2012年4月5日  なでしこジャパン 対 ブラジル女子代表

2012/04/08(日)

キリンチャレンジカップ2012
2012年4月5日(木) 19:45キックオフ(兵庫/ホームズスタジアム神戸)
なでしこジャパン 4-1(前半1-1) ブラジル女子代表
 得点 日本:オウンゴール(16)、永里優季(58)、宮間あや(61)、菅澤優衣香(89)
    ブラジル女子代表:フランシエリ・マノエウ・アウベルト(45+1)

――FIFAランク1位のアメリカと2011のチャンピオン日本、それと北京オリンピック銀メダルのブラジルという3チームによるキリンチャレンジカップ2012は
日本 1−1 アメリカ 4月1日
アメリカ 3−0 ブラジル 4月3日
日本 4−1 ブラジル 4月5日
となって、なでしこジャパンが1勝1分得点5失点2、アメリカ1勝1分得点4失点1、ブラジルが2敗得点1失点7で日本が優勝しました。

賀川:日本代表、なでしこジャパンとそれを構成するメンバーの層が厚くなり、個々の選手の力が昨年の優勝以来、少しずつ充実していること、それを2試合で示したといえるでしょう。もちろん、ホームで戦ったのだから、優勝して当たり前という見方もできる。また実力ある相手との試合でも、そういう見方をする時期に来ているともいえるが´ーー。

ーーどこかで賀川さんはもう少し進化が早くてもいいということを言ってましたね。

賀川:まあ老人は気が短いからね。低年齢層からの育成、トップの強化など、いまほど日本サッカーは環境に恵まれている時期はないのだから――男子ともども日本全体に技術面、体力面、サッカーセンスの面、コーチ力の面で、もう少し進化が早くてもいいと、いつも言っています。その早い遅いは別としてもこんどのキリンチャレンジカップシリーズで何人かの選手の向上が見られたのは、とてもいいことです。

ーーさて、試合です。対ブラジル戦は北京オリンピック銀メダルのブラジルから4ゴールしました。

賀川:ブラジルは今世界で最も優秀な選手と言われているマルタがいるのだが、今回は来日しなかった。彼女がいればどうなっていたか――そのマルタ除きでも前半は互角、むしろブラジルに勢いがあった。

――テレビ解説でも、4月3日の対アメリカ戦と5日の対日本戦ではブラジルの意気込みが違うというように言っていました。

賀川:16分の日本の先制ゴールは、ゴールから30m、左サイドのFKを宮間あやが右足で蹴ったのがオウンゴールになってしまった。ゴール前中央でDFのアリニ・ペレグリノがヘディングでクリアしようとして失敗。頭をかすめて落ちてバウンドしたボールをキャプテンのダイアニ・メネゼスがヘディングで自分のゴールに入れてしまった。

ーー宮間のキックがよかったとも

賀川:速いボールだった。日本側はボールのコースに飛び込めなかったがアリニの前に宇津木瑠美がつめようとし、ダイアニの外から田中明日菜が追っていた。

ーー勢いがあっただけにブラジルにとってはこの失点は痛かったでしょうね。それでも45+1分にFKから同点にした。

賀川:なでしこのDFライン、つまり第3列とその前のMF陣のパスのやりとりを狙われ、奪われたボールを取り返そうとしたファウルでペナルティエリアの外、左角に近いところだった。

ーーフランシエリ・マノエウ・アウベルトという選手の右足のいいシュートでした。

賀川:強い回転ではないが、右ポストの内を狙う典型的なカーブシュートだった。スロービデオでボールのコースを見ながら、やっぱりブラジル人だなと思いましたよ。

ーー後半の日本の1点目も宮間の右CKからでした。

賀川:彼女が左足でニアポストへ蹴ったライナーを相手のDFの背後から前へ入り込んだ永里優季のヘディングだった。永里にとっても会心のプレーでしょう。キッカーとの呼吸の合った見事なゴールですよ。

ーー少し気落ちした相手に、その3分後にこんどはすばらしい展開で3点目を奪いました。

賀川:自陣右サイドの大野忍からDFの中央へ、さらに左に展開して左サイドで縦パスが出て、そこから今度は相手のペナルティエリアの根っこ(ゴールラインの交叉点)まで持ち込み、ゴール正面へクロスを送るという、多くのチームの監督さんたちが夢見るような展開の後のゴールだった。

ーー左の前へ飛び出した菅澤優衣香が左から中へ持ち込み、DFの足の間を抜くゴロのクロスを送ったのが、ゴール正面へ走り込んだ永里に来た。

賀川:それを永里が止まって左足をのばしてトラップし、もどって反転して右足でシュート、GKアンドレイア・スンタケが防いだリバウドを走り込んで来た宮間が決めた。

ーー宮間は後半からMFの中央にいましたね。

賀川:この日の宮間はここまでのボール全てにからんでいるが、感心したのはその宮間の外に、大野もきちんとつめていた。

ーー最初のパスを出した大野が、右でボールがまわっていたのにゴール前へ出ていたわけですね。

賀川:スロービデオを見ると、反転シュートするときに永里がいったん顔をあげたようだった。ひょっとするとその時、右サイドへ大野が上がっているのを見たかもしれない。こういうときの反転シュートはだいたいゴールキーパーの正面へ行きやすいものだが、永里のシュートはゴールキーパーの体の芯から外れていたーーだからキャッチでなく叩くセービングで叩くことになったというわけ。

賀川:永里はこの日は調子が良かったが、このシリーズで、ドイツでプレーを積んでいる効果がいろいろな形で出ていたようにみえた。

ーー川澄にゴールはなかったが。

賀川:彼女はこの日もシュートのチャンスにしっかり蹴っていた。相手DFを右へかわして右で打ったシュートはなかなかのものだが、少し浮いたね。あの形で押さえの効いたシュートができれば、もうひとつ上になる。

ーー4点目で近賀ゆかりのプレーをほめましたね。

賀川:近賀はこのシリーズでやはり攻撃への冴えをみせた。この4点目、一番疲れているタイムアップ直前に持ち上がり、菅沢の走り込むのを予想してニアへスピードを殺したパスを送って菅沢のダイレクトシュートを引き出した見事なプレーだった。

ーー相手は遠征チーム、疲れて動きが鈍ったこともあったが、選手は後半は余裕があって、いいプレーが重なりましたね。

賀川:それはとても大事なことですよ。もちろん相手が元気でガンガン来ているときにもいいプレーを演じてゴールを奪えるようにならなければいけないのだが、ともかく自分たちの攻めの経路をつくりあげ、それでゴールを重ねるーーことを積み上げるのが大切ですよ。

ーーこれでなでしこ人気がさらに高まってくれれば。

賀川:ごく最近、サッカーについて全く知らなかった年輩の婦人が、なでしこの活躍ですっかりとりこになってテレビを見ているーーと言っていた。こういう新しいファンのためにも、なでしこはいいプレーを見せてほしいものですよ。

ーー新しいファンと言えば、68年のメキシコ五輪の銅メダルで急激にファンが増えたころ、賀川さんは「お父さんのためのサッカー教室」という連載をどこかの雑誌で書いていたでしょう。ひとつ番外編でおかあさんのためのサッカーの見方でも書いてみたらーー

賀川:そうだね。なでしこのサッカーはバルサに似ているが、バルサほど動きが早くないのでテレビでもわかりやすいはず。そういうプレーを説明し、理解してもらうことも大事でしょうね。

固定リンク | スポーツ | コメント (0) | トラックバック (0)


2012年4月1日  なでしこジャパン 対 アメリカ女子代表

2012/04/03(火)

キリンチャレンジカップ2012
2012年4月1日 19:30キックオフ(宮城/ユアテックスタジアム仙台)
なでしこジャパン 1-1(前半1-0) アメリカ女子代表
 得点 日本:近賀 ゆかり(32)
     アメリカ女子代表:アレックス・モーガン(72)


――強敵アメリカとの1-1いかがでした?

賀川:試合そのものも面白かったけれど、私は開幕セレモニーのアメリカ国歌を聞きながら、ジーンときましたよ。

――何か思い入れがありましたか?

賀川:アメリカ軍の音楽隊の男女が盛装して歌ったでしょう。その歌声とワンバックたち選手が口を動かしているシーンをテレビで見ながら、こういう形で日本とアメリカのスポーツ交流が行われるようになったことに感激したね。

両国のスポーツといえば、これまではまず野球(ベースボール)だった。それがサッカーで、しかもワールドカップ優勝の日本と、FIFAランキング1位のアメリカが大震災の被災地仙台で---ですよ。あの震災のときのアメリカ軍のすばやい対応は、私たちには忘れることはできない。

――賀川さんのような戦中派で、アメリカと戦争をした世代は特にそうでしょうね。

賀川:必ずしもこの国のすることは全てがいいとは言えないけれど、あの大正12年(1923年)の関東大震災のときも、一番先に日本にかけつけたのは、救援物資を積んだアメリカの駆逐艦だったという記録もある。当時はアメリカでは日本の移民排除運動のあったころですよ。

――そういうことも改めて思い出させてくれたということですね。

賀川:キリンカップ、キリンチャレンジカップはこれまでも外国チームとの対戦でいろいろなサッカーの楽しさを味合わせてくれたが、今回は震災と女子のナンバーワン同士という点でもとても意味のある催しとなったと思いますよ。

――日本の女子サッカーにとっても意義は大きい。

賀川:テレビで女子サッカーを見せてもらえるのはJFA(日本サッカー協会)にとっても、女子の関係者にとっても、とてもありがたいことでしょう。男子のコーチや指導者、選手、あるいは親御さんにとっても女子のトップ級のプレーを見ることはとても参考になるはずです。

女子を見ることで、男子のコーチも勉強になると。

賀川:多くの指導者にはとてもプラスになったはずです。

――さて、このアメリカ戦は昨年のワールドカップ決勝(2-2でPK戦で日本)、今年3月のアルガルベカップ(1-0で勝ち)に続いて3連勝できるかというところでした。

賀川:スコアは1-1、前半は日本がよく、後半はアメリカに勢いがあった。シュート数はどちらも8本ずつ。ワールドカップの優勝で、日本の中心選手がアメリカに対して自信をもつようになった感じもあるが、相手のプレッシングが激しくなると、なかなかボールをきちんとキープできず、パスミスも増えたところが今後の課題だろう。

――先制ゴールは近賀でした。

賀川:彼女は右サイドの高い位置へ進出して、前半はそこからチャンスを生んだ。得点の時の攻めは
(1)熊谷からのパスをノーマークで受けた近賀が
(2)右タッチ際からいったん中の川澄に渡し、
(3)川澄がドリブルで相手の守備網の前へ進み
(4)DFラインの裏へ、ふわりと小さく浮き玉のパスを送った
(5)このとき大野がDFラインの裏へ入っていて、オフサイドの位置だったが、彼女は状況を見てプレーの動作を起こさず、
86)外から裏へ走り込んだ近賀がボールを取り、ゴールライン右ポスト近くから中へパス
(7)ファーサイドにいた永里がダイレクトシュートした
(8)ボールはDFに当たり、GKにも当たって近賀の前へ
(9)近賀が左足で蹴り込んだ。

――川澄のうまいパスでしたね。

賀川:川澄はワールドカップの後、上手になった。元々ドリブルもシュートもしっかりしていたのが、自信を持つようになったのだろうね。自分のスピードをよく知っていて、緩急をつけ、また体でボールをカバーしたりできる。

――相手をかわすだけでなく、持って出てシュートまでゆけますからね

賀川:ボールを持った時に自信があるから周囲も見えるようになっている。

――この試合では、惜しいシュートもあった

賀川:ノーマークシュートを横殴りで蹴って、逆ポストの外へ出したのもあったね。もともと点の取れる選手で、まだまだ伸びるでしょう。

――チームのパス攻撃は進化したように見えましたが、守備はどうでしょう。

賀川:守りと言うのは基本は1対1の守りの強さが基礎となるので、いくら組織力で守っても、日本の個人力では男子も女子も、どこと試合しても1点は失なうものと考えた方がよい。だから勝つためには、どこを相手にしても2点を奪える力をつけることですよ。なでしこも攻撃の組み立てはずいぶん上手になってきたから、シュート力とどこでシュートするか、つまりフィニッシュの位置やスペースの選び方とそこへ入ってシュートすること――その力と方法を身につけることです。ちょっとした各個人の工夫と選手たちの「あうん」の呼吸で、もっと点が取れるようになるでしょう。

――アメリカはどうでした?

賀川:ベテランのワンバックがあまりよくなかった。モーガンはあいかわらず危険なFWだが……これだけのタレントがいて、そこそこの技術もあるのに、もう少し理詰めの展開をすればより強いチームになりますよ。

そう、ポルトガルの大会で日本に勝ったドイツはFWにひとり、これまでのドイツ選手とは違ったタイプがいたでしょう。単純なタテへの攻めで日本が失点したのは、ドイツ人と違った身のこなし、ドイツ人と違った速さ(たとえば足を出す速さ)のプレーヤーがいたからだと思います。

――ブラジルは一番のストライカー、マルタが来日していないそうです。

賀川:せっかくのチャンスで惜しい気がするが、マルタ以外にもいいタレントがいるかもしれない。そういう相手と戦えるのも、このキリンチャレンジカップのいいところですよ。

――3日にアメリカ対ブラジル(フクダ電子アリーナ)があるので、そうした外国チーム同士のレベルの高い試合を見ることができる。

賀川:日本の女子サッカーは、いまパスワークで世界で高く評価されるようになったのはいいけれど、個人力を高めることも大事なこと。アメリカの選手たち、ブラジルのプレーヤーの技術や体力、走力をこの試合でみるのもとても勉強になるはずです。

固定リンク | スポーツ | コメント (0) | トラックバック (0)


2月24日 日本代表 vs アイスランド代表

2012/02/29(水)

キリンチャレンジカップ2012
2月24日19時20分キックオフ(大阪長居スタジアム)
日本代表 3(1-0、2-1)1 アイスランド代表
 得点 日本:前田遼一(2)藤本淳吾(53)槙野智章(79)
     アイスランド:アルノール・スマウラソン(90+3)

 

――3-1の勝ち、まずまずでしたね。

賀川:今年になって初めて集まった日本代表だから、まずその1勝おめでとう……ということになる。

――アイスランドは人口32万人――。サッカーの登録プレーヤーも男女合わせて2万人という小さな国ですから、勝って当たり前といえるでしょう。賀川さんから見て、この試合の収穫は何でしょう。

賀川:相手のレベルがどうであれ、3ゴールしたのはいいことですヨ。

――先制は前田遼一のヘディングシュートでした。前半2分のこのゴールは、大久保嘉人からのパスを受けた槙野智章が左サイドを突破して中へ持ち込み、右足で高いクロスを前田の上へ送った。「とてもいいクロスだった」と前田も話していました。

賀川:後半8分の2点目は、中村憲剛の見事なパスをノーマークで受けた藤本淳吾が、ゴールキーパーの位置を見て左足でフワリとしたボールを蹴って頭上を抜いた。

――左利きの藤本のワザありゴールでしたね。槙野のクロスも、ボールテクニックで知られている彼らしいプレーでした。

賀川:私はこの試合の2人のフワリ・クロスとフワリ・シュートを評価している。と同時に、相手がアイスランドでなく、もう少しマークが厳しいとか、寄せが早いチームや選手だったらどうだったか――とも思った。こういうプレーが試合中にも出来るのは、ボールを持つこと(ドリブル)に自信があり、余裕があってのこと。それが、もう少し上のクラスのときにどうだろう――とね。この疑問はどんな好プレーのときにもついてまわるのだが……。

 3点目はFKから、中村憲剛のボールをゴール前で相手と競り合った槙野が倒れたところにボールがきて、しっかり決めた。中村は後半の頭からプレーしたが、仕事をちゃんとした。

――失点のほうはアディショナルタイムに入ってから、相手のFWに対する槙野のファウルでPKを与えてしまったもの。マークのずれがあったかもしれませんが……

賀川:相手の大型選手がトラップしたときに、背後から取りに行って生まれた反則。浮いたボールがペナルティエリアに入ってきたときの大型相手の防ぎ方は、いつの時代、どのクラスであっても日本代表チームの課題なんです。槙野のようなプレーヤーでも起こりうる――ということを実戦で経験できたのは良かったと思う。

(2月29日のワールドカップ予選の対ウズベキスタンのホームは、相手の強い当たりと速いプレッシングに日本代表はゴールを奪えず、0-1で敗れた。プレーはハリがなく、ボールの奪い合いでも、相手のスクリーニングにこちらの2人がかわされる場面も多かった。敗因を一口でいえば運動量不足ということになる。コンディショニングなどいろいろ理由はあるだろうが、日本代表が力を発揮するためには動きの量を大きくすることが第一。ヨーロッパでそこそこ試合に出られるようになった選手がいるといっても、代表としてチームを組めば“走る”“動く”という特徴を出さなければなるまい。それがなければウズベキスタンをはじめとする西アジアの、粘っこく、重いサッカーに勝つのは容易ではない)

――いずれにしても、槙野や藤本といった比較的新しい顔ぶれが、代表の中で良いプレーを演じてゴールに絡んだのは、チームにも本人にも素晴らしいことですね。

賀川:あとは、それを積み重ねてゆくことですヨ。

――アイスランド側では、ロングスローがスタンドを喜ばせました。ソルスティンソンという選手だったか……。

賀川:スローインを遠くに投げる投げ方の一つで、ハンドスプリングスローというらしい。とても面白かったが……。

――そういえば日本ではスローインの遠投は近頃あまり見ませんね。

賀川:今の代表では内田篤人が遠投する方だね。遠くへ投げるのは、一つの武器でもある。戦前の慶応の黄金時代の笠原隆さんの遠投は有名だった。右タッチラインからゴールライン辺りまで投げて、二宮洋一さんがヘディングでゴールしたという記録もある。その二宮さん(第2回日本サッカー殿堂入り)が監督兼選手だった1951年第1回アジア大会(インド・ニューデリー)の対イラン戦(2-3)での相手の1点目は、予期しないロングスローからだった。大会報告に、イランのキャプテンのロングスローにGK津田幸男は呆然としたとある。

――北緯65度の氷の島(アイスランド)の選手のロングスローから、61年前の暑いニューデリーでの話になりました。まぁ、これもキリンチャレンジカップを通じてのサッカーの世界の広さや深さを知る楽しみといえますね。

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


【Result】2月24日 日本代表 vs アイスランド代表

2012/02/25(土)

キリンチャレンジカップ2012
2月24日19時20分キックオフ(大阪長居スタジアム)
日本代表 3(1-0、2-1)1 アイスランド代表
 得点 日本:前田遼一(2)藤本淳吾(53)槙野智章(79)
     アイスランド:アルノール・スマウラソン(90+3)

【日本代表メンバー】
GK: 12西川周作
DF: 3駒野友一→2伊野波雅彦(64分)4栗原勇蔵→20近藤直也(76分)6槙野智章、15今野泰幸→6森脇良太(82分)
MF: 7遠藤保仁(Cap.)8柏木陽介→14中村憲剛(HT)17増田誓志
FW: 10藤本淳吾→11石川直宏(64分)16大久保嘉人→9田中順也(HT)18前田遼一
SUB:1林卓人、23山本海人、19谷口博之、21磯村亮太、24柴崎岳、25久保裕也

【アイスランド代表メンバー】
GK: 12ハンネス・ソール・ハルドーソン→1グンレイフル・グンレイフソン(HT)
DF: 2アルノール・スベイン・アーザルスティンソン、4ハトルグリムール・ヨナソン、5ヒャルマル・ヨンソン、6グズムンドゥル・クリスチャンソン→3スクーリ・ヨーン・フリーズゲイルソン(HT)
MF: 8ヘルギ・バルー・ダニエルソン(Cap.)14ハウクル・パル・シグルズソン→13アリ・フレイル・スクーラソン(68分)15ソーラリン・インギ・バルディマルソン→16ハトルドール・ビョルンソン(83分)
FW: 9グンナル・ヘイザル・ソルバルドソン→17ガルザル・ヨハンソン(73分)10マティアス・ビルヒャルムソン→7ステインソール・フレイル・ソルステインソン(HT)11アルノール・スマウラソン
SUB:18エルファル・フレイル・ヘルガソン

KIRIN LOVES SOCCERへ

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


10月7日 日本代表 vs ベトナム代表

2011/10/11(火)

キリンチャレンジカップ2011
10月7日19時45分キックオフ(兵庫・ホームズスタジアム神戸)
日本代表 1(1-0、0-0)0 ベトナム代表
 得点 日本:李忠成(25)



――不満の残る日本代表の試合ぶりでしたが……それでも1-0で勝ったというべきか、1ゴールしか取れなかったというべきか――

賀川:代表チームが日本サポーターの前で試合をするのだから、勝つことが条件づけられている。と同時に、このキリンチャレンジカップは11日の対タジキスタンとの本番に備えての選手チェック、組合せ裁定という仕事も兼ねている。

――したがって、前半は手持ちのメンバーの中で一番手慣れた組合せでいった、ということですか。

賀川:本田圭佑がいないことは前から分かっている。それに遠藤保仁と岡崎慎司が故障、内田篤人も出られないとなった。

――ザックさんが試したい選手もいて、それを投入したというわけですね。

賀川:若くて売出し中の清武弘嗣まで欠場するのだからね。そこで前半のような攻撃メンバーになった。

――それにしても、ベトナムもしっかりしたプレーをしましたね。賀川さんが試合前に1967年――44年前のメキシコ五輪アジア予選での対ベトナム戦を例に挙げていたとおり、苦戦した。

賀川:日本のサッカーは1960年代から飛躍的に向上した、といっても、実際に試合の中でプレーする代表一人ひとりの技術の精度が飛躍的に向上しているわけではない。プロになり、多くのプレーヤーの動きの量が増え、技術に対する常識が高まったといっても、世界もアジアもやはりレベルアップしている。私は試合を見ながら44年前のプレーと比較していましたよ。


◆45分間に1回だけでも「あうん」の呼吸で1ゴールしたのがいい


――前半のゴールを評価していましたが……

賀川:ハーフウェーライン近くで相手選手のトラッピングミスがあって、長谷部誠が奪ったところからチャンスが生まれた。ここから香川真司-長谷部-藤本淳吾-李忠成とつながって李が決めた。
 ちょっと詳しく振り返ると、
(1)長谷部が奪ったすぐ近くに香川がいた。長谷部は真司にボールを預けて前へ走り、すかさず真司からボールを受けた。相手の守備ラインの手前でノーマークだった。
(2)真司はこの日は顔色も良くなくて、元気のない様子だったが、さすがにこういうときの「何気ないパス」は上手い。
(3)長谷部はまだ前を向いていなかったが、パスのボールのスピードが柔らかくきたから、彼はターンしてボールを持ち直し、前へドリブルした。

――ボールが強ければ長谷部の体勢は楽でなかったと?

賀川:長谷部は、最もプレーが安定し、動きの量も多く、キャプテンシーもあり私の好きな選手。この試合でも前半しっかり働いた。しかしザックさんはウズベキスタンとの試合で彼をトップ下に置いてその失敗を認めたようだ。このポジションよりもボランチ、つまりもう一つ後ろから出てゆく方がいいタイプの選手なんです。

――その長谷部がトップ下の位置へ上がったときに、香川が彼に優しいボールを送ったというわけですね。

賀川:そのスピードとタイミングがね。まあ偶然か意図的か、どちらにしても、ここでそういう「さりげないパス」を出せるのが真司の本領ですよ。
 プレーの続きだが、
(4)前を向いた長谷部がドリブルを仕掛け、
(5)右の藤本へパスをした。
(6)藤本は縦にドリブルし中へ、マイナスのクロスを送る。
(7)そこに李がいて、ノーマークでシュートを決めた。

――長谷部がドリブルを仕掛けたとき、賀川さんは何か口の中でブツブツ言っていたようですが

賀川:李が前へ飛び出したあと、また後方へ戻ろうとした。一方、香川は長谷部の左隣りをフルスピードで駆け上がり、トップへ飛び出していった。この2人の動きも良かったね。

――藤本がドリブルを仕掛けたときに、李の戻る動きと香川の前へ飛び出す動きで李がノーマークになったわけですね。

賀川:この25分のゴールの一連の動きは、それまでよく似た形をつくろうとして失敗していたのを、互いの関連性のあるラン(Run)と、それをよく見ていたボール保持者(藤本)との「あうん」の呼吸でスペースをつくり、ノーマークシュートへ持っていった。しかもボールは外から中へのグラウンダーというシューターには蹴りやすいコースできた。

――香川、李、長谷部というこれまでのメンバーに新しい藤本を加えた4人でのゴールですね。

賀川:まあ、こういうパスやドリブルが組合わされ、得点につながるのがサッカーの攻撃の面白さですよ。

――それを1点だけでも演じたのは立派だと?

賀川:1点だけという見方もあるし、45分で1回できた、という言い方もできる。
 このコースのもう一つの意味は――攻撃は中央突破もいいがちょっと相手が手薄なハズのサイドで崩し、サイドから入ってくるボールを決める方が易しいということだ。このときも、藤本の侵入とクロスに対して、相手GKは自分のいいポジションから動いて出てくることになっている。
 あうんの呼吸のゴールを1点も取れないのと、1点でも取るのとでは全く違う。魚釣りでも、1匹も釣れないのと1匹でも釣るのとは全く違うからね。


◆どんな相手と戦うにも、日本代表は走って、チームプレーをすること

――システムの問題は

賀川:サッカーは試合の状況に応じてDFが4人になることもあるし、5人になることもある。その大づかみな配列も大切だが、結局は1対1での競り合いに負けないこと。もし1対1の競り合いが難しいのなら人数をかけてボールを奪うことになる。すると、まず動きの量が必要となる。
 日本のサッカーは例え相手がFIFAランキング100位以下であっても、常に1対1の奪い合いで勝てるとは限らない。サッカーはあくまでチームゲームであって、どんなにドリブルが上手であっても、どんなにスピードがあっても、常に仲間との協力は欠かせないものなんです。
 ベトナムとの試合で、日本の多くの選手、特に若いプレーヤーは、日本代表では常にいコンディションを保ち、豊富な運動量で自分たちの機敏性と組織力を生かすことを心掛けないと苦しい戦いになることを体で感じたと思う。その意味で、対ベトナムのキリンチャレンジカップはとても良い経験だったと思いますよ。

――本田がいなくても、良いコンビネーションの展開で点を取れることも見せてくれました。

賀川:代表として築いてきたものをベースに、ここに加わった選手たちがどういうプレーをするかは、選手自身が考え、監督の意図を察し、分からなければ相談して解決し、いいチームにすることなんですよ。11日はそういう意味でとても期待を持って見つめる試合ですね。

【了】

KIRIN LOVES SOCCERへ

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


【Result】10月7日 日本代表 vs ベトナム代表

2011/10/07(金)

キリンチャレンジカップ2011
10月7日19時45分キックオフ(兵庫・ホームズスタジアム神戸)
日本代表 1(1-0、0-0)0 ベトナム代表
 得点 日本:李忠成(25)

【日本代表メンバー】
GK: 12西川周作
DF: 2伊野波雅彦→22阿部勇樹(45分)3駒野友一、5長友佑都→4栗原勇蔵(45分)15今野泰幸、6槙野智章→20吉田麻也(68分)
MF: 13細貝萌、17長谷部誠(Cap.)→14中村憲剛(45分)
FW: 10香川真司→21原口元気(45分)11藤本淳吾、19李忠成
SUB:1川島永嗣、23権田修一、9岡崎慎司

【ベトナム代表メンバー】
GK: 18ブイ・タン・チュオン
DF: 4レ・フオック・トゥ、23チャン・チ・コン、16フイン・クアン・タイン、2ドアン・ビエト・クオン
MF: 5グエン・ミン・チャウ→7グエン・バン・クエット(78分)15グエン・コン・フイ、14レ・タン・タイ→10グエン・ゴック・タイン(59分)8グエン・チョン・ホアン→3グエン・アイン・トゥアン(分)19ファム・タイン・ルオン→12ホアン・ディン・トゥン(67分)
FW: 9レ・コン・ビン→13グエン・クアン・ハイ(81分)
SUB:1グエン・マイン・ズン、24グエン・テー・アイン、6チャン・ディン・ドン、11グエン・ゴック・ズイ

KIRIN LOVES SOCCERへ

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


【Preview】10月7日 vsベトナム代表 (下)

2011/10/05(水)

キリンチャレンジカップ2011
10月7日19時45分キックオフ(兵庫・ホームズスタジアム神戸)

日本代表 対 ベトナム代表

本番前のリハーサル。東南アジアの仲間ベトナムがやってくる
44年前メキシコ五輪予選でのスリルと喜びの思い出

111004vietnam


――賀川:6ヶ国のリーグで日本はまず、9月27日の開幕試合でフィリピンに大勝し、次いで台湾に勝ち、レバノンも破って3勝した。韓国も、まず台湾、次いでレバノン、ベトナム(南ベトナム)に勝って3勝。10月7日に日本と韓国が対戦した。

――歴史に残る3-3の試合ですね。

賀川:雨の中の壮烈な試合だったが、実はこの引き分けのあとが大変だった。10月9日に韓国はフィリピンに勝った。残る試合は10日の最終日の日本とベトナム。日本はそれまでの試合で得点を稼いでいたから、日本はベトナムに勝てば4勝1分け韓国と同勝点、得失点差で1位となりアジア1組代表としてメキシコへゆけることになっていた。

――勝ちさえすればいい、と。

賀川:その「勝てばいい」がプレッシャーとなって日本の選手にのしかかっていた。ベトナムは守りを厚くしてときおりカウンターに出るという、極めて当たり前の作戦だが、それがとても効果的だった。

――ふーむ、

賀川:引き分けに終われば韓国が1位だからね。満員の観客はハラハラだった。レバノン戦でひどいタックルを受け肩を痛め、包帯を巻いた痛々しい姿の杉山(隆一)が後半に相手ゴールキーパーのキックミスを拾ってドリブルシュートを決めたので、どうやら1-0で勝った。

――大きな日の丸を持って、イレブンが場内を1周、スタンドから飛び下りた人も一緒に走ったという象徴的なフォトが残っていますね。

賀川:ベトナムといえば、私はこの44年前のシーンを今も思い出します。この日の彼らは本当に立派な試合ぶりだった。その堅固な守りに手を焼きながら、スタンドと選手が一体となって1ゴールをもぎ取った。NHK総合テレビは20%以上の視聴率だった。

――それが10月10日ですか

賀川:ベトナムは東京オリンピックの前の年に国際大会を開いて、いわば“東京”の大会運営のリハーサルをしたときにも西ドイツ代表とともに代表チームを参加させてくれたんですヨ。

――そういう古くからつきあいのあるベトナムが、今度も来てくれる。

賀川:神戸ではどのような試合になるか。守備重視でくるのか、中盤でプレッシングをするのか、あるいは何人かの素早い個人技術で私たちを驚かせるのか――。

――サッカーには色々な楽しみがありますが、今度のキリンチャレンジカップでもまた一つの歴史が生まれることになるでしょう。


【了】


KIRIN LOVES SOCCERへ

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


【Preview】10月7日 vsベトナム代表 (上)

2011/10/04(火)

キリンチャレンジカップ2011
10月7日19時45分キックオフ(兵庫・ホームズスタジアム神戸)

日本代表 対 ベトナム代表

本番前のリハーサル。東南アジアの仲間ベトナムがやってくる
44年前メキシコ五輪予選でのスリルと喜びの思い出

111004mexico

メキシコ五輪予選の大会プログラム(表紙)


――キリンチャレンジカップの日本代表対ベトナム代表が10月7日に神戸で、11日に大阪でワールドカップ・アジア3次予選の日本代表対タジキスタン代表が組まれています。
 2試合続けて代表の試合を関西で見られるのは、ファンには嬉しいですね。

賀川:神戸のホームズスタジアムも、大阪の長居競技場も、新幹線の新神戸駅や新大阪駅からの交通の便利の良いところだから、東京や九州のサポーターにもチャンスですヨ。秋のスポーツシーズンのまたとないプレゼントです。

――アジア3次予選で日本は、9月2日に埼玉で北朝鮮に1-0で勝ち、9月6日のウズベキスタンとのアウェーを1-1で引き分けた。2010年の南アフリカ・ワールドカップでの16強からアジアカップ優勝(2011年1月、カタール)、さらには女子のワールドカップ優勝と、昨年から大きく盛り上がってきた日本サッカーですが、ここのところ負けてはいないもののちょっと勢いが鈍った感じもあります。

賀川:男子のフル代表にとっては、本田圭佑が故障で離脱したのが響いたね。アウェーの対ウズベキスタンでは、阿部勇樹のアンカー役という策に出たが成功しなかった。若手有望株の清武弘嗣も足を痛めてしまった。

――ザッケローニさんの魔術もトーンダウン?

賀川:サァー、どうですかネ。どんなチームでも調子の波はありますヨ。特に今の代表のように海外でプレーする選手も多いときは、コンディションの把握が難しいもの。ただ私たちが知っていなければならないのは、日本代表はヨーロッパや南米のトップクラスのチームと戦うときにも、それより少し下のクラスのアジア勢と戦うときでも、常にしっかりした組織プレーができることが大切で、運動量の多いことが必要となる。そして、いいチームワークで攻め、守るには、選手たちの組み合わせが重大ということですヨ。

――手慣れたポジションでするということ

賀川:選手たちがそれぞれ得意な形でプレーできるようにすることが大切。それで自信がつくと、バリエーションもついてくる。

――ヨーロッパのリーグの最中の海外組、Jのタフな終盤の争いをしている国内組を、本番でもあるワールドカップ予選3試合目のタジキスタン戦の前にキリンチャレンジカップというリハーサルができるのはプラスですね。

賀川:招集している全員が揃うかどうかは別として、ベトナムとの試合を一つ持てるのはとても大事なことですヨ。

――ベトナムはFIFAランキング130位(9月21日発表)ですね。

賀川:ベトナムの力がどうこうというよりも、まず代表イレブンがどのようなコンディションで揃うかですね。ベトナムはかつては長い内戦があったが、今は経済も良くなっている。古くからサッカーの盛んなところだから、私は期待しているんですヨ。特に、この10月になると、ベトナムと日本の試合には強い思い出がありますからね。

――というと

賀川:1968年に日本代表がオリンピックの銅メダルを取ったでしょう。

――メキシコ・オリンピックですね。まだプロでなくアマチュアの時代でした。

賀川:メキシコ予選のアジア第1組が1967年9月27日から10月10日まで東京で開催されたのです。日本、韓国、台湾(当時は中華民国といっていた)レバノン、フィリピン、そしてベトナムの6ヶ国が集結した。

――そうでしたか。今から44年前ですね。そうそう、日本と韓国がすごい試合をしたと聞いています。


【つづく】


KIRIN LOVES SOCCERへ

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


8月10日 日本代表 vs 韓国代表(下)

2011/08/18(木)

キリンチャレンジカップ2011
8月10日19時33分キックオフ(北海道・札幌ドーム)
日本代表 3-0(1-0、2-0) 韓国代表
 得点 日本:香川(35、55)本田(53)

――香川の1点目は?

賀川:右サイドで攻めに出て遠藤保仁が奪われたボールを奪い返して一気に優位に立った。岡崎だったか、右前へ一人が動いた。しかし遠藤は一呼吸おいてペナルティエリア中央部の李忠成にパスを送った。相手DFの前へ走り込んできた李は、ヒールで後方の香川へ渡した。香川がこのボールをトラップしたとき、接近してきた相手DFの足にボールが当たる。香川はそのリバウンドが落ちたところで右足でシュートし、これがゴール左下へ飛び込んだ。

――遠藤のパスのタイミングが上手かったのと、李のヒールパスで相手側の体制にずれが出た?

賀川:香川がゴール正面ペナルティエリアに入って来たとき、彼の左前と右後方と左後ろにDFがいた。李からボールを受けると香川はそのボールをトラップして前へ抜け出るのでなくボールを右足でタッチして自分の左足に当てた(おそらくもう一度右足の前へボールを置こうとしたのだろう)。しかしそのボールは相手DFの左足に当たった。当たったけれど、相手のモノにはならず、香川の右前に落ちる。それをタイミングよくシュートへ持っていった。

――抜いて出るのでなく、同じ位置でボールを動かしただけ?

賀川:テレビのリピートを見たらそういう感じだね。ゴール裏からのカメラは、彼が走り出すのでなく両足を広げて立っている姿勢を捉えている。右足でタッチしてボールを左へ動かし、それを左足のタッチで右前へ置くのはフェイクの一つの型で、古いところでは私達世代の代表の右ウイング・鴇田正憲がこのフェイクを使っていた。1956年のメルボルン五輪予選の1回戦で、予想を覆して韓国に勝ったときも、彼は滑りやすいグラウンドを利用してこの小さなフェイクで相手を悩ませたことを覚えている。近くは(といっても80年代だが)フランスのミッシェル・プラティニがこれで縦に持って出るのを見たし、日本のカズ(三浦知良)もやっていましたヨ。

――香川はそれで隙間をつくってシュートしようとしたのですかね。

賀川:今度会ったら聞いてみたいね。ここでシュートをすると狙っていたのだろう。咄嗟のプレーだが、囲まれながら前へ出るよりシュートチャンスと感じたのだろう。

――彼の談話に、イメージどおりとありました。

賀川:テレビ画面に戻ると、香川が右足を振ってボールを叩いた横から同じような形で韓国選手の足が映っていたハズですヨ。彼が蹴っていなければ、相手は潰しにきていた。その間一髪のタイミングをつかんだのでしょう。

――上手くなるというのは、こういう形の蹴り方というだけでなくて、一瞬のタイミングのつかみ方もあるわけですね。

賀川:それをタイミングと言う人もあれば、別の見方で、スペースという言い方をする人もあるが、まあいずれにしてもゴール前の、いわば修羅場での争いに勝つことだね。

――彼は、ゴール前で落ち着いてやれるようになったともどこかで言っていました。

賀川:それは、そこへ走り込むことが多くなり、そこで成功が増えるからですヨ。再三、ゴール前へ向かうことで、その位置、そのスペースが自分の居場所のようになるのだろう。それが経験であり練習にもつながるのですヨ。

――点を取るためには、その重要な場所でのプレーに慣れろ、と?

賀川:一概に言えるかどうかは別にして、例えば岡崎はこの試合で故障のため途中で退いたが、開始すぐにエリア右寄りから左足でゴール左ポスト側へシュートした。これは彼が今シーズンの最初のドイツでの試合で後半に出場して左足シュートを決めた角度とよく似ていた。ちょっと左足のインパクト(ボールを叩く)がドイツのときとは違っていて、このシュートは外れたが、この位からここへ――という感覚が一つできていたのだと思う。

――後半に日本が2点目を取り、相手がちょっと気分が落ちたときに香川が3点目(本人の2点目)を取りました。

賀川:このときは香川のダッシュ力、速さと、相当な距離を相当なスピードで走っても体のバランスが崩れないでシュートできるという良さが出た。清武との大きなトライアングルパスだったが、清武のパスも良かった。
 この試合で香川が別の場面でもしていたパスのキックで、自分の前にあるボールを体の向きのとおり真っ直ぐ前方へ蹴るパスをしていたことに私は注目した。彼はどちらかというとドリブルで円弧を描きながら角度のあるキックをする。前にあるボールを真っ直ぐ蹴ることは少なかったが、ドイツでその必要性を知ったのでしょう。清武へのパスもその一つだった。自分のチームのために、自分にはどういうキックが必要か、どういうプレーが重要かをいつも考えているから、バリエーションはどんどん広がる。

――もっといっぱい話を聞きたいのですが、今日は日本の3ゴールと香川くんの進化について、ということで。

賀川:いまの日本代表のサッカーは皆が積極的になっているからとても面白い。ただし3-0の対韓国勝利といっても、浮かれてはいけません。サッカーは相手のあるスポーツ。相手も、この日本にどう対応するかはすぐまた考えるでしょう。全選手の向上心とザック監督の指導力、長谷部キャプテンの全人格的プレーとチームの団結力に期待して、ワールドカップ予選を楽しみにしましょう。
 選手のみなさん、まずは良いキリンチャレンジカップをありがとう。


【了】

KIRIN LOVES SOCCERへ

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


8月10日 日本代表 vs 韓国代表(上)

2011/08/17(水)

キリンチャレンジカップ2011
8月10日19時33分キックオフ(北海道・札幌ドーム)
日本代表 3-0(1-0、2-0) 韓国代表
 得点 日本:香川(35、55)本田(53)


――なでしこのワールドカップ優勝で大いに喜び盛り上がったあとに、今度はキリンチャレンジカップの日本対韓国は3-0の快勝。それこそ盆と正月が一度に来た――というところですね。

賀川:喜びの二重奏、楽しみの重なりを“盆と正月”というところにあなたの年が分かりますヨ――。
 それはともかく、男の方の日本代表はいまとても面白い。「伸び盛り」――それもインターナショナルなレベルで――の選手がいると、試合に活気がありますから……。
 それに、遠藤保仁のように滋味あふれるプレーを見せてくれる経験豊かなプレーヤーもいるから、代表の試合はとても楽しいものになっている。

――“ご贔屓”の真司クン、香川真司がすごい活躍で2ゴールを決めました。

賀川:香川だけでなく内田篤人も岡崎慎司もみな上昇あるいは上昇志向だね。しばらく会わずにいて、香川に会うと刺激を受けるのかもしれない。

――ベテランの駒野友一も、長友佑都の故障による出番ですごく頑張って、2点目のきっかけを作りましたからね。

賀川:サッカーはチームゲームであることは全ての人が知っている。しかし、互いのコミュニケーションや特徴をうまく発揮するということと同時に、絶えず個人力のアップを心掛けなければならない。そのことも選手たちはよく知っていて、自分たちが練習したプレーを実戦の役割のなかで発揮しようと積極的になっている。彼(駒野)が左サイドでドリブルを仕掛けペナルティエリアに侵入してシュートをした(チームの2点目)の攻撃は、そういう駒野の心意気から出ていますヨ。

――GKチョン・ソンリョンがセーブしたそのボールが、ペナルティエリアの右いっぱいにいた清武弘嗣のところへ転がり、清武がダイレクトでゴール正面の本田圭佑へスクエアパス(横パス)を送った。

賀川:清武の判断は良かったネ。ダイレクトで、しかも心のこもったパスが本田に届いた。

――本田が左足で蹴りやすいボールでした。

賀川:清武は、香川がドイツへ去り、そのあと一気に自らの才能を見せ付けた。家長昭博もスペインに去ったあとのセレッソでぐんぐん伸びて、いまやチームの中心的プレーヤーになってきた。それだけのテクニックもあり、運動量もある。その清武のボールタッチのうまさと判断がこのシュートのリバウンドボールの処理にあらわれた。

――本田の左足ダイレクト・サイドキックはさすがでした。

賀川:これは本田の十八番(おはこ)。彼が高校を出て名古屋グランパスでプレーしているのを初めて見たとき、「立ったまま(助走なしで)」しっかり蹴れる選手がやってきた――との印象だった。その十八番が出ただけのことでしょう。それにしても、きっちりと左下隅へシュートを送りこんでいるのはさすがだ。

――試合後の談話は、「清武のいいパスが全てですよ」と。

賀川:ここのところ、メディアでは香川の働きが注目されている。新聞にはスペース、テレビには時間内で収めるというそれぞれの制限があって色々なプレーを取り上げることは難しいのだが、本田は狭いスペースで有効な働きのできる香川が出てきたので早速、彼への短い効果的なパスを使うようにしている。もちろん、マーク相手にぶつかられてもバランスの崩れないしっかりした体の彼だから出来るプレーなのだが……。そういう仲間の持ち味を引き出すところなどは、いかにも本田らしい。とても頭のいい選手ですヨ。だから上達も止まることがない。

――ふーむ。そういうふうにいってもらえ嬉しいですが、まず2得点と派手に活躍した香川について語って下さい。巷では何故急に上手くなったのか、どこが上手になったのか、聞きたい人が多いハズです。

賀川:彼は自分で考え工夫して努力する。努力するというより練習するのが苦にならないプレーヤーのハズ。だから、どんどん上手になる。人にいわれたことも、いいと思えばすぐ取り入れるタイプでしょう。
 もともとドリブルが上手で、自分のそういう好きなプレーができそうだということで(神戸から)仙台へ移って中学年齢をすごした。それをセレッソの小菊昭雄コーチが誘って大阪へきた。J2の試合でもドリブルし、逆サイドへいいパスを送って広い展開を図り、スルーパスを出して仲間のチャンスをつくった。
 岡田武史監督が19歳で日本代表候補に加えた(2008年)あたりから、パスを出したあと前へ走り込んでゴールすることに興味を持ち始めた。シュートのコースも、自分の得意の角度はしっかり持っていたから、2009年には27ゴールでJ2の得点王になった。この話は一度したかもしれないから省いた方がいいかな。

――いや、若いスターの伸び盛りの話ですから重複しても聞かせてもらいましょう。

賀川:2010年のワールドカップにも、岡田監督は連れて行った。出番はなかったが、実際のナマのワールドカップを見せておきたかったのだろう。J1で夏までプレーし(11試合7得点)ドイツへ移ったのだが……

――あのとき、賀川さんはちょっと慎重論だった

賀川:上り坂だけに、ケガだけが心配だった。先に言ったように、放っておいても上手になる選手だからネ。
 セレッソでの最後の試合で、ペナルティエリア左角から右ポスト内側をこするように入る右足のフックシュートでゴールした。このエリア左角から右ポスト内側ぎりぎりというコースは、ストライカーなら必ず持たなければいけないコース、あるいはシュートの型の一つ。たとえばマンチェスター・ユナイテッドのウェイン・ルーニーなら、ここから右ポスト内側のコースとニアポストぎりぎりに叩きこむ2つを持っている(もちろんパスもある)。真司のこのコースはそれまで見たことはなかったが、セレッソでの最終戦で演じてから加わった。

――シュート技術も絶えず上達を心掛けているということですね。アジアカップで日本代表にに加わって、みなを驚かせました。そう、昨年のキリンチャレンジカップの対アルゼンチンで彼がドリブルで抜いて出てから一気に空気が変わりました。

賀川:いいストライカーの条件として、いいドリブラーというのもある。相手をかわせる身のこなし、抜いて出る速さ。まずドリブルはサッカーのなかでの色々なテクニックの混合プレーだからね。日本でも昔から名のあるストライカーはみないいドリブラーだった。

――釜本邦茂さんも?

賀川:彼は小学生の時からドリブルが上手で知られていた。小さくて速くてね。

――ふーん、それは初耳。

賀川:早大を出てヤンマーに入った1年目の対東洋工業の第1戦で、彼がハーフラインからズバズバと3人を抜いてゴールに迫ったプレーに、長居のスタンドはどよめいたものだ。メキシコ五輪の準々決勝、対フランスの1点目は、彼の右サイドを突破してのドリブルシュートだからね。

――ちょっと横道へ行きました。今度の香川の1点目は?


【つづく】

KIRIN LOVES SOCCERへ

固定リンク | 日本代表(A代表) | コメント (0) | トラックバック (0)


«【Result】8月10日 日本代表 vs 韓国代表