« 2008年7月 | トップページ | 2008年9月 »

2008年8月

8月20日 日本代表 vs ウルグアイ代表

2008/08/20(水)

日本選手にもファンにもいい経験――。ウルグアイのタテに出るサッカーとシュートする面白さ

キリンチャレンジカップ2008 ~ ALL FOR 2010! ~
8月20日(北海道・札幌ドーム)19:13
日本代表 1(0-0 1-3)3 ウルグアイ代表
得点者:OG(日 48分)S.エグレン(ウ 55分)I.ゴンサレス(ウ 83分)S.アブレウ(ウ 93+分)

【日本代表メンバー】
GK: 18楢崎正剛
DF: 22中澤佑二(Cap.)2高木和道、3駒野友一、6阿部勇樹
MF: 8小野伸二、14中村憲剛→9佐藤寿人(75分)7青木剛→15長友佑都(46分)17長谷部誠
FW: 11玉田圭司→12大黒将志(68分)19田中達也→8山瀬功治(78分)
SUB:1川口能活、4田中マルクス闘莉王、13鈴木啓太、5今野泰幸、16大久保嘉人

【ウルグアイ代表メンバー】
GK: 1フアン・カスティージョ
DF: 4ホルへ・フシレ、2ディエゴ・ルガノ (Cap.)18ブルノ・シルバ→17ヘラルド・アルコバ(88分)3カルロス・バルデス
MF: 8セバスティアン・エグレン、16マキシミリアノ・ペレイラ→6アルバロ・ゴンサレス(60分)15ディエゴ・ペレス→10イグナシオ・ゴンサレス(69分)7クリスティアン・ロドリゲス→14ビセンテ・サンチェス(60分)
FW: 20カルロス・ブエノ→13セバスティアン・アブレウ(69分)9ルイス・スアレス→5ホルヘ・ロドリゲス(84分)
SUB:12ファビアン・カリニ、19ディエゴ・アリスメンディ

◇さすがは北海道――気温23度。北京オリンピックでは口グセのようになっていた“暑さ”もなく、ピッチ不良の不満もない。
 スターティング・ラインナップのうち9人がヨーロッパのクラブの所属で、ウルグアイとブラジル(つまり南半球)から一人ずつというウルグアイ代表には長旅と時差のハンディはあっても、日本特有の蒸し暑さから解放されることになる。いいプレーを見せてくれるだろうとの予感のとおりの展開となった。

◇前半22分までに、日本のシュートは田中達也の1本だけ。ウルグアイは7本。日本側がヒヤリとしたのは8分の右CKだったろう。
 クリスティアン・ロドリゲスが左足のカーブキックをゴール正面、ややニア寄りに送り込み、FWのカルロス・ブエノがヘッド。ボールがファーポスト側に落ちたところへ、DFのカルロス・バルデスが走り込んで左足ボレーでタッチ。ボールは楢崎正剛の横を通り、カバーに入っていた中村憲剛が右足キックでクリアした。

 このCKは、その前にウルグアイが右タッチライン際の深い位置でのスローインのとき、後方から
(1)セバスティアン・エグレン(だった?)がゴールライン近くへ飛び出し(スローインだからオフサイドはない)
(2)ボールを受けてバックパス。これを
(3)ルイス・スアレスがタテにドリブルしてゴールライン際からクロスを蹴り、日本側に当たってCKとなったもの。
 彼らのダッシュの速さに日本側が振り切られるのを見ながら、日本ならバックパスを受けた者が、たいていは味方へのパス経路を探すのに、スアレスがためらうことなくタテに突進したのに(当然のことながら)やっぱりなぁ……と思った。

◇そして、ロドリゲスの右CKでFWのブエノがヘディングしたときには、日本側は誰も体を寄せていなかった。スロービデオでのリピートを見ると、相手側の長身187cmのディエゴ・ルガノ(主将)には中澤佑二、もう一人の184cm、カルロス・バルデスは高木和道がマークしていた。
 中央のエグレンとブエノ、スアレスには阿部勇樹、青木剛、長谷部誠がついていたが、キックの前の3人のフェイクの動きをとらえきれず、ブエノのヘッドを許した。
 また、高木はボールの落下点へダッシュするバルデスに振り切られていた。バルデスのボールタッチが左足に当てただけだったので、ゴールにはならなかったといえる。

◇日本のチャンスは前半32分のFK。小野がゴール前へ送らずに、右のオープンスペースへ走った中村憲剛にパスを出し、中村が中央へクロスを上げて中澤佑二がヘディングした。
 ライナーのヘディングシュートがゴールバーの50cm上を越える惜しい場面だったが、相手DFのルガノが体をくっつけてジャンプしていたから、中澤もパーフェクトに叩けなかったのかもしれない。この場面だけでなく、ウルグアイ側のCKのときにも、長身ルガノが日本のゴール前で中澤をマークする場面が見られたが、中澤のヘディングの強さがすでにウルグアイ側にも十分伝わっていて、彼のヘディングを押さえることが、攻撃でも守りでも重要課題とみていたのだろう。

◇後半3分に日本のゴールが生まれた。
 左サイドに長友佑都(青木剛と交代)を入れ、阿部を第2列に上げた日本は、後半初めから攻めに出た。そして右CKを小野がニアに蹴り、リバウンドを拾って再び右タッチ際の小野へまわる。小野は、タテに走った中村にパスを送り、ノーマークの中村がゴールラインぎりぎりから速いクロスをゴール前に送ると、相手DFの足に当たってゴールイン(オウンゴール)した。一つのプレーがあった後に、
(1)後方から前へ飛び出すという中村の得意のランがあり
(2)それに小野がいいパスを出したこと
(3)さらに中村が相手DFとGKの間へ、鋭いヒザの高さのボールを送り込んだことがオウンゴールにつながった。
 もちろんCKだから中澤、高木の日本側長身2人もゴールを狙っていた。それが高いボールでなく低いボールのCK、ニアへ(中澤がいた)出し、そのリバウンドを取って再び深いところから低い速いボールと、あえて空中戦にしなかったのが、頭の使いどころというべきだろう。

◇勢いづいた日本は、なお攻めに意欲を燃やす。ウルグアイはそれを食い止め早いカウンターで――と、互いに攻め合ってスピーディな展開となる。
 その攻め合う形から54分に日本の右サイドのクロスを防がれ、そのカウンターをハーフラインの手前で阿部がつぶして、相手側の左サイドスローインとなったところから、同点ゴールが生まれる。

 ウルグアイは左サイドからパスを2本つないで右サイドへ展開し、マキシミリアノ・ペレイラがボールを受けて長友をひきつけ、内側ノーマークのスアレスに渡す。彼がまったくフリーなのを見て、日本の2人のCDFのうち高木が応対に出てゆく。もう一人の中澤は2トップの一人、ブエノを警戒する形――。余裕を持って高木の接近を見ながら、スアレスはボールを浮かせて、ブエノへ送る。ブエノは落下点(ペナルティエリアぎりぎり内側、ゴール正面)でボールタッチ、再び浮いたボールが右へ上がって、落ちたところへセバスティアン・エグレンが走り込んで来て、ノーマークでダイレクトシュートした。強烈なシュートではなかったが、ゴール右ポストぎりぎりへ転がるボールは楢崎のリーチの外だった。
 日本の攻めには多くのプレーヤーを送り込むため、奪われてからの帰陣が遅くなっていた(もちろん、相手側のドリブルの上手さやボールを浮かせる着想の良さもあるのだが…)。

◇その直後、日本はFKから中澤が飛び込んでノーマークとなるチャンスがあったが、ワンバウンドしたボールは胸に当たってゴールを外れた。
 その後にも66分に小野伸二のヘッド(GKキャッチ)長谷部誠の中距離シュート(GKキャッチ)があったし、玉田圭司にも(シュートしなかったが)惜しい場面もあった。

◇68分に、その玉田に代わって大黒将志が起用される。ウルグアイはそ8分前にすでにペレイラとC.ロドリゲスを、アルバロ・ゴンサレスとビセンテ・サンチェスに代えていて、さらに69分にはディエゴ・ペレス(MF)に代わってイグナシオ・ゴンサレスが入る。

◇83分にそのイグナシオ・ゴンサレスのゴールでウルグアイがリードする。
 発端は、駒野が相手側センターサークルの右外あたりでボールを奪われたことからだが……。このボール奪取後のウルグアイの攻めは驚くほど速く、効果的だった。
 ルーズボールを拾ってドリブルし、ハーフラインを越えて右オープンスペースを走るスアレスにボールが渡る。スアレスはペナルティエリアぎりぎりの右内側へ入って左へクロスを送り、走り込んできたゴンサレスがゴール正面やや左寄り8mあたりで、ノーマークのスタンディング・ヘッドでゴール左下隅へ叩き込んだ。

 攻撃に多くのプレーヤーが加わって手数をかける日本の攻めは、そのボールのやり取りでミスが起きて奪われると致命傷になり得る――このことは、誰もが知っていることで、それをなくそうとしているのだが……。もちろん、駒野がボールを失う前のパスのやり取りでも、パスをつないでいるうちに追い込まれる形になっていったことも遠因――。

◇2-1となってもウルグアイは攻めの手を休めない。
 ロスタイム(4分)に入って、92分に日本は山瀬功治(76分に田中達也と交代)のシュートがあったが防がれ、93分にウルグアイはビセンテ・サンチェス―ホルヘ・ロドリゲス(84分にスアレスと交代)とつないで、セバスティアン・アブレウ(ブエノと69分に交代)が右ポストぎりぎりにシュートを決めて3-1とした。

◇この相手と、こういう試合展開をすれば、今日のメンバーならこの結果になっても致し方ない(良いとは言わない)が、選手たち一人一人にはいい経験――同時にテレビ観戦の日本中のファンにとっても、北京オリンピックと同じように、サッカーでは走ること、パスは大切だが、それとともにドリブルもまた有効な武器であり、何よりもシュートをすること、シュートを決めることが勝敗を決する要素というきわめて当たり前のことを見せてもらった試合だった。

◇日本代表はこの日の有益なテストを足場に、最終予選に向けて、岡田武史監督と選手たちが勝ち抜くチームをつくりあげてゆくことになる。


KIRIN LOVES SOCCERへ

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


« 2008年7月 | トップページ | 2008年9月 »