2023/6/20(火)日本/大阪・パナソニックスタジアム吹田
日本代表4-1(2-0) ペルー代表
――このシリーズ2戦目は、ペルー代表が相手でした
賀川:カタールW杯には出場していませんが、強国がそろう南米でもまれている国です。サッカーを離れたところでいえば、日系人のアルベルト・フジモリ大統領が有名でした。
――エルサルバドル戦とかなりメンバーが入れ替わりましたが、攻撃力は維持されていました
賀川:右の伊東、左の三笘、1トップの古橋はスピードがあって、相手の脅威になっていましたね。一昔前ならば、南米と対戦となれば、身構えていたものですが、日本の選手が本当にうまくなりましたから、慌てるようなところはありません。ボール扱いも日本の選手の方が上でした。かなり長い距離のロングパスも足で正確にトラップして、次の展開に向かっていきます。
――先制点は前半22分、伊藤洋輝が決めました
賀川:ペナルティーエリアの外側、右サイドでのボール回しから中央でボールを受けた遠藤がフリーの伊藤洋輝を見つけて横パス、フリーの伊藤洋輝が低い弾道でゴール左に叩き込みました。左に三笘がフリーでいましたが、相手の注意も三笘にありましたから少しマークが手薄で、思い切ってゴールを狙って正解でしたね。大柄で足元の技術も高い伊藤洋輝は貴重な左利きなので、これから楽しみですね。
――追加点は前半37分、鮮やかなカウンターからでした
賀川:GKから右サイドでボールを受けた菅原が伊東に当てて、その伊東が右足のインサイドで菅原にうまく落として、一気にスピードアップしました。菅原は中央でフリーの鎌田に預け、左の三笘に展開、三笘は得意のゾーンで右に切れ込んで打ったシュートが相手に当たってコースが変わり、2点目となりました。
――左サイド、左45度は、三笘ゾーンと呼んでもいいのでは
賀川:左サイドが得意だったデル・ピエロや、右45度に絶対的な自信があった釜本邦茂のように、自分が得意とする角度があるのは大きな武器になります。相手も何をしてくるのか、人数をかけて守らなければならない。お客さんも、あのエリアで三笘にボールが渡れば期待感が膨らみます。釜本も高校時代から相当な練習量があって、あのシュート技術を身に着けました。三笘も少年時代から積み重ねた鍛錬があっての技量なんだと思います。
――後半も日本の勢いが止まりません。後半18分、今度は伊東が3点目を決めました
賀川:前田が競ってこぼれたボールを鎌田が左の三笘につなぎました。三笘は自分で勝負できる得意なゾーンまでボールを運びましたが、逆サイドでフリーの伊東を見つけていました。落ち着いていた伊東は大きく逆方向にトラップしてGKのバランスを崩して、ゴールに流し込みました。三笘はゴールの可能性が高いプレーを選択したということでしょう。
――後半30分前田がトドメのゴール
賀川:ペルーのバックパスのミスをさらった前田がそのままゴールまで運んで、決めました。一度右にドリブルのコースを変更して、シュートをコースをつくりましたね。GKの手に当たりましたが、うまくゴールに吸い込まれてくれました。
――ペルー代表は日本戦の前に、韓国代表に1-0で勝っていたそうです
賀川:最後1点奪われましたが、内容的には完勝でした。吉田麻也不在のセンターバックは板倉、谷口で安定感があります。遠藤が高い位置でボールを奪い返すことができるので、早く相手陣に攻め入るシーンが何度もありました。エルサルバドル戦と大きくメンバーを入れ替えても、チームとしてやろうとしている形が変わらず、クオリティーも保たれています。若い選手も多いですし、現在の日本代表は非常に高いレベルにあるといえるでしょう。
――秋にはW杯アジア2次予選が始まります
最初に現地で観戦した1974年の西ドイツ大会は16チーム、1982年に24チームになり日本が初出場した1998年に32チームになりました。チームが増えるたびに、大きな賛否両論が巻き起こりました。アジアの出場枠が増加するということですが、W杯予選が厳しい戦いになることは変わりないでしょう。出場の可能性が広がったということで、アジアの中堅国が張り切るでしょうから。ですが、このメンバーであれば、自信を持って臨むことができるでしょう。
――本稿がこの連載の最終回になります
賀川:20年間に渡り、代表が成長していく姿を見せてもらい、それを書くのは誠に楽しいことでした。日本でサッカーの人気がそれほど高まっていなかった時代からJFAを支えていただいたキリンカップ、キリンチャレンジカップの存在なしに、現在の日本代表を語ることはできません。長きに渡る支援、そして今後のサポート継続を願っております。