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【Preview】2月4日 日本代表 vs フィンランド代表

2009/02/02(月)

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(写真1)フィンランド対ハンガリー戦のプログラム。
フィンランド語で書かれた表紙のSUOMIはフィンランド、UNKARIはハンガリーのこと



対オーストラリア戦を前に、大型プレーヤー相手にみたい気迫とひたむきさ

キリンチャレンジカップ2009 ALL FOR 2010!
2月4日19時20分キックオフ(東京・国立競技場)
日本代表 対 フィンランド代表



――2月4日にキリンチャレンジカップの日本代表対フィンランド代表が国立競技場で行なわれます。1週間後のFIFAワールドカップ(W杯)2010アジア最終予選、第3戦の対オーストラリア(横浜)に備えてのもの。とても楽しみです。

賀川:日本代表は1月にアジアカップの予選を2試合しました。20日熊本での対イエメンは2-1で勝ち、28日(現地時間)マナマでの対バーレーンは0-1で負けました。

――この試合はアジアカップ・カタール大会(2011)に向けての最終予選で、19ヶ国が5組に分かれて展開中です。ホーム&アウェーで戦い、各組の上位2チームが本大会に進みます。日本はイエメン、バーレーン、香港とともにA組に入っていますね。
 W杯に向かう日本代表の骨組みはほぼ決まっていますが、岡田監督はこのアジアカップ予選の1月の2試合で新しい代表レギュラー候補の台頭を期待したのでしょう。

賀川:勝てば、出場したメンバーも自信をつけただろう。ホームでのイエメン戦はともかくも勝ったが、アウェーのバーレーン戦は無得点で負けた。

――先制され、引いて守られると崩せなかったというパターンだったらしいですね。

賀川:中村俊輔や遠藤保仁がいなくても引いて守る相手を崩せれば一つの成果だが、そうはゆかなかった。日本とバーレーンは昨年3試合して2勝1敗(3月26日 アウェーでのW杯3次予選 ●0-1、6月22日 ホームでのW杯3次予選 ○1-0、9月6日 アウェーでのW杯最終予選 ○3-2)の成績だが、勝った試合は中村と遠藤の2人がいた。日本のやり方をよく知っているバーレーンのような相手に対しては、経験ある彼らの臨機応変の判断と正確なキックが必要なのだろう。
 今年の対バーレーン、アウェーでの敗戦は、私はそう深刻には受け止めていない。むしろ、戦った選手たちが、自分たちだけで勝つには何が必要かを工夫するきっかけになると思っている。

――さて、対オーストラリア戦を控えての対フィンランドでは何を期待しますか?

賀川:オーストラリアの選手はヨーロッパ系が多く、アジア各国の中では体格の良いことで知られている。英国の植民地であった関係から、本国の上流社会への憧れもあって伝統的にラグビーやテニスが盛んだった。第2次大戦後に東欧からの移民の激増によってサッカーが浸透し、プロのリーグもあり、欧州へ選手を輸出するようになった。
 もともとスポーツ好き。陸上競技や水泳などでもトップクラスを輩出してきたところだから、サッカーが根をおろせばいいプレーヤーが出ても当然。したがって、かつての力強さだけでなく“上手”で強いプレーヤーも出てきている。
 2006年ドイツでのW杯第1戦で日本が終了間際に3点を奪われたのは当時の日本選手のコンディショニングの失敗もあったが、相手が体力だけでなく技術もしっかりしていたからだろう。

――プレミアリーグのエバートンで、ケーヒルという選手が活躍しています。

賀川:オーストラリアの選手については別の機会にしたいが、プレミアリーグのテレビ放送を見ても、彼のヘディングの能力は素晴らしい。オーストラリアの選手としては大きい方ではない(178cm)が、しなやかで足元もいいし、何よりマークを外して消えておいて出てくるといういいストライカーの特性を備えている。

――フィンランドは大柄なのですか?

賀川:この国の人たちはアジア系のフィン族だから、北欧のスウェーデン、ノルウェー、デンマークなどの北方ゲルマンとは人種的にちょっと違っているが、体格となると大男はたくさんいる。発表された来日メンバーを見ても、2人のGKが196cmと189cmは当然としても、DF8人のうち183㎝以上が4人、MFにも183㎝以上が4人(うち一人は194㎝)。FWにもオランダでプレーするニクラス・タルバヤルビの187㎝がいる。

――欧州のW杯予選でドイツと引き分けたとか。

賀川:欧州第4組で、ドイツと同じグループで3試合をして、9月にホームでドイツに3-3、10月にホームでアゼルバイジャンに1-0、その後のロシアとのアウェーは0-3で負けている(1勝1分け1敗)。3月にはウェールズとの対戦を予定している。

――フィンランドは2006年のキリンチャレンジカップでも来日していますね。

賀川:2月18日だったか、日本は当時すでにW杯ドイツ大会の予選を突破していた。フィンランドは欧州第1組の予選4位で敗退したあとだった。チームの勢いの差がそのまま出て日本が2-0で勝った。
 今度はチーム全体の士気も高いだろうし、監督のスチュアート・バクスターはサンフレッチェ広島やヴィッセル神戸で監督も務めた日本通でもある。スウェーデンリーグ(5人)ギリシャ(2)オランダ(1)スペイン(1)ノルウェー(2)と各国リーグで働いているプレーヤーが主力だ。
 私が注目したいのは、18歳の若いテーム・プッキ。スペインのセビリアにいるとのこと。172cmと小柄な方だが、北欧の大型選手の多い国から現れる小兵選手には目を見張る逸材が出ることがある。ひょっとしたら……と期待している。
 もう一人、大ベテランのヤリ・リトマネン(37歳)が加わっているのも注目。オランダのアヤックスとイングランドのリバプールで活躍した選手だから、日本のサッカー通にはよく知られているハズ。彼らにとっても、日本代表にとっても、いい試合になると期待している。

――日本代表の欧州組はこの試合に出場しないのですね。

賀川:スケジュールの都合でね。中村俊輔は少し早めに戻ってくるが、これには出ないだろう。したがって、俊輔のパスからのゴールといった場面はこの試合ではないだろうが、そうした点よりも、

(1)選手たちが久しぶりに、体が大きく強い欧州勢を相手に積極的なプレーをして、その感覚をつかむこと
(2)もちろん、彼らがこれまで培ってきた、速い動きでの組織的なボール奪取やボールの動かし方などのいいリハーサルでもある
(3)また守りでは長身者の多い相手のFKやCKなどのセットプレーも大切だ

 日本代表は長い歴史の上で岡田監督になって初めて、中澤佑二(187cm)闘莉王(185cm)という長身の2人のCDFを置けるようになった(この条件を備えていなかった2006年のドイツ大会では、オーストラリアにしてやられた)。今度は控えに高木和道(188cm)寺田周平(189cm)も加わっているが、世界の大型化はさらに進んでいる。フィンランド戦はこれも見どころだろう。
 さらに今回はGKの顔触れが変わった。GKとDFの連係もみたいところだ。

――攻撃面では?

賀川:田中達也や玉田圭司、岡崎慎司、巻誠一郎(彼の長身とヘディングは守りのセットプレーでも働くだろうが……)たちは徐々に良くなっている。新しい岡崎は、代表チームでゴール前に入ってくるのは良くなっている。あとは、ちょっとしたタイミングの修正だろう。香川真司も同様だ。
 中澤、闘莉王で中央の守りが安定すれば、欧州組がいなくてもとても面白いフィンランド戦になると思っている。


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(写真2)中面の見開きページは両チームのイレブン。
配列(フォーメーション)は戦前からの習慣の2FB、3HB、5FWで記されている。
左がフィンランド、右がハンガリーチーム



――フィンランドについてはどうですか?

賀川:森と湖が美しいが、同時に北の厳しい自然の中で暮らすこの国の人たちは逞しい体と強い心を持ち、戦前のオリンピックでは陸上長距離のヒーローを生んだ。私が小学6年のときの1936年ベルリン・オリンピックの選手、1万メートルでの村社講平(むらこそ・こうへい)選手の活躍は今も語られるが、そのときの相手となったのもフィンランドの選手たちだった。

――フィンランドのサッカーについては?

賀川:何といっても忘れられないのはこの国の首都ヘルシンキで開催された1952年のオリンピック大会。1945年に太平洋戦争が終わり、48年のロンドン・オリンピックには日本とドイツは戦争を起こした国として招かれず、4年後のヘルシンキのときに参加を許された。ただし、日本サッカーはまだJOC内での力がなく参加できず、竹腰重丸(たけのこし・しげまる)さん(故人)が視察に派遣されただけだった。
 私は当時、産経新聞の記者で、大会には木村象雷(きむら・しょうらい=故人)という先輩が特派員で出かけたのだが、木村さんは帰国後に私にお土産品――大会直前に行なわれたフィンランド対ハンガリー戦の小さなプログラム(写真1)をくれた。
 ハンガリーはこの試合のあとヘルシンキ大会で優勝し、次の年、53年にはウェンブリーでイングランド代表を6-3で破って“マイティ・マジャール(偉大なハンガリー人)”といわれたのだが、そのハンガリーとフィンランドとの試合のプログラムだった。プログラムに書かれたフェレンツ・プスカシュやナーンドル・ヒデクチ、シャーンドル・コチシュなどのワールドクラスのプレーヤーについて、私はそのあと何度も記事に書くことになったのだが、初めてこのプログラムで全メンバーを見たときの感激は今も覚えている(写真2)。
 この試合は6-1でハンガリーが勝つのだが、「フィンランドが1ゴールを返したときの、満員のスタンドの観客の興奮はすごかった。私のすぐ近くの女性は涙を流していたからね」と私に語った木村特派員の言葉は長く心に残った。私がヨーロッパのサッカーに目を向けるようになったのは、この言葉とプログラムがきっかけのひとつだった。


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