでに気温の下がったロシアから暑い日本への移動だったから、ハンデは日本側の方が大きいかも。これまでのように、遠征側に大きなハンデというわけでもないハズだ。

――その中で、香川のタフさと技術、日本の中盤陣の層の厚さが出たわけですね。

賀川:そうだね。だから、引いて守る相手に対しての攻め手について、これからも勉強は必要だが、一つ面白い例が生まれた。パラグアイの2人のCDFはしっかりしていたのだが、最も警戒すべき本田が自分たちのエリアの左角近くにいたことも響いていただろう。

――栗原や初登場の細貝、あるいは森本たちについてはまた次の機会にしましょう。第2戦の対グアテマラも9月7日に長居で行なわれますからね。


【了】


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9月4日 日本代表 vs パラグアイ代表(上)

2010/09/06(月)

キリンチャレンジカップ2010
9月4日19時20分キックオフ(神奈川・日産スタジアム)
日本代表 1(0-0、1-0)0 パラグアイ代表
 得点 日本:香川真司(64)


◆南ア大会代表の遺産のうえに、香川真司のドリブル力・シュート力の向上欲が生んだ新代表の勝利とゴール

――対パラグアイ戦、良かったですね。特に香川真司がゴールを決めたから、賀川さんも満足でしょう。

賀川:ボクはどの試合でも面白がって見る方だから、例えば2010ワールドカップ直前の強化試合、準備試合で成績の出ないときでも結構楽しんでいましたヨ。対韓国0-2の完敗でもそうだった。その代わり勝った試合でも、例えばカメルーン戦には不満もあったし、0-0からPK戦負けのパラグアイ戦は「よくやった」とはいいながら、別のところでは「○○と××が足りない」「○を△△が半年以上前に上達しておけば勝ったのに」とか――。試合後にまあ満足といえることはない。それだけ欲が深いのだよネ。

――日本代表にはそれだけ期待が高いというわけですね。しかし香川には良い点数をつけたでしょう?

賀川:これくらいはやれるハズだと思う反面、その期待に近いプレーをしてくれることはうれしいネ。彼はゴール場面だけでなく、いくつかいいプレーをした。しかしそれより前に、チーム全体の気持ちの持ち方が良かったよネ。

――何といってもパラグアイ――6月にサッカーの一番の舞台で一番悔しい負け方をした相手との対戦でサポーターの関心も高く、メディアも注視していました。選手たちの気構えも充実していたでしょう。

賀川:CDFの田中マルクス闘莉王、MF遠藤保仁、アンカー役だった阿部勇樹、ゲームキャプテンの長谷部誠、それに大久保嘉人といったレギュラーが5人、故障その他の理由で出場できなかった。どこでもこなせる控えの一番手、今野泰幸もケガで離れていた。

――闘莉王の代わりのCDFに栗原勇蔵、MF陣には細貝萌、中村憲剛、香川真司を入れ、本田圭佑をトップ下に置いて大久保の代わりに森本貴幸をワントップに持ってきました。

賀川:中村憲剛は南アフリカでは出場時間は多くはなかったが、代表経験は長いし、香川も森本も大会中ずっとチームと一緒に練習していたから、2014年を目指す新しい代表といっても南アフリカ大会の代表と同じ考え方ができたハズだ。

――同じスタイル?

賀川:選手の配置やその日のプレーのやり方については、相手によって変わって当たり前だが、日本代表の試合は、どのような相手でも、まず相手よりもよく動いての攻撃の連動プレーが第一となる。こういう労の多い試合だから、そのためには気合が充実していなければならない――というのがボクの考えで、今回はまずその点(環境的にも)が良かった。

――今回は、南アフリカのときの代表より攻撃的にゆこうとしたとか?

賀川:負けたらおしまい、という本番の大会じゃないのだから、こういう強化のための試合でより攻撃的に――というのは当然でしょう。

――そのなかで、香川の攻撃プレーが光ったというわけですね。

賀川:話を真司にもってゆきたいようだね。ボクはサッカーマガジンの2014年代表というアンケートに、香川を代表レギュラーに入れていますヨ。
 この選手はボクと同じカガワだから、JFA発行の日本代表選手のデータ集(『日本代表公式記録集2008』)のなかでボクの兄・太郎と同じページに並んで記載されている。これはこのデータ集が出版されたときにセレッソ大阪の広報・横井素子さんから教えられて気がついたのだが――。

――当時日本代表入りした最も若い香川と、最も古い記者の賀川。2人のカガワで対談もしましたよね。

賀川:あれは1年前だったか、彼はJ2でもズバ抜けていた。ボールを持つときの視野が広く、パスのコースを遠近ともに持っていた。運動量の多い点、ドリブルができ、ボールをしっかり蹴れて、パスでチーム全体を動かせるという点が若いころの兄・太郎によく似ていた。左回りに円弧を描くようにドリブルして相手をかわすのもそっくりだった。もちろん今のプレーヤーだから、70年前の太郎よりボールテクニックが上なのは当然だが――。
 対談した頃の香川はいいパスを出して「どんなものだ、ボクのパスを見てくれたか」という感じもあったが、やがて点を取るようになった。パスを出したあと、前へ飛び出して(ボールを)もらったり、ドリブル突破したりしてね。

――そうですね。昨季J2の得点王(27ゴール)でした。

賀川:得点とともに、パスの感覚も磨きがかかった。何といっても、自分で工夫し、努力する選手ですから。

――神戸で少年期をすごし、仙台で自分のやりたいサッカーができそうだと中学生のときに移り住んで頭角をあらわした彼をスカウトしたのが、賀川さんの後輩だそうですね。

賀川:神戸FCにいて、今はセレッソのコーチとなった小菊昭雄くん。真面目ないいコーチですヨ。
 香川はセレッソに入って前述のようにぐんぐん伸びた。乾貴士という同世代の選手もいたから励みにもなったでしょう。彼や乾のようなプレーヤーは、いいヒントをもらえばどんどん上手になる。もちろん、ヒントなしでも自分で工夫する力を持っているハズ。
 香川は右足のキックは得意で、左サイド寄りからチームの右サイドへのクロスの長いパスもしっかり出せるし、小さな振りでのパスも出せる。ドリブルは前述の円弧を描くやや大きいのと、急角度の切り返しもできる。スピードを緩めておいて飛び出す瞬間のダッシュが早いので、この緩急の落差に相手は手を焼くことになる。
 向上心ということの証(あかし)の一つは、彼がことしのシーズン前半、セレッソでの最終戦だったかでペナルティエリア左角からシュートしてゴール右ポストぎりぎりへ決めたフックシュートだろう。あれは彼のゴールでは初めてのコースだった。高いレベルのFWはこの位置へ来ると、ファーポスト内側ぎりぎりのフックシュートと、ニアポストへの叩きつけと2つの角度を持つようになるもの。マンチェスター・ユナイテッドのウェイン・ルーニーもオランダのデニス・ベルカンプもそうだったが、このとき、香川もしっかりそういう技を身につけようとしていた。

――そうした向上力が、ドイツでも発揮されている、と。

賀川:そうだろうね。ドイツの開幕直前の試合でゴールするのをテレビのニュースで見た。久しぶりに見た感じでは少したくましくなった感じかな。まあ実際はそうでなくても、接触プレーの強い相手の中でプレーすることで、もともとバランスがよく、緩急の変化などで対応できる彼が、その強い当たりにも自信を持ったのだろう。だから落ち着いて見え、こちらの目に頼もしく映るのだろうね。


【つづく】


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【Result】9月4日 日本代表 vs パラグアイ代表

2010/09/04(土)

キリンチャレンジカップ2010
9月4日19時24分キックオフ(神奈川・日産スタジアム)
日本代表 1(0-0、1-0)0 パラグアイ代表
 得点 日本:香川真司(64)

【日本代表メンバー】
GK: 21川島永嗣
DF: 22中澤佑二(Cap)20栗原勇蔵→13岩政大樹(68分)5長友佑都、6内田篤人→23槙野智章(89分)
MF: 14中村憲剛、8松井大輔→12藤本淳吾(65分)16細貝萌、18本田圭佑→2橋本英郎(78分)11香川真司→3駒野友一(90分)
FW: 19森本貴幸(60分)→9岡崎慎司
SUB:1楢﨑正剛、25永田充、24乾貴士

【パラグアイ代表メンバー】
GK: 1フスト・ビジャル(Cap)
DF: 14パウロ・ダシルバ、3アントリン・アルカラス、2マルコス・カセレス→5アダルベルト・ロマン(60分)
MF: 13エンリケ・ベラ→16セルソ・オルティス(81分)11ホナタン・サンタナ→8エルナン・ペレス(72分)17アウレリアーノ・トーレス、20ネストル・オルティゴサ
FW: 9ロケ・サンタクルス→7ホセ・オルティゴサ(81分)19ルーカス・バリオス→18マルセロ・エスティガリビア(86分)15ネストル・カマチョ→10セルヒオ・アキノ(60分)
SUB:12ジョエル・シルバ、4デニス・カニサ、6オスマル・モリナス

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【Preview】9月4日 vsパラグアイ代表 / 7日 vsグアテマラ代表

2010/09/02(木)

キリンチャレンジカップ2010
9月4日19時20分キックオフ(神奈川・日産スタジアム)日本代表 対 パラグアイ代表
4月7日19時45分キックオフ(大阪・長居スタジアム)日本代表 対 グアテマラ代表

――いよいよキリンチャレンジカップですね。9月4日に横浜でパラグアイと、7日に大阪・長居でグアテマラと対戦します。中村俊輔が代表から引退したのと、阿部勇樹が移籍交渉で抜けるぐらいで、あとは南アフリカで成績をあげた日本代表がほぼ揃います。

賀川:田中マルクス闘莉王が外れると発表された。ヨーロッパ組は全員戻ってくるらしい。日本のサポーターは久しぶりにナマの代表を見る楽しみを味わいたいところだ。

――アルベルト・ザッケローニ新監督は指揮しないのですね。

賀川:ビザの関係だそうだが、新しく決まった監督が観戦するのだから、選手も気分を新しくするだろう。まずはそれぞれの選手がいいコンディションで、パラグアイと当たってほしい。

――今回は何を楽しみに?

賀川:代表のサッカーは常に目いっぱい走るということが外国の強チームと試合するときの前提条件となる。そこではじめて技術や戦術が生きてくる。そのことは南アフリカの大会中に選手たちもサポーターも実感したハズ。だから選手には、本番と同じような気持ちと体調で試合してほしい。

――パラグアイは16強1回戦で日本と0-0、PK戦で日本は負けています。リベンジですね。

賀川:酷暑の日本という条件は、相手にも日本代表にも気の毒だが、ともかく気合のこもった試合を見たいね。もちろん南アフリカで実際に顔を合わせた相手と試合をするのだから、代表一人ひとり、あるいはペアで、あるいはグループで、相手のそれぞれの特徴を思い出しているだろう。

――原監督代行やコーチ陣も、対パラグアイの反省はしているでしょう。

賀川:それを、監督がいなくても、コーチに言われなくても、選手たちが自らの工夫でどう解決しようとするかも一つの見どころですヨ。

――香川真司、長友佑都内田篤人たちが欧州から戻ってきての試合になります。

賀川:彼らにとっては初めての環境変化の中での長途の旅行という経験になる。ボクは、香川、長友、内田たちの今回の欧州移籍を強い興味を持って眺めている。彼らが成功するかどうかは、もちろん本人の努力もあるけれど、それぞれのエージェントやバックアップした人たちの腕もまた問われることになる。これまでも中田英寿や稲本潤一をはじめ多くの日本選手がヨーロッパに渡った。成功もあり不成功もあった。そうした事例を関係者たちが今度の欧州移籍でどれだけ生かしているか――。少しずつこうした経験を重ねてきた日本サッカーがそれをプラスにしているのか、問われるハズだ。

――香川や長友は評価を上げているようですね。

賀川:彼らや本田圭佑は貪欲に吸収し、努力し、負けん気も強い。しかしフットボールでは何が起こるか分からない怖さもある。違う環境でつけた自信や学んだ失敗をこの最初の“里帰り”でも見せてくれるかもしれない。たとえそれが見られなくても、これから長い間でじっくり見てゆける。近ごろはパソコンで海外のプレーも見ることができるようだからネ。

――森本貴幸は?

賀川:南アフリカではチャンスがなかったが、ワールドカップの本番を目の前で見て何かを掴んでいるハズ。イタリアで必ずしも大活躍とはいえないようだが、この帰国試合で何かを見せてくれればうれしいね。もちろん、松井大輔、岡崎慎司たちも久しぶりの代表だし、新しく加わった槙野智章がサムライブルーでどうプレーするかも見てみたいと思っていますヨ。


【了】


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