5月27日 日本代表 vs パラグアイ代表
俊輔加入のテストは済んだ。あとはチームワークと個人の頑張り
キリンカップサッカー2008
5月27日(埼玉・埼玉スタジアム2002)19:20
日本代表 0(0-0 0-0)0 パラグアイ代表
【日本代表メンバー】
GK: 18楢崎正剛
DF: 2寺田周平、4田中マルクス闘莉王、6阿部勇樹→3駒野友一(69分)27長友佑都
MF: 10中村俊輔、7遠藤保仁→9松井大輔(HT)14中村憲剛→5今野泰幸(85分)13鈴木啓太(Cap.)→17長谷部誠(63分)8山瀬功治→16大久保嘉人(77分)
FW: 12巻誠一郎→19高原直泰(63分)
SUB: 1川口能活、23川島永嗣、22中澤佑二、24井川祐輔、26香川真司、11玉田圭司、20矢野貴章
【パラグアイ代表メンバー】
GK: 1デルリス・ゴメス
DF: 3ペドロ・ベニテス、14ホルヘ・ヌニェス→5エドガル・バルブエナ(82分)4デニス・カニサ(Cap.)2ダリオ・ベロン
MF: 6ホルヘ・ブリテス→10ルイス・カセレス(79分)8セルヒオ・アキノ→19フリオ・アギラル(88分)16エドガル・ゴンサレス→15ビクトル・カセレス(79分)17マルセロ・エスティガリビア、18オスバルド・マルティネス→9ファビオ・エスコバル(79分)
FW: 11クリスティアン・ボガド→7ダンテ・ロペス(66分)
SUB: 12オラシオ・ゴンサレス、13カルロス・パレデス
◇キリンカップの第1戦で、コートジボワールとの果敢な攻め合いを見た。ほとんどがヨーロッパのリーグでプレーしている選手相手だったから、後半に当方の動きの量やスピードが落ちると攻め込まれ、ハラハラする場面も何度かあった。
個人力が揃っていて(もちろん、とてもかなわぬというレベルではない)組織攻撃をする相手と、たとえボール保持率が少なくなっても、こちらの調子の出ているときに点を取ってしまえば、サッカーでは勝ちに通ずるもの――そのことを自分たちにも納得させる試合でもあった。
◇さて――。パラグアイはこのキリンカップの開幕戦、対コートジボワール戦で1-1。ボール支配は55対45 程度で観客にはアフリカ勢のパスワーク優勢と見えたが、パラグアイは1点を失った4分後にロングボールからクリスティアン・ボガドの左足シュートで同点とした。厚く守って、巧みなカウンターで勝とうとする伝統的な強さは、アルゼンチンやブラジルという大国にも厄介なチームで、日本には伝統的に勝つことの難しい相手――。新しい日本代表が彼らをどう崩すかに期待がかかっていた。
◇得点は生まれなかった。しかしスタンドに集まった人たちがナマの中村俊輔をご覧になったのが何よりだった。足の故障は全快していないようだが、左足から繰り出すパスの巧さはまさに天下一品といえた。
彼の長短のパスを見ていると、ある時期に使われた“ゲームメーカー”という言葉を思い出す。
70年代の西ドイツにベッケンバウアーとともに名を挙げた中盤のパスの名手、ネッツァーとはややタイプは違うが、長いパスの強さ、高さ、そして落下点の選択と、世界のトップにあったネッツァーに匹敵する。
それに、ボールそのもの、球筋(タマすじ)の美しいこと。まことに惚れ惚れするほどだった。
◇ 前半に左サイドで、自らも加わって小さなパス交換をしたあと、ノーマークでボールを受けた俊輔がタッチ際からゴール前へ送った長いクロスボールに田中マルクス闘莉王が飛び込んでヘディングしたチャンス。これはGKゴメスの手に当たって得点とはならなかったが、俊輔のパス能力と仲間を使っての短パスの連続で自らのスペースと時間の余裕をつくり出す巧さ――それと闘莉王の攻撃センスの組み合ったものだった。
◇闘莉王は攻めの意欲とともに、そのパスのセンスや攻め上がるときのポジションどりの巧さに、見る度にヒザをうつ思いがするが、このときも、その少し前の攻め込みでペナルティエリア左へ進出し、左サイドで前述の短パス交換がはじまると右へ――つまりファーサイドへ移動して俊輔のパスを引き出し、ジャンプヘディングしたのだった。
◇前半25分までは手も足も出なかった、とはパラグアイのヘラルド・マルティノ監督の言葉だが、この時間の攻撃で点を取っておけば、対コートジボワールと同じように勝てたかも知れない。
◇ ただしこの日は、久しぶりに、それも試合間際に合流した中村俊輔の調子を見るのが第一。さらには巻誠一郎や鈴木啓太、阿部勇樹、中村憲剛、山瀬功治といったこれまでの常連で多少の故障や疲れのあった選手たちの回復度を見ることも大切なポイントだったから、組み合わせとしてはベストというわけではなく、全体に「あ・うん」の呼吸で手を叩く場面が少なかった。ボールキープ率は高くても決定的なゴールチャンスは多くなかったが、私はむしろ、こういう組み合わせでも負けないチームになってしまう選手の能力を嬉しく思ったものだ。
◇DFに30歳をこえて初登場の寺田周平が加わって、センターDFは中澤佑二とともに185センチ以上が揃うことになった。当然のことながら、自らも代表チームで守りに苦労したハズの岡田武史監督は、全員が動く現代サッカーの中でも各ポジションの特性をわきまえ、それに合うプレーヤーを選んでいるようだ。
サイドは若い右の内田篤人はすでに経験済み、タフで経験ある駒野友一のグループに左の長友佑都が加わってきた。
◇ただし、長年、日本サッカーが「点を取る」ことを第一義としなかったツケは、ここ何年かのストライカー不足となって表れていた。
成長途中に少し道草を食った感のある玉田圭司と大久保嘉人の2人にそれぞれキレが戻り経験も重ねてきたが、大型ナンバーワンの平山相太が足踏みのままという。ドイツで実績を残した高原直泰は調子を落としている。
ボールを狙ったところへ落とせる俊輔がいるのに、平山が間に合わないのは淋しいが、巻と矢野貴章たちが3次予選シリーズで“サムシング”をつかんでくれることを期待することになる。
◇ 今度のキリンカップで、中村憲剛を含む豊富な中盤勢の上に松井大輔、長谷部誠、さらには大御所・中村俊輔も加わった。当然、俊輔にはシーズン最後まで優勝を争ったリーグでの疲れもあるだろう。キリンカップで有益なテストとチェックを済ませたいま。これから6月2日の対オマーン第1戦にはじまる1ヶ月の戦いを、いいコンディションで乗り切ってくれることを祈りたい。
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