2017年6月7日 日本代表 対 シリア代表

2017/06/09(金)

キリンチャレンジカップ2017
2017/6/7(水) 19:25 東京/東京スタジアム
日本代表 1-1(0-0) シリア代表

――このシリア戦は、13日に予定されているアジア最終予選グループB対イラク戦をひかえての試合で、スコアは1-1の引き分けでした

賀川:代表の試合はいつもおもしろいですね。この試合もリードされ、追いついて、勝ち越しゴールを目指す形になり、チャンスもあったので、スタジアムの観客はもちろん、テレビ観戦者にも見ごたえがあったでしょう。

――1-1から逆転ゴールが生まれれば、もっと盛り上がったのでしょうが

賀川:日本の同点ゴールは、後半の13分でした。この後の30分間で、勝ち越しゴールを奪えれば申し分なかった。シリア側に疲れがみえて、動きが鈍くなっていましたからね。

――押し込んで、ペナルティエリア内の相手の人数が多くなると、なかなかゴールは奪いにくいものです

賀川:日本のゴールは左サイドを長友がタテに出て、ゴールライン際から中央へグラウンダーのクロスを送り、中央へ走り込んだ今野が決めたものです。サイドから攻めるという基本に沿ったものでした。

――賀川さんがいつも言っていることですね

賀川:相手の守りを崩してシュートの態勢をつくるときに、いろいろなやり方がありますが、シュートする者がボールを横から受ける形が点を取りやすいのです。日本の同点ゴールは、まさにこれでした。

――サイドバックの長友がクロスを出し、ミッドフィルダーの今野が決めました

賀川:昔風にいえば、オーバーラップということでしょうが、現在ではこういう形はよくあります。FWは攻撃のスタートのときから相手のマークにさらられています。第2列、第3列の選手が飛び出したときには、相手もマークしにくいものです。疲労がたまって動きが遅くなるとなおさらです。

――相手を押し込む形になると、ペナルティエリアの少し手前から25メートルラインあたりに相手の防御ラインができて、ディフェンダーが4~5人いる。そしてのその前に、もう一列の守備線がつくられる。これを崩しにかかるという場面がよく見られます

賀川:相手にボールを奪われたとき、奪われた側はすばやく守りの態勢に入ります。守りの人数が少ないうちに攻める速攻ができなければ、ボールをキープして、攻撃の人数を増やすという光景は試合中に何度も見られるでしょう。互いの攻と守の切り替えのなかで、どのように攻める側(ボールを持つ側)が展開してゆくかが、試合の面白さです。この試合でも同点ゴール以外にも日本側にいくつかのチャンスがありました。

――日本の失点は

賀川:後半のはじめ、シリアが攻め込んでシュートし、その後も攻めに出て、右CKの後、右サイドからのクロスをCFのマルドキアンがヘディングで決めました。日本はクロスを送り込む相手へのプレスも弱く、ヘディングも防げなかった。

――点を取られるときは、不思議なほど相手を自由にしてしまいます

賀川:相手の得意の形になっていました。ボールを失ったときに、何人が「ヤバい」と思ったかですね。

――本番を前に、いいクスリになってくれればいいのですが…

賀川:この試合に入る前の選手たちのコンディショニングはどうだったのかな。ヨーロッパ組は長いシーズンが終わった直後で、必ずしもいいコンディションではなかったはずです。

――もちろん、それを確かめるための、この試合でもあるのですが

賀川:ヨーロッパから日本へ戻ってくるのにも長い飛行機の旅があり、時差の問題もある。それを克服するのも、日本代表選手の仕事でもあるのだが。

――選手たちも大変です

賀川:ヨーロッパでプレーする日本代表にとっては宿命のようなものです。この試合でそれぞれの体調を確認し、13日のイラク戦に向けて8日にイランに向けて出発することになっている。

――香川のような大事なプレーヤーの故障もあったが、こういうことがあるのも代表の戦いのひとつでしょう

賀川:今野のコンディションもまだ万全ではないようだが、このシリア戦で監督さんは選手の調子を確認したわけでしょう。

――得点は1点だけですが、ペナルティエリア付近での相手の守りの崩しもいくつか見ることができました。あとは本番までの体の手入れと、コンディショニングですね

賀川:大迫というCFタイプのFWが出てきた。選手たちも伸び盛り、充実期ともに経験を積んできています。

――本番の対イラク戦が楽しみですね

賀川:イラクの国内事情のために、試合はイランの首都テヘランで行われる。開催地を引き受けてくれるイランのサッカー人にも感謝しなければなりません。そういう難しい社会情勢のなかでもワールドカップ予選を開催する、サッカーという競技の大きさを考えながら、代表に声援を送りたいですね。

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2017年4月9日 日本女子代表 対 コスタリカ女子代表

2017/04/13(木)

キリンチャレンジカップ2017 ~熊本地震復興支援マッチ がんばるばい熊本~
2017/4/9(日) 19:04 熊本県民総合運動公園陸上競技場
日本女子代表 3-0(1-0) コスタリカ女子代表

3月のアルガルベカップでアイスランドとノルウェーに勝ち、スペイン、オランダに敗れたなでしこジャパンの今年の国内初戦が、キリンチャレンジカップとして
熊本で行われ、コスタリカ(FIFAランキング30位)に3−0で勝利した。

なでしこジャパンはワールドカップ優勝の澤穂希の時代から技術や戦術の高さだけでなく、活動量の点で相手チームを上回っていた。新しいなでしこもFIFA順位では格下のコスタリカを相手に、まず動きの量で勝っていた。日本の女子の技術レベルは、いま上昇中だが、国際舞台ではまず動きの量が必要で、この日はその点でまずますと言えた。ボールを左右のサイドへ散らし、フィールドを広く使うことで、フリーでボールを扱う時間が生まれ、そこを起点として攻撃を仕掛ける回数も多かった。

1点目は前半23分、ペナルティエリアいっぱい、正面近くからの横山の左足シュートだった。これは(1)右サイドでのキープから高木が内へ真横にドリブルして、ゴール正面の横山の足下へパス。(2)横山は右足インサイドで止め、(3)背後からマークする相手DFを左へかわして、(4)左足でシュート。(5)ボールはゴールキーパーの上を抜いてネットを揺らした。シュートレンジでボールを受けた相手のストライカーにタックルにゆかないで、間合いをあけていたところにコスタリカのDFの甘さが見られたが、ここはパスを受けて、ターンをしてシュートへ持っていった、日本のストライカー横山の能力の高さが発揮されたというべきだろう。もちろん、横山が右足で止めた時に、その右側を駆け上がった高木、右に開いた田中、左に上がっていった市瀬たちがいて、相手DF陣の中央へのマークを分散させていたことも覚えておきたい。

1−0となってからも、日本は攻撃の手を緩めず、コスタリカもドリブル攻撃を仕掛けて、互いに攻め合った。両チームともクロスを含めたラストパスの精度がもう少し高ければ試合はもっと緊迫したものになったはずだが…。またコスタリカは攻めながら守りを気にして前方へ送る人数が少ないために、攻撃の効果は小さかった。

後半に入って、コスタリカは挽回の意欲を高め、攻めに出てきた。ただし日本のゴールから25メートルあたりまでキープしながら、そこから先はゴール前への「放り込み」が主で、熊谷、市瀬たちはヘディングでも負けなかった。

互いの攻撃のなかで、日本側のチャンスが増え、スタンドでも、テレビの前でも期待が高まった29分に日本が2点目を決める。自陣でボールを奪い、ロングボールを送ったのを相手に防がれた後、相手DFのクリアキックが短くて、ハーフウェイラインに届かないのを佐々木(宇津木と後半18分に交代)が取って、すぐ前の長谷川へ。長谷川が左前方へ走った上野(横山と交代)にパス。上野がペナルティエリア左、すぐ外から中央へクロスを送った。ライナー性のボールがワンバウンドするのに、田中が左足で合わせた。自陣でボールを奪われたコスタリカは日本の左サイドからの攻めに対応できなかった。

勢いづいた日本はこの3分後にもチャンスをつくるが、シュートを蹴りそこない、その直後にも左CKのチャンスにヘディングしたがゴールにならなかった。

リードを広げられたコスタリカは、それでもゴールを奪おうと攻める意欲は衰えないが、日本は37分に3点目を加えた。左でボールを受けた長谷川からのグラウンダーのクロスを、右サイドで詰めていた籾木(中島と交代)が押し込んだ。

なでしこジャパンの快勝。後半に出場した交代メンバーを含めて、高倉監督の新しいチームの技術が高いことを示し、1対1の奪い合いでも相当な力を持っているように見えた。ここしばらくの日本代表を見ると、男子も含めてボールを扱う技術は平均して高いが、ボールを蹴る力、キックの力はいま一息のようにみえる。今度のなでしこも、それぞれのポジションに必要なキックの能力を高めることが必要だろう。

もちろん、澤穂希時代のなでしこの実績が華々しいので、それに比較される今の代表は大変だが、澤さんとその仲間たちも、ひたすら反復練習の繰り返しで、個人もチームも成長した。若く、いい素材が多いとされてるいまの「なでしこ」が再びかつての高みに上るためには、まだしばらく練習を重ねなければなるまい。コスタリカとの試合は、多くのサッカーファンの未来のなでしこへの期待を高めたと言えるだろう。

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キリンチャレンジカップから

2016/11/15(火)

――キリンチャレンジカップの記事で、代表の進歩について「ここまで来た」という言い方をしましたね

賀川:日本代表チームの選手個人の力も、チームワークも相当いいところに来ていると感じました。ピッチ上のそれぞれの局面で日本代表の一人ひとりがオマーン選手とのボールの奪い合いでもほとんど負けることはなかったからです。

――ミスが多いとも言っていました

賀川:はじめのうち、パスミスが多かったのは気になりました。それでも、代表チーム全体としてみれば、個人力もチーム力もずいぶん高くなっていると思いました。

――清武の充実ぶりを評価していましたね

賀川:個人的に清武がレベルアップしたことも、代表進化のひとつです。香川真司がケガなどで調子を落としているときに、同じセレッソの後輩ともいえる清武がトップ下の攻撃リーダーになってきました。

――もともと上手な選手でした

賀川:彼がセレッソに来たときに、香川たちがその上手さに驚いたそうです。彼のトラッピングはいつ見ても、ほれぼれします。相手がすぐ近くにいても、ボールを的確に扱える技術を持つ清武が経験を積んで、中盤で幅広く動き、ゴールにつながるパスを出し、自らも走って攻撃のリーダーを演じました。

――「伸びている」という勢いがありました

賀川:伸び盛りのプレーヤーがいると、チームが上向きになるので、とてもうれしいことです。そのことを清武は見せましたね。本人の能力からみれば、まだ上にゆくでしょうから、サウジアラビア戦のような重要な試合で、いい働きをしてくれるでしょう。

――山口蛍もいい働きをした

賀川:長谷部のようなベテランもいる日本の守備的MF陣に、これも伸びしろのある山口が加わってきました。ときにパスミスもありましたが、日本のMFグループでの明るい成長のひとつです。

――ハリルホジッチ監督が予選を通じてメンバーを数多く起用してきた成果があった

賀川:予選の、絶対に勝たなければ、という試合が続く間に、キリンチャレンジカップのような親善試合で選手の組合せをテストできるというのは、いまの日本代表にとって、とてもいい本番への準備になります。

――15日のサウジアラビア戦はどう見ますか

賀川:埼玉スタジアムというホームでの試合です。サウジアラビアは守りをしっかりしながらカウンターを狙うのが定石でしょう。日本代表はこのところ、自らのファウルでのFK、PKを与えることでピンチを招いています。タックルの入り方などは、当然復習していることでしょうが、正しいプレーを身に着けることはワールドカップの本番のためにも、あるいは自らのリーグでの活躍のためにも大切なことです。

――なんといっても、日本代表の動きの量と質でしょう

賀川:日本のホームで、しかも秋のサッカーシーズンです。気候的にはいくら走っても疲れを感じない、いい時期なのだから、代表イレブンはまず運動量で圧倒するくらいの気持ちでいってほしいですね。日本は攻撃も守備も、いつも相手以上の人数をかける形になります。その激しい動きのなかから相手の隙が生まれてくるはずです。

サウジアラビアにもいい選手がいるでしょうが、日本のスカウティングもしっかりしているから十分対応できるでしょう。全体にシュート力があがっていて、本数も増えているのが今の代表のいいところです。自信をもって攻撃からシュートに入り、そのこぼれ球を狙えば、ゴールは自ら生まれてくるでしょう。

ここで勝つことは、グループでの順位をあげることにつながり、次に向かっての大きなステップを積むことになります。

――日本中の皆さんの気持ちをひとつにするような、試合を観たいですね。

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2016年11月11日 日本代表対オマーン代表

2016/11/14(月)

キリンチャレンジカップ2016
2016/11/11(金) 19:20 茨城/茨城県立カシマサッカースタジアム
日本代表 4-0(2-0)オマーン代表

清武の充実ぶりが目立ち、攻めは彼を中心に展開された。前半の2得点は大迫が32分、42分に決めたものだが、1点目は左サイドからのクロスをゴール正面でヘディング。2点目は清武からのグラウンダーの縦パスを受けて決めた。

1点目の攻撃は、30分の右サイドからのクロスを大迫がトラップシュートしたところからはじまり、その第2波で清武がペナルティエリア左外から右足でクロスを送り、大迫がヘディングした。ボールの落下点には大迫の背後に本田も入っていた。

それまでの日本の右・左からの攻めで相手の5人の守りが崩れて、ノーマークになってゆく過程をスローで見直すと、とても面白かった。

2点目は右からつないで、ペナルティエリアの外を左へ動かしたボールを清武が相手DFラインの裏へスルーパスを通し、大迫が左から右にボールを持ち替えて、右足のサイドキックで左ポスト際へ決めた。密集防御地域のペナルティエリアいっぱいでの縦パスのつなぎと、相手の守りに大きなスキ(スペース)をつくった展開は見事だった。

こうした攻撃ができるようになってきたのが、従来からの同じ顔ぶれのチームでなく、試合ごとにメンバーを入れ替え、若い選手の成長とあわせて、チームが出来上がっているところに、今の日本代表の楽しさがあり、監督さんの苦心があるのだろう。

この日は代表チームのキャプテン長谷部を休ませ、MFは山口蛍と永木とした。攻撃のMFは右から本田、清武、齋藤、トップに大迫を配したスターティングメンバーの攻撃陣は、右の酒井宏樹、左の酒井高徳の攻め上がり(特に右サイド)を引き出し、サイドからの攻めも多く、前後半を通じて20本以上のシュートチャンスをつくった。

前回のオーストラリア戦では原口がゴールを決め、今回は大迫が目立つことになった。新しく起用される選手が、ここしばらくの日本サッカーの個人力上昇を背景に、ドリブル力があるのを見ると、かつての個人キープの少なかった日本代表を知る者には楽しいことだ。

メンバーを入れ替えつつ、チーム全体の攻撃力アップを図ってきた効果が4-0のスコアになったと言えるだろう。

もちろん、フレンドリーマッチであって、タイトルマッチではない。遠征してきたオマーンの代表にとっては、日本の秋のナイトゲームは気候的に楽ではなかったはず。そうした条件を考えると、4-0と言っても、手放しでよろこぶわけにもゆかないが、まずは日本代表の積み重ねと上達を知った今度のキリンチャレンジカップの値打ちはあったと見たい。

選手たちがこうした試合経験を足場に、サウジアラビア戦への準備をさらに積んでくれることを期待している。

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2016年6月29日 U-23.日本代表 対 U-23南アフリカ代表

2016/07/08(金)

キリンチャレンジカップ2016
2016年6月29日 長野/松本平広域公園総合球技場
U-23.日本代表 4(3-1、1-0)1 U-23南アフリカ代表

――相手がオリンピック予選を突破して本番に出場するチームということで、注目されましたが、日本が4-1で勝ちました。

賀川:会場に集まった人も、テレビで観戦した人も、日本のゴールのたびに声を上げたことでしょう。スピーディーな試合展開でしたね。前半にPKで1点を失ったが、3ゴールを奪って前半のうちに逆転しました。後半には1ゴールを加え、南アフリカの攻撃を防いで、結局4-1という大差になりました。相手は遠征でアウェイのハンデのあることは頭にいれておくべきでしょうが…。

――PKは日本のハンドの反則ということでした

賀川:前半28分に相手のDFからのロングボールをDFの亀川が胸でトラップした時に、ボールが右腕に触れて落下した。

――ちょっと亀川には気の毒な感じもありました

賀川:レフェリーがハンドを認めてPKになってしまった。こういうことも、本番前に経験したのはわるくない。

――GKの櫛引がどうするか見ていたら、シューターが蹴る前に動きましたね。シュートそのものは守備範囲、というより動かないでいたら正面にきたはずでした

賀川:ゴールキーパーにとって、試合中のPKを経験したのも、私はプラスになったと思います。

――37分に日本が同点にしました

賀川:35分に攻め込んで防がれた後、ハーフウェイラインからの攻めだった。

――今度も右からでした

賀川:足下へのパスを戻りながら受けた浅野が相手のDFとつぶれる形になり、そのボールが中央へ流れたのを矢島がとって、すぐ右を走り上がった大島にパスした。

――大島は一気に相手DFラインの裏へ出てボールをとり、10メートルほどドリブルしてペナルティエリア内に入り、出てきたGKを前にして、左へパスをした。このパスを受けた中島が、誰もいないゴールへ流し込みました。

賀川:この1点で勢いづいた日本が、この後、前半のうちに2点を決める。

――南アフリカも、点を取ろうと攻めに出るので、互いに攻め合う形になり、それだけにチャンスも増えたのだが、うまい攻撃からのゴールだった。

賀川:2点目は左サイドでのパス交換から長いパスを右へ送り、そこから矢島が右外を駆け上がる室屋にパス。室屋がタテにドリブルして内へパスを送ったのを矢島がダイレクトシュートで決めた。

――3点目はゴールキーパーの櫛引のキックから、相手DFが処理した後のパスを浅野が奪って、ペナルティエリア内でキープし、エリア内右寄りから中央へクロスを送り、中島がヘディングで決めた。

賀川:相手のCDFのヘディングが左DFにわたり、中央へリターンされたのを浅野が奪ってからの攻撃でした。

――前からのプレッシングの効果のひとつでしたね。3-1になりました。

賀川:この試合を見ながら私は、ロンドン五輪の代表を思い出しました。永井という足の速いFWを先頭に、前からのプレスで相手を圧迫した第一戦の対スペイン戦の勝利で、一気にチームの調子が上がったのでした。

――後半早々に、4点目が生まれました。

賀川:自陣からの植田の長いパスを相手DFが止め損ねたのを浅野が奪って、ドリブルして決めました。相手のミスという幸運もあったが、こういう「運」をつかむこともチームとしての実力ですからね。

――ゴールを奪えるチームになったとみてよいでしょうか

賀川:後半はこの1点だけだったが、多くの惜しいチャンスもありました。浅野は後半の14分に豊川と交代したが、この日の動きで、自分自身にも、チームの仲間にもこの代表の中心はストライカーになりえることを見せてくれたと言えます。

――南アフリカはゴールを奪い返そうと、後半もよく攻めました。日本にはラッキーな面もあったが、3点の点差で士気は高く、追加点を許さなかった。

賀川:手倉森監督がつくったU-23代表は、これで国内の試合を終えて、代表メンバーでの最後の合宿に入り、リオに向かいます。すでにオーバーエイジ枠のメンバーも決まっていて、次は本番用のチームを組むことになります。

――ここまでオリンピック代表の試合を見てきて、どういう評価になるのでしょうか

賀川:日本代表の伝統的な強さは、豊富な運動量と組織力ですが、サッカーの基礎である一人一人の戦いでもレベルは上がっていると見ました。サッカーはチームスポーツで、どのポジションの選手も大切ですが、オリンピックのような大会で勝ち上がってゆくためには、ゴールを奪う力がなくてはなりません。そのために浅野というストライカーが台頭してきたことはとてもよいことだと思っています。

――日本サッカーの男子のオリンピック唯一のメダルは1968年メキシコでの銅メダルでしたが、その時には大会の得点王になった釜本邦茂さんがいました

賀川:浅野という速さを基調とするストライカーの成長は、日本にとっての大きな力になるでしょう。体格や技術の上で、浅野を68年の釜本といえるかどうかは別として、持ち前のスピードと、ここ1年間の伸びを見ると、大きな期待をかけたくなります。

――チーム全体としてのレベルは

賀川:技術はしっかりしていますから、残り1か月でチームワークが高まれば、と期待しています。日本のサッカーは、選手のレベルの高さだけでなく、JFA全体の技術指導などの面でも、アジア諸国のなかで評価されています。そうした、日本サッカー全体の力を今度のブラジルでのオリンピックで見せてほしいと願っています。

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2016年6月7日 日本代表 対ボスニア・ヘルツェゴビナ代表(下)

2016/06/15(水)

――スコアが1-1となってからも双方のボールの奪い合いや、攻めの意欲の高さがみられて、とてもおもしろかった。日本は前半44分に宇佐美がエリア内でのキープからシュートのチャンスがあった。ボスニアにもバーに当たったエリアすぐ外からのFKをはじめ、スタンドをひやりとさせるチャンスもあった

賀川:この日の期待のひとつは、浅野拓磨をスタートから90分使ったこと。今が伸びる時期とハリルホジッチ監督は見たのだろう。後半にも彼にビッグチャンスがあった。

――こういう時に点を取れることが大事なのですかね

賀川:後半のスタートから柏木陽介を遠藤航に代えた。2分すぎに浅野のシュートチャンスがあった。右から中へ入り、右足で蹴ったが相手の足に当たって勢いが弱まった。相手のシュートチャンスにも粘り強く守るボスニアのうまさの例だが、こういう相手のうまさ、粘っこさは対戦して体で感じるものだからね。そのボスニアの守りのうまさに日本側はキープして攻め込んでもなかなかいいフィニッシュに持ってゆけなかった。

――東欧ユーゴのサッカーというところですね。

賀川:後半初めの20分間は、日本がキープして攻勢のように見えていたのに、決定的なチャンスはなく、21分にボスニアがゴールを奪った。

――20分にボスニアが選手を代えた。MFのドゥリェビッチをステバノビッチに代えましたね。代わってすぐに彼がチャンスを作った

賀川:彼が右サイドのポジションに入ったときに、ボスニアにハーフウェイライン付近(中央右寄り)でのFKがあった。FKは日本のペナルティエリア右角の少し外に向かって飛び、ステバノビッチが内へトラッピングしてDFをかわし、小さなドリブルから左足でパスをエリア内へ流し込んだ。

――いいパスが出た。このボールを長身のジュリッチがゴールエリア右角前3メートルで追いつき、右足でダイレクトシュートした

賀川:フォワードとしては当然のことながら、右斜め前へ走って、後方からのパスをシュートした。ジュリッチの動作は全くそつのない、見事なものだった。

――吉田麻也は少し離されていました

賀川:シュートされたボールは、吉田の足間を抜け、GK川島の右手をかすめて左ポスト近くへころがった。

――ロングパスと、ステバノビッチのうまいトラッピングと、それに続くパスと、ストライカー・ジュリッチのダイレクトシュートの組み合わせだったが、こんなに簡単にゴールが生まれるのだという見本のようだった

賀川:相手がボールを受けるときに日本側のマークの間合いが遠くて、まるで練習での得点コースの型を見ているようだった。FKのときに新しいメンバーが入ってくる。ただそれだけの異変で日本側に心の空白ができたのだろうが、その空白を利用したボスニアの選手の「いま!」をつかむ試合巧者ぶりに脱帽というところだろう。

――1-2とリードされて、日本は攻め続けようとする。ボスニアはじっくり守り、時折カウンターを見せ、日本は同点にできなかった

賀川:この後も、とてもおもしろかった。日本には選手の組合せのテストもあり、リードされてからも4人の交代が入ったが、点は取れなかった。

――この対ボスニア戦を見ると、差は大きくないとしても、戦えば必ず勝てるとは言えないことがわかります。ハリルホジッチ監督は、試合の後の記者会見で、日本サッカーにはずる賢さが乏しいと嘆いていたそうですね

賀川:東欧の旧ユーゴスラビアの各代表チームには、試合の流れをつかむうまさがよく見られるのです。この試合は勝てなかったのだが、私は日本代表は少しずつ進化していると感じています。宇佐美は昨年に伸びて、ちょっと足ふみしてまた上に向かっています。浅野はもっと試合を重ねることと、監督・コーチあるいは先輩たちからいいヒントをもらえば、今年大幅に伸びる気がします。もちろんそのためには本人の努力も必要でしょう。

――イングランドの優勝チーム、レスターのFW岡崎慎司はどうでした?

賀川:レスターでの優勝は自身にはなるけれど、それで彼のプレーの幅が大きく増えたというわけではない。前残りのFWで、ボールの競り合いに特殊な才を持つ岡崎が代表でどう生きるかは代表全体の問題として話し合い、大きなプラスにしないともったいない話です。

――相手が守りに入ったときには結局得点できなかった

賀川:いつもの話になるが、ラストパスの精度とシュート力アップでしょう。クロスの高さ、強さ、落としどころなどのレベルアップです。これらのプレーは練習量(回数)に比例すると昔から言われています。日本代表でもそれを繰り返し上達したときに大会で成績を上げています。ワールドカップアジア最終予選を前にしたキリンカップは終わりましたが、選手たちにとっても、応援するサポーターにとっても、これからが大切な時期になります。9月に集結するときの選手たちのプレーがとても楽しみです。

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2016年6月7日 日本代表 対ボスニア・ヘルツェゴビナ代表(上)

2016/06/13(月)

キリンカップ2016
2016年6月7日 大阪/市立吹田サッカースタジアム
日本代表 1(1-1、0-1)2 ボスニア・ヘルツェゴビナ代表

――6月7日、大阪の市立吹田スタジアムでキリンカップ2016の3位決定戦と、決勝が行われ、3位決定戦でデンマークが4-0でブルガリアを破ったあと、決勝は大接戦の末、ボスニア・ヘルツェゴビナが2-1で日本を倒しました。1978年に日本で初めての本格的国際サッカー大会「ジャパンカップ」として創設されたこの大会は、5年ぶりに復活し、4か国の代表チームによるノックアウト方式によって優勝を争う新しい大会(トーナメント)となりました

賀川:4か国トーナメントのノックアウト方式だから、1回戦がいきなり準決勝になる。6月3日愛知の豊田スタジアムでまずボスニア・ヘルツェゴビナ(以下ボスニア)がデンマークにPK戦で勝利し、第2試合で日本代表が7-2でブルガリアに大勝した。日本代表の大量ゴールに、サムライブルーへの期待が大きく膨らんだのは言うまでもない。

――吹田での6月7日の試合は雨のなかだったが、35589人の観客がつめかけた。関西で神戸に次いで生まれた濡れないで観戦できるスタジアムですからね

賀川:ガンバのホームグラウンドが、ナショナルチームのホームにもなった歴史に残る日でもあった。

――3位決定戦ではデンマークが勝ちました

賀川:ブルガリアもがんばったが、力の差はあった。

――デンマークのGKシュマイケルはいかがでしたか

賀川:カスパー・シュマイケルの父親が1992年のEURO(欧州選手権)でデンマークが優勝したときのGKピーター・シュマイケルです。親子2代のデンマーク代表ゴールキーパーをナマの試合で見ることができてとてもうれしかった。父親とよく似た体つきで、大きくて、ガッシリして、ゴールキーパーというポジションでヨーロッパ勢は恵まれているという感じだった。92年のピーター・シュマイケルはデンマークの選手たちがうちには世界一のGKがいると自慢していたほど、オランダやドイツを相手に堅い守りを見せて、優勝に貢献したのを覚えています。

――まあ親子2代の活躍をナマで見せてもらえたのも、キリンカップのおかげですね

賀川:92年EUROでスウェーデンまで出かけたのは、1936年のベルリン五輪で日本がスウェーデンに勝った、その時のスウェーデンでの反響を確かめたかったこともあった。

――そのことが、「ベルリンの奇跡」(竹之内響介著)というドキュメントの監修をすることにつながりましたね。キリンカップにはたくさんの思い出がありますが、古い話はこれくらいで、試合にゆきましょう

賀川:残念な決勝でした。第1戦は本田圭佑を欠いても大勝した。第2戦は香川真司(第1戦で負傷)も欠いての試合で、本田と香川のいないこの代表には少し荷が重かったという感じだった。

――ボスニアはかつてのユーゴスラビアの一部で、ユーゴの選手は東欧のブラジルと言われたほどボールテクニックが巧みでした。今度のボスニアもそうでしたね

賀川:テレビをご覧になった多くのサッカーファンはご存知でしょう。まずどの選手もボールを持った時の形(姿勢)がいい。相当な長身でも、いい姿勢でボールを扱えるのにまず関心しました。

――日本代表は前半はその相手にジリジリと圧迫されたが、26分に先制ゴールを決めました

賀川:宇佐美が左から斜め内側へドリブルし、ペナルティエリア内に入って内側にパス。そこにいた清武が左足でダイレクトシュートを決めた。宇佐美をマークしたDFは間合いを取って並走するだけでつぶしにくることはなかった。ドリブルの途中で宇佐美が「一呼吸」遅らせた時には、「うまくなったな」と思いましたね。パスのタイミングもギリギリで、宇佐美のよさが一杯つまったゴールでしょう。

――1-0になって、チームもスタンドも喜んだが、すぐそのあとには同点にされました。それも、相手のキックオフで試合が再開してすぐのことだった。ボールを後方へまわし、最終ラインの右サイドからボスニアはロングボールを蹴ってきた。ボールは高く上がって、日本のペナルティエリアの10メートル手前に落下し、吉田麻也がホジッチと競り合いながらヘディングした。そのボールを長身のジュリッチが拾って、エリア外12メートルから丁寧にバックパス、このボールを受けたブランチッチが左足で右前方へ高いクロスを送った。ボールエリア中央右寄り手前に落ちてくるボールをホジッチがヘッドし、ボールがGK西川周作にあたってリバウンドしたのを後方からやってきたジュリッチが右足で右下に蹴り込んだ。

最初のロングボールのヘディングを拾われ、次の高いクロスのときに、最初に吉田と競ったホジッチが右ポストよりに動いたのに誰もマークにゆけなかった。

――シンプルな斜め後方からのクロスに相手の動きが先手をとっていた。

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2016年6月3日 日本代表 対ブルガリア代表(下)

2016/06/06(月)

――2点目は香川のヘディングで決まりました

賀川:1-0になってから、しばらくしてブルガリアもボールをキープし攻めるようになった。彼らのヘディングが日本のゴールに向かって飛び、左右からの攻めでシュートチャンスも生まれた。

――右サイド後方から柏木がロングパスを左サイドへ送り、それを取った長友がゴール前の香川の位置へ高いクロスを送った。それを香川が決めました。見事なジャンプヘディングでした。

賀川:短いパスをつなぐのが日本だと思っていた人には、この2本のロングパスとヘディングの締めくくりで、今の日本代表の別の面を見たでしょう。この日は全体に仕掛けを早くしようとしていたと思いますが、中距離パスの精度のよさも生きましたね。前半のブルガリア側は反応が遅く、いささか不思議でもあったが、、、ボール保持を互角近くに上げてきたときに2点目を取られたから、ブルガリアにはつらいゴールだったでしょう。

――32分の3点目は、相手が攻め込んできた後の、日本のカウンターからだった。右角の深いところへ出たボールを、岡崎が走って拾い、バックパスした。そこから中へグラウンダーのパスが入って最後は香川でした

賀川:右からのグラウンダーのクロスが来たとき、香川のニアサイドにいた清武が、このボールにタッチしないで、ボールは香川にわたり、相手DFがつぶしに来るのを反転してかわし、左足シュートでGKミトレフの右を抜いた。サイドキックでのコントロールシュートだった。この時のキックの形を見て、香川は左足のサイドキックも上達しているのだなと感じた。

――朝日新聞の紙面に、この場面の香川の左足サイドキックが掲載されています。ボールをしっかり注視しているところがよく写っています。

賀川:同じページに岡崎の1点目のヘディングの写真もあった。これもヘディングした後、岡崎の目がボールを追っているところがよくわかります。報道の写真でサッカーのプレーの基本を確認できるのは、とてもありがたいことですよ。

――サッカー好きの少年たちや、指導の先生方にも参考になりますね

賀川:その5分後、38分に4点目が生まれた。コーナーキックのあと、相手がクリアしたボールを長谷部が右後方からゴール左ポストへ長いクロスを送り、ポスト近くにいた森重がヘッドで折り返し、それを中央にいた吉田がヘッドであわせてゴールへ叩き込みました。

――日本側はごく基本的な攻撃展開をしていたのに、相手は反応できていなかった

賀川:ドリブルなどには粘ってついてくるのに、左右にボールを散らされると、うまく防げていなかったようです。前半4-0.観客にとっても、テレビ観戦者にとっても、楽しい45分があっという間に終わりました。

――前半の終わりごろに、香川が宇佐美と交代した。相手との競り合いというより、体をぶつけたとき、腰を痛めたらしい

賀川:すごく調子がよくて、動きにもスピードがあったのに、、、ちょっと心配ですね。後半初めのラインナップは、トップが岡崎に代わった金崎、第2列は小林、清武、宇佐美、その後方は長谷部と柏木で変わらず、4DFもそのままでした。

――新しい顔ぶれにも期待がかかりました

賀川:ブルガリアは、前半より動きがよくなったこともあって、互角の攻め合いとなった。

――後半45分で日本はPKを含めて3得点、ブルガリアは2得点で、PKを失敗しています

賀川:日本は前半に4-0と大きくリードしたが、後半も攻めに出たから試合は最後まで面白かった。選手たちもひたむきでとてもよかった。

――ただし、前半の手馴れたメンバーと違うせいか、パスミスもあり、それも失点の原因のひとつとなった

賀川:日本が後半に先に2ゴールして、一時は6-0まで開いた。

――5点目はやはりコーナーキックのすぐ後に生まれた。

賀川:右CKを相手DFがクリアし、日本側はしばらくDFの間でパスを交換した後、攻めに入り、金崎が後方からボールを受け、右側を駆け上がる清武の前へパスを送った。清武はゴールラインから数メートルまで進んで、中央へパス。そこには吉田がいて、右足で無人のゴールに蹴り込んだ。CKのときからゴール前に残っていたのだろう。

――これで吉田が2得点となった。CKをクリアされた後、攻撃の機会を求めつつ、チャンスにタテに走るという動きが自然に出ているようにみえた

賀川:清武がラストパスをゴール前へ送り込むときに、右サイドキックで丁寧なキックをしていた。ひとつひとつのプレーに選手たちの思いが入っていた。

8分の、この5点目の4分後に6点目が決まった。今後も右サイドからの攻めだった。酒井宏高いクロスを中央で金崎がジャンプしたが届かず、ボールは左へ流れ、宇佐美がとって一つ止めてシュートした。右インサイドで右下隅を狙って決めた。

――スコアは開いたが、ブルガリアはあきらめなかった。後半14分に左スローインから日本側のヘディングが弱くて奪われ、ここからアレクサンドロフにゴールを奪われ、37分にもチョチェフのシュートで2点目を取られた

賀川::6-2となったあと、浅野がドリブルでペナルティエリアへ持ち込み、相手のファウルがあってPKをもらい、浅野が決めて7-2となった。

――7-2の後に今度はブルガリアにPKのチャンスがあった

賀川:43分に日本のエリア内でガリン・イバノフが原口に倒されたのを主審はPKとした。右ポスト際へのコースをGK川島が的確に読み、防いだ。川島にとっての勲章がまたひとつ増えたことになる。

――7-2というスコアだったが、最後まで緊張感があって、いい試合でしたね

賀川:ワールドカップアジア最終予選の準備として、これまでのレギュラークラスのチームワークと、そのチームにどれだけの選手を加えるかを監督さんは見ているでしょう。キリンカップ第2戦で何を見られるか楽しみですよ。

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2016年6月3日 日本代表 対ブルガリア代表(上)

2016/06/04(土)

キリンカップ2016
2016年6月3日 愛知/豊田スタジアム
日本代表 7(4-0、3-2)2 ブルガリア

岡崎の先制ゴールにレスターでの進歩を見る

――久しぶりのキリンカップは、まず日本の1勝、それも東欧のブルガリアを相手に7-2という驚くべき大勝となった

賀川:CDFに吉田と森重。右サイドが酒井宏樹、左サイドが長友という4人のDFの前に長谷部と柏木をボランチ、小林悠を右サイド、中央に香川、左に清武の第2列。トップは岡崎だった。レギュラーの常連、本田圭佑が負傷で欠場したが、ほぼベストメンバーに近い先発。チームは巧みなサイド攻撃で前半のうちに4-0とした。

――1点目は相手DFラインの裏へ走った岡崎が決め、2点目は27分に長友の左からのクロスを香川がジャンプヘッドで決め、3点目は右サイドからのグラウンダーのパスを香川、その3分後に右CKの後、長谷部の後方からの長いクロスを左ポストぎわで森重が折り返し、中央にいた吉田がヘディングでゴールした。

賀川:チーム全体にボールを早めに動かそうという意図が感じられた。中距離のパスが多く、また反対側のサイドに振る長いパスもあった。

――日本の早いパス攻撃にブルガリア側はとまどったようでした

賀川:なにしろ1点目のゴールが4分30秒だったからね。早い先制ゴールで日本は気分的にも楽になっただろう。

――形としては相手守備ラインの裏へ岡崎が飛び出した。オフサイドかというぐらい早いタイミングの動きで、柏木からのクロスをヘディングしたときはノーマークだった

賀川:この攻撃の始まりは、3分24秒に長谷部が右コーナーへロングボールを送り、それを追ってボールを取り、そこからバックパスが出て、ボールがエリア右外角近くへ戻ってきた。

――そのバックパスを受けた柏木にブルガリアのランゲロフが奪いに来た。柏木は戻り気味にターンしつつ、ゴール前を狙う岡崎の気配を感じていた

賀川:岡崎がエリア中央部を左から斜めに出ようとするのに合わせて、柏木はパスを送った。ゴールはゴール正面へ。CDFテルジエフの背後から現れた岡崎をブルガリア側はマークできず、ゴールキーパーとの競り合いもなくヘディングを決めた。

――ボールに近いところに小林も来ていました

賀川:柏木と岡崎のパスのやり取りだが、そういう小林の動きも相手へのけん制になっていたでしょう。

――サイド攻撃でも、右サイドでのバックパスの後のクロスですから、ちょっと意表をつきましたね。そういう全体の流れを見て、相手DFラインの裏へ走りこんだところが岡崎ですね。

賀川:試合後の談話で「飛び出すのが早すぎてオフサイドかなと思ったが、そうでなかった」と言っています。かつての日本の大ストライカー釜本さんとの話でも「裏を取る時はオフサイドとは紙一重ですよ」ということだった。

――今年の岡崎はプレミアリーグ優勝チームのストライカーとして注目されていますが、その一端を見せましたね。

賀川:そう。彼は滝川第二高校以来、「ゴールを狙う」のを生きがいに進歩してきたプレーヤーです。彼の守備での貢献なども高く評価されていますが、このゴールを見れば、やはり一瞬をとらえるストライカーの本領が見えましたね。

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2015年6月11日 日本代表 対イラク代表(続)

2015/06/14(日)

――GK川島、DFが右から酒井宏、吉田、槙野、長友、MFが柴崎、長谷部、本田、香川、宇佐美、FWが岡崎という先発メンバーで、後半20分まで来て21分に武藤、原口、永井がそれぞれ宇佐美、賀川、本田に代わりました。28分に岡崎に代えて大迫が、31分に長谷部の交代に谷口、40分には山口が柴崎の交代で入りました。MF6人はすべて代えたわけですね。

賀川:ディフェンスはすでに前の試合で出場しているメンバーもいて、今回は吉田、槙野の2センター、それにケガで長く休んでいた長友と、酒井宏も90分プレーしました。監督さんは候補選手のプレーを自分の目で確かめたのでしょう。メンバー変更の手順もなるほどという感じですね。

――原口が攻め込んでのこぼれ球をシュートして得点しました

賀川:前半のメンバー以外にも交代できるメンバーがいること、つまり代表チームにレギュラークラスにも競争相手がいるのだということをチーム全体に改めて知らせた。

――競争させるわけは?

賀川:これまでの代表だった者への刺激だけでなく、新しいメンバーもレベルアップすれは代表に入れる気持ちを強く持ってほしいと考えているのでしょうね、監督さんは。

――前半のFKでもいつもの本田が蹴ると決まっていなかった。吉田麻也のFKという珍しいものも見ました

賀川:FKのチャンスがあると思えば、プレースキックの練習にも力が入るでしょう。キックは気持ちのこもった練習の回数や量が多ければさらに上達します。

――そういう考えもありますかね

賀川:いまの日本代表はもともと幼年期、少年期からボールタッチが上手な、いわば技術レベルの高いプレーヤーが多く集まっています。それが、その技術を生かすために体を強くし、耐久力をつけ、走るスピードを上げ、そしてチームに役に立つプレーヤーになってもらいたいと監督は願い、そのチームの方針を常に選手に語りかけ、実際の練習でも行っているのでしょう。練習の日数から言って、それほど戦術的な人の動きやボールの動きに時間をかけていないはずですが、前半の選手たちは互いの意思は通じていると思う場面が再三ありました。

――アジア予選第2ラウンドという本番を迎える前としてはチームはいい状態になってきたと?

賀川:ハリルホジッチ監督もそう思っているでしょう。ただし監督は予選の各試合を通じて、あるいは大会までの3年間を通じての代表チームの強化を考えているはずです。そのひとつひとつのステップを確かめながら私たちは日本代表が上のレベルのチームへと変わってゆくのを見つめていきたいと思います。宇佐美貴史という新しいプレーヤーが働く攻撃陣も見ました。柴崎というバルサのシャビばりのパサーの成長も知りました。もちろんアジア予選は気候の変化も大きく、生易しいものではありません。この点ではヨーロッパ人の経験ある監督にとっても課題となるはずです。いろいろな困難を克服して行くためにチームは何より監督、選手の団結が大切ですが、それもこのキリンチャレンジで見えた感じもありました。これからの長い予選の期間、一喜一憂しながらであっても希望を持って入って行けることが、いまの私たちにはとてもうれしいことだと言えます。

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