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10月9日 日本代表 vs UAE代表

2008/10/09(木)

快速突破、反転、切り返し…新代表の個性に瞠目

 シュート、キックの精度は日本全体の問題


キリンチャレンジカップ2008 ~ ALL FOR 2010! ~
10月9日(新潟・東北電力ビッグスワンスタジアム)19:24
日本代表 1(0-0 1-1)1 UAE代表
得点者:香川(日 72分)アルハマディ(U 77分)

【日本代表メンバー】
GK: 18楢崎正剛
DF: 2 寺田周平→15高木和道(46分)22中澤佑二(Cap.)27長友佑都、25内田篤人
MF: 10中村俊輔→26香川真司(70分)8稲本潤一→14中村憲剛(65分)17長谷部誠
FW: 11 玉田圭司→13興梠慎三(57分)16大久保嘉人→9佐藤寿人(82分)24岡崎慎司→12巻誠一郎(82分)
SUB:1川口能活、23川島永嗣、3駒野友一、28森重真人、21青木剛、5今野泰幸、20森島康仁

【UAE代表メンバー】
GK: 1ナセル
DF: 8ハイダル・アリ、14サイード、5ジュマ、18マララー→21オスマン(46分)3メスマーリ
MF: 16イブライム(Cap.)→9ナワフ・ムバラク(64分)6ジャベル、20アメール・ムバラク
FW: 10マタル、7アルシェヒ→15アルハマディ(74分)
SUB:22ラビー、12アルタウィラ、19ハサン、17アッバス、4ファエズ、13アハメド・ムバラク(ダダ)2モアダド、11モハメド

――たくさんチャンスはあったけれど、結局は1-1。今度のキリンチャレンジカップの収穫は?

賀川:興梠慎三(こうろき・しんぞう)だろうね。それに岡崎慎司も良かった。

――香川真司も19歳で点を取った。戦後では史上3番目の若さだそうだが…

賀川:香川は、まあ、あのシュートの位置へ出ていったことを誉めるべきだろう。この右足シュートでの得点のあと、胸でのトラッピングからの右のボレーシュートはバー越え、また、ヘディングも右外へはずしている。本人もまだまだと思っているだろう。代表初ゴールは記録や記念にはなるが…。

――興梠のスピードと反転を前から買っていた?

賀川:この試合で、日本代表にもペナルティエリア内で反転するプレーヤーが出てきたなと思わずニンマリした。
反転といえば1970年ワールドカップ得点王のゲルト・ミュラー(西ドイツ)が有名で、74年大会の西ドイツ対オランダの歴史に残る決勝ゴールも一種の反転シュートだった。

――すごい!! ゲルト・ミュラーと比べるのか?

賀川:身長は同じ175cmで、ミュラーはドイツ人としては背は低い方だがガッシリとして、腰が安定していた。それが、高速ダッシュのあとの反転の基盤だった。
興梠は175cm、ガッシリしたところはよく似ている。スタートダッシュの早さがいまの日本選手のなかでも際立っている。

――反転の効果は?

賀川:シュートチャンス、あるいは突破のチャンスに、「いまはダメ」ということになることもある。そのときにターンして、そこからシュートあるいは突破、またはパスなど選択ができる。ペナルティエリア内でこういう反転プレーが入ると(シュートチャンスを逸することもあるが)、相手はファウルが怖いし、仲間にとってはいいポジションを取るための間(ま)が生まれることになって、パスを受けやすくなり、シュートのリバウンドにも対応できる。

――そういえば香川のゴールも中央の興梠のファーサイド(左側)に香川が入っていってシュートした。

賀川:後半27分のこのゴールは、右サイドで大久保、内田のパスのやり取りから大久保が左足でクロスを送り、相手DFの2人の間のスペースに入った興梠がヘディングした。ボールはバーに当たってはね返った。それを内田が拾ってゴールライン近くまで持ち込み、中へグラウンダーのクロスパスを送り込む。ニアサイドの興梠の後方を通り中央へボールが出てきたところに香川がいた。いわば2段攻撃となって香川はノーマークだった。

――彼には、何かの対談のときに点を取れと言ったとか?

賀川:もともといいパスを出して攻撃を組み立てて、ゴールが決まったときに「どうだ、僕のパスを見てくれたか――」というような気持ちを持つ方だったそうだが、いいパスを出し、そのあとシュートポジションへ走り込むことをもっとやって欲しいと話した。それが効いたのかどうかは別にして、自分が決めることでまたプレー・メークも上達するハズだ。

――岡崎は?

賀川:岡田武史監督が岡崎をスタートから出したのは、彼の実践的なところを確かめたかったのだろう。キックオフ早々に相手のMFのドリブルに絡んでボールを奪い、そのパスを受けた玉田が倒されてFKを取ることができた。俊輔のこのFKはグラウンダーを左ポスト側へ蹴って、GKナセルが防いだ(俊輔はもう1本後半のFKを右上へ蹴って、やはりGKが防いだ)。
この相手ボール奪取にも見られるように、岡崎は絡んでも絡まれても粘り強いのと、ランが途切れない。前半にエリア内右寄りでタテに走って俊輔からのパスを受けて反転して、左足シュートをした。失敗はしたが、走った勢いで右足ダイレクトシュートかと思ったのに切り返して左足に持っていった。成功はしなかったが、これがやれるというのは興梠のスピード、そのあとのターンとはまた別の形のランと反転ができるということ。いわばそういう粘っこさがあるということだ。

――玉田圭司や大久保嘉人とはまた別の……

賀川:玉田は173cm、大久保は170cm、岡崎173cm、興梠175cm――と、佐藤寿人(170cm)を含めていわゆる大型FWではないが、玉田も大久保もスピードが一つの持ち味で、新しい2人はそれに反転と粘っこさが加わっている。反転は別の形でいえば“切り返し”でもあるけれど、この切り返しはときおり話しているように一種の“引きワザ”でなければ取られやすい。それを興梠はまずスピードで脅しておいての切り返しだから成功することが多い。

――じゃ、若い3人は新戦力として役立つ

賀川:戦力になりうるだろう。ただし、それはシュートがうまくできるかどうかにかかってくる。たとえば、岡崎はいいシュートポジションを見つけて走り込み、そこでプレーをする、あるいはそこへのパスが潰されたあとも、すぐ次のポジションへ移る。いわば立て直しの移動のランがうまいし、労を惜しまない。かつての日本代表、森島寛晃と同じだろう。シュートは上手なハズだが、まだ代表では見せていない。その点がこれからだろう。
今度の試合の得点シーンのように、攻撃が一つの波だけでなく一波、二波と繰り返してその揺さぶりでノーマークの場面を増やしたのが、対UAEの収穫だと思う。
対ウズベクで使うかどうかはともかく、この選手が入ればこういう攻めができるという実験をしただけでも監督さんにはプラスだろう。

――シュートはまだ課題

賀川:チームのコンセプトは監督やコーチの指導やヒントで作ることはできるし、攻撃の組み立てもある程度はできるだろう。点を取れるかどうかはプレーヤーの仕事になる。練習をしないプレーは試合で成功しないものだヨ。

――最終予選の第2戦を前にして、これで良いのかナ

賀川:岡田監督のおかげで、日本代表の候補にはいろいろなタイプのプレーヤーがいることを見せてもらって、本当に面白かった。ただし、せっかくいい選手が集まっても、何人かは別にして、精密なキックということになるとまだまだだし、シュートという点では皆さんも見てのとおり。
相手の得点はイスマイル・アルハマディが1人でドリブルし、左タッチ沿いで奪われかけたのを持ち直し、中央へ持ち込んでシュートして決めている。世界中、たいていの代表チームにこの程度のFWは2人くらいはいるものだから、どこと試合をしても失点1は計算しておいた方が良い。こちらが2点以上取ればいいのだから。

――シュート力不足は未解決のまま。

賀川:これは大型CF(センターフォワード)の問題とともに、世界のトップクラスを目指すためには日本全体の底上げだろうね。それでも、今のチームのなかで1人でも2人でもゴールを奪うコツをつかみ、自分の能力に目覚めてくれればガラリと変わるだろう。チームの後方と中盤の骨組みはできていて(おっと、クロスの精度はまだだが…)優秀なパサーがいる。大久保だって、9日の超不出来を取り返す気になっているだろうしね。
今度のキリンチャレンジカップは目前のウズベキスタン戦のための調整ともう少し遠くを見てのチーム全体のレベルアップを考えての選考だったハズ。ピックアップされて、ウズベク戦の候補から外された人も励みになったハズだから、自分のチームでさらに努力して力を備えてほしい。


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