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2009年6月

5月31日 日本代表 vs ベルギー代表(4)

2009/06/06(土)

最終予選6月シリーズに向かって代表全員が一つのチームに――(4)

リンカップサッカー2009 ~ ALL FOR 2010! ~
5月31日(東京・国立競技場)19:24
日本代表 4(2-0 2-0)0 ベルギー代表
得点者:長友(日 21分)中村憲(日 23分)岡崎(日 60分)矢野(日 77分)


―――後半の2得点はサイドからの速いクロス、右から左からと絵にかいたようなゴールでした。

賀川:60分(後半15分)は橋本-本田-内田-大久保と右でつないで、大久保からの低いクロスが飛び、ニアへ岡崎が飛び込んだ。これは、ベルギーが攻めて、右寄り30メートルのFKがあって、相手のキックをGK楢崎正剛がキャッチしてからの攻めの続きだった。
 この攻めはいったん左タッチに出て、そのスローインから中央の橋本に渡り、橋本が右に振ってタッチラインから本田が内へドリブルし中にいる内田へ、その内田から右外の前方にいる大久保へとボールが回り、大久保が低いライナーをゴール前へ送った。
 14番のDFアルデルウェイレルドの前(ニアサイド)に岡崎が低い姿勢で飛び込んでヘディングした。ビデオのリピートを見たら、さすがに大久保はしっかりボールを注視して、カーブをかけて蹴っていた。

――大久保はアシスト2本です。

賀川:こういうプレーは上手だからネ。77分(後半32分)の4点目の後で、相手GKの蹴ったボールに当たって倒れるといった災難もあったが…

――4点目は70分に岡崎と交代で入った矢野貴章が決めました。

賀川:このゴールは、本田が倒されたFKから橋本が短く前に出し、本田が受けて得意のスタンディングキックでスルーパスを送り、長友が相手側ペナルティエリア外ギリギリ、ゴールラインから5メートルで速いクロスを送り、ファーサイドから走り込んできた矢野がDFにスピードで勝ってスライディングシュートで決めたものだった。

――これで2戦続けての4得点、キリンカップ3連覇を達成した。それで、ウズベキスタン戦は? となりますね。

賀川:もちろん、キリンカップの優勝、2試合で8ゴールを決めたことが直接ウズベキスタンの試合に当てはまるかどうかは別の話。しかし、岡田監督はキリンチャレンジカップやキリンカップなどを経て、昨年の11月から半年かかって岡崎慎司というFWを代表の一人に育て上げた。岡崎だけでなく、自分の特徴を出せるプレーヤーが増えてきて、代表チームの層は厚くなっているといえるだろう。
 そして、得点力不足といわれていたなかで、ともかくも、チームとしてゴールを奪うためのパスコースの設定やタイミングの取り方、それぞれの選手の得意な技の組み合わせが形となって表れてきた。あとは高い目標を実現するために、選手たちが自分たちの力を出し尽くすことだと思う。
 予選突破はもちろん、来年の本大会に向けて、これからまだまだ選手たちは上手になり、強くなると思っている。

――俊輔は大丈夫ですかね?

賀川:いまやどの選手も代表には欠かせぬプレーヤーだが、俊輔は何といっても実績からいっても実力から見てもチームの柱といえる。彼自身が自分の体調を考え、プレーするだろう。

――まずウズベキスタンからの朗報を待つことにしましょう。

賀川:最後に、余計なことだが…。何しろアウェー、何が起こるか分からない。もしここで決まらなくても、まだ後があるわけですヨ。余裕を持って、強く戦ってほしいネ。


【了】


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5月31日 日本代表 vs ベルギー代表(3)

2009/06/05(金)

最終予選6月シリーズに向かって代表全員が一つのチームに――(3)

リンカップサッカー2009 ~ ALL FOR 2010! ~
5月31日(東京・国立競技場)19:24
日本代表 4(2-0 2-0)0 ベルギー代表
得点者:長友(日 21分)中村憲(日 23分)岡崎(日 60分)矢野(日 77分)


―――2分後の23分に2点目、中村憲剛が決めました。

賀川:中村憲剛の第2列からの“飛び出し”の成果を多くのファンも見たいと思い、監督も考えているのだろう。チリ戦でも彼はシュートもしたし飛び出しもあったが、シュートそのものは感心しなかった。

――この得点は文句なしでしたね。

賀川:これは日本側がいったん自陣深くへバックパスしたあと、闘莉王中澤のパスのやり取りから、闘莉王が左へ開いた大久保へ長いパスを送った。

――大久保がフリーで取りました。

賀川:ベルギーは20分間バンバン攻められながらなんとか無失点できたあと、21分に奪われた。少しガッカリしたかもしれない。どこでプレスをかけるのかも曖昧になっていた。(1)闘莉王のパスの出し方が上手だったこともあって、大久保がノーマークで受けた。そのとき岡崎が中央の2人のCDFの間にいた。
(2)大久保が内へターンした外の左タッチ際を長友が前進していた。
(3)大久保は中村憲剛の動きを視野に入れていたのだろうか、顔はもっと内側に向けていて、巧みなフェイクとタイミングでパスを前方に流し込んだ。
(4)憲剛はペナルティエリアに入ったところやや左寄りでボールを取った。右足のアウトでの深い切り返しが効いて追いつくのに精一杯だった相手は大きく離れてしまう。
(5)中へ持ち込んで蹴った位置は憲剛の“角度”だったから、ボールはニアポストぎりぎりに転がり込んだ。

――勝負アリ、ですね。

賀川:前半23分でネ。力が違うことは、やっている日本選手は体で感じている。点差が2になったとなれば誰もが一息つきたくなる。2点目から前半が終わるまでシュートは3本だけだった。

――後半は中村俊輔を休ませ本田圭佑を入れ、長谷部誠に代えて橋本英郎を登場させました。

賀川:俊輔は故障や疲労を考えてのことだろう。前半でも段違いのプレーを見せていた。長谷部も、チリ戦同様にしっかりしていたが、もう出来ることが分かっているから、本番でのことを考えて橋本を起用したのだろう。橋本は後半いいパスを出し、相変わらず流れの中でのうまいプレーを見せたからね。

――ハーフタイムに監督が雷を落としたとか…

賀川:試合後の記者会見で、岡田監督は25分を過ぎて動きが落ちたことを厳しく言ったそうだ。面白かったのは、ベテランの記者が、「スタートから息もつかせぬ勢いで攻め立て、なかなか点につながらなかったのが2-0となった。選手たちの動きが落ちるのも自然のように思うが――」と訊ねたら、監督は「相手は中一日で戦っている。こちらは休養十分なのだから前半のあの程度のことで調子が落ちるのは許せない。そういうところをちゃんとやれるチームだと思っているから、ハーフタイムにも厳しく言ったのだ」と返していた。

――それだけ望みが高いということですね。

賀川:後半また動きが速くなって、雨で滑る芝のおかげと、チーム全体がパスを速くすることを考えたせいで、この日は全体にパスにスピードがあって見た目にもとても良かった。いつもヨーロッパの試合のテレビを見ると、日本とパスの速さの違いを思うのだがネ…。


【つづく】


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5月31日 日本代表 vs ベルギー代表(2)

2009/06/04(木)

最終予選6月シリーズに向かって代表全員が一つのチームに――(2)

リンカップサッカー2009 ~ ALL FOR 2010! ~
5月31日(東京・国立競技場)19:24
日本代表 4(2-0 2-0)0 ベルギー代表
得点者:長友(日 21分)中村憲(日 23分)岡崎(日 60分)矢野(日 77分)


――岡崎慎司が点を取りましたね。

賀川:後半15分(60分)の、右からのクロスをダイビングヘディングで決めたチームの3点目だね。彼らしいいいゴールだったが、私はこの日の先制ゴールに岡崎の良さが表れたと思っている。

――たしか、中村憲剛が左の長友佑都にパスをして、長友がダイレクトシュートをニアに蹴り込んだのでした。

賀川:21分のこのゴールは、日本のDFの間でボールを動かしておいて、
(1)田中マルクス闘莉王が左サイドの中村憲剛へパス
(2)受けた憲剛は右斜め前へドリブルして岡崎の足元へ
(3)岡崎はこれをすぐ左の大久保へ渡した
(4)大久保がトラップをして、潰しにくる相手DFをかわそうとする
(5)そのボールをDFのアルデルウェイレルドが取ろうと前に出ようとしたとき
(6)すぐ近くにいた岡崎が体を入れてそのボールを自分のものにし、
(7)横へ移動してきた憲剛へ短いパスを送った
(8)ペナルティエリアいっぱいでこのボールを受けた憲剛は、一つ止めてそれをエリア内、左サイドへ侵入してきた長友にパス
(9)長友がニアサイドにズバリと決めた


■ゴール前で潰れる・潰す効果


――クロスを予測したGKスティーン・スティーネンの逆をとった、見事なシュートでしたね。

賀川:ビデオを見ると、解説の城彰二がそう言っていた。彼はストライカーだからね。そう、やはり解説の武田修宏も、岡崎が粘って取ったところをちゃんと説明していた。専門家だけあってしっかり見てくれているわけだが、私はこの相手ボールになりかけたのを体を入れて奪い返したところに、岡崎慎司というFWの本質があると思う。大久保の“切れ味”に比べると華やかさはないが、接触プレーに強く、ポストプレーのときでも少々のプッシングでは倒れない。このときも、姿勢を低くして腰を入れ、持ち堪えてボールを取ったからね。

――賀川さんがいつも言っている、多数防御を破るテの一つですね。

賀川:相手DFのやろうとしたプレーを潰したから、ペナルティエリアから5~3メートル辺りでの大久保、岡崎と相手の2人のDFの絡み合いにベルギーはさらに2人、DFが寄ってくる。取れるという感じになったから、第2列の選手たちは戻らない。だから岡崎が奪ったときには中村とその左の長友もフリーになっていた。中村にボールが出て、慌てて戻る相手MFを尻目に中村から長友にボールが渡ったときは全くのフリーだった。

――それまで速いパスと動きで「これは」というチャンスがありましたが…

賀川:この21分の長友のゴールまでに、11本のシュートと6本のCKがあった。8本がゴール枠内に飛んだが、GKに防がれたり、相手選手に当たったりした。見た目にパスがスムースに回ってシュートになったのが入らなくて、一度絡まれて、奪い返したのが先制ゴールになるのだから。この面白さについては、サッカー好きの間でしばらく話題になるだろう。

――もちろん、相手DFの強さにもよるのでしょうが…

賀川:相手のCDF(セントラルディフェンス)がカンナバーロであれば、そこで岡崎がボールを取れたかどうか、また、取ったあと、ベルギーのDFは離れてしまった――日本のDFも、局面で一度取り合いを演じたあと相手から体を離すという、気になる傾向がないでもない――が、カンナバーロなら取られたあとも追い詰めてくるだろう。
 ベルギー側は疲れもあっただろうが、長友も矢野も走る速さで勝っていたところが、いまの日本サッカーの一面を表していた。だから試合での成果を論じるときに相手のレベルが問題になるのは当然だが、とりあえず私は日本代表のFWにこういうプレーができるようになり、それを自分の普通の仕事として演じられるFWが出てきたということが嬉しい。もちろん、このチャンスでそれぞれ、各選手がいいポジションをとって役割を果たしたことは、チーム力の進歩としてとてもいいことだ。


【つづく】


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5月31日 日本代表 vs ベルギー代表(1)

2009/06/03(水)

最終予選6月シリーズに向かって代表全員が一つのチームに――(1)

キリンカップサッカー2009 ~ ALL FOR 2010! ~
5月31日(東京・国立競技場)19:24
日本代表 4(2-0 2-0)0 ベルギー代表
得点者:長友(日 21分)中村憲(日 23分)岡崎(日 60分)矢野(日 77分)

【日本代表メンバー】
GK: 1楢﨑正剛
DF: 22中澤佑二(Cap.)4田中マルクス闘莉王→5山口智(74分)15長友佑都、6内田篤人
MF: 10中村俊輔→19本田圭佑(46分)7遠藤保仁→2阿部勇樹(62分)14中村憲剛→13興梠慎三(67分)17長谷部誠→27橋本英郎(46分)
FW: 16大久保嘉人、9岡崎慎司→12矢野貴章(70分)
SUB:18都築龍太、23川島永嗣、3駒野友一、20今野泰幸、21槙野智章、25香川真司、24山田直輝、11玉田圭司

【ベルギー代表メンバー】
GK: 1スティーン・スティーネン
DF: 14トビー・アルデルウェイレルド、5セバスティアン・ポコニョリ→9イエル・ボッセン(69分)3ティミー・シモン(Cap.)6ヒル・スウェルツ、4トマス・ベルメーレン
MF: 7ファリス・ハルン、13ケビン・ローランツ→18ムッサ・デンベレ(82分)17リッチー・ドゥラート
FW: 10マールテン・マルテンス、15ビア・ムヤンジ→11ステイン・フイセヘムス(62分)
SUB:12オリビエ・ルナール、21ブライアン・バンデンブッシェ、2フィリップ・ダームス、8ヨアヒム・ムヌンガ、16リッチー・キトコ、19ラジャ・ナインゴラン


――4-0、チリ戦に続いての快勝で、2戦2勝の優勝ということですね。ワールドカップ(W杯)のアジア最終予選の6月シリーズに向かうためにも良い準備になりましたね。

賀川:チリは1対1で厳しく競り合いになるのがいい経験だろうと見ていた。攻撃的に来てくれて、そのためにこちらの攻撃も効果が表れて4-0という試合結果が生まれた。ベルギーは守りを厚くしてカウンター狙いになるだろう――その多数守備からどうして得点するかが課題になる。誰もがそう予想していたことでしょう。

――その厚い守りから4ゴール奪ったということですね。

賀川:ボールがよく動いて、選手たちもよく走ったからネ。

――相手が弱かったから、本番の準備としてはどうか? という声もあるようですが…

賀川:ベルギーは1904年にFIFA(国際サッカー連盟)が設立されたときのファンディングメンバーで、W杯でも1986年メキシコ大会でベスト4に入ったこともある。前回の対談でもふれたとおり、2010年大会の予選では4位と不振、来日したメンバーはその代表のレギュラーというわけではない――まぁ、いまの日本代表から見ればそれほど難しい相手ではないと見ていた。

――それでも、試合をした価値はありましたか。

賀川:もちろんですヨ。相手が強くても弱くても、幅7メートル32、高さ2メートル44のゴールの大きさは変わりないのだから…。この枠の中へボールを入れる、それを4回も成功したのだから、値打ちはあります。
 一般的にいって、相手のプレッシングが強く厳しければチャンスをつくるための最初のボールポゼッションが難しくなり、相手のエリア付近での組織的な守りが上手で、また一人ひとりの守備能力が高ければ、チャンスをつくることも、チャンスに得点することも難しい。また、ゴールキーパーが難攻不落のように見えるほど調子が良ければ、それだけでも点を取るのは難しくなる。本番前の試合である以上、本番のためにこういうことを経験しておきたいという希望もあるでしょうが、相手側にも代表チーム構成については問題もあるでしょう。こちら側とすれば、まず自分たちがどういう意図でプレーするかということが大切になってくる。

――最後まで動きが止まらなかった点や、トップ下でプレーした中村憲剛が“飛び出し”でゴールに絡み、自らも奪ったこと、また、サイドからの早いクロスで得点したことなどは良かったということですか。

賀川:そうそう、その通りですよ。まず、チーム全体に、岡田武史監督のいう守から攻への切り替えの早さ、そのためにも足を止めるな――という動きの量も質も少しずつ上がってきていること、そしてゴールへの意欲が強くなっていることなどがプレーに表れていた。


【つづく】


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