キリンチャレンジカップ2010
4月7日(大阪・長居スタジアム)19:24
日本代表 0(0-2 0-1)3 セルビア代表
◆諦めるのはまだ早い
2ヶ月半の努力で一歩でも速く、1センチでも高く、全員の能力アップが組織力を高める
――試合後に選手たちの話をメディアが取材するミックスゾーンの空気も、沈んでいたとか……
賀川:僕も行ってみたが、明るくないのは当然でしょうね。何しろ90分間で1ゴールもなかったのだから。
――こんなときは、どうするんですか。
賀川:そのうちにW杯の出場メンバーを発表することになる。そしてチームとしての練習が再開し、韓国とのキリンチャレンジカップのあと、欧州での合宿練習、そののち南アフリカに乗り込むというスケジュールはこれからそんなに変わらないだろう。
選手たちはそれまでに、Jリーグの戦いの中で自分のコンディションを整えてゆくことでさらに練習を重ねるという、当たり前のことを懸命にすることですヨ。
――岡田武史監督へのアドバイスはありますか?
賀川:彼は立派な監督で、今回がW杯も2度目です。自分で苦しみ、自分で工夫し、きちんと仕事をしてゆくでしょう。それを応援するだけですヨ。
――サッカーの先輩として一言……
賀川:選手への話というより一般論だが――。サッカーでどうしようもなくなったとき、ゆきづまったとき、私はまず“走ること”そして“ボールを蹴る”ことだと思っている。走って、ボールを蹴る。もちろんシュートも走ってシュートする、走り込んでシュートをする。ヘディングの強い者はもう一度、ジャンプヘディングのタイミングを体で確認し、自信をつける。
ディフェンダーならタックルの一番基礎のスライディングタックルの繰り返しで、自分の間合いを再確認する。走ってのスライディングも、立ったまま足を出すスライディングもですヨ。
もちろん、仲間での1対1の接触プレーもいいだろうし、中盤から前の選手に大切な技の一つであるスクリーニングも自分で心掛ければ、体を練るためにもステップワークを上げるためにも大事な練習の一つです。
うんと走れば、うんと動けば、たくさんボールを蹴ることで道は開けると思う。サッカーというのは難しそうでシンプルなスポーツだからね。
――選手同士の話し合いも大切でしょうね。
賀川:そんなことは人に言われなくても、代表選手なんだから……。まあ、パスの出し手と受け手、どこでもらうか、どこへパスを出すかは大切だからね。互いに話し合うことも必要でしょう。話し合いが不必要になるくらいまで。
――J開幕から今まで代表選手の多くはACLもあって試合数も多く、決していい条件でなかった。これからの回復力に期待しましょう。
賀川:何といっても、危うい基礎の上に立っているのだから、何かあるとグラグラするのは仕方ない。それはJスタート18年以来の諸々の、選手育成の流れが係わっていることであって、その中で育った選手たちに責任を全部かぶせるのは気の毒ですヨ。それよりも、選手一人ひとりが自分たちの現状を考えて、ここから2ヶ月半の間どれだけ精進するか。その精進は彼らの人生にとっても大きなプラスとなると思う。それは監督はじめコーチ陣にとっても同じことです。
まあ、いつも言うように、自分や仲間のために一生懸命にやること――。ただし、僕たち古い人間が経験したような「負ければ死ぬ」戦いと違って、結果が出なければまた努力をすればいいという“平和の戦い”だということを忘れず、諦めないでほしいネ。
――そうですね。賀川さんがいつも言われるように、選手は、2ヶ月半のトレーニングでヘディングのジャンプが1センチ高くなればそれだけチームと自分にチャンスが増えるのですから……。
【了】
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