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2004年2月

2月21日 U-23 日本 vs U-23 韓国

2004/02/21(土)

平山と闘莉王とオリンピック代表の大変貌

キリンチャレンジカップ2004 
2月21日 (長居スタジアム) 15:00
U-23 日本代表 2(0-0 2-1)0 U-23 韓国代表

■ 快挙だが嬉しさもなかば・・・
■ 前半の平山、ヘディングシュートなど
■ 松井と石川が後半登場
■ 自作自演、松井のゴール


快挙だが嬉しさもなかば・・・

 U-23日本代表の不足していた「高さを必要とするポジション」のCDFに185センチの田中マルクス闘莉王と、もうひとつのポジション、昔風にいうならCF(センターフォワード)に平山相太がはいっての2試合目、キリンチャレンジカップ2004の対U-23韓国戦は2-0の勝利となった。
 日本にとっての長年のライバルである韓国、しかも歴史上もっとも強いというふれ込みだから、2-0は大いに喜んでいいはずだが、試合での彼らのプレーを見ると体の動きが鈍く調子は必ずしもよくなかった。そこのところに不満が残って「嬉しさも半分」というのは、ちょっと贅沢だろうか・・・。

 キックオフ直後からの日本の鋭い動きと高い位置からのプレッシングにとまどっていた韓国はやがてロングボールを送って広い位置での1対1に持ちこみそこから余裕を生み、体勢を立て直しをはかる。
 今回は韓国側にはトップチームに出ているメンバーが多いこともあったようだがやはり昨年の対戦で、同じU-23でも力の差ありと判断したハズ。したがって準備万全でなくても試合になるとみたのだろう。気持ちが受け身のときに、相手の動きがよいと気持ちの切りかえでも、体勢を立て直すのはなかなかのことだ。

 それでもやはり彼らは韓国のエリートたちしだいにボール支配がふえ30分からの15分は韓国のペース。日本は押しこまれカウンターをはかったが、
1) とび出した鈴木の左からのクロスが相手DFにあたる。
2) 闘莉王が持って出たがつぶされるといったプレーがつづいてフィニッシュに結びつける攻撃はできなかった。


前半の平山、ヘディングシュートなど

 前半はじめ相手の目が覚めていないときにはシュートチャンスもあった。
 彼は田中闘莉王の左足、田中達也、徳永、山瀬たちの短いパスから、エリア近くへあがっていた。闘莉王がシュートしたもの。
 組み立てながら、オープンスペースへ効く日本側の動きはみごとだった。平山もそのひとり、闘莉王の左前に展開して、パスを受けやすく、シュートコースのとれる位置にいたのはさすがというところ。
 平山は、その少し前に左タッチぎわへの茂庭からのロングキックを追い。相手DFのミスに乗じてゴールを奪って朴容昊をかわし、相手GKの前へ右足で早いボールを送った。ボールはGKが補球した。右足アウトでボールを押し出し、朴が腕をひろげて妨害しようとするのを、はねかえすように前に出た強さは、相手との間に4歳の年齢差はあるとは、とても思えない。  

 10分に平山は左サイドからのFKをヘディングした。森崎のキックが正確だったこともあり自分の位置に落下することを見きわめた平山は、その位置から動くことなく、両足でジャンプして頭に当てた。落下点の見きわめの遅かった韓国DFの菅(183センチ)と林(182センチ)のうち林がジャンプしたが、せり合う形にはならなかった。彼のヘディングシュートはGK金がキャッチした。相手ディフェンダーとの身長差がそのままあらわれたプレーだが、このヘディングでゴールを奪うために何が必要かが、これからの彼の課題となる。  

 前半25分に平山は田中のドリブルからのパスを受けて、右から左へ流れ、シュートへ持ってゆこうとして結局はつぶされた。トラッピングの方向、抜いて出るときのスピード、あるいはそのときの相手とのかけ引きなど、そうしたプレーに彼はおそらく自分がまだまだだと思っているだろう。ただし、こういう相手とせりながらのシュートでたとえボールがゴールへゆかなくても、コボしたボールが、こちらのものになるところに、平山という選手の大きさからくる有利があった。


松井と石川が後半登場

 ボールのキープ率の落ちてきた日本の挽回策は松井の投入だった。後半はじめから、山瀬に代えて松井を、茂庭に代えて石川を送り込んだ山本監督の交代策はきわめて適切だった。田中と平山という破壊力を前におき、石川を右に開かせば、中盤に広がりができる(茂庭の位置には徳永が後退する)となれば松井のキープ力、ドリブル力、トリッキーなパスが生きてくるハズ。

 後半1分(46分)鈴木がエリア内でノーマークのシュートをしたのは松井のドリブルしてのクロスパスから。47分の田中達也のシュートは右サイド石川からのパスからだった。鈴木はボールの下を叩いてオーバー、田中のドリブルシュートはGKの正面だった。田中達也はこの2分後にもシュートした。エリアのすぐ左外からの右足で蹴った。ニアのボールはGKがCKへ逃げた。 


自作自演、松井のゴール

 勢いづいた日本の攻めは闘莉王のシュート、田中達也のシュートを生んだあとついに56分の先制ゴールを奪い取る。

 それは55分の左CKと松井がファーへ蹴り、平山がヘディングで叩いて低く折り返したボールを韓国側が大きくクリアしたあとの左スローインからはじまった。
1)     森崎が投げて那須がうけ、那須は鈴木にパス
2)     鈴木は右へとみせかけたフェイクのあと左タッチぞい内側にタテパスを送る
3)     このパスは韓国DFがとったが、そのボール処理のミスを外側を走っていた松井は見逃がさなかった。
4)     奪うなり、中へのドリブルした。その勢いはすぐ近くでこのボールを受けようとした田中達也が足を引っこめるほどだった。
5)     斜めにゴールに向かってドリブルする松井にボールをまかせた田中は、その背後からスタート、自分は真っ直ぐタテに出す。
6)     追走する1人と自分と迎え撃つ2人のDF引きつけた松井は、こんどは右足のヒール(かかと)を使って、ボールを田中達也の前へ送る。
7)     意表をつくパスのタイミングとコース、それを追う田中の早さに韓国側はついてゆけない。
8)     田中はゴールエリア角、ゴールキーパーから3mの至近から、相手の姿勢をみてシュート。
9)     金永光は左手を伸ばして防いで、ボールはゴール正面、エリアのラインへ
10)     そこへ走りこんだのが松井、バウンドしたボールをサイドキックで叩く
11)     左に開いていた平山マークの朴容晃が滑りこんで体に当てて止めたが、ボールはゴールラインをこえた。

<A)>
このゴールの面白さは鈴木のタテに送ったパスが、直接に松井に渡らなかったが、それを取った相手DFの姿勢が崩れたこと、つまり、相手のイヤなところへイヤなタイミングでボールを送ったこと、さらにそれを松井が奪いとったこと。

<B>
さらには松井のドリブルとトリッキーなパス。これは彼の十八番(おはこ)だが、同時にボールを受けられるスペースへ田中達也が走ったところに、「あ・う・ん」の呼吸がある。

<C>
加わえて、松井がパスを出しただけで満足しないで、ゴール前に詰め、ゴールキーパーが防いだボールに向かったこと。

<D>
どんなにいいパスを出しても、フィニッシュをしっかりしなければゴールは生まれないことを彼等は身を似て示し、自ら威得しただろう。

 2月18日のフル代表はロストタイムでゴリ押し攻撃のゴールをもぎとって、ワールドカップ予選の前途を明るくした。
 中東勢を相手にたとえ相手に長身選手がいなかったからとはいえ、ロングボールのヘディングとそのあとの動きの量と速さと気迫といういささか非日本的攻撃だったが、これを成功させたのも、ひとつの実力であり、私は高く評価したい。一方、U-23のこのゴールは突っかけていく勢いと松井のアイディアと技術、それにチームメートのコンビネーションのよさが生きていた。日本的サッカーのゴールという点で、まことにビューテイルな得点だった。

 1点を失って韓国のは闘志を燃やす日本側にファウルが増え61分から10分間に7つの直接FKが韓国に与えられ、左サイドから3本のCKがゴール前へ。押しこまれるとGK林と仲間の呼吸が違ってきて、ゴール前のボールに林がとび出しながらボールに届かず、スタンドをヒヤリとさせる。
 日本に幸運だったのは、積極的にあがりはじめた金正又のミドルシュートが2点とも、はずれたこと。

 押し込まれ圧迫される時間帯の多いなかでの救いは、松井や田中達也のキープ力でしばらく前方でボールを動かせること。DFはその間にマークを確認し、ひとイキ入れることができる。鈴木が自陣エリアでボールを奪われ金東進がノーマークとなった大ピンチにGK林が足でシュートを防いだ。

 ピンチをしのいだあとは日本の2点目がやってきた。これも高い位置でボールを奪ったのが最初の2ステップだった。
1)     右タッチライン、中央線での日本のスローインから今野がミスパスして奪われたが
2)     その相手のパスを今野がカットし
3)     田中達也にパス、田中はワンタッチで右の石川へ好パス送った。
4)     ノーマークでボールを受けた石川は、
5)     ゴール前中央やや左より、15メートルにいる平山へクロス
6)     平山はワンバウンドのボールを右足でタッチした。これが後方へコボレるのを、背後にいた森崎がシュート。左足のアウトサイドで蹴られたボールは韓国選手の足をかすめてゴール右下スミへとびこんだ。平山は自分でシュートへ持ってゆこうとし、失敗したのだろうが、それが巧まずして一瞬の間(ま)を生み出し、森崎の左足シュートの成功につながった。

 平山相太という大型ストライカーを得たことでU-23日本代表は一段上のチームに変身した。このキリンチャレンジカップ2004の2月シリーズはサッカーという意技はひとりひとりの、がんばりや連係プレーとともに、有能な大型ストライカーの存在が、どれほど効果があるかを日本中のサッカーファンに見てもらったことになった。

 この原稿を書いている最中に電話のベルが鳴った。いままであまりサッカーに感心をもたなかった年配の知人からだった「若い人の(U-23)試合はとても面白かった。興奮した。私の母親の晩年はスモウのテレビ放送が唯一の楽しみだったが、私には野球とスモウにサッカーがふえ、三つも楽しみができた。サッカーは興奮して疲れるけれど・・・」

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2月8日 U-23 日本 vs U-23 イラン代表

2004/02/08(日)

強いイランを相手に、平山相太の期待通りのプレー

キリンチャレンジカップ2004 
2月8日 (埼玉スタジアム2002) 19:23
U-23 日本代表 1(1-0 0-1)1 U-23 イラン代表

■ 平山のシュートへの集中力
■ ヘディングの巧さと、胸のトラップからのシュート
■ 新しい戦力、田中マルクス闘莉王


平山のシュートへの集中力

 前日のフル代表の試合が、相手とのレベルが違うために全体が気の抜けた感じだったが、このU-23の試合は互角の相手だったから、とてもいい試合になった。そしてまた、平山相太という待望の大型ストライカー、高校選手権で活躍した逸材がオリンピックを目指す代表チームに加わったことで、日本中の注目を集めるカードとなった。キリンチャレンジカップ2004のU-23の第一戦は、日本サッカーの歴史に残る試合となったといえる。

 その平山相太は、前半19分にヘディングで先制ゴールをあげたから、翌日から日本のサッカーは平山一色にようにメディアが変わったのも無理がない。私のところにも、平山相太と釜本邦茂(メキシコ五輪得点王)との比較を聞きたい、という声がたくさん来ている。

 この平山のゴールは、本人が「クロスがよかったから」というように、大半は左サイドをドリブルで突破した田中達也がゴールライン深くまで入って理想的なクロスを送ったところにある。そしてまた、その田中への支援は、今野と山瀬の協力による、相手ボールの奪取と、山瀬のいいタイミングのスルーパスから。いわば、日本サッカーの十八番(おはこ)によって生まれたものだが、そうして積み上げたチャンスを18歳の平山が長身を生かしたヘディングで締めくくったところに、明るさがあった。

 190cmという長身。それでいて、小嶺監督の国見高校特有の練習、とくにランニングによって鍛えられたしっかりした足腰は、昨年の高校選手権で見せた「2年生のプレー」から「最上級生のプレー」となり、その間に日本代表を経験し、国際試合で自らのプレーが通用することを知ったことも自信になっているはず。高校選手権でのシュートの際の落ち着きは、右も左もすでに型ができていることに加えて、高校レベル以上の場を踏んだことの経験にもよるだろう。相手をかわして出たときに、シュートに集中する、つまり最後までボールを見てインパクトに入るという、優れたストライカーの基礎を備えているのが私にはうれしい。(釜本もそうだった。)


ヘディングの巧さと、胸のトラップからのシュート

 少し話がそれた。このヘディングゴールにもどすと、田中のドリブルを見ながら、平山が自分のヘディングの場所をファーポスト側に選んだのも、適切。GK を越えて自分の方に飛んできたボールを、ジャンプして上で待って、決して力いっぱい叩くのではなく、がら空きのゴール中央へしっかりコントロールしたボールを送り込んだ。高さに対する自信から生まれた余裕とは言いながら、こうしたプレーはやはり、非凡なものを持っている。

 平山相太はこのゴールまでに、後方からの高いボールを4度、相手のDFと競り合って、すべて自分の頭でとっている。DFにしてみれば、余裕がないときでも、この大きな目標の上へボールを蹴り上げておけば―という安心感があるだけでも、彼の存在はディフェンス陣にも好影響を与えた。

  タイムアップ直前、決定的な場面で再び平山がクローズアップされた。日本が力をふりしぼって攻めたて、奪って、つないで、徳永からのいいパスがゴール正面へきた。相手DFがヘディングで取りそこねたのを、平山が胸でトラップし、ワンバウンドのボールを右足でとらえて強烈なボレーシュートした。GKラハマティが手にあててCKとなった。
 胸のトラップからシュートへ入ってゆく動作もなめらかで申し分なかったが、コースがGKのリーチだった。2人のDFの間にいて、しっかりボレーで蹴る。ボールがバーより低く押さえられているところが素晴らしい。

 彼のシュートは先制ゴールのヘディングと、この胸のトラッピングからのボレーシュートの2本だけだった。パスの出し手となる選手たちとの間にこれからコミュニケーションがよくなり、シュートチャンスが増えるようになれば、得点コースは増えるだろう。


新しい戦力、田中マルクス闘莉王

 この試合では、ブラジルから日本に国籍をかえた田中マルクス闘莉王がDFの中央に入って、新たな戦力となることを示した。
 ファイティングスピリッツを表面に出すプレーヤーで身長を生かしてのヘディングは平山とともにFK、CKでの武器になるとの予想だ。
 この世代は技術もあり、若いうちからJリーグの試合経験を積む選手も多いので、個人技術、チーム戦術に対する理解力もある。ただしこういう上手で早く、すぐ役に立つプレーヤーを集めると、大型プレーヤーが入ってこない傾向となりがちだが、下の年齢層から平山、異邦から闘莉王を加えたことで、高さの点でも補いをつけた。

 フル代表に抜擢されながら調子を崩している大久保、これもフル代表にいる石川をはじめ、多くの才能がこの日は働き場がなかったが、オリンピックの1次予選だけでなく、フル代表への足どりも見込んで、注目度はこれからも増すだろう。

 平山のことで、字数を使ってしまった。他のメンバーについては、つぎの機会にしたいが、FKでの失点についてひとつだけー。
 相手のパスを止めた田中闘莉王が左手を使ったと判定されてペナルティエリア外、右よりの地点でのFKとなった。日本のカベは6人。その左端に相手の身長188センチのエビラヒミが立ち、ボールの近くに左利きのバダヴィと右ききのモバリがいた。まずバダヴィがスタートしたが蹴らず、モバリが蹴った。コースはエビラヒシがカベから離れたあとの空間だった。
 GK林はバダヴィの陽動に惑わされて、キックより先に逆に動いたのを後悔することになったが、そうでなくても手が届いたかどうか、シュートの巧さと相手のフェイクを評価すると同時に、先に動くことの危険を改めて認識しなければならない。

  イランの激しさとスピード、そしてテクニック試合の駆け引きの巧さのおかげで、試合はまことに面白かった。
 このキリンチャレンジカップ2004を見ることで、アテネオリンピックのアジア予選のレベルもまた、なかなかのものであることを知るチャンスとなった。

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2月7日 日本 vs マレーシア

2004/02/07(土)

日本 - マレーシアを見て
フィジカルトレーニングの疲れのたまったなかでの試合。
もの足らない点があっても、キラリと光るプレーも随所にー。

キリンチャレンジカップ2004 
2月7日 (茨城県立カシマサッカースタジアム) 19:04
日本代表 4(3-0 1-0)0 マレーシア代表

■ ゴールをたくさん取るための試合
■ 技術アップの跡
■ さて得点シーンは
■ 藤田の反転スルーパス
■ 相手GKが上のレベルだったらー


ゴールをたくさん取るための試合

 GO for 2006!つまり「2006年ドイツワールドカップをめざす」をキャッチフレーズとするこの日の試合は、2月18日のアジア予選の第1戦、対オマーン(埼玉)のホームゲームに向けて、いま代表チームがどういう状態にあるかーを公開の場、それもテレビのゴールデンタイムを通じて多くのサッカーファン、日本のスポーツ愛好家に見てもらおうーというのが、マッチメーカー(JFA)の意図だったと思う。現在の日本代表より、実力の劣るマレーシア代表をその相手に選んだのは、ゴールをたくさん奪って自信をつける(得点コースの組み立てや、シュートそのもののシミュレーション)日本チーム全体の調子を上向きにもってゆきたいと考えたからだろう。 

  スコアは4-0だった。
 JFAの川淵三郎キャプテンはゴールの少ないこと、ゴールを取ろうとする意欲に乏しいことに不満のようだった。記者席の多くも同意見だったが、ひとつにはマレーシア代表が「まだ編成して日が浅く」(アル・クリシュナサミー監督)チームはバラバラの感じだったので、日本側は常に余裕を持ってプレーができた。そのためにスタンドからは迫力に乏しく見えたのだろう。  

 ジーコ監督はこの日の日本代表を「フィジカルを主にした練習が終わったところで、コンディションはよくない。にもかかわらず、この時期に、これだけやれたのには満足している」と評価した。タイトルマッチの初戦を前にしたこの時期、監督が選手を悪くいうことはないから、こういう言い方は当然だろう。

 たしかに2月18日にピークを持ってゆくためのフィジカル中心のトレーニングを積んだあとであれば、この時期は、選手には辛い頃だ。そしてキックオフしてすぐに、相手が「たいしたことはない」とわかると、気持ちの上では「バンバンやってやろう」と思っても、体の方は自然にムリをしないで楽なプレーを選ぶようになりやすい。


技術アップの跡

 そういうハンデを頭においてみても、私に不満はある。それは昨年12月の東アジア選手権以来、ほぼ2ヶ月たったこの日の試合で日本代表のいくつかの技術に進歩改善が見られなかったことだ。
 たとえば
1)     両サイドに上がってきた選手のクロスは狙いどおりにはゆかず、一番近いDFに防がれる。
2)     本山のようなドリブラーがこのクラスを相手に1人目、2人目をかわせても3人目でとられる。
3)     2人目を抜いたあとのシュートがうまくゆかない。
4)     抑えているつもりのシュートでもバーを超える。
5)     山田卓也や遠藤、藤田という第2・第3列から飛び出す選手が大事なところでのボールタッチに失敗することー。
6)     柳沢がボレーシュート(ゴールをオーバー)したものだった。

  5)はコンディショニングとも関係はあるが、あえて藤田のような巧者、遠藤や山田のような今もどんどん伸びている選手だから言いたい。
 これらは基本的な技術であると同時に、実戦でもっとも役に立つテクニックでもある。いわば代表での必要なポジションプレーだから試合のなかった時間を利用して選手が練習し上達するかが、チーム強化の大きなポイントでもある。おそらく練習を心がけているが、まだ成果が出るところまでには到っていないということかも知れない。

さて得点シーンは

  4ゴールの経路を見るとー

  〔 1 〕 小笠原のエリア外からのシュートによる1点目は
1)     左MFの位置にいた山田卓から三都主に渡り
2)     三都主から内の遠藤へ
3)     遠藤がすぐ前方の小笠原に渡し、
4)     小笠原がコースの開いているのを見て、右足のシュートをエリア外、左よりから蹴ったもの

 インステップのややアウトサイドに当たったらしく、ボールは右へスライスして、GKアズミンには止めにくいボールとなった。それまで、中央部の攻めが多かったのが、左へ三都主へ一度開いてから中へつないだボールで、中央部にスキ間ができたところを、小笠原が思い切りよく蹴ったーということになる。

  〔 2 〕 2点目は37分、右からの小笠原のクロスにファーポスト側にいた宮本恒靖が飛びこみ、相手DFの前で頭で叩いたビューティフルゴールだった。
  このゴールのしばらく前から、日本側が本山のドリブル、藤田の飛び出し、ワンツーのパスの突破などさまざまな手法でシュートまで持ってゆきながら、ゴールにつながらなかった。
   35分の右CKを小笠原が長いカーブキックを蹴って、ファーポスト側のゴールエリア角より外へ飛ばしたのを山田卓(だったか)がヘディングでゴール正面へ返し、そこにいた宮本恒靖がヘディングしたチャンスがあった。GKがはじいてCKとなった。
 この小笠原のファーへのCKが2点目の伏線。相手が日本の再三の攻撃に押しこまれ、ゴール前に固まっている、それを小笠原はCKをファーへ蹴ることで、固まったDF陣をゆさぶったのだろう。狙いどおり宮本のヘッドまでつながったが、GKに防がれてしまった。
  しかし、その次のCKのあと、ボールを拾ったペナルティエリア外から小笠原は遠いところにいる宮本恒靖を察知して、ファーポスト側に送りこんだ。こういう小笠原の「眼力」と宮本のゴールへの意欲が生み出した2点目だった。

 〔 3 〕 山田暢久の決めた3点目も、この三都主がファーポストへ送ったクロスがエリア内右よりに落下したのを本山が拾って、後方の中央へ上がってきた山田暢久にパス。山田が右足でシュートして決めたもの。
 エリア内でボールを拾った本山のこういうときのパスの巧さはJリーグでもよく見かける。
 大きめのクロスによるゆさぶり効果を再び見た攻撃。


藤田の反転スルーパス

  〔 4 〕 4点目は後半始まって1分に、遠藤が相手DFのクリアしたボールを左足ボレーで決めたもの。
  これは、相手ボールを高い位置で奪ってからの攻撃ーという日本代表のひとつの手法で、
1)     まず左サイドからの本山のドリブルでの中への持ち込みに始まった攻めが
2)     いったん相手に防がれ、ボールを奪われたが、本山たちが追いこみ、相手MFのボールを三都主が足にあててルーズにし
3)     そのボールが浮いて、中央部左より落下するのを藤田がとる。
4)     胸でトラップした藤田が相手が妨害にくるより早く、反転して左足でタテにボールを送り
5)     スタートした三都主が左タッチライン近くで追いつき、10mドリブルしてクロス
6)     ノーマークで蹴ったボールはファーポストへ飛び、外から飛びこんでくる本山と競り合ったDFのヘッドボールが本山の体にあたって、ゴール正面、エリア内に落ち
7)     それをDFがヘッド
8)     そのボールがペナルティエリアに落ちて、バウンドしたのを遠藤がエリアすぐ外で左足のボレーでとらえたもの。ボレーのキックは、自分の得意の高さまで落ちてくるのを待った見事なもの。コースはGKの手の届く範囲だったが、キックの瞬間はGKにとって見えにくい位置だったかも知れない。


相手GKが上のレベルだったらー

 4得点は、それぞれパスの出し手の状況判断の正確があって、いい組み立てになったが、クロスそのものが仲間の頭上にピシャリと届いたものでないこと、そしてゴールに飛びこんだシュートそのものが、もし相手のGKの出来がもう少しよければ、4点になったかどうかという疑問は残る。

  日本側は後半15分以後にメンバーを変更し、控えの選手に試合を経験させた。
  5点目、6点目は生まれなかったが、チャンスは何度も作った。もっとゴールをという観客の要求に応えられなかったのは、ここしばらくの日本の選手育成にゴールへの意識が高くないことにあるハズだが、この件については別の機会にしよう。

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