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2009年2月

【Preview1】5月27~31日 日本代表 vs チリ、ベルギー代表

2009/02/27(金)

キリンカップサッカー2009 ~ALLFOR2010!~
5月27日 日本代表対チリ代表(大阪・長居スタジアム)
5月29日 チリ代表対ベルギー代表(千葉・フクダ電子アリーナ)
5月31日 日本代表対ベルギー代表5月
(東京・国立競技場)


――キリンカップのスケジュールが発表されました。3試合ともナイターで、開始時間は調整中とか。

賀川:南米のチリ、ヨーロッパのベルギーのそれぞれ代表チームを招いての3ヶ国リーグで優勝を決める。賞金総額16万ドル(約1560万円)で、優勝チームは10万ドル、2位が5万ドル、3位が1万ドルと発表されている。

――テレビ放送は第1戦がTBS系、第3戦が日本テレビ系で全国生中継。外国チーム同士の第2戦はまだ決まっていないようです。

賀川:3ヶ国対抗だから勝つことが大事だが、ワールドカップ(W杯)のアジア予選の6月シリーズ3試合を控えているから、その準備としてもとても重要ですヨ。

――6月は、対ウズベキスタン(6日、アウェー)対カタール(10日、横浜)対オーストラリア(17日、アウェー)と、相手国へ乗り込んでのアウェー戦2試合と日本で1試合。アウェーの相手はウズベクと豪州の2国ともホームで引き分けているから、この2週間は日本サポーターのテンションが上がりますね。

賀川:そういうこと――。その前に、代表チームには3月28日(土)の対バーレーンが組まれている。ここには昨年9月6日のマナマでのアウェーで勝っている(3-2)。

――しかし、ことし1月のアジアカップ予選では負けました。

賀川:バーレーンとはW杯の第3次予選でも2回試合して、アウェー(0-1)で負け、埼玉(1-0)で勝って1勝1敗だから1年間に4試合して2勝2敗。すべて1点差の接戦だった。

――3月のバーレーンの前にキリンカップをすればいいのに…。

賀川:3月7日からJリーグが開幕している。キリンカップを組み込むのは日程上ムリですヨ。
 代表選手たちはJリーグに入って体も仕上がっているだろうし、第3節からバーレーン戦までの1週間でまとめ上げられるだろう。埼玉の入場券は完売したというから、ファンの期待も大きい。

――3月の試合は別に話し合うとして、この5月のチリ、ベルギーを相手にするのは…

賀川:昨年のキリンカップはアフリカからコートジボワール、南米からパラグアイが来日した。その次の週からこのW杯アジア第3次予選の4試合があった。その4試合を3勝1分けにして、3次予選を突破して、いまの最終予選へ進出したのだから、昨年のキリンカップの2試合は予選の準備としても役立っていたといえるだろう。

――チリやベルギーのサッカーのスタイルや代表チームについては、次に聞かせてもらうことにして。ことしもいい結果を期待しましょう。


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【News】5月 キリンカップの対戦国発表

2009/02/20(金)

5月キリン杯はチリ、ベルギーと


日本サッカー協会(JFA)は20日、5月に開催される国際親善試合のキリンカップで、日本代表がチリベルギーの2ヶ国と対戦すると発表した。

大会は3チーム総当たりで争われ、3連覇を目指す日本は27日に大阪・長居陸上競技場でチリと、31日に東京・国立競技場でベルギーと対戦。チリ対ベルギー戦は29日、千葉・フクダ電子アリーナで行なわれる。
日本にとっては、6月のワールドカップ・アジア最終予選(3試合)に向けた重要な強化試合。キックオフ時間は現時点で未定だが、いずれもナイトゲームになるという。


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2月4日 日本代表 vs フィンランド代表

2009/02/07(土)

仮想オーストラリアというには力不足の相手だが、収穫はいろいろ。
ゴールを楽しみ、若手の進歩を喜び、あわせて本番の不安も感じた90分。ごくろうさま、森と湖の国の選手たち



キリンチャレンジカップ2009~ALLFOR2010!~
2月4日(東京・国立競技場)19:20
日本代表 5(3-0 2-1)1 フィンランド代表
得点者:岡崎(日 15、32分)香川(日 44分)ポロカラ(フ 50分)中澤(日 57分)安田(日 86分)

【日本代表メンバー】
GK: 18都築龍太
DF: 22中澤佑二(Cap.)4田中マルクス闘莉王→24高木和道(55分)15長友佑都、6内田篤人→3駒野友一(72分)
MF: 27橋本英郎、7遠藤保仁→5今野泰幸(77分)14中村憲剛、29香川真司→21安田理大(81分)
FW: 11玉田圭司→12巻誠一郎(84分)33岡崎慎司
SUB:23川島永嗣、26菅野孝憲、2寺田周平、9田中達也

【フィンランド代表メンバー】
GK: 1トミ・マーノヤ
DF: 5マルクス・ハルスティ、14トニ・クイバスト、2ヨニ・アホ、15トゥオモ・トゥルネン→16ユッカ・ライタラ(55分)
MF: 17ティム・スパルフ、20ロニ・ポロカラ、21カリ・アルキブオ→11ペルパリム・ヘテマイ(85分)6ユッシ・クヤラ→8メフメト・ヘテマイ(45分)
FW: 10ヤリ・リトマネン(Cap.)→18テーム・プッキ(68分)9ニクラス・タルバヤルビ→19ヤルノ・パリッカ(77分)
SUB:12ヘンリ・シランパー、4ヨナス・ポルティン、3トゥオモ・ケネーネン、13サミ・レハメーネン、7ミカ・オヤラ

――5-1の大勝、いい気分ですね。もっとも、フィンランド代表が仮想オーストラリアというにはちょっと弱すぎて、2月11日に向けてあまり効果的でなかろうという声もあります。

賀川:とても良かったと思う。強敵との本番を1週間後に控えている岡田武史監督にすれば、“とても”とは言えず慎重な言い方だったが、選手たちにも収穫があり、ファン、サポーターにも見どころが多かった試合ですヨ。

――岡崎慎司が2ゴールしたことも、“よかった”の一つですね。前回のお話で、フィンランド戦での彼の得点を期待していました。

賀川:滝川二高出身、黒田和生先生の教え子だからネ。田中達也や玉田圭司のような際立った早さはともかく、よく走れて、その上に体に粘りがあって反転のときに崩れない。右も左も蹴れる。173センチと小型の方だが、ジャンプのタイミングもいいし、ヘディングもできる。点を取るためにどこへ走り込むかをいつも狙っているところがいいので、まわりの仲間と意思が通じるようになればゴールを奪うか、ゴールにからむようになると眺めていた。
 相手のディフェンダーが一流というわけではなかったから、などという言い方もできるけれど、やはり狙ったところへ動き、そこへボールが来て、それをシュートしてゴールする――という経験を代表で積んでゆけるのがいい。

――相手DFのウラへ簡単に入れましたね。

賀川:岡崎はこの2得点で自信を持っただろう。自信を持てば、シュートの練習にももっと力が入るだろう。ただし、岡崎のゴールを含めてこの日の日本の攻撃全体がアジアカップの2試合――対イエメン(2-1)対バーレーン(0-1)とまったく違っていたことが重要だと思う。

――メンバーとしては、ディフェンスの中央が中澤佑二と闘莉王がそろったこと。GKは故障の楢崎正剛や川口能活に代わって新しい3人が入ったこと。それにガンバの2人がボランチをしましたね。

賀川:闘莉王のコンディションは万全とはいえなかったにしても、ピッチの上で試すことができた。一番大きかったのは、遠藤保仁と橋本英郎の2人が入ったことで、1月のアジアカップ予選2試合の展開に比べて攻めに緩急の変化がついたこと。遠藤はその攻めのタイミングの変化のうまさでは歴史的に見ても日本では第一級だから、両サイドの内田篤人や長友佑都がイキイキとプレーをしたのはもちろん、対バーレーン戦の反省もあってのことだろうが、何といってもガンバ組のところでタメをつくってくれるのだから――。

――ちょっと難しい理屈のように聞こえますが。

賀川:日本のサッカーは昔から“早さ”が信条なんです。兵法でも「兵は巧遅より拙速を尊ぶ」などと言っている。家のなかでもお母さんはたいてい子どもたちを「早く早く」と急きたてて学校へ送り出し、電車の駅ではすぐに乗りなさいと急がされる。日常もそうだし、サッカーもそうだが、戦争だって相手の準備ができていなければ拙速(せっそく)――マズくても早い攻めの方がいい場合があるが、相手が準備して待ち構えているときには充分にこちらも準備しなければならない。

――アジアカップの予選2試合は、相手が引いて守っているところへ、拙速でいったということ?

賀川:サッカーは同じ人数で、ピッチの広さも決まっていて、グラウンドの外から攻めることはできないし、ゴールの後方から攻めることもできない。となると大切なのはタイミング、“いつ”ということになる。

――岡崎のゴールでも、それがありましたか?

賀川:15分の1点目はその少し前に右サイドで小さなパス交換があったが、そこから突破しないで後方へ、そして左へとボールを動かし、今度は闘莉王が左寄りから(1)右へ長いボールを送ってきた。(2)右タッチ際で内田が受けて、(3)遠藤に渡した。(4)遠藤はそれをダイレクトで、もう一度内田へ戻し、自分はスタスタと右前へ出た。(5)そのとき、相手ゴールエリア外、中央やや右寄りにいた岡崎が右前へスタートした。(6)内田はそれに合わせて高いボールを蹴り、(7)そのボールの落下点へ岡崎が走って、(8)ゴールエリア近くで左足ボレーでシュートしてニアポスト際へ決めた。

――遠藤がからんだところがミソ?

賀川:左から右へ、長いパスが来た。長いボールだから当然、相手はその行方を見ている。それを受けた内田が、自分がハーフラインから直接前線のFWへパスを出すのでなく、小さく遠藤に渡したのがまず第1点。その遠藤がさり気なくまた内田に戻して、自分はすぐ動いたのが第2。相手側のプレーヤーの視線はボールの動きと、遠藤の動きに集中する。岡崎をマークしていたCDFもそうだった。その瞬間(そのDFの目が内田と遠藤に向けられたときに)に岡崎は走り出した(いわゆる動き出し)。並んでいる彼に先に動かれ、一瞬遅れたDFのコースへ入るように岡崎が走って、左足でシュートを決めた――ということになる。
 遠藤との小さなパスのやり取りが小さなタメとなり、岡崎のスタートのチャンス――それも相手の視野の外で――をつくったことになるだろう。

――ふーむ。

賀川:相手の中盤のプレッシングが強いときに、こうした“無駄に見えるパスのやり取り”は潰されることもあり、それを嫌うコーチもいる。それはそれとして、攻め急ぎでイエメンやバーレーン相手に苦しい試合を経験したメンバーにとって、あらためてタメの必要なこと、遠藤、橋本のガンバコンビによるボールの動かしを理解できたと思う。

――その通りやっていいかは別として、でしょう。

賀川:プレーヤーにはそれぞれのやり方があっていい。しかし“押してダメなら引いてみよ”の歌にもあるとおり、一つだけではちょっと強い相手を攻略するのは難しいからね。日本代表の特色のランプレーを成功させるには、強さと、こうした間(ま)が必要なのだから……。

――海外組はそれができる?

賀川:まぁ、人によるだろう。中村俊輔はそれの達人だし、あの得意のクロスでも、ファーポスト側に合わせるのかニアで合わせるのかライナーにするのか上げて落とすボールにするのか、その時々に判断して実行している。

――内田はこの日、CKから中澤佑二のヘディングシュート成功のクロスを蹴りましたね。

賀川:後半、相手に1点を返され3-1になったのが50分。その7分後の得点で4-1にした。この右CKは遠藤がキッカーで、ショートコーナーにして後方やや内側の内田に渡したところが面白かった。

――というのは?

賀川:この日、遠藤は流れのなかで何回かロングパスを蹴っていた。小さなつなぎで一方のサイドに相手側をひきつけ、逆に振る、攻めの一つのやり方だが、その遠藤がキッカーだから、直接ファーポスト側へボールが来ることも相手は考える。ところが彼は中澤がいるのを見て、自分が直接そこへボールを送りこまずに内田に渡して、内田にクロスキックさせた。距離の問題と、ボールがサイドで動くことで相手DFの目がいったん動くボールに注がれる。その間に中澤が位置をずらしてもマーク相手は気付くのが一瞬遅れてしまうことになる。

――そういうことですか。

賀川:このやり方は、これまでに俊輔と遠藤のコンビで何度か成功していますヨ。

――若い内田がそういう仲間に入れるようになったと言うのは早すぎますかね。

賀川:こうして、若い選手が重要な場面にからんでゆくことで個人の進歩も、チーム全体も向上するわけです。CKの場面を取り上げたけれど、岡田監督になって新しく加わってきた19~22歳の若手――オリンピック世代ともいえる――が伸びてきている。27~30歳の多い代表チームに若い力が入ってくるのはとても良いことですよ。それがまた今野泰幸や駒野友一、巻誠一郎、田中達也といった中堅組の励みにもなるだろうしね。

――香川真司も点を取りました。

賀川:ここのところ、ちょっと伸び悩みかな。プレーヤーが伸びるのは階段状だから…。
 それにしても、相手のバックパスだったか、ボールを拾って小さなバウンドを利用して左足で浮かせて抜いて出て、そのあと左へかわして左足シュートをしたのだから、図々しいプレーができるネ。

――相手が下手だからできたと?

賀川:香川自身は相手を上から見ていた感じだね。しかしフィンランドだって前半の2つのチャンスで点を取っていたら、そんなに見下すことができる相手ではない。あの6分のユッシ・クヤラのシュートは、闘莉王が背後にいながらいったん間合をあけて、そのあと競りに行ってシュートされている。誰かがこぼれ球に行っていたら…というところだ。
 27分のティム・スパルフの左足のボレーがバーに当たって観衆はヒヤリとした。21歳の194センチ――。背が高いということは膝の位置が高いので、日本人には無理な高さのボールをボレーで叩いて、それをバーの高さに押さえるのだからネ。

――全体としては?

賀川:遠い北欧から試合に来てくれた彼らのおかげで、本番の一週間前にともかくリハーサルできたプレーヤーもあり、自らの上達を確認したものもありで、結果は良かっただろう。GK都築龍太が相手のノッポと競って叩いたボールが遠くへ飛ばなかったことも、分かったのだから良かったじゃない。
 そうそう、試合後の記者会見でフィンランドのスチュアート・バクスター監督(広島と神戸で監督をした)が、ヴィッセル神戸のサポーターがスタンドからバクスターに拍手をしてくれてとても嬉しかった、有難う――と言っていた。

――こういうサッカー人のつきあいは大事にしたいところです。

賀川:どんな試合をしても、そこで得たものをプラスにして次の試合に結びつけるかどうかは選手自身だからね。オーストラリアが相手といっても、自分たちがJや海外のリーグで培ったものを、チームにしてぶつけるだけ。俊輔をはじめ海外組が合流してからいいコンディションのチームに仕上げてほしい。

――オーストラリア戦は勝てますかね?

賀川:ワールドカップの本番で上位を目指すには、いまの日本代表はまだ、必要なポジションプレーのできる人材が少し不足している。しかし、アジア予選を突破できる力はあるだろう。オーストラリアとは、互いに勝っても負けても不思議でないライバル。こういう相手と戦えることは選手たちにはとても幸福なことだろう。
 フィンランド戦で、ちょっぴりニガ味を味わいながらいい勝ち方で盛り上がったのだから、大いに期待したいね。勝とうという意地の強さを見たい。


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【Preview】2月4日 日本代表 vs フィンランド代表

2009/02/02(月)

0901301
(写真1)フィンランド対ハンガリー戦のプログラム。
フィンランド語で書かれた表紙のSUOMIはフィンランド、UNKARIはハンガリーのこと



対オーストラリア戦を前に、大型プレーヤー相手にみたい気迫とひたむきさ

キリンチャレンジカップ2009 ALL FOR 2010!
2月4日19時20分キックオフ(東京・国立競技場)
日本代表 対 フィンランド代表



――2月4日にキリンチャレンジカップの日本代表対フィンランド代表が国立競技場で行なわれます。1週間後のFIFAワールドカップ(W杯)2010アジア最終予選、第3戦の対オーストラリア(横浜)に備えてのもの。とても楽しみです。

賀川:日本代表は1月にアジアカップの予選を2試合しました。20日熊本での対イエメンは2-1で勝ち、28日(現地時間)マナマでの対バーレーンは0-1で負けました。

――この試合はアジアカップ・カタール大会(2011)に向けての最終予選で、19ヶ国が5組に分かれて展開中です。ホーム&アウェーで戦い、各組の上位2チームが本大会に進みます。日本はイエメン、バーレーン、香港とともにA組に入っていますね。
 W杯に向かう日本代表の骨組みはほぼ決まっていますが、岡田監督はこのアジアカップ予選の1月の2試合で新しい代表レギュラー候補の台頭を期待したのでしょう。

賀川:勝てば、出場したメンバーも自信をつけただろう。ホームでのイエメン戦はともかくも勝ったが、アウェーのバーレーン戦は無得点で負けた。

――先制され、引いて守られると崩せなかったというパターンだったらしいですね。

賀川:中村俊輔や遠藤保仁がいなくても引いて守る相手を崩せれば一つの成果だが、そうはゆかなかった。日本とバーレーンは昨年3試合して2勝1敗(3月26日 アウェーでのW杯3次予選 ●0-1、6月22日 ホームでのW杯3次予選 ○1-0、9月6日 アウェーでのW杯最終予選 ○3-2)の成績だが、勝った試合は中村と遠藤の2人がいた。日本のやり方をよく知っているバーレーンのような相手に対しては、経験ある彼らの臨機応変の判断と正確なキックが必要なのだろう。
 今年の対バーレーン、アウェーでの敗戦は、私はそう深刻には受け止めていない。むしろ、戦った選手たちが、自分たちだけで勝つには何が必要かを工夫するきっかけになると思っている。

――さて、対オーストラリア戦を控えての対フィンランドでは何を期待しますか?

賀川:オーストラリアの選手はヨーロッパ系が多く、アジア各国の中では体格の良いことで知られている。英国の植民地であった関係から、本国の上流社会への憧れもあって伝統的にラグビーやテニスが盛んだった。第2次大戦後に東欧からの移民の激増によってサッカーが浸透し、プロのリーグもあり、欧州へ選手を輸出するようになった。
 もともとスポーツ好き。陸上競技や水泳などでもトップクラスを輩出してきたところだから、サッカーが根をおろせばいいプレーヤーが出ても当然。したがって、かつての力強さだけでなく“上手”で強いプレーヤーも出てきている。
 2006年ドイツでのW杯第1戦で日本が終了間際に3点を奪われたのは当時の日本選手のコンディショニングの失敗もあったが、相手が体力だけでなく技術もしっかりしていたからだろう。

――プレミアリーグのエバートンで、ケーヒルという選手が活躍しています。

賀川:オーストラリアの選手については別の機会にしたいが、プレミアリーグのテレビ放送を見ても、彼のヘディングの能力は素晴らしい。オーストラリアの選手としては大きい方ではない(178cm)が、しなやかで足元もいいし、何よりマークを外して消えておいて出てくるといういいストライカーの特性を備えている。

――フィンランドは大柄なのですか?

賀川:この国の人たちはアジア系のフィン族だから、北欧のスウェーデン、ノルウェー、デンマークなどの北方ゲルマンとは人種的にちょっと違っているが、体格となると大男はたくさんいる。発表された来日メンバーを見ても、2人のGKが196cmと189cmは当然としても、DF8人のうち183㎝以上が4人、MFにも183㎝以上が4人(うち一人は194㎝)。FWにもオランダでプレーするニクラス・タルバヤルビの187㎝がいる。

――欧州のW杯予選でドイツと引き分けたとか。

賀川:欧州第4組で、ドイツと同じグループで3試合をして、9月にホームでドイツに3-3、10月にホームでアゼルバイジャンに1-0、その後のロシアとのアウェーは0-3で負けている(1勝1分け1敗)。3月にはウェールズとの対戦を予定している。

――フィンランドは2006年のキリンチャレンジカップでも来日していますね。

賀川:2月18日だったか、日本は当時すでにW杯ドイツ大会の予選を突破していた。フィンランドは欧州第1組の予選4位で敗退したあとだった。チームの勢いの差がそのまま出て日本が2-0で勝った。
 今度はチーム全体の士気も高いだろうし、監督のスチュアート・バクスターはサンフレッチェ広島やヴィッセル神戸で監督も務めた日本通でもある。スウェーデンリーグ(5人)ギリシャ(2)オランダ(1)スペイン(1)ノルウェー(2)と各国リーグで働いているプレーヤーが主力だ。
 私が注目したいのは、18歳の若いテーム・プッキ。スペインのセビリアにいるとのこと。172cmと小柄な方だが、北欧の大型選手の多い国から現れる小兵選手には目を見張る逸材が出ることがある。ひょっとしたら……と期待している。
 もう一人、大ベテランのヤリ・リトマネン(37歳)が加わっているのも注目。オランダのアヤックスとイングランドのリバプールで活躍した選手だから、日本のサッカー通にはよく知られているハズ。彼らにとっても、日本代表にとっても、いい試合になると期待している。

――日本代表の欧州組はこの試合に出場しないのですね。

賀川:スケジュールの都合でね。中村俊輔は少し早めに戻ってくるが、これには出ないだろう。したがって、俊輔のパスからのゴールといった場面はこの試合ではないだろうが、そうした点よりも、

(1)選手たちが久しぶりに、体が大きく強い欧州勢を相手に積極的なプレーをして、その感覚をつかむこと
(2)もちろん、彼らがこれまで培ってきた、速い動きでの組織的なボール奪取やボールの動かし方などのいいリハーサルでもある
(3)また守りでは長身者の多い相手のFKやCKなどのセットプレーも大切だ

 日本代表は長い歴史の上で岡田監督になって初めて、中澤佑二(187cm)闘莉王(185cm)という長身の2人のCDFを置けるようになった(この条件を備えていなかった2006年のドイツ大会では、オーストラリアにしてやられた)。今度は控えに高木和道(188cm)寺田周平(189cm)も加わっているが、世界の大型化はさらに進んでいる。フィンランド戦はこれも見どころだろう。
 さらに今回はGKの顔触れが変わった。GKとDFの連係もみたいところだ。

――攻撃面では?

賀川:田中達也や玉田圭司、岡崎慎司、巻誠一郎(彼の長身とヘディングは守りのセットプレーでも働くだろうが……)たちは徐々に良くなっている。新しい岡崎は、代表チームでゴール前に入ってくるのは良くなっている。あとは、ちょっとしたタイミングの修正だろう。香川真司も同様だ。
 中澤、闘莉王で中央の守りが安定すれば、欧州組がいなくてもとても面白いフィンランド戦になると思っている。


0902022
(写真2)中面の見開きページは両チームのイレブン。
配列(フォーメーション)は戦前からの習慣の2FB、3HB、5FWで記されている。
左がフィンランド、右がハンガリーチーム



――フィンランドについてはどうですか?

賀川:森と湖が美しいが、同時に北の厳しい自然の中で暮らすこの国の人たちは逞しい体と強い心を持ち、戦前のオリンピックでは陸上長距離のヒーローを生んだ。私が小学6年のときの1936年ベルリン・オリンピックの選手、1万メートルでの村社講平(むらこそ・こうへい)選手の活躍は今も語られるが、そのときの相手となったのもフィンランドの選手たちだった。

――フィンランドのサッカーについては?

賀川:何といっても忘れられないのはこの国の首都ヘルシンキで開催された1952年のオリンピック大会。1945年に太平洋戦争が終わり、48年のロンドン・オリンピックには日本とドイツは戦争を起こした国として招かれず、4年後のヘルシンキのときに参加を許された。ただし、日本サッカーはまだJOC内での力がなく参加できず、竹腰重丸(たけのこし・しげまる)さん(故人)が視察に派遣されただけだった。
 私は当時、産経新聞の記者で、大会には木村象雷(きむら・しょうらい=故人)という先輩が特派員で出かけたのだが、木村さんは帰国後に私にお土産品――大会直前に行なわれたフィンランド対ハンガリー戦の小さなプログラム(写真1)をくれた。
 ハンガリーはこの試合のあとヘルシンキ大会で優勝し、次の年、53年にはウェンブリーでイングランド代表を6-3で破って“マイティ・マジャール(偉大なハンガリー人)”といわれたのだが、そのハンガリーとフィンランドとの試合のプログラムだった。プログラムに書かれたフェレンツ・プスカシュやナーンドル・ヒデクチ、シャーンドル・コチシュなどのワールドクラスのプレーヤーについて、私はそのあと何度も記事に書くことになったのだが、初めてこのプログラムで全メンバーを見たときの感激は今も覚えている(写真2)。
 この試合は6-1でハンガリーが勝つのだが、「フィンランドが1ゴールを返したときの、満員のスタンドの観客の興奮はすごかった。私のすぐ近くの女性は涙を流していたからね」と私に語った木村特派員の言葉は長く心に残った。私がヨーロッパのサッカーに目を向けるようになったのは、この言葉とプログラムがきっかけのひとつだった。


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