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4月7日 日本代表 vs セルビア代表(中)

2010/04/09(金)

キリンチャレンジカップ2010
4月7日(大阪・長居スタジアム)19:24
日本代表 0(0-2 0-1)3 セルビア代表

Crow
会場で配られていた「SAMURAI BLUE CROWプロジェクト」の折り紙。
日本代表へのメッセージを記した折り紙でカラスを折り、南アフリカに送ろう、というもの。

※日本代表 vs セルビア代表(上)はこちら


◆少数でも攻めて点を取ったセルビア。個人の戦いにサッカーの原点

賀川:スタンドの記者席から見て、上手い蹴り方だ、ベッケンバウアー式のトウ(足の先端)を使ってのチョップキックかなと思った。家へ戻ってビデオを見直したら、ラドサフ・ペトロビッチは右足のアウトサイドのトウでボールの下を蹴ったようだった。ボールにスピンがかかり小さく上がって、落下してから少し後戻りしたから、走り込んできたムルジャにとってはおあつらえ向きのボールだった。近ごろは無回転ボールの話が賑やかだが、こういうボールを蹴れることも大切ですヨ。
 74年W杯の決勝のときにベッケンバウアーのロングボールが相手エリア近くの芝生の上で弾みながら前へゆかずにむしろ戻る感じに見えたのに感嘆したことがあるが、それほどでなくても、21歳のキャプテンのこのボールは素晴らしかった。

――そうそう、マッチデープログラムを見たら、原博実技術委員長のインタビューが掲載されていて、その中に「ほんの小さなプレーで勝敗は変わる」という言葉がありました。

賀川:その通りですヨ。ただし、それを相手が上手くやって、こちらができないのでは苦しいネ。
 そう、98年のクロアチア戦の話が出たから言うけれど、当時の岡田武史監督は日本の力が相手より下、特に1対1では負けそうだからと組織プレーを強調していた。したがって、攻めにも出たが守りも重視していた。だからバックパスを奪われた第1次攻撃はいったん防いだが(辛うじて井原の足に当たった)リバウンドを拾われて右へ送られ、そこにストライカー、ダボール・シュケルがいて、トラップしDFをかわして得意の左足シュートへ持っていった。

――今回は、いったん防ぐということもなかった。

賀川:栗原勇蔵と中澤佑二の二人は横浜F・マリノスのCDFのペアだが、こういう相手とは初体験だし、相手の引きの早い守りに、むしろ攻撃の方に頭がいっていたのかもしれない。日本のDFの要(かなめ)の中澤も、ここのところ相手への寄りやタックルの間合いなどにこれまでと違って少し迷いが出ているのかもしれない。まあ、国内の試合ではほとんど自分の方が体格的に有利な相手と当たる。それがアジア勢でなく久しぶりにセルビアの大型で上手な選手との対戦を経験したのだからね。

――1点だけならともかく、8分後に2点目を取られました。

賀川:これも左サイドで攻めに出たとき、阿部勇樹と長友、岡崎で短いパスをつなごうとして、阿部―長友のやり取りに失敗した。手詰まりになりかけていたから、一度この地域からボールを大きく動かせばよかったのだが……

――こちら3人に対して相手も3人囲みに来ました。

賀川:長友は、前日の練習を見て体調が良さそうだった。この試合でも体のキレも良くていいプレーがいっぱいあった。しかし、このときは狭い地域でトラッピングがほんの少し大きくなった。相手が詰めてきたので阿部へ渡した短いボールが阿部の利き足でない左へ行った。阿部は右のキックの上手な選手で、左も使えるが、こういう接近戦のときは苦しい。体を寄せられ、左足でダイレクトで前に送ったパスをカットされた。そこから相手の攻撃が始まった。

――セルビアは試合後の記者会見で、日本側のミスを上手く掴んだのが良かったと言っていたそうですね。

賀川:このカウンターからの展開は面白かったね。第1波の攻撃の右からのグラウンダーのクロスを中澤がクリアすると、それをセルビア側が拾って、今度も同じ右からパブレ・ニンコフがファーサイドへ浮いたクロスを送った。それをドゥシャン・タディッチが右足ボレーでシュートし、右ポスト際へ飛んで来たのを、ムルジャが右足に当てた。GK楢崎がいったん止めたが、それをまたムルジャが倒れた体を起して左足で決めた。

――パスを奪われてカウンターを食らったとき、岡崎が懸命に戻ってそのクロスを防ぎに行きましたが、結局は取れませんでした。

賀川:岡崎は相手の第2波の攻撃のときにクロスを出すニンコフに向かってゆき、そのボールがゴール前に戻ってきてムルジャが最初の右足タッチをしたときにゴールラインから上がっておればムルジャをオフサイドにできたのに、と反省していた。まあ、そこまでできればいいがネ。

――後半に石川直宏が栗原に代わり、玉田圭司が興梠に代わった。でも玉田はケガもあって82分に矢野貴章が交代で出場しています。また、山瀬功治が中村俊輔に代わって70分から登場しました。これはどうご覧になりましたか?

賀川:石川と玉田は突破力に期待したのだろう。多数防御を破るには、パスだけではよほどの精度がなければネ。ドリブル突破は当然、大切な攻撃の手だから……。

――しかしゴールは生まれなかった。

賀川:海外の強いチームに勝つ、あるいは互角の試合をするためには、何度も言うように、今の候補に入っている選手のベストメンバーがいい体調で戦って初めて結果が期待できるのですヨ。

――体が強くて、キック力のある本田圭佑も必要だと。

賀川:そういうレギュラークラスがいかにうまく組合わされて一つのチームになるかどうかだからね。サイド攻撃といっても、サイドでまずボールを持てる、あるいはそこから崩してゆけるという強さがなければならない。そこで初めて攻撃の広がりもあって、中央から攻めるスペースも生まれるわけ。そういうためにはいいドリブラーは必要だが、そのタイプの選手にしても、ドリブルができるだけではダメで、ドリブルで相手の痛いところに行って何ができるか――が大切なのですヨ。

――3点目はFKで取られました。

賀川:いいシュートだったね。サイドキックでああいう強いボールを蹴る力がある。蹴るということの重要さがよく分かるでしょう。しかし、日本側にも、たとえばCKをしっかり仲間の上へ送り込める遠藤や俊輔もいるわけで、中澤や栗原のヘディングの落下点で誰かが合わせればゴールなんですヨ。
 いつも言うように、選手一人ひとりが自分の技術を最高に発揮すればいいので、決して悲観することはありません。

――今度のキリンチャレンジカップ、対セルビアは有意義だったでしょうか?

賀川:とても良かったのじゃないかね。皆の関心が高まった大会近くになって、いつもやっている日本式サッカーとはまた別のサッカーのやり方があることを見せてくれた。そして、それをするには個人的な力がとても大切だということを、多くのサッカー人が改めて考えることになったのだから。

――ちょっと長くなりましたね。今日はここまでにしておきましょう。


【つづく】


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