2019年3月26日 日本代表 対 ボリビア代表

2019/03/27(水)

2019/3/26(火)日本/兵庫県神戸市・ノエビアスタジアム
日本代表 1-0(0-0) ボリビア代表


――ボリビア戦は賀川さんのお住まいがあり、生まれ育った神戸での開催。久々に会場で取材されました


賀川:スタジアムで日本代表を取材するのは、2014年ブラジルW杯以来ですから、5年ぶりになります。テレビでは欠かさず日本代表の試合は見ています。最近のテレビは画質がよくなっているので、試合の隅々までよく見えますが、スタジアムはやはりいいものですね。試合の全体像が見えるし、お客さんの反応もダイレクトに伝わってきます。このノエビアスタジアムはかつての神戸中央球技場で、当時は少なかった陸上トラックのない球技専用のスタジアムでした。芝生の手入れが行き届いていました。大阪万博があった1970年にエウゼビオがベンフィカの一員として来日し、日本代表に3-0で勝ちました。当時のエウゼビオの個人プレーはまるでマジックのようでした。


――森保監督はコロンビア戦から先発11人を入れ替えました


賀川:代表選手や代表候補クラスの選手のレベルは上がっているので、ガラッとメンバーを入れ替えても、大きな戸惑いや混乱はなかったようです。経験が豊富な香川がキャプテンマークを巻き、前線で多くボールに絡んでいました。ボリビアの守りが堅かったので、大きな見せ場はなかったですが、森保監督が試合後の記者会見で「相手を間延びさせたり、疲労させたり、嫌なところをついていくことはできていた」とコメントしたように、彼の特徴がよく出ていました。彼はペナルティーエリアの外でボールをもらって、チャンスをつくるのが非常に上手な選手です。さらに誰よりも速いタイミングでペナルティーエリア内に入ってきて、ゴールを奪うことができる選手でもあります。前半は香川がもう1人ピッチにいれば…と感じるシーンもありました。今回代表に復帰した香川を中心としたチームを作っていくのであれば、周囲との連係などを監督も含めて事前に話し合っていくことが大切になるでしょう。


――前半からボールは支配していましたが、決定機は作れませんでした


賀川:確かに最後のシュートをどうするかというのが、なかなか見えませんでしたね。相手のサイドに入ったら、少々無理をしないと、しっかりと守っている相手を打ち破るのは非常に困難です。狭いところからでも、強引に1人で抜きにかかって、ドリブルを仕掛けるとか、突然スピードアップするとか、ダイレクトのパスを2、3本通すとか、敵陣で摩擦を起こさないことには、変化は生まれません。日本の選手は技術が上がり、ボールの扱いが達者になりました。しかし、サッカーは足でボールを扱う競技。手でボールを扱うようにきれいに時間をかけて攻めると、その分、相手も時間と人数をかけて守ることができるわけです。GKは心構えもできます。足でボールを扱う競技なんですから、ある程度のところまで来たら、エエ加減にエイッと蹴ってもいいわけですよ。欧州の選手なんて結構そういう形でゴールを決めています。


――中島、堂安、南野を投入し、試合が動きました


賀川:森保監督の起用が当たりましたね。ボリビアも複数のメンバーを代えてきたので、日本が優位だった試合の流れが一時的に止まり、チャンスと見たボリビアが攻勢に出て、試合の流れが変わりました。この試合初めてといっていいカウンターから後半31分の中島の先制点になりました。ペナルティーエリア左でボールを受け、右に切り返してもマークを外せませんでしたが、そのまま強引に打って、相手のまたの間を抜けていきました。こういった思い切りのよさは、こう着状態を打ち破る有効な手段になります。不十分な形であってもチャンスと見たら仕掛ける、今という時をつかむ…ということが、ゲームのどの段階においても大事なことになります。これはサッカーのうまいへたとは別の感覚で、そういう気構えで試合をしないと勝てません。


――サッカーはいくらパスをつないでも、ゴールにはなりません


賀川:だから、ある程度のところまで攻め込んだら、強引さも要ります。ボールを失っても、すぐに取り返せばいいわけで、敵陣で奪い返せば、相手は前がかりになっているので再びチャンスになりやすいわけですから。相手も防ごうと必死なわけで、パスをつないでいるうちに、いつかスキができるというものでもありません。


――お疲れが出ていませんか


賀川:少々寒かったですが、大丈夫です。楽しかった。日本サッカー協会の関係者や懐かしいライター仲間に久々に会って話をすることができました。後輩の若い記者やライターさんにもたくさんあいさつしてもらいました。記者会見が終わると、森保監督からは花束をいただきました。取材にきて花束もらうなんて不思議な感じでしたが、お心遣いに感謝しています。広島は東洋工業(サンフレッチェ広島の前身)のころから、代表選手がいなくても、勝つためにチームでしっかりと守って点を取るサッカーをして、日本代表の選手が半分ぐらいいる東京や大阪のチームと張り合ってきました。いい選手や指導者が出てきた土地柄でもあります。その広島から生まれた代表監督なんですから、大いに期待しています。サッカーは地球のどこでもやっていて、世界で一番人気があるスポーツ。それがおもしろくないはずがない。そのおもしろさをどうやって伝えるか。それがこの仕事もおもしろみであり、難しさでもあります。

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2019年3月22日 日本代表 対 コロンビア代表

2019/03/23(土)

2019/3/22(金)/神奈川・日産スタジアム
日本代表 0-1(0-0) コロンビア代表

――コロンビアとは昨年のロシアW杯以来の再戦。W杯で勝ったコロンビアに連勝とはいきませんでした

賀川: コロンビアも2回続けて日本には負けられんと必死だったのでしょう。南米ではブラジル、アルゼンチン、ウルグアイが1級にランクされるので、表現はあまりよくありませんが、コロンビアは必然的に2級のような位置づけになります。しかしながら、2級は2級であっても、2級なりの試合運びのうまさ、賢さがあるものです。このクラスに日本代表が勝つには、やはり最初から最後まで、それこそ死にものぐるいでやることが前提条件になります。普通に走りまわっているようでは、チャンスは少なくなります。過去のW杯の組み合わせを見ても分かるように、本番のグループステージでは、かなりの確率でこのクラスの南米勢と当たるわけですよ。そこに勝てないと、ノックアウトラウンドには進めないわけですから。

――W杯で8強に進もうと思ったら、このクラスの南米勢に勝たないといけない

賀川:南米の代表は1人1人の個人の技術があるので、日本代表はチームワークと持ち前の速い動きと豊富な運動量でかき回して勝つというのが、従来からの戦い方。森保監督も当然そのことを十分承知していたのでしょうが、ゲームを通じて動きの量も速さも期待したほどではなく、後半ファルカオにPKで1点を取られてしまいました。PKを与えた冨安はハンドを取られてはいけないと、腕を背中の後ろに回していましたが、相手のシュートに対して背を向けてしまったので、後ろに回していたはずの右肘にボールが当たってしまいました。コロンビアもどちらかというと、とらえどころのないような感じで、点を取られた後、日本は交代で選手を次々と入れましたが、知らず知らずの間に時間が過ぎて、追いつくこともできなかったという感じでしょうか。選手にとってはにおもしろくない試合でしたが、これも経験と考えるべきでしょう。

 ――コロンビアが面目を保った試合になりました

賀川:南米勢が来て試合をしてくれるというのは、あまりないことですが、事前にどれだけの予習をしていたか…ということも少々感じました。相手の予備知識を入れることによって、試合中にいろいろ思いついて修正できることもあるでしょう。たくさんのお客さんが応援にきてくれたわけですから。チームも選手個人も事前の準備がどれだけできていたか、この試合を見ているとわかりにくかった。点を取らないと勝てないわけですから、どうやって点を取るのかということが相談しておかないと損ですよね。代表チームとして集まって活動する機会は多いわけではない。W杯予選まで時間はあるようで、あまりないんですから。

――開始3分で相手のカウンターを浴び、危ういシーンがありましたが、日本は南野、堂安、中島がどんどんゴールを狙っていきました

賀川:ペナルティーエリアの外からのシュートが何本かありました。遠目のシュートが一発で入らなくてもGKの姿勢を崩して、こぼれ球を詰めて点を取るといった約束事があればよかった。それぞれ思い切ったシュートでしたが、枠に飛ばず、ボールが少々おじきしているようものもありました。ロシアW杯をみても、世界各国代表クラスのGKは腕を上げているので、ロングシュート一発では簡単に入りにくくなっている。その後、どう飛び込んでいくかというところまで、考えないといけないでしょう。前半から右サイドの室屋を起点にクロスを入れるシーンを何回かつくりましたが、相手の中央の守りが強固でなかなか合わせることができなかった。ボールを保持して攻めているけども、有効的な崩しの形を作れず、遠目から打っていくしかなかったという見方もできます。

――賀川さんがいつも気にかけておられる香川真司は途中出場でした

賀川:伸び盛りの若手が多くいる中、これから代表チームとして、真司をどういうふうに使っていくかということを、森保監督は考えることになるでしょう。彼は中盤でもっとボールを渡していろいろやらせてみれば、確実に多くのチャンスをつくる選手です。その一方でゴール前に飛び込むタイミングがずば抜けてうまく、誰よりも速く大事なところにいる選手でもあります。その長所を周りに理解させないといけないでしょうね。一度ボールを持って、いったん誰かに渡してからゴール前に入っていく、周りに目を引きつけて、隠れ忍者のように入ってくる。そうなると誰がボールを出すねんということにもなります。中島も使いたいでしょうが、同じようなタイプの選手になるので、チャンスメークか、ゴールゲッターか、彼に求める役割をある程度決めなければいけないでしょう。3月26日のボリビア戦は彼の出身地の神戸ノエビアスタジアムであります。私も取材にいきますので、先発でプレーするところをみたいですね。

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2018年11月20日 日本代表 対 キルギス代表

2018/11/23(金)

2018/11/20(火)日本/愛知・豊田スタジアム
日本代表 4-0(2-0) キルギス代表

――森保監督は16日のベネズエラ戦からスタメンを11人入れ替えました

賀川:熱心にJリーグを観ているファンの方ならそうでもないでしょうが、サッカーを観るのは代表戦の時ぐらいという方には少々、なじみの薄い選手もいたでしょう。しかし、上手な選手ばかりでした。特に大柄な選手のボール扱いの技術が上がっています。日本サッカーの底上げ、レベルアップを感じた試合でした。

――4点入りました

賀川:今の日本代表の試合はおもしろいですね。お客さんも満足したでしょう。キルギスは局面でしっかりと競ってきましたが、日本はこの競り合いに勝っていました。中央アジアのチームはもっと体が強いと思っていましたが、こちらのレベルが上がっているのか、向こうが足踏みしているのか、これまでならば、ズバ抜けた選手が1人2人いて、対応するのに苦労することがありましたが、それがありませんでした。よく動いて、パスが繋がって攻撃するという日本の良さがよく出た、いいゲームでした。

――序盤にあっさり2点を先行。代表デビューの山中亮輔が前半2分、鮮やかに先制点を決めました。

賀川:そういう選手が出てくるということ自体が全体のレベルが上がっていることを証明していますね。

――左利きの左サイドバックは意外と少ない

賀川:左のフルバックは左サイドを走って、左足でセンタリングを上げる、昔でいう左のウイングと同じプレーを求められるので、絶対ではありませんが、左利きの方が、体の使い方が自然です。彼の左足のシュートは右のポストに当たって入った。ビビらないでシュートを打っていましたね。ボールが回ってきて、ヨッシャ…という感じで打っていました。心構えがいい。楽に力いっぱい蹴っていないので、正確に狙ったところに飛んでいくコントロールシュートだった。代表初出場の選手が大仕事をするというのは、チームの構成が良いからでしょう。全体的に余裕があるように感じます。個人個人のレベルアップをここでも感じます。

――無失点で終えました

賀川:三浦弦太も大柄ながら技術がありますね。ヘディングも強かった。経験豊富な吉田麻也、槙野智章がいますが、冨安健洋も出てきましたし、センターバックも人材が揃ってきました。

――GKはほとんど仕事がありませんでした

賀川:チーム全体で攻めに出て、攻撃で点を取れるというのが、非常にいい。伸び伸びとプレーしている。個々の選手の技術が高く、ボールを正確に止めることができ、ミスが少ない。欧州でプレーしている選手が、高いレベルにいるということが大きいでしょう。後半から出てきた大迫勇也、堂安律、中島翔哉、南野拓実のコンビネーションは期待できます。

――来年1月のアジア杯が楽しみです

賀川:当然優勝を狙いにいくでしょう。アジア同士の対戦となれば、ライバル意識があるし、この日のキルギスのように激しくきます。タイトルマッチになると、荒っぽいし、ファウルまがいのプレーも増えてくる。そう簡単には勝てないが、そういう相手とやるときでも今の代表チームは優位に立ちそうです。日本はパススピードが明らかに速くなっている。ノーマークのときは特にそうです。欧州のチームはもっと速いですが、ずいぶん近づいてきた。相手が寄ってくる前にボールを受けられるので、相手に引っかけられることが少ない。この試合でも4回ぐらいだったでしょう。個人のレベルもチームとしてのやり方も進歩しているので、アジア杯が非常に楽しみですね。

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2018年11月16日 日本代表 対 ベネズエラ代表

2018/11/19(月)

2018/11/16(金)日本/大分・大分銀行ドーム
日本代表 1-1(1-0) ベネズエラ代表

――ワールドカップに出たことがないベネズエラでしたが、なかなか手強い相手でした

賀川:南米のいわゆる御三家、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイには歴史的にも伝統的にも実力的にも少し及びませんが、日本よりもFIFAランクが上位(26位)のチームであります。人口2500万人ぐらいの国ですが、世界一厳しいと言われる南米予選でもまれているので、全体的にレベルが高く、個人も力がありました。南米の北の方に位置する国は米国の影響を受けて、野球も盛んです。ドミニカ共和国と並んで大リーグや日本のプロ野球にいい選手を送り込んでいますが、どちらかといえば少数派。隣国と同じで楽しみはサッカーしかないといってもいいお国柄という印象が強いですね。

――先月ウルグアイを倒したこともあり、立ち上がりから、積極的に攻めました。その中で前半39分中島のFKから酒井宏の先制ゴールが決まりました

賀川:しっかりと中島がコントロールした球を大外から飛び込んできた酒井宏が落ち着いて決めました。長い距離を走ってうまくマークを外していましたね。前半から大迫が中央でしっかりとボールを受けて、中島、南野、堂安といった若いアタッカーにボールを配して攻撃をつくるという形が、ウルグアイ戦に引き続きできていました。常にボールを前に運ぼうとする上に個人技に優れた中島、堂安のドリブルは相手にとって非常にやっかいです。1人2人なら簡単に交わすことができるので相手はファウルでもしないと止められない。その結果、ゴール前でのセットプレーのチャンスが増えているのでしょう。これで森保監督になって4試合目。これからどこでボールをキープして、どこで点を取るのか、チームの形が見えてくるでしょう。

――後半は追加点が入らず、終盤PKで追いつかれました。森保監督になっての4連勝とはいきませんでした

賀川:後半は入れ代わり立ち代わり、選手交代をしましたし、森保監督はいろんな選手をテストしたいのでしょう。選手の動きの量はこれまでの3戦と変わらず相手よりも多かったですし、ロスタイムには吉田麻也をゴール前に上げて、勝ち越し点を狙いにいきました。1対1でも勝つ、チームとしても最後まで勝利を目指す姿勢は見えました。今回ホームでしたが、この相手ならアウエーであっても動きの量で負けなかったでしょう。ある時間帯は押し込むことができるわけですが、押し込んで跳ね返された場合、その次にきたボールを攻撃に出るところで、どういう変化をつけることができるかというところが、前線の選手の課題になってくるでしょう。

――1メートル97のGKダニエル・シュミットが代表デビュー。大柄ですが、足下も安定していました

賀川:ここまで大きな日本のGKはこれまでいませんでした。ハイボールへの処理などは安定していましたね。吉田麻也が1メートル89、冨安健洋が1メートル88とこれまでにないサイズの選手がそろってきました。大型GKが登用されることで日本の国際試合での守り方が違ったものになってくるかもしれません。

――GKといえば、長く代表を引っ張ってきた川口能活が現役を引退しました
賀川:そうでしたね。彼はサイズがありませんでしたが、抜群の反応力とジャンプ力、ディフェンス陣への指示など、目を見張るものがありました。なによりもGKとして大切な気の強さがありました。それが一番です。若いころから国際試合に出場していたので、経験豊かで、ビッグマッチに強かった。GKは野球でいえば捕手のようなもので、地味で縁の下の力持ちのイメージがありましたが、彼の代表、クラブでの長い活躍で新しいGK像というものを作ってくれたのではないでしょうか。GKは最後も砦であり、守りの中心であり、攻撃の第一歩になります。彼にあこがれてGKを始めた子供たちもいたでしょう。身体能力のある大柄な選手が育ってきたのは彼の活躍とは無関係ではないと思いますよ。

――大分では久々の日本代表の試合でした

賀川:2002年W杯のときにやり手の知事さんががんばって作ったスタジアムですね。渋滞など、運営面での課題があったようですが、W杯の遺産がこうやってしっかり受け継がれていくのは非常にいいことですね。J2の大分トリニータも来季J1に上がってきますし、がんばってもらいたいです。


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2018年10月16日 日本代表 対 ウルグアイ代表

2018/10/17(水)

2018/10/16(火)日本/埼玉・さいたまスタジアム
日本代表 4-3(2-1) ウルグアイ代表

――攻めに攻めて、あのウルグアイに4-3で勝ちました

賀川:日本代表がいつもこれぐらいの試合をしてくれたら、見る人は楽しいですね。ウルグアイのFIFAランクが5位というのは、高すぎるのではと思った人もいたかもしれません。あっという間の90分間でした。ウルグアイは先週韓国に1-2で敗れて、相当気合が入っていましたが、日本の気迫が上回っていました。韓国が勝ったのだから、日本も負けられないとこちらも相手以上に気合が入っていました。1対1でのボール争いでも負けていませんでした。ウルグアイは伝統的に相手に点を与えないというサッカーをしてきた国ですが、日本のスピーディーな攻撃についていけないといった感じでしたね。若手からは列強相手に必死のアピールを、大迫らロシア組からはウルグアイをW杯で敗れたベルギーに見立てているような気迫を感じました。

――南野の先制ゴールは見事でした

賀川:中島からのパスを右足のインサイドでトリッキーなトラップして、一発でマークを外しました。ボールが一瞬足元に入りましたが、落ち着いて、自分の形までボールを運んでから強いシュートを打ちました。ゴール前のチャンスになると慌てる選手もいますが、非常に冷静でしたね。見事な先制点でした。1戦ごとに自信をつけているのが、プレーに表れています。

――パナマ戦の後、堅守のウルグアイは日本の現状の力を量る最良の相手とおっしゃっていました

賀川:守りが堅いウルグアイから4点。そのうちの3点、南野の1点目、堂安の勝ち越し点、南野のダメ押し点は、相手のバックラインがいる状況でそのマークを外して、決めたものです。そういうところに日本のサッカーの技術の進歩を感じました。その進歩の幅は非常に大きいものといっていいでしょう。ウルグアイのメンバーがベストであったか、コンディションはどうかというのはさておき、簡単に点を与えない国からこれだけの点を取れたというのは、うれしくなるほどよかった。日本サッカーのレベルアップを物語っています。ゴール前でそれぞれの選手が落ち着いていました。南野、堂安は欧州での経験がものをいっているということになるのでしょう。

――南野に限らず、中島、堂安、ロシア組もボール扱いがうまい

賀川:日本サッカーの育成の力でしょう。2、30年前なら南米のチームは優雅で余裕があって、ボールが足にくっついているようにも見えました。日本の選手にボールが渡るとバタバタしているように見えたこともありました。少年期からの練習量の多さでしょう。いいグラウンドも増えました。今の日本はサッカー国といってもいいかもしれません。最近の日本代表に選ばれる選手は、子供のころからたくさんボールに触っているので、南米の選手と対戦してもボール扱いで見劣りすることはありません。日本協会から都道府県の協会、そして少年団などのジュニアのチームの指導者まで、ボールを大切にするという育成の方針が行き届いているのだと思います。

――攻撃は多彩で魅力的でした

賀川:サイドで攻撃をスタートさせて展開して左右に振って、隙間を作って点を取るというやり方がずいぶん板についてきたようです。十分なチャンスを作ることができています。だからこそ、ゴール正面やペナルティーエリアの中でボールを受けた選手がタックルにきた選手を交わしてシュートにいくという余裕のある展開になっていました。スタジアムに集まったファンは楽しかったでしょう。テレビをみていた人もレベルアップした日本の力をみることができました。

――中島はボールを持てばシュートの連続。ゴールを狙う強い意欲が伝わってきました

賀川:前へ前へという意識が強かったですね。日本人の国民性なのか、これまでは代表の試合であっても、ボールを失いたくないと、安全にボールを運んだり、バックパスをしたりというシーンに遭遇することが少なくありませんでしたが、とにかくタテに出ていこうという姿勢が強かった、これは監督の方針なのかもしれません。中島はドリブルに絶対的な自信があるのでどんどん自分で仕掛けていった。守るほうはここまでガンガンこられると大変なもの。チャンスがあれば、点を取りに行こうという姿勢が随所に見えていました。もともと日本のサッカーはそういうスタイルを目指したわけですが、それがよく出ていましたね。

――堂安が見事な切り返しから初ゴール

賀川:中央でどんどんシュートをできたということは、堂安にしても南野にしてもゴール前でボールを受けるときにシュートに持っていくためにボールを受けるときに余裕がありました。大迫も中島も、南野も同じことがいえます。

――若い選手であっても体が強い。少々当たられても倒れません

賀川:相手のマークが少々緩かったのかもしれませんが、こちらのボールの持ち方とか競ったときの相手への威圧感があるから、相手が負けるわけです。こんな試合ができれば、今後も楽しみ。ウルグアイから4点取ったという情報はおそらくすぐに南米にも欧州にも伝わるでしょう。世界中がほうーという風な反応を示すでしょうね。

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2018年10月12日 日本代表 対 パナマ代表

2018/10/13(土)

2018/10/12(金)日本/新潟・デンカビッグスワンスタジアム
日本代表 3-0(1-0) パナマ代表

――森保監督が就任してから2連勝。しかも2試合続けて、3-0の快勝です

賀川:パナマという国がある北中米地域はメキシコが頭抜けて強いんですが、それ以外は、東アジアとしてさほど変わらないレベルの国々が多い。アジアでトップクラスの日本と試合をすれば、こちらがボールを保持して主導権を握ることができるわけで、こういうゲーム展開、結果になるのは、地域レベルでみれば、ある意味当然でしたね。こちらのホームでもありますし。

――ロシアW杯組と新戦力の融合がテーマと言われていました。目についた選手は

賀川:冨安ですね。非常に大柄(188センチ)で、その上ボール扱いもうまいです。前半19分に相手FWに後ろから激しく当たっていました。試合の序盤にガツンとあれぐらい当たっておけば、相手と駆け引きする上でトクするということを分かっているのでしょう。平気な顔をしてファウルをすれば、主審に強い笛を吹かれることもありますが…。このポジションには吉田麻也という経験豊かな選手がいますが、脅かす若手が出てくれば、レギュラー争いが楽しみになります。でも、マークする選手の方が冨安よりも、大きかった。世界は選手の大型化が進んでいますね。

――南野は2試合連続ゴール。強さと技術が光りました

賀川:前半42分、青山からのパスを受けて反転し、体をぶつけられてバランスを崩しましたが、倒れませんでした。左に流れて、もうひとりのセンターバックから遠ざかって、GKの位置をよくみて、サイドキックでゴール左に流し込みました。強さ、技術、冷静な判断があってのゴールでしたね。C大阪のときから注目していましたが、非常に上手な選手です。伸び盛りなので、自信をつけてさらに成長してほしい。もっともっと目立ってくれてもいい選手です。

――南野にラストパスを出した青山は主将2戦目で本領を発揮したようです

賀川:前任者の長谷部が偉大なキャプテンだったので、先月のコスタリカ戦では気負いもあったのでしょう。この試合では積極的にボールにからみ、サンフレッチェ広島でいつも見せている彼らしい気の利いたパスを随所に出していました。前半、ペナルティーエリア内に侵入した右サイドの室屋に出したような、効果的なラストパスが何本もありましたね。あのシーン、室屋はサイドキックで流すようなボールを出しましたが、強くインステップで蹴った速いボールをゴール前に送った方が得点の可能性が高かったかもしれません。速いボールならば、相手に当たって入ることもあります。丁寧に緩いボールで…とインサイドキックでいくと、かえってミスキックになってバウンドすることがあります。

――技術が高い選手が多いように感じます

賀川:若い選手、新しい選手はみんなうまいですよね。相手にボールを取られるときはファウルが多い。これからは相手にファウルをさせたら、損だなと思わせるボールの持ち方ができるかどうか。もう一段上のレベルにいくと、ボールを持ったときに威圧感が出るんですよ。日本の選手は、そのレベルを目指してほしいですね。

――次はウルグアイ戦

賀川:人口は300万人程度の小国ですが、ご存じの通り、サッカーでは南米を代表する列強です。世界的に有名な選手も多く輩出しています。いいメンバーが来日するようですが、12日に対戦した韓国には1-2で不覚を喫したそうなので、気合も入っているでしょう。伝統的に守備が堅く、個人個人のレベルは高い。いい滑り出しを切った森保ジャパンの現時点でのチーム力、個人の力を量るには、最適の相手でしょう。森保監督もそう考えているのではないでしょうか。その前哨戦としてはいい内容でした。パナマ戦に出場しなかった長友、吉田麻也、途中出場だった柴崎らが加わり、どんなチームができるのか、非常に楽しみです。

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2018年9月11日 日本代表 対 コスタリカ代表

2018/09/13(木)

2018/9/11(火)日本/大阪・吹田スタジアム
日本代表 3-0(1-0) コスタリカ代表

――森保監督の就任初戦でした。ガラッとメンバーが若返りました

賀川:やはり日本代表の試合は面白いですね。展開が早くて、ひとつひとつの技術も高いので、ミスがない。スピード感もあって、全体的なレベルが非常に高いですよね。欧州の人から見たら、落ち着きのないサッカーと言われるかもしれませんが、僕らからすれば、楽しめますね。森保監督は広島育ちで、サンフレッチェ広島の前身の東洋工業(マツダ)は、昔からボールをつないで、全員がひとりひとりが守備をしっかりとして、労力を惜しまないというチームでした。その伝統を持っている生え抜きの選手が監督をしているわけだから、代表チームもそういうスタイルになりますよね。

――森保監督は93年のドーハの悲劇のときに有名になりました。うまさもありますが、とにかく一生懸命な選手というイメージがありました

賀川:広島の選手らしいですよね。今回代表監督になって、選ぶ選手はうまいわけだから、攻撃も守備も一生懸命にやるというスタイルが代表に浸透できれば、より楽しみです。
――誰に注目されていましたか?

賀川:新しく選ばれた堂安と中島です。2人ともよかったですね。よく動くし、積極的でした。両サイドがその気にならなければ全体が前がかりになりませんから。サイドでのボールの持ち方とか従来の日本代表のいいところを持っていました。あの2人がしっかりとしているので全体の動きの量にもつながります。ハーフタイムにこの動きの量が続くのかどうかと思いましたが、要らぬ心配でした。

――OG、南野、途中出場の伊東が終了間際に決めて、3点入りました

賀川:この試合はどの選手も点を取ろうと攻撃に絡む選手たちは積極的でした。だから3-0という結果になったのでしょう。新しい日本代表としては先が楽しみな試合になりましたね。攻めて点を取るという気構えがチーム全体にあったので、面白く見ることができました。日本代表を応援するサポーターにとっても楽しい時間になったでしょう。北海道地震で1試合中止になったのは、やむを得ないことですが、非常に残念でした。攻撃する選手がシュートを打って点を取るということが前面に出てこないとチームが活気づきません。よく攻撃的にいかないといけないとはいいますが、1人1人に「やったろか」という気がなければ、そうなりません。このチームはそれが見えて、勢いがありました。見ていて非常に楽しかったですね。もちろん、相手との力も関係もありましたが、取れるチャンスがあったら取りに行く、シュートを打っていくというのが見えました。相手が強い試合もあるので、いつもそれができるかどうかは分かりませんが、攻める、点を取る、そのために自分でシュートを打つ。シュートも自分が決めるつもりでみんな打ってましたね。

――中島、浅野はW杯に選ばれなかった悔しさもあったでしょうね

賀川:この2人は特に積極的でしたね。

――1点目はOGだったので、南野が森保ジャパン、ゴール第1号になります

賀川:南野はC大阪にいたときから、もう代表に入ったのか、まだ入ってないのかというクラスの選手とみていました。力はあるし、もともとうまい選手。こういうところで実績を積んで、経験を高めてもらいたいですね。

――堂安と南野はボールの扱いが非常にうまい。

賀川:自信満々ですね。うまい選手がそのうまさを発揮できるのが一番大事なことですから。この2人に限らず、最近は代表の候補になる選手は技術はあるし、走力もある。試合前の整列で並んだときに、思ったよりも身長差があるな、相手の方が大きいなと思いましたが、試合が始まったら、守備の競り合いでも攻撃でもまったくハンディにならなかった。新しく選ばれた選手も十分やっていける力があるというのを見せてくれました。今度の代表は新しい監督の下での第1戦でしたが、試合内容を見て、ファンは安心したでしょう。Jリーグでやっている、伊東、天野らもいいプレーを見せてくれました。

――日本代表としてのロシアW杯からの継続は見られましたか

賀川:西野監督からのサッカーの流れが切れていないですよね。次につながっているというのははっきりと感じました。メンバーが替わっても、切れ目がないですよね。ディフェンスでも吉田ら古手の連中が呼ばれていないので、槙野が中心になっていましたが、ロシアのメンバーと比べてレベルが落ちたということもないですからね。前と同じ水準の守備力を維持していると感じます。スタートの時点でほぼロシアと同じレベルをキープして、しかも年齢が若いわけですから、これからの上積みが見込めます。希望があるというか、楽しみが大きいですね。サッカーはこれだけ盛んになっているわけだから、どんどんいい選手が出てくるのは自然なのですが、代表クラスの選手のレベルでもそれが続いているという感じがします。今度の代表は全体としてボールのあるところへ、複数の人間が動いて、そこで相手のボールを取り、取ったらすぐ展開するというサッカーを休みなくやっていました。久しぶりに気分のいい試合でした。サポーターのみなさんもそうでしょう。

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2018年5月30日 日本代表 対 ガーナ代表

2018/05/31(木)

2018/5/30(水)日本/横浜・日産スタジアム
日本代表 0-2(0-1) ガーナ代表

-西野朗監督の就任初戦でした
賀川:高校のときからずっと見ています。当時の浦和西高はテクニックのある選手が多かった。その中でもボールの扱いが上手で、上背もあって、スピードもあった。ボールもしっかり蹴ることが出来た選手でしたね。早大時代に日本代表に選ばれ、日立製作所でプレー。引退後は、監督として1996年アトランタ五輪でのブラジルを破る、マイアミの奇跡を演じました。柏、そして10シーズン監督を務めたG大阪での実績は紹介するまでもないでしょう。

――3バックで臨んだ試合でしたが、前半早々に失点しました

賀川:ほぼ中央、ゴールから25メートルでのフリーキックでした。雨の中のゲームでもあり、ガーナのパーティ選手は芝生でボールが滑ることを見越して、低いボールを蹴ってきました。日本は8人で壁を作りましたが、間に入った相手選手に崩され、その間を通されてしまいました。これは本番までに修正してくれるでしょう。

――2失点目は長谷部と川島の息が合わずに、PK与えてしまった

賀川:ガーナはディフェンスラインとGKの間を浮き球で狙ってきました。長谷部は3バックの真ん中は代表では初めて。キーパーとの声の連携はW杯本番までの期間に高めてくれるでしょう。この時期ですから、はっきりとした課題が出たのはむしろいいことです。

――0-2でW杯前の最終試合は完敗。W杯に出ない若手主体のガーナに対して、あまり見せ場はありませんでしたね

賀川:テレビを見ていたファンも、日本の方が強いと思った人の方が少ないでしょう。ほとんどの1対1でのボールの取り合いで負けていた感じがします。残念ながら久々に弱い日本を見せてもらった気がします。日本はアジアのトップクラスなので、W杯のアジア予選では余裕を持ってボールを持てますが、ガーナのような世界の中堅クラスを相手にすれば、こうなってしまいます。これが日本の今の力。ハリルホジッチ監督から西野監督への交代があって、どういうサッカーをするのか、注目されていましたが、監督は関係ない話です。

――1対1はハリルホジッジ前監督も「デュエル(決闘)」という表現で日本の課題にしていました

賀川:サッカーは1対1の力の差がそのまま勝敗につながります。相手が守っていて、どんどん攻め込んでいけるときでも、1対1で弾き返されてしまうから、自分たちが思っているような形でボールを拾えない。そのため、次の攻撃がチャンスになりにくい。そうなると苦しいばっかりで、何をやってもうまくいかないという試合でした。

――W杯になるとコロンビア、セネガル、ポーランドとガーナより強い相手が出てくる。1対1の争いはより厳しくなりますね

賀川:根本的に1対1負けてしまうなら、相手よりも余分に走ってカバーするとか、そういう気構えが必要です。メンバー確定の後の直前合宿で、どれだけ計画的に選手のフィジカルを上げることができるか。このクラスの勝負では生半可なことでボールの争奪には勝てません。走る量、ボールの取り合いの時の粘り、強さを少しでも上げていくこと。このままではダメだというのは誰もがわかっていることでしょうから。

――後半、いつも賀川さんが気にかけておらえる香川真司が出てきました。立て続けに2回ほどチャンスをつくりました

賀川:けが明けですがコンディションは悪くなさそうでした。香川という選手は、本田圭祐もそうなのでしょうが、きょうはメンバー入りが懸かっているから、とことんアピールをしなければ、というタイプではありません。自分のコンディションを考えてプレーしていたのでしょう。試合の流れをみながらプレーして、力を入れなければいけないところは入れる選手。結局、香川、本田、岡崎らあのクラスの選手を全部使うのか、はじめから使うのか、途中から使うのか、まだ西野監督の考えは見えてきませんが、経験のある選手は試合のどこかで使いたくなるでしょうね。香川は動きをずいぶん抑えていましたが、本番で使われれば、時間いっぱい、目いっぱいやるでしょう。

――後半は攻めていたようですが、ゴールが遠かった

賀川:一見攻めているようだけども、実はボールを持たせてもらっているので、どっからどう攻めてやろうかという意欲満々の攻めでなく、どっか隙間へボールをチョロっと流し込めたら…いう感じだった。それで相手を圧倒することはなかなか難しい。改めて選手も監督も我々はこの程度なのだと感じたことでしょう。監督交代があったから、選手はサポ―ターにいいところを見せたかっただろうし、我々も見たかったが、実際そうはいかなかった。

――監督交代はプラスに出るでしょうか

賀川:日本の力は監督が代わろうが、代わるまいが、大きくは変わらないでしょう。まして監督がプレーするわけでも、シュートを決めてくれるわけでもありません。西野監督は強化委員長を務めていたのだから、そのへんは一番よく知っています。日本のサッカーの力はどれくらいのもので、どれだけの覚悟を持ってやらないといけないか。W杯出場国の最低ラインのところにいるわけですから。

――チームで気になるところは

賀川:メンバーからして、きっと長友、香川、宇佐美らがいる左サイドが攻めどころになっていくのでしょう。話し合ってこういう形で攻めるんだというものが、できているのかと思っていましたが、なかったようです。代表でずいぶん長い間、何度も同じ顔ぶれでやっていて、実際本番もこの顔ぶれになりそうだという選手がこの試合に出ていましたが…。ただ、代表メンバーが確定するまでは、選手は神経質になるもの。31日に23人が発表されましたし、これから合宿すれば、まとまりも出てくる。攻めの形も徐々にできあがってくるでしょう。そこはあまり心配していません。

――決定力不足が日本の永遠の課題ですが、FWでは大迫も武藤もあまり存在感を発揮できませんでした

賀川:センターフォワードがまだチームとして、威力のあるものになっていないなあという印象ですね。武藤が後半34分、左足でシュートを打ちましたが、左に外れていきました。体の線が傾いてゴールの方向から外れているので、あの蹴り方ではボールがスライスします。W杯本番前の合宿はコンディション作りと同様に、どれだけ選手1人1人がボールを蹴っているかも大切。特に中盤から前の選手はゴールに向かってボールを蹴る、シュートレンジに近づけば、その気になって、シュートを打っていく、そういう練習をしてほしい。全体のコンビネーション練習も大切ですが、相手よりも多く点を取ったら勝つのがサッカー。MFから前の選手がゴールに向かう強い姿勢をチーム全体で作り上げてほしい。これは誰がうまいとか、そうではないとか、そういうことではありません。

――3バックはどうでした?

賀川:選手がやりやすい方をやったらいいと思います。4バックの方がいいと主力の選手がそう思えば、戻せばいいわけで、どちらがいいと今判断するものでもないでしょう。ただ、すぐ後ろに戻れるメンバーが余分にいる4バックの方が日本にとってはいいかもしれない。3バックに比べて、両サイドが前に出る回数は減りますが、W杯に出てくるFWは日本のDFよりも足が速いし、体も大きい。4バックにすれば、守備はいつも中央に2人いる。どの試合も守勢が予想されるだけに、4バックの方が選手は安心かもしれません。

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2017年10月10日 日本代表 対 ウクライナ代表

2018/03/29(木)

8/3/27(火)ベルギー/リエージュ
日本代表 1-2(1-1) ウクライナ代表

――23日のマリ戦から前線のメンバーを入れ替えて臨みました。マリと同様、ウクライナはロシアW杯に出ないチームですが、非常に強かった

賀川:日本が1964年の東京オリンピックを目指して強化をしている時期に、いつも相手をしてくれたのが、旧ソビエト連邦内にある代表クラスのチームでした。胸を貸してくれて、準備のためにいい対戦相手になった。ウクライナは昔からサッカーが盛んで強い地域でした。ソ連のチームは個人技がしっかりとしていて、動きの量も多い。南米のようにうまいけど、ちょいちょい手抜きがあったり、すきがあったりすることはありません。日本のように運動量が多いし、ピッチを走り回る力もある。真面目にサッカーをやるから日本としては特長を出しにくい。同じようなタイプで、しかも個人個人に力があったので、相性という意味ではいい相手ではなかった。日本よりちょっとずつうまくて強いわけだから。50年後にウクライナとやってみても、同じような感じがありましたね。

――ウクライナはカウンターが非常にうまかった

賀川:非常にオーソドックスな速攻を見せていましたね。日本から見て右サイドは非常に苦労していました。マークをちょっと離しすぎていた感がありました。

――攻撃ではなかなかチャンスをつくれなかった

賀川::日本も攻める場面はありましたが、アジア予選で戦っているのとは違って、攻め込む回数が少なかった。本田が今の日本では一番安定してボールをキープできて、攻撃の芯になったり、きっかけになったりする選手ですが、本田といえども、楽に試合ができない。ウクライナから見て、左サイドの選手はドリブルもうまくて、やられそうな場面がありましたね。欧州の平均的な国とやれば、日本がキープして攻める回数が減るのはある意味当然で、そのためには本番に備えてチャンスの数が多くなくても、それをものにする、点を取っていくことが出来ないといけません。そういう意味ではいい教訓になったと思います。

――本田は6カ月ぶりのスタメンでした

賀川::本田はいつも自分のところにくっついてくる相手を横を置きながらプレーをしていた。日本はほとんどノーマークのシュートの場面はなかなかつくれなかった。本田と香川が同時にピッチいれば、もうちょっと違う展開になっていたかもしれませんが。香川はこのタイミングで呼んでいないということは本番では使わないということでしょうか。

――本田はやはり代表メンバーに入れておいた方がいいですか

賀川::どこのポジションで出ても、ゲームを作れる選手ですから。攻撃のためのボールをひとつ持てる選手ですし、代表メンバーにいないとなれば、ちょっとしんどいでしょうね。本田という選手は周りをみながらボールをキープすることができます。彼のプレーを周りが利用しないともったいないような気がします。彼がボールに触ったときに周りが受けやすい位置にいくとか、ダイレクトでシュートを狙って、本田からのパスをもらえる位置を取るとか、やれることはもっとあると思います。そういう攻撃の形がそろそろできあがっていないといけないのですが、ハリルホジッチ監督はこの試合を経て、直前の合宿でメンバーを絞るつもりなのでしょうね。誰が攻撃の中心になるのか、リーダーなのか、見えてきませんでした。

――他に気になる点は

賀川::吉田麻也がけがで出ていない。後ろを安定させ、前方への指示などを余裕を持って出来る大ベテランが抜けているのはちょっと痛い。彼が間に合うのか、間に合わないのかで、大きく違ってくるでしょう。前の試合でよかった宇佐美をもう少し長い時間見てみたかった気がします。選手の力量、特徴は全部、監督が頭の中に入っているのでしょうが、もう1試合、ガーナ戦(5月30日)をやって、最終メンバーを組み合わせるんだと思います。

――欧州シリーズは1分け1敗でした

賀川::1対1で相手が互角かそれ以上だから、どんどんチャンスをつくれるという形にはなかなかなりません。こういう相手とやって、ぎりぎりの競り合いの中からボールをつないで、どこかで逆をとって、シュートチャンスをつくる、あるいは裏に走り込んでという形がないといかんのですが、ウクライナ戦ではペナルティーエリアの根っこまで攻め込んでいく形が少なかった。どんなに劣勢の試合でも1試合のうち3回か4回のチャンスは訪れます。そこで2点、3点と取っていかないと、なかなか世界では勝てない。ウクライナの寄せが早かったのかもしれませんが、ペナルティーエリアの外から思い切ってシュートを打っていたのは前半17分の植田ぐらいでした。それぐらいの気構えを見せないと突破口を見つけるのは難しい。

――自分たちよりも格が上の相手と対戦するときは、ミドルシュート、ロングシュートが局面打開のカギになる

賀川::ウクライナとの試合では決定的なチャンスはほとんどなかったですね。相手の引きが速いというのもありますが、引いているDFラインの前でボールを回しても、相手はさあ来いと待っているわけですから。引かれても、突っかけていきたい。理想は、引き始める前、相手が後ろ向いているときに突っかけていくこと。ウクライナの2点目がそうでした。

――マリ戦でゴールを挙げ、ウクライナ戦で後半途中出場した中島は思いきったシュートを打ちました

賀川::若い選手はシュートのタイミングが速い。小林悠の落としから中島が放った最初のシュートは前に相手がいても、打っていった。彼のようにゴールが見えたら打っていかないと損ですよ。そうすれば、何かが起こるかもしれない。相手に当たって、方向が変わるかもしれない。パンと軽く蹴るから、何も起こらない。しっかりと足首を固定して、甲にボールを乗せてガンと叩けば、強い球がいきます。GKには専門のコーチがいて、専門の練習を常にしている。それに比べて、FWはどこまで専門的な練習やシュートの数をこなしているのでしょうか。何かあったら、いつでも点を取ったるぞという気構えがある選手は、見ている方も面白いものです。日本に限らずですが、相手の裏に入り込みながら、シュートを打たないで、パスするようなシーンをよくみます。あそこまでいったら何でもいいから、エイと蹴ってほしい。蹴るところがなかったら、そのへんにいる相手の体に向かって蹴ってもいい。相手に当たって方向が変わって入るかもしれない。
――思い切りが必要

賀川::サッカーの戦術、戦略は緻密に練るものですが、攻撃で、特に得点を奪う場面はおおざっぱにやるぐらいでちょうどいいものです。釜本邦茂のようにゴールに向かって蹴ることを生き甲斐に感じている選手がいれば、得点は増えるものです。

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2017年10月10日 日本代表 対 ハイチ代表

2017/10/13(金)

2017/10/10(火) 19:30 神奈川/日産スタジアム
日本代表 3-3(1-2) ハイチ代表

――杉本、倉田、小林祐希、浅野、乾、昌子、酒井高、遠藤、東口が先発し、6日のニュージーランド戦からスタメンが9人入れ替わりました

賀川:ハイチはFIFAランク48位で日本(同40位)よりも少し下のチームでしたが、力はありました。ロシアW杯予選ですでに敗退している国といっても、やはりいつも出ている手慣れたベストに近いメンバーが最初から出ないと優勢に戦えないというのが、今の日本の力ということかもしれません。ハリルホジッチ監督は本番を見据えて、すでに16人ほどメンバーを選んでいるでしょう。それ以外のメンバーを選ぶために、入れ替わり立ち替わり選手を出しましたが、このクラスを相手にやれるかといえば、そうではなかった。それが国際試合というもの。監督は少々点は取られてもいいから、どの選手がどれぐらいできるか、見たかったんじゃないでしょうか。

――前半は倉田、杉本がゴールを決めました。倉田の先制点は賀川さんが常々攻撃の原則とおっしゃるサイド攻撃から。Jリーグで得点ランク2位(16得点)と結果を出している杉本はうれしい代表初ゴールでした

賀川:左サイドの深い位置からの長友のクロスを倉田がニアサイドで合わせました。あれだけ深い位置まで攻め込むと、相手のゴール前に隙が生まれます。クロスというものはニアサイドかGKを越して逆サイドに蹴るか、どちらに上げた方が得点になりやすいかの判断が大切になります。長友、倉田の息が合った先制点でした。杉本は自ら中央に攻め込んだ後、倉田に横パスを出した。その倉田の1対1のシュートがこぼれてきて、左足で押し込みました。ジャストミートしなかったので、少々不格好に見えたかもしれませんが、シュートはゴールの枠内にきちんと入りましたね。杉本はどこかで隙を作って、1対1で自分が優位な場面を作って、シュートまで持ち込むシーンを作り出せたら、得点以上の自信になったでしょう。相手の嫌がるところに入っていけるか。そういう気概があるか、ないかというところはFWにとって大切なことです。

――日本が2-0とリードしながら、ハイチが反撃に出て、一時は2-3になりました。サッカーでは2-0は安全圏ではない、まだまだ危ない点差だとよく聞きます。相手が1点取ると、あと1点で同点だと勢いづき、そのまま逆転されることもある

賀川:勝つためには3点差にしないといけないということはよくいわれますが、1-0であっても、2-0であっても、強い国、チームはそのまま勝ち切る力があるものですよ。日本の場合はそこまで守備の力があるとは言い切れない。だから2点目、そして3点目を取らないと危なっかしい試合になってしまうこともある。Jリーグでディフェンスの選手が1対1で粘る力をつけていかないといけませんね。

――ハイチは攻撃力があった

賀川:体も強いし、何よりスピードがありました。足の速い浅野が仕掛けても、振り切れませんでした。1点目は右サイドからのカウンターを受け、中央の対応が遅れたところに、クロスが入り、簡単にやられてしまった。同点の2点目は予想外のFKのリスタートに選手が反応できず、これもサイドから決められました。一時勝ち越された3点目はペナルティーエリア左の外から昌子の寄せが甘いところを思い切って、右足を振り抜かれました。しっかりとコースを狙ったキックでした。相手のプレッシャーがあまりなかったので、決めた選手からすれば、プレースキックのようだったかもしれません。3点はちょっと取られすぎですね。

――小林祐希はたくさんボールを触っていましたが、いかがでしたか

賀川:よくやっていたと思います。ボールを拾ってから出すのがうまい選手ですね。ただ、相手の攻撃のボールを奪ってから展開したいときに、キープを第一に考えていたんでしょうか、安全にボールを運ぶときがありました。自陣のハーフラインの手前で横パスを受けてから、思い切ったタテパスを出せれば、早い攻撃がもっと増えたでしょう。相手のペナルティーエリアに近いところまでつないでいって、少々詰まっているところへのパスが多かった印象もあります。その付近でボールを持ったときは、パスの構えと同時にシュートの態勢も作って入っていってほしい。そうした方が相手は怖い。力のある選手だから、今よりも早くシュートの仕掛けに入ることはできると思います。

――香川が途中出場して、終了間際に酒井高のシュートのコースを変えて、同点ゴール。後半25分過ぎからは攻撃の主導権を握って、細かくパスをつないで攻めました

賀川:あれだけ味方と相手が狭いエリアに密集していると、どんな名選手でもこじ開けていくのは難しいでしょう。日本はパスを細かくつないで、ディフェンスラインの裏を狙っていましたが、強引にでもシュートを打ちにいって、誰かが前でつぶれた後に、チャンスを見出すやり方の方が、現実的かもしれません。日本の攻撃には香川はやはり必要でしょう。彼がプレーメーカーになるのか、ゴール前で決める選手にならないといけないのか。これからも注目していきます。

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