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2006年5月

5月13日  日本代表 vs スコットランド代表

2006/05/13(土)

いいパスの組合せと巧みな小野の個人技もゴールならず

キリンカップ2006
5月13日(埼玉スタジアム2002 )19:20
日本代表 0(0-0 0-0)0 スコットランド代表

【日本代表メンバー】
GK: 23 川口能活
DF: 5 宮本恒靖(cap)、14 三都主アレサンドロ、21 加地亮、22 中澤佑二→20 坪井慶介(50分)
MF: 4 遠藤保仁→37 佐藤寿人(73分)、8 小笠原満男、15 福西崇史18 小野伸二    
FW: 9 久保竜彦→36 巻誠一郎(62分)、28 玉田圭司
SUB: 1 楢崎正剛、2 田中誠、、12 土肥洋一、、19 本山雅志、24 茂庭照幸、30 阿部勇樹、31 駒野友一、35 長谷部誠

【スコットランド代表メンバー】
GK: 1 アレクサンダー
DF: 3 ネイスミス→14 マレー(HT)、2 ウィア(cap)、6 コルドウェル、11 アンダーソン、16 マーティ→20 マクナミー(80分)
MF: 7 フレッチャー、9 セベリン→8 レイ(HT)、13 マクローチ→4 ミラー(70分)、17 ティーレ→19 バーク(60分)
FW: 5 マクファデン→18 ボイド(60分)
SUB: 10 コルドウェル、12 スミス、21 ターナー

■ いいパスの組合せと巧みな小野の個人技もゴールならず
■ ボールの高さと落下

いいパスの組合せと巧みな小野の個人技もゴールならず

◇ 引き分けてもキリンカップ2006の優勝が決まるスコットランド。当然守りの意識が強くなる。ときには9人の黄色のユニフォームがペナルティエリア内に入っていることもある。こういう相手からゴールを奪うことは誠に難しい。それでも、日本は加地の左足ミドルシュートが右ポストを叩いたのをはじめ、小野や小笠原の決定的なシュートチャンスもあった。前半(シュート8本)と同様に後半も7本のシュートを放ったが、結局無得点だった。

中盤での相手のプレッシングが少なく、余裕があったためにチャンスを多く作れたといえるが、それだけに相手ゴール近くでは余裕がなかったこともあった。三都主~玉田~小野と渡って、小野がエリアのほぼ正面で受け、相手の2人を「曲芸」でかわし、左足のトーでシュートしたのは、まさに圧巻。三都主の玉田へのライナーのパスは彼の得意の角度らしく、申し分ない強さと速さだったし、玉田が相手DFの前で左足の軽いタッチで小野へ出したところも、左利きの玉田の技巧。小野のかわし方は、感嘆のほかないが、最後の左足のトーキックが相手のGKの体に当たってしまった。トーキックは不正確という人もあるが、練習すれば正確になるし、小さなバックスイングで蹴る点でGKにタイミングを読まれにくいなどの利点がある。それでもGKにぶつけてしまった。この小野もそうだが、小笠原にしても、この日のシュートは、やや押さえることに気がいっていたらしい。GKには防ぎにくい高さがあるのだから、平均してもう少し上を狙うべきではなかったか。

このシュートのリバウンドを小笠原が蹴って右外へ出しているが、この日はFKからの直接シュートをGKがはじいたのが2本あったのに、2本ともリバウンドをとることができなかった。相手の密集の守りの時こそ、リバウンドが生まれるもの。それを狙うことも得点力アップのひとつである。そのFWのなかで、久保竜彦がこの日スターティングラインナップに入ったが、プレーを見る限り、コンディションはよくなかった。いい素材なのに、重大な時期に調子を崩してしまったのは、誠に残念なことだった。


ボールの高さと落下

エリア内で、長身の相手の高い守りを見せられると、中村俊輔というプレーヤーの存在が大きくなってくる。国内組の今度のシリーズでは、彼のようにクロスを高く上げて狙ったところへ落とせるプレーヤーがいないと攻撃の手が限られてくる。

小笠原はドロップするボールを蹴るし、精度も高いが、相手DFが長身揃いとなると彼のキックも、もうすこし高さがほしい。

タイムアップ直前に、巻が右サイドで相手とからみ、そのリバウンドを玉田にパスして、玉田が左足シュートを右外へ外した。これは玉田がまだ自分のシュートの角度をよく認識していないか、あるいは知っていても落ち着いてシュートの際に自分の角度に合わせてゴールと向き合う姿勢をつくっていないからである。

点を取るための、こうしたそれぞれの技を修正し、それを落ち着いて修羅場で発揮してくれれば、結果はついてくるだろう。

キリンカップの2試合によってFWに巻が入ることになった。2002年は鈴木隆行の体を張ったプレー、諦めないねばり強いプレーが日本の攻撃でも大きな要素となった。こんどは巻という選手の強い体と高さが、攻撃でも守備でも役立つとジーコは考えたのだろう。

◇98年のフランス大会に初出場した日本代表は、1勝もできず3試合で1得点(失点4)だった。2002年は2勝1分でグループリーグを首位で突破しながら第2ラウンドでトルコに敗れてしまった。

こんどのチームは中田英寿や小野伸二の3回目出場をはじめ、出場経験者が多く、また海外での試合の経験を積んだものも少なくない。1ヶ月の短期集中の大会での戦い方も心得ているはず。選手たちが自らの工夫で攻守にもう一段ステップアップして、いい結果を出すことを期待しよう。

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5月9日 日本代表 vs ブルガリア代表

2006/05/09(火)

サッカーの得点の楽しさ、得点のむずかしさを教えてくれた、
5月のキリンカップ

キリンカップ2006
5月9日(大阪長居スタジアム )19:20
日本代表 1(0-1 1-1)2 ブルガリア代表
日本代表 得点:巻(76分)
ブルガリア代表 得点:S・トドロフ(1分)、H・ヤネフ(91+)

【日本代表メンバー】
GK: 23 川口能活
DF: 2 田中誠→8 小笠原満男(61分)、5 宮本恒靖(cap)、21 加地亮、22 中澤佑、25 村井慎二→14 三都主アレサンドロ(44分)
MF: 4 遠藤保仁、15 福西崇史→18 小野伸二(61分)、30 阿部勇樹→35 長谷部誠(83分)
FW:28 玉田圭司、36 巻誠一郎→37 佐藤寿人(77分)
SUB: 1 楢崎正剛、9 久保竜彦、12 土肥洋一、、19 本山雅志、20 坪井慶介、24 茂庭照幸、31 駒野友一

【フルがリア代表メンバー】
GK:     1 コレフ
DF:     2 ミラノフ→5 バレンティン・イリエフ(HT)、3 トプザコフ、4 ワグネル、6 キリロフ、ヤンコビッチペトロフ、20 アンゲロフ
MF:     8 ヤンコビッチ→18 ゲオルギ・イリエフ(26分)、17 ペトロフ(cap)→11 ヤネフ(86分)、21 テルキスキー→19 カラスラボフ(92+分)
FW:     9 スベトスラフ・トドロフ→ 14 ドモフチスキー(64分)、13 ヨルダン・トドロフ
SUB:     12 ミハイロフ、5 バレンティン・イリエフ、19 カラスラボフ、15 ゲンコフ

■ サッカーの得点の楽しさ、得点のむずかしさを教えてくれた、5月のキリンカップ
■ シンプルだが効果的な攻め
■ 守りの人数はいても・・・
■ 得意技の組合せ

サッカーの得点の楽しさ、得点のむずかしさを教えてくれた、5月のキリンカップ

ワールドカップの本番で、日本を応援するとともに、それぞれの試合の中での得点シーンをしっかり見つめていただきたい。シンプルなゴールもあり、相手のミスに乗じるものもあり、FKからもあり、PKもある。そして見事なドリブルとパスの組合せや、力でねじ伏せるような場面もある。

そうした様々なゴールが生まれた場面から、その根源をさぐることが、サッカーの面白味を深めることでもあり、日本サッカーの得点力アップにもつながると考えています。

私自身がドイツへ旅立つ前に、キリンカップを振り返って、もう一度サッカーの楽しみを噛みしめました。

2006年5月9日 大阪・長居

日本代表1-1ブルガリア代表

◇ 代表の23人が発表され、Jヴィレッジでの合宿が終わって、釜本邦茂団長、ジーコ監督と代表チームはすでにドイツに入った。盆で合宿し30日にドイツ代表とレバークーゼンで、6月4日にはマルタ代表とデュッセルドルフで試合を行って、いよいよ開幕。6月12日カイザースラウテルンでFグループ第1戦、対オーストラリアを迎える。

本来ならこの時期は、日本代表の消息や対戦相手との比較が一番のテーマになるのだろうが、私には、5月9日と13日の「キリンカップサッカー2006」の日本の2試合にまだ引っかかっていることがある。

その一つは、対ブルガリア戦で、開始早々にゴールを奪われたこと。というより、先制点を奪ったブルガリアの攻撃がとても見事だったことだ。

◇ 多くのメディアやサッカーの専門家たちは、キリンカップの2試合のすぐあと、5月15日に代表メンバーの発表があるところから、2試合を当落線上のプレーヤーの最終選考のチャンスと位置づけていた。そして、その関心の多くはFWに集中していた。つまり日本の攻撃で誰がどのように働くかが重要だったから、この試合の後でブルガリアの先制ゴールについての詳細な紹介のなかったのは、当然かもしれない。

しかし、サッカーというのは、ゴールを奪うこと、そしてゴールを奪われるのを防ぐことが最も大切。したがって試合の記述にも、どうしてゴールが生まれたかがあって当然である。にもかかわらず、日頃の試合の報道にも、得点についての記述は決して豊富ではない。今回は極端だったとしても、こうしたゴールそのものの話題が盛り上がらないところに、現在の日本の得点力不足の原因があるのではないか、とも考えられる。

◇とりあえず、開始早々のブルガリアの先制ゴールに移ろう。この得点は、ブルガリアがボール奪取するところから始まった。

シンプルだが効果的な攻め

1  ブルガリアのマルティン・ペトロフが左サイドから中央へ送った最初のパスが失敗し、このボールをダイレクトで中澤が前方へキック。巻が拾って相手の抵抗を受けながらすぐ近くの玉田に渡した。玉田はドリブルで突進したが、数メートル進んでボールを後に残してしまった。ブルガリアにとっては、第一次攻撃の失敗からカウンターを食うところを、再びボールを奪うチャンスとなった。

2 ボールを奪ったルシオ・ワグネルが、短くドリブルした後に、左サイドに開いていた、さきほどのマルティン・ペトロフに渡した。

3 ペトロフは、ハーフライン手前4~5メートル、左タッチラインの内側1メートルあたりで受けて、左足で止めてすぐ左足で強く叩いて右のオープンスペースへ長いパスを送った。

4 長居の記者席の、私のすぐ目の下で演じた彼のキックの左足スイングがとても美しく、ボールはライナーで右のオープンスペースにいたヨルダン・トドロフに達する。

5 ノーマークでボールを受けたY・トドロフがドリブルを始めたときには、日本側は左サイドに中澤、中央に宮本、中央右寄りに田中がいた。

6 ブルガリア側は、中央やや左寄りにスベトスラフ・トドロフ、その右後方に、ゾラン・ヤンコビッチ。ヤンコビッチよりゴールに近い側に、福西がいた。

7  Y・トドロフは、ドリブルしてペナルティエリアに近づく。これとエリア内から迎え撃つ形になった中澤に対してY・トドロフは右でクロスを出すぞというフェイクを見せつつ、ゴールラインから10メートルほどのところで切り返して、小さなステップのドリブルで内へドリブル。中澤のタックルの間合いに入る前に、小さくボールを動かし、左足でゴール前へパスを送る。

8 シュートのようにボールはゴールへ向かう。前方にGK川口がいたが、その前を斜めに駆け抜けたS・トドロフがこのボールをボレーでタッチし、ボールは川口のニアサイドを抜けてゴールに飛び込んだ。

9  2人で相手GKを含む4人の守りを破ったその攻撃はまず、左から右への長いパスと、そのパスを受けたY・トドロフのうまいドリブル(コースどり、そしてスピード)、さらにエリア内に入ってから中澤をかわしての左足の短いパス、といったボールを動かす選手の巧さがあり、さらにS・トドロフのスペースへの走り込みとタッチが見事だった。

10 彼はペナルティエリアの外、中央やや左よりの位置にいて、田中がドリブラーを注視している視野の外(いわゆる消えている位置)にいて、ここという瞬間にダッシュして田中よりニアサイドに入った。「ストライカー」だと思わせる動きだった。中澤のカバーに回った宮本は、その背後を突かれる形になってしまった。

守りの人数はいても・・・

11 日本側の失点の原因には(日本式に言うならば)、まず前がかりになっていたため、右サイドでY・トドロフがノーマークでボールを受けたことが第1の原因ということになる。

 ただし、この場面も、日本DFは3人、ブルガリアは2人で、うしろにGK川口がいるのだから数の上では問題なかった。

 それが簡単に崩されたのは、ドリブラーに応対した中澤が相手との間合いを詰めながら、相手が左から右に小さく切り返した時に、体がついて行かず、間合いが開いてしまったこと。中澤のこのプレーは、アジア予選の対イラン戦で失点したとき、左ペナルティエリア(ゴールライン近く)のところで、相手の切り返しを足に当て一度止めながら、そのあと体を寄せることができず、間合いが大きくなって左足でクロスを上げられ、中央でヘディングされたシーンを思い出させる。ボールの奪い合いの場面で、日本の選手にはこうした難点がときに見られるが、これは少年期からのボールの奪い合いの少ない日本の育成問題だろう。いささか苦しいところだが、今回はそれよりも、私はブルガリアが自分たちの個性をうまく結びつけたところに、このゴールの面白さがあると言いたい。 

得意技の組合せ 

12 攻撃の起点となった、主将のマルティン・ペトロフの左足の長いクロスは、実はその前にも1本あって、このときは彼自身の位置がハーフラインより前へ上がっていたために、左足のアウトサイドでスライスボールを蹴って、それが中澤のポジションへ飛んでいった。

わずかな時間のうちに2度も同じような位置から蹴らせたことは、チームのコンセプトとしてこの位置なら彼のキック、という考えがあった。つまり彼のプレーのひとつの得意の型を活かすことになっていたのだろう。

第2にそれを受けたY・トドロフがドリブルで間をかせぎ、小さなモーションで左足で正確にパスを出したこと。そのパスとS・トドロフのスペースへの走り込みがぴたりと合っていること。

日本にはレギュラーのDF陣はこの試合に向かうモチベーション(Jリーグの試合が間際まであった疲労も)や体の状態が万全でなかったという問題はあったにせよ、、

◇ 今回のブルアリアの代表は、2006年の予選では敗退している。決して超一流というほどのチームではないが、それでも長いヨーロッパからの旅の後でも日本を相手にこうしたプレーをやってのけるところに、彼らの攻撃に対する取り組み--それぞれのプレーヤーの得意技を組み合わせる、という考えがみられたのはうれしいことだった。

◇この後、ブルガリアが第2戦でスコットランドに大敗した。欧州からの長距離移動の後の連戦は、第2戦の出来が悪いことが多い。

それは、時差や旅の疲れはあっても、第1戦には緊張感があってなんとか戦える、しかし今回は日本に勝って一息ついたことで、時差と疲れの影響が大きくあらわれ、それがブルガリアの大差の敗戦になったと言える。これまでに来日した海外の一流チーム、アーセナルなどの多くのチームも同じ傾向だったのを思い出した。

KIRIN LOVES SOCCERへ

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