2019年12月28日 U-22日本代表 対 U-22ジャマイカ代表

2019/12/31(火)

2019/12/28(土)日本/長崎県・トランスコスモススタジアム長崎
U-22日本代表 9-0(5-0) U-22ジャマイカ代表

――お誕生日おめでとうございます。この試合の翌日の12月29日は賀川さんの95歳の誕生日でした

賀川:ありがとうございます。忘年会を兼ねて神戸FCの友人や古いサッカー仲間に集まってもらい、お祝いをしてもらいました。この年齢までサッカーに関わることができて、本当にありがたいことです。

――若い選手が奮起して、最近では珍しいゴールラッシュでした

賀川:選手の顔にシワが全然ありませんね(笑)代表で多くのゴールが決まる試合を観るのは、お客さんにとっても楽しいものです。やっている選手も自信をつけることができます。試合の最中に思い切ったプレーをして、成功すれば、試合中に上達することができます。U-‐22日本代表は前回のコロンビアとの試合で納得のいかない試合をしていました。アジア選手権(タイ)のメンバー発表を翌日に控えていたこともあり、選手はそれぞれ、この試合に懸ける強い思いがあったのでしょう。個人的な競り合いでも、グループでのボールキープでも日本の方が上でした。すべての選手がアジア選手権にいくわけではありませんが、大会に向けて調子を上げていく上で、いいゲームになりました。

――中山の直接FKが前半6分に決まり、ゴールラッシュの幕が上がりました

賀川:FKはチームにとって大事な武器ですから。こういう試合で決めると大きな自信になります。スピードにしてもコースにしても素晴らしいゴールでした。前半から前の選手の動きに対して、中盤からきっちりとボールが出ていました。前の選手もしっかりと競り勝っていました。FW前田大然が試合開始から前線で走り回って、プレッシャーをかけたこともあり、主導権を握ることができました。彼は足も速いし、ボールキープを見ても体が強い。得点は9点ですか。前半に5点も取ると、後半は選手の気持ちが緩むときもありますが、そういうこともなく、同じように攻めました。ひとつひとつの競り合いも取って、終始攻撃的でした。森保監督の性格やチームづくりに対する考え方が表れていましたね。どんな相手に対しても、全力でやるということが徹底されていました。攻撃はサイドに開いて、逆サイドにスペースをつくるということを意識しているようでした。どうやって得点を取るかということを選手が自然とやっているように感じました。選手は動く量も質も落とさずプレーしたのがよかったのではないでしょうか。今回チャンスをもらった選手がこれだけ結果を残すと選手層が厚くなりますね。五輪はトップの11人、ベストメンバーの11人だけで戦うわけではありませんから、実りの多い試合になりました。相手がもうすこし歯ごたえのあるチームでしたら、なおよかったでしょうが。

――いよいよ2020年東京五輪イヤーがやってきます

賀川:東京五輪はホームですから、大きな後押しをもらえますが、逆に選手が硬くなることもあります。選手の力を上げることは当然ですが、いろんな交代の策を持っておくことが大切になるでしょう。1964年の東京五輪はサッカーの取材にいきました。閉会式の原稿も書きました。記者席に巨人の長嶋茂雄と王貞治を連れて観戦記を書かせていた新聞社もありましたね。私は当時サンケイスポーツでデスクをしていましたが、会社を抜け出して、会場の駒沢陸上競技場にいきました。顔なじみの記者から「賀川さん、えらいもんですな。五輪でデスクしないといけないのに、会社を抜け出して自分の好きな種目だけ見に来るなんて、大記者やないとできませんよ」と冷やかされました。「サッカーのええ試合ぐらい見させてもらわないと、何のために新聞記者やってるか、分からへんやないか」とこたえましたけどね(笑)。会場は日程の都合で、国立競技場ではありませんでした。組織委は当時のサッカー人気ではお客さんが満杯にならないと思ったのかもしれません。駒沢は満員でした。長沼健さんが監督で、初戦にアルゼンチンに3-2で勝ちしました。逆転勝ちでした。ノックアウトステージには進出できませんでしたが、あの逆転勝ちがあったので、翌年始まった日本サッカーリーグの第1戦に2400人ぐらいのお客さんが入り、俊さん(故岡野俊一郎氏=元日本サッカー協会会長)が「こんなにたくさんのお客さんが来てくれた」と喜んでいました。サッカー界の最初の盛り上がりをつくったのは、1964年の東京五輪で、1968年のメキシコ五輪の銅メダルにつながったわけです。当時を思えば、東京五輪が終わった後、あらゆるスポーツが盛んになったわけではありません。野球人気一本のところに迫っていこうという存在になったのがサッカーでした。2020年の東京五輪でも、日本のサッカーがもう一段上の厚みをつけるために、代表チームには頑張ってもらいたいですね。

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2019年11月19日 日本代表 対 ベネズエラ代表

2019/11/21(木)

2019/11/19(火)日本/大阪府・パナソニックスタジアム吹田
日本代表 1-4(0-4) ベネズエラ代表

――昨年11月16日の対戦では1-1のドローでしたが、今回は今風に言えばボコられた感じでしょうか。特に前半は一方的にやられました。前半で4失点は1954年のアジア大会以来、65年ぶりだそうです。当時の監督は竹腰重丸さんでした

賀川:65年ぶりですか。ホームでここまでやられるのは最近の日本代表ではありませんね。ベネズエラというのは南米でいえば、中堅クラスですが、ボールを処理するテクニックが上手でした。ボールを止めて次の動作に移るのが、日本よりちょっとだけ早いわけですよ。試合が始まり攻め合っているうちに、そのちょっとの差が広がってきた。ベネズエラはこれはいけると踏んで、どんどん攻めてきました。日本はこれではアカンと感じただろうし、そう感じたならば、しっかり引いて人数をかけて守るとか、試合をやりながら何か手立てを考えなければいけませんでした。相手と同じように広いところに攻めていっていったので、ボールを取られた瞬間から、前に大きなスペースがあるので、相手がずいぶん有利になりました。ホームですから初めから守るつもりでやるわけにはいかないでしょうが、試合を進めながら、自分たちと相手との力の差がちょっとずつ分かってきたでしょう。その差を埋めるにはいつも言っているように、相手より余計に走るしかありません。それを試合の初めからできなかったら、しんどい展開になります。日本のサッカーは進歩していますが、南米も進歩しているわけです。進歩している相手に勝つためには、日本は運動量で勝ることです。しんどいことですが、それをやることで、戦いの土俵に上がることができます。そのやり方で勝つ味を覚えると、選手の気持ちも変わってきます。相手が日本もよくやるじゃないかと思えば、こちらは気分的に楽になります。相手に、日本はたいしたことないと思われると楽に試合を進められるわけで。そこがスポーツの面白いところです。

――W杯予選では吉田、長友、南野らが抜けて、先発は8人入れ替わりました。前線には浅野、鈴木武蔵ら守備ラインには植田ら、試したい選手が並んでいました

賀川:W杯予選でいきなり新しい選手を試すのは難しいでしょうから、キリンチャレンジはいつも貴重な機会になります。鈴木武蔵はJリーグで結果を出していますが、硬さがあったのかもしれません。

――後半、森保監督は今季神戸で頑張っている古橋、このスタジアムが本拠地の三浦(G大阪)を投入しました

賀川:古橋が入って後半開始すぐにいいカウンターが生まれました。初代表らしく意欲的にゴールを狙っていきました。裏への飛び出しとか、積極的で、ムードを変える存在になりました。中島とうまく連係して、チャンスが多く生まれるキッカケになりました。日本は2列目の選手はタレントが豊富ですね。Jリーグでも目を引く選手が多いです。

――代表復帰の山口が一矢を報いました

賀川:後半18分、左サイドでの起点から、永井がグラウンダーの速いパスを逆サイドに攻め上がった山口に通し、ダイレクトで放ったシュートが相手選手の足に当たって入りました。山口はミドルシュートが上手ですね。後半から投入された永井が足の速さを生かして、前線から相手ボールを目いっぱい追いかけ回したおかげで、中盤でボールを奪い返すことができるようになりました。日本はやっぱり長い距離を走らないといけません。後半の内容を試合開始からできていれば、もっと拮抗した試合になっていたかもしれません。経験のある選手が抜けているからこそ、立ち上がりからフルスロットルでいかないとこのレベルの試合では簡単にはいきません。

――前半が終わったときにサポーターからブーイングが起きましたが、後半は見せ場が何度かありました。

賀川:かなりの回数、攻め込みましたが、結局シュートまでいかないことも多かった。シュートを打たないと、ゴールに入らないわけですよ。こういう試合もいい経験です。何事も教訓にして、それぞれのクラブに戻って、日々の練習で個人個人がレベルアップをしてもらいたいですね。

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2019年11月17日 U-22日本代表 対 U-22コロンビア代表

2019/11/20(水)

2019/11/17(日)日本/広島県・エディオンスタジアム広島
U-22日本代表 0-2(0-0) U-22コロンビア代表

――U-22日本代表は先月アウェーでU-22ブラジル代表に勝ちました。フル代表に定着している堂安と久保が加わったことで、サポーターの期待は大きかったようですね

賀川:いよいよ来年の東京五輪に向けて臨戦態勢に入りました。このスタジアムは愛称「広島ビッグアーチ」の名の通り、山の中にある大きな会場ですが、お客さんはほぼ満員。期待の高さが表れていましたが、チームとしては、課題が多かったようです。

――前半はスコアレス。堂安、久保が合流して日が浅く、まだまだチームにフィットしていないようにも見えました

賀川:攻撃の形をつくろうとしていましたが、相手のプレッシャーが強くて、中盤や最終ラインの選手が孤立して、ボールを失ったり、つなげそうな場面で蹴ってしまったり、どこか落ち着かない展開でした。日本の場合は、サイドに重点を置くなら、どちらかのサイドに人数を集めてボールをキープするとか、試合中に自分たちのプラスになるところをみつけて、攻撃の形をつくれればよかったのですが、まだチームとしての形ができあがっていない部分がありました。チームの中心になる選手がいるはずなんですけれど、それがまだはっきりしなくて、機能していない感じでした。だから見ていても、チームとしてボールをどこに運ぶか、よく分からなかった。日本の場合は伝統的にフルバックも攻撃に参加して、サイドからある程度の時間、ボールを持って攻めるという形にしないと、いい攻撃の形はつくれません。早く中央にボールを回してという形では、なかなかうまくいかない。中央に、早い、強い、うまい選手がいれば、そのやり方でもいいし、いるときは強いのですが、センターフォワードも前半と後半で変わりました。実際にやってみて、この選手を中心にやるんやというところまでいってないですよね。ただ日本は五輪開催国なので、予選が免除されます。予選敗退の可能性がないので、じっくりとチームをつくることができます。コンビネーションは練習だけではなかなかできあがりません。実戦を重ねてお互いの特長が分かってきて、熟成されるものです。

――コロンビアは出足が早く、日本は中盤でボールを失ったり、ミスパスもあったりして、苦しい時間帯が長かった

賀川:コロンビアには昔はバルデラマ、最近ではハメス・ロドリゲスらズバ抜けた選手がいましたが、ブラジルのように毎年スーパースターが出るような国ではありません。南米の上位クラスと対戦する場合は、日本特有の動きの量を増やして、人数をかけて相手のボールを取らないといけないのに、この日は動きの量が少なかった。フィジカルが強い欧州、個人のうまさやずるさがある南米に勝とうと思ったら、チーム全体で動きの量を増やさないといけません。相手よりも余計に1・3倍、いや1・5倍ぐらい動くつもりでないと勝てないわけですよ。

――後半に2失点。修正できませんでした

賀川:後半2分に相手が先制。相手が普通に左からクロスをあげて、こぼれたところを詰める、難しいことをやられているわけじゃないのに、失点してしまった。ひとつひとつのプレーを相手に先にやられているから、こうなってしまいます。そうならないためには人数をかけて、相手がボールを回しはじめたり、左右にボールを振られる前に止めてしまわないといけません。1人ずつでやっていては止められないので、どこかで1人半、余計に動かないといけない。日本のレベルは確かに上がりましたが、自分たちがうまくなったと思わないで、心の奥では自分たちは下手なんやと思ってやらんといけませんね。攻撃でも、いけると思ったらバックでもどんどん上がっていくとか、危ないと持ったらフォワードでもゴール前まで戻ってくるとか、長い距離を走る場面が少なかった。長い距離を走ることで数的有利が生まれ、おのずと道がひらけてくるわけです。日本はなんやかんやいうても、相手よりも走りまわる、そのやり方で今まで戦ってきたわけですから。それは何十年前から決まっているわけです。その原則を忘れたら、強い日本はできません。個人的な技術が上がっているといっても、そろってズバ抜けてうまくなっているわけではないですから。実際、この試合でコロンビアは少ない人数の局面でも余裕たっぷりでプレーしていました。

――堂安、久保はいかがでした?

賀川;堂安は相手のボールを取りにいったり、よくやっていました。球際も強い。A代表の中でもうまい方なのだから、相手の並の選手よりも、ひとつ上に出ないといけない存在です。それぐらいの気構えでやってほしいですね。中心選手ですから、自分の中でこれぐらい動いたからエエかと思ってはいけません。もっともっと動いてボールに絡めば、もっと展開が開けてきますよ。堂安が21歳で久保が18歳ですか。すでに能力が高く、欧州のトップリーグでプレーしている、いうなれば、このアンダーエイジ2人を森保監督がどう使いこなすか。オーバーエイジの起用も重要ですが、こちらも注目していきたいですね。森保監督はキルギスから帰ってきて広島で五輪世代を指揮し、終わったら今度はすぐに大阪に移動して、再びA代表を指揮ですか。このわずかな期間に何が足らなくて、今後何を植え付けていくか。A代表と五輪代表の兼務は本当に大変ですが、がんばってほしいです。

――新しい日本代表のユニホームはいかがですか

賀川:上下ともに青ですね。今回のユニホームはちょっとくすんだ感じカラーでしょうか。サポーターの評判はどうなんでしょう。1989年から91年まで、日の丸の赤にした時期もありましたが、それ以降はブルーに統一されていました。ユニホームというのは派手なものが多いですが、どちらかというと地味な感じでしょうか。サポーターは東京五輪に向けて、買い直さないといけませんね。

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2019年9月5日 日本代表 対 パラグアイ代表

2019/09/06(金)

2019/9/5(木)日本/茨城県・カシマサッカースタジアム
日本代表 2-0(2-0) パラグアイ代表

――パラグアイといえば、2010年南アフリカW杯のノックアウトステージ1回戦で対戦しPK戦の末、敗れた相手です。守備が堅くて、一筋縄でいかない相手という印象でしたが

賀川:南米といえば、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイのいわゆる御三家がAランクで、パラグアイは列強を追うBランク相当のチームになりますね。決してCクラスではない。一昔前の南米のチームは、テクニックもあって、体も強い。サッカーをよく知っていてずる賢いプレーもできるので、簡単な相手ではありませんでした。しかし、この日の試合内容が証明するように、日本の一人一人の技術が上がり、欧州でたくさんの選手がプレーするようになったので、ホームで試合をするとなれば、南米勢が相手であっても、これだけ押し込む試合ができるようになりました。日本サッカーの進歩を再確認できた試合でした。


――日本はスタメン11人中10人がいわゆる海外組でした

賀川:日本も欧州でプレーしている選手が多いので、長距離の飛行機移動で帰国して、すぐに試合となります。ホームといっても、相手同様に時差などの体力的な負担があるはずです。それを差し引いても、海外組、特に大迫、中島、南野、堂安ら前線の選手の動きがよかった。欧州のクラブは開幕してすぐ。日本はこの夏、猛暑で大変でしたが、欧州のクラブはアルプス山脈の麓の涼しい高地などでキャンプを張ることが多い。それぞれの選手が、いい練習、調整ができたのでしょう。動きの量を比べてもパラグアイと遜色なかった。昔は中堅国であっても、相手が南米勢となれば、一目置くようなところがありましたが、この試合を見る限り、まったく引けをとらなかったですね。

――前半23分の先制点は長友のクロスから大迫が決めました

賀川:相手を引きつけてからの中島-堂安のダイレクトのパス交換で、マークの選手をうまく、一気に2人かわすことができました。その結果、長友が左サイドでフリーになった。大事に入れたクロスは相手に当たってしまいましたが、幸運にも大迫のところに流れてきた。相手に当たって方向が急に変わったボールに合わせるシュートは難しいものですが、大迫は左足で合わせました。さすが技術力の高いストライカーですね。最初の決定機を決めることができたので、主導権を握ることができました。

――前半30分の2点目は中島が右サイドの酒井に展開し、ダイレクトで中央に折り返して、フリーの南野が決めました

賀川:中央でドリブルをしていた中島が、右サイドをフリーで駆け上がった酒井の動きを見逃しませんでした。いくつかの選択肢が考えられたシーンでしたが、わずかに空いたペナルティーエリア内のスペースを斜めに使いました。サイドに使って左右に揺さぶって崩す、攻撃で最も効果的なプレーを選択しました。南野も落ち着いて決めましたね。あれだけフリーだとかえって難しいものですが、サイドキックで確実に押し込みました。

――短いダイレクトパスの交換が目立ちました。前半24分、少々強引なカウンターから、堂安がシュートまでもっていったシーンが象徴的でした

賀川:その場面に限らず、短いダイレクトパスを多用していた印象がありますね。森保監督の指示なのか、日本の選手の技術が上がっているので、ボールを持っても1対1でそう簡単に負けません。技術も判断力も上がっているので、南米勢を相手にしてもこういったプレーができるようになったのでしょう。

――前半で2-0となったので、森保監督は後半から原口、久保、上田の3人を入れました。注目の18歳久保はいかがでしたか。堂安に代わっての登場でした

賀川:18歳でA代表のメンバーに入ってもまったく見劣りせず、堂々とプレーできるところに、若い選手のレベルアップを十分感じ取れました。ずば抜けてうまい、ああいう選手が、南米の代表チームとの試合で臆せずやっていた。この夏、レアル・マドリードで毎日練習していたのだから、当然かもしれませんが。シュートに対しても意欲的でした。もっともっと図々しくなってもいいと感じました。久保ここにあり、こんなプレーできる、点も取れるんだよというところを日本中に売り込んでほしい。それぐらいのレベルの選手。もっともっと厚かましくていいですよ(笑)

――後半右サイドバックに入った冨安もいいプレーをしていました

賀川:彼は久保が意図するプレーについていっているように見えました。センターバックでのプレーしか見たことがなかったですが、移籍したボローニャではサイドバックをやっているそうですね。攻め上がりも効果的で、久保の時折見せる、周囲が予想できないプレーにも反応していました。この選手のいわゆるのびしろの大きさを感じました。彼と組み合わせることで面白いコンビネーションが生まれそうですね。お互いの選手の気の合い方というのは大切です。

――しかし後半はノーゴール

賀川:後半はボールを相手から奪って攻勢に出たときに、きちんとした攻めが少なかった。前半はできていた。それぞれ自分をアピールしたいという気持ちは分かるが、チャンスを作るという姿勢をみせてもらいたかったですね。

――前線は1トップ大迫、堂安、南野、中島は決まりでしょうか。そこに久保は絡んでくるでしょうか

賀川:久保がA代表に入っても遜色ないプレー-ができることは、森保監督はもう分かっているでしょう。しかし、積み上げてきた大迫、堂安、南野、中島のコンビネーションによる攻撃力も捨てがたい。難しい選択を強いられるでしょうが、これはうれしい悩みというものです。同じ右サイドの堂安が久保に刺激を受けているのは明らか。それよりも大迫がけがや出場停止で出られないときの備えが必要でしょうね。中央でボールを収めることができる大迫と、スピード自慢の永井とはタイプがまったく違い、戦い方が変わります。中盤は人材豊富ですが、センターフォワードはいつの時代も日本の課題になります。

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2019年6月9日 日本代表 対 エルサルバドル代表

2019/06/11(火)

2019/6/9(日)日本/宮城県・ひとめぼれスタジアム宮城
日本代表 2-0(2-0) エルサルバドル代表

――久保建英の話はのちほど、たっぷりお伺いします。2戦続けて3バックで臨み、この試合では追加招集のFW永井謙佑が2ゴールを挙げました

賀川:永井はとても脚が速い選手で、2012年のロンドン五輪代表でしたね。このクラスの選手は本当にレベルが上がっています。自分たちの年齢層の日本代表のサッカーというのを彼らなりに持っているような印象を受けます。これまでの代表からメンバーが入れ替わっても、自分たちの特長、個人技に合わせたやり方を周囲が理解しています。従来の日本代表のサッカーの中に彼らなりの力に合わせたプレーがありました。永井のスピードもそのひとつ。だから見ていて安定感がありました。新しい日本代表だから、コンビネーションプレーがどうこうというのでなく、彼らの世代なりの呼吸というのが自然に出ている感じがしますね。

――前半19分の永井のゴールは冨安からのフィードを受けたカウンターでした

賀川:1点目も前半41分の2点目もサイドから縦に、ペナルティーエリアの根っこの深いところまで入り込んで、そこから中に入っての決定機でした。定石的ではあるけれども、定石的なことが新しいチームになって、顔ぶれが変わっても、できている。これまでの代表のサッカーのやり方に対する積み上げを感じますね。安心して見ていました。

――代表のFWはロシアW杯で活躍した大迫が抜け出ている感じで、次の名前が出てこないような状況でした。追加招集で得たチャンスを生かした永井は期待できますね

賀川:相手が遅すぎるのか、永井が速すぎるのか、とにかく自分の特長を出していました。あれだけの走力があって、国際試合でも一歩一歩、常に優位に立てれば、自信になるでしょう。単に速いだけでなく、トップスピードでボールを受けるときでも、あまりミスをしません。個人的な技術力も上がっているのでしょう。サッカーはこういうときは、やっている選手はおもしろいものです。見ている我々もそうです。相手は大変ですが。スピードがあるので、代表では途中出場の切り札タイプに分類されそうですが、2ゴールと結果を出したわけですし、スタメンを狙う気概でやってほしいですね。もちろん本人もそのつもりでしょう。

――FC東京の先輩、永井が前半で2点を奪ったので、森保監督は18歳久保建英を出しやすくなったのでは。後半22分からの登場でした

賀川:もっと久保を見たかったと思った人が多かったかもしれませんね。森保監督なりによくよく考えて、うまくA代表デビューさせましたね。

――94歳からみた18歳はいかがでしたか

賀川:落ち着いていますね。後半28分、右サイドでボールを受けた最初のプレーでドリブルをしかけて、左に持ち替えて、シュートまでいきました。シュートもインステップで蹴っていました。あの角度で低いボールならば、だいたいGKの守備範囲にいくので、引っかけ気味に、もう少しボールの下を蹴って、GKから遠いサイドのゴールの上を狙うような余裕があれば、たいしたものでしたが。そこまでできるかと思っていましたが、そこまで求めるのはぜいたくで、欲張りというものでしょうね。ファーストタッチからとにかく落ち着いたプレーの連続でした。ソツがない。入ってから20数分、ほとんどミスがなかった。うまいです。

――出てからしばらく久保にボールが集まってきませんでしたが、そのシュートを打ってから久保を経由しての攻撃が増えました

賀川:代表でレギュラーを争う同じような立場の選手は競争しているわけですから、自分がシュートを打って点を取ってアピールしようと思っているでしょう。久保のことなんか考えていないでしょう。もうひとつ上の世代で実績のある大迫らは久保にボールを渡して、どんなプレーをするのか見たいというような考えがあったかもしれませんね。

――長くサッカーをみておられます。久保のような若い選手で印象に残っている事例は

賀川:釜本邦茂の10代のときと比べてどうや…という話になりますが、日本のレベル全体が上がっているので、単純に比較しにくいですね。釜本の場合は身体能力がずば抜けていた。体が強くて、ヘディングも負けない。グラウンドにドーンという存在感があった。天性のボールをとらえる力はありましたが、技術的にはこれからの選手だった。この素材をサッカー界としてどう伸ばしていくか、という存在でした。久保はサイズ的には普通の大きさですが、技術面で今のA代表の連中と比較すると、ボール扱いならば、上回るぐらいうまい。その上落ち着いていて、判断もよくて、常に周りを見ている。若いのに守備力もそこそこあって、相手のボールを奪い返しにいく。見ていて楽しいですね。と言ってもまだ18歳ですよ。23、24歳の代表レギュラーの中に入って普通にプレーしているわけですから。並の選手ならあそこに入っただけで、ボールを止め損なったり、ミスの1つ2つをやってもおかしくないです。ブラジルのネイマールも2014年のブラジルW杯のとき、チームで最年少でしたが、彼が引っ張っていました。どこの国にもそういう選手がいましたが、これまで日本にはいませんでした。久保のおかげで日本のサッカーの楽しみが広がりました。長生きするものですね。森保監督はがらりとメンバーが替わる南米選手権では中心選手として起用するのでしょうか。本気の南米勢を相手にどんなプレーを見せてくれるのでしょうか。楽しみですね。

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2019年6月5日 日本代表 対 トリニダード・トバゴ代表

2019/06/06(木)

2019/6/5(水)日本/愛知県豊田市・豊田スタジアム
日本代表 0-0(0-0) トリニダード・トバゴ代表

――お住まいがある神戸で開催され、久々に取材に出かけられた3月26日のボリビア戦以来の代表戦でした

賀川:ボリビア戦の試合後の記者会見で、森保監督から花束をいただきました。しばらく部屋に飾っていました。2週間ぐらい咲いていたのかな。上等な花だったんでしょうね(笑)

――0-0でした。サッカーは得点がなかなか入らないスポーツなので、代表戦でもこういう結果になることがあります

賀川:ひとつひとつのプレーをみれば、得点が入りそうなムードはありましたが、90分を通して振り返ってみると、相手のペナルティエリア奥深くまで入り込んでのチャンスというのは、少なかったですね。シュートシーンはありましたが、近くに相手がいることが多かった。相手の前でずっとボールを回していましたが、シュートチャンスを作る前のところで、相手の逆を取るプレーなどをしていないから、ボールはずっとつながっているけど、最後のシュートのところでも相手がちゃんといました。入らないわけです。日本は、新しいチームになっても、誰が入っても、ボールを回してつないで…というやり方はある程度できますが、最後のところという課題は常にありますね。これだけ押し込んでボールをキープして攻め込んでいるわけには、スリリングな場面が少なかった。相手のゴール前にパスが通るとか、誰が見てもチャンスというような、思わず腰を浮かすようなチャンスのシーンが、案外少なかった。攻めているときに全部相手をパスで交わしながら攻めているわけですが、誰かがそこで個人の力でこじあけるという気構えを見せない限りは、相手のDFに変化は起きないわけですよ。パスサッカーのうまさは見せたけれども、それだけではなかなか点が入りません。

――トリニダード・トバゴはいかがでしたか?

賀川:うまかったですよ。これだけ日本に走られても1人1人がついてきているわけですから。終盤に脚をつる選手が多く出たのも、それだけがんばって走っていたからで、決して弱いチームではなかった。向こうのCK、FKは3、4本ちゃんとヘディングで合わせていました。日本が圧倒的に攻めてチャンスの数も多かったけれど、ちゃんとシュートまでいったかと考えれば、スコア通り五分五分といえる試合でしたね。それでも相手はアウェイのチームなので、見ている側とすれば、日本はもうひとつ崩してもらいたかった。もうひとつ崩す場合には、どこかで無理しないといけない、個人的に逆を取るとか、1対1で勝負するとか、相手の意表をつくプレーが2つぐらい続くと最終的なマークがずれるわけです。味方もえーっと思うようなプレーをしないと膠着状態をやぶることはできません。パスを回しているうちに最後誰かがフリーになるなんてうまいことはなかなか起きないわけですよ。サッカーのおもしろいところとはそういうところです。

――森保監督になって初めて3バックを試しました

賀川:3バックというのは相手が2トップできたときに有効で、2人のFWを2人のDFでマークした上に1人守るDFが余るシステムで、どちらかといえば、しっかり守った上で両サイドから攻めることに重きを置いたシステムです。今の代表クラスの選手はクラブで3バックも4バックもやっているし、戦術理解度も高い。3バックだからどうだということはないでしょう。代表に帰ってきた昌子、売り出し中の冨安、Jリーグ代表の畠中は1対1でしっかりと守っていて、負けることはほとんどなかった。ディフェンスというものは、1対1で相手をつぶせばいいわけですから。日本の中盤でミスがなかったのでやられたというようなカウンターを食らうこともありませんでした。

――堂安は不完全燃焼のようでした

賀川:堂安ら森保監督が使っている若手はチームに溶け込んでいますね。堂安はもう2年ぐらい代表でプレーしているような雰囲気があります。後半14分、大迫からいいボールをペナルティエリア内でもらいましたが、タイミングが合わず、シュートまでいけませんでした。技術がある選手なのでどんどんチャレンジしてくれたらいいと思います。個人的な強さやボールの持ち方ひとつで、どこかに穴をあけられる選手だと思います。

――前半は中島の積極的なシュートが目立ちました

賀川:チームで一番たくさんシュートを打つ選手ですが、シュート力というところで、もう少しレベルアップしてほしいと感じました。彼の体の強さもあるんでしょうが、あれぐらい試合中にシュートをチャンスを作れる選手ですから、今の代表にとって、彼のシュートがとても大切な武器になる。だからシュート自体をもっと練習する必要が出てくるでしょうね。彼に限らず、日本代表クラスの選手でも、ペナルティエリアの外から蹴ったシュートが、ゴールに近づいてやや失速することがある。ゴールに近づいてから、さらに伸びるとか、落ちるとか、変化球になったりしないと、日本人の普通の力で蹴ったのではなかなかミドルレンジから入らない。FWでもMFでもシュートの力量というものは自分で1日何十本と個人練習した数によって決まるものです。シュートにはそれぞれの選手の癖があります。その気になって練習して、こういう蹴り方をすれば、こういう軌道のボールが行く、といった具合に自分の癖を自分で使えるぐらいになれば、得点力はおのずと上がります。最近の日本人は高校時代ぐらいから戦術練習が増えるので、シュートの個人練習が多くないのかなという印象があります。

――18歳久保建英はベンチ外でした

賀川:楽しみにしていましたが、これからチャンスがあるでしょう。Jリーグであれだけのプレーをしていますし、注目もされています。森保監督なりの配慮なのでは。サポーターは見たいでしょうが、まだ若いし無理に出すこともない。それは監督の胸一つ。U-20W杯にもトゥーロン国際にも出さずにA代表に招集しているわけですから、9日のエルサルバドル戦(宮城)や南米選手権でプレーする機会はあるでしょう。楽しみは先の方がいいものです。

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2019年3月26日 日本代表 対 ボリビア代表

2019/03/27(水)

2019/3/26(火)日本/兵庫県神戸市・ノエビアスタジアム
日本代表 1-0(0-0) ボリビア代表


――ボリビア戦は賀川さんのお住まいがあり、生まれ育った神戸での開催。久々に会場で取材されました


賀川:スタジアムで日本代表を取材するのは、2014年ブラジルW杯以来ですから、5年ぶりになります。テレビでは欠かさず日本代表の試合は見ています。最近のテレビは画質がよくなっているので、試合の隅々までよく見えますが、スタジアムはやはりいいものですね。試合の全体像が見えるし、お客さんの反応もダイレクトに伝わってきます。このノエビアスタジアムはかつての神戸中央球技場で、当時は少なかった陸上トラックのない球技専用のスタジアムでした。芝生の手入れが行き届いていました。大阪万博があった1970年にエウゼビオがベンフィカの一員として来日し、日本代表に3-0で勝ちました。当時のエウゼビオの個人プレーはまるでマジックのようでした。


――森保監督はコロンビア戦から先発11人を入れ替えました


賀川:代表選手や代表候補クラスの選手のレベルは上がっているので、ガラッとメンバーを入れ替えても、大きな戸惑いや混乱はなかったようです。経験が豊富な香川がキャプテンマークを巻き、前線で多くボールに絡んでいました。ボリビアの守りが堅かったので、大きな見せ場はなかったですが、森保監督が試合後の記者会見で「相手を間延びさせたり、疲労させたり、嫌なところをついていくことはできていた」とコメントしたように、彼の特徴がよく出ていました。彼はペナルティーエリアの外でボールをもらって、チャンスをつくるのが非常に上手な選手です。さらに誰よりも速いタイミングでペナルティーエリア内に入ってきて、ゴールを奪うことができる選手でもあります。前半は香川がもう1人ピッチにいれば…と感じるシーンもありました。今回代表に復帰した香川を中心としたチームを作っていくのであれば、周囲との連係などを監督も含めて事前に話し合っていくことが大切になるでしょう。


――前半からボールは支配していましたが、決定機は作れませんでした


賀川:確かに最後のシュートをどうするかというのが、なかなか見えませんでしたね。相手のサイドに入ったら、少々無理をしないと、しっかりと守っている相手を打ち破るのは非常に困難です。狭いところからでも、強引に1人で抜きにかかって、ドリブルを仕掛けるとか、突然スピードアップするとか、ダイレクトのパスを2、3本通すとか、敵陣で摩擦を起こさないことには、変化は生まれません。日本の選手は技術が上がり、ボールの扱いが達者になりました。しかし、サッカーは足でボールを扱う競技。手でボールを扱うようにきれいに時間をかけて攻めると、その分、相手も時間と人数をかけて守ることができるわけです。GKは心構えもできます。足でボールを扱う競技なんですから、ある程度のところまで来たら、エエ加減にエイッと蹴ってもいいわけですよ。欧州の選手なんて結構そういう形でゴールを決めています。


――中島、堂安、南野を投入し、試合が動きました


賀川:森保監督の起用が当たりましたね。ボリビアも複数のメンバーを代えてきたので、日本が優位だった試合の流れが一時的に止まり、チャンスと見たボリビアが攻勢に出て、試合の流れが変わりました。この試合初めてといっていいカウンターから後半31分の中島の先制点になりました。ペナルティーエリア左でボールを受け、右に切り返してもマークを外せませんでしたが、そのまま強引に打って、相手のまたの間を抜けていきました。こういった思い切りのよさは、こう着状態を打ち破る有効な手段になります。不十分な形であってもチャンスと見たら仕掛ける、今という時をつかむ…ということが、ゲームのどの段階においても大事なことになります。これはサッカーのうまいへたとは別の感覚で、そういう気構えで試合をしないと勝てません。


――サッカーはいくらパスをつないでも、ゴールにはなりません


賀川:だから、ある程度のところまで攻め込んだら、強引さも要ります。ボールを失っても、すぐに取り返せばいいわけで、敵陣で奪い返せば、相手は前がかりになっているので再びチャンスになりやすいわけですから。相手も防ごうと必死なわけで、パスをつないでいるうちに、いつかスキができるというものでもありません。


――お疲れが出ていませんか


賀川:少々寒かったですが、大丈夫です。楽しかった。日本サッカー協会の関係者や懐かしいライター仲間に久々に会って話をすることができました。後輩の若い記者やライターさんにもたくさんあいさつしてもらいました。記者会見が終わると、森保監督からは花束をいただきました。取材にきて花束もらうなんて不思議な感じでしたが、お心遣いに感謝しています。広島は東洋工業(サンフレッチェ広島の前身)のころから、代表選手がいなくても、勝つためにチームでしっかりと守って点を取るサッカーをして、日本代表の選手が半分ぐらいいる東京や大阪のチームと張り合ってきました。いい選手や指導者が出てきた土地柄でもあります。その広島から生まれた代表監督なんですから、大いに期待しています。サッカーは地球のどこでもやっていて、世界で一番人気があるスポーツ。それがおもしろくないはずがない。そのおもしろさをどうやって伝えるか。それがこの仕事もおもしろみであり、難しさでもあります。

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2019年3月22日 日本代表 対 コロンビア代表

2019/03/23(土)

2019/3/22(金)/神奈川・日産スタジアム
日本代表 0-1(0-0) コロンビア代表

――コロンビアとは昨年のロシアW杯以来の再戦。W杯で勝ったコロンビアに連勝とはいきませんでした

賀川: コロンビアも2回続けて日本には負けられんと必死だったのでしょう。南米ではブラジル、アルゼンチン、ウルグアイが1級にランクされるので、表現はあまりよくありませんが、コロンビアは必然的に2級のような位置づけになります。しかしながら、2級は2級であっても、2級なりの試合運びのうまさ、賢さがあるものです。このクラスに日本代表が勝つには、やはり最初から最後まで、それこそ死にものぐるいでやることが前提条件になります。普通に走りまわっているようでは、チャンスは少なくなります。過去のW杯の組み合わせを見ても分かるように、本番のグループステージでは、かなりの確率でこのクラスの南米勢と当たるわけですよ。そこに勝てないと、ノックアウトラウンドには進めないわけですから。

――W杯で8強に進もうと思ったら、このクラスの南米勢に勝たないといけない

賀川:南米の代表は1人1人の個人の技術があるので、日本代表はチームワークと持ち前の速い動きと豊富な運動量でかき回して勝つというのが、従来からの戦い方。森保監督も当然そのことを十分承知していたのでしょうが、ゲームを通じて動きの量も速さも期待したほどではなく、後半ファルカオにPKで1点を取られてしまいました。PKを与えた冨安はハンドを取られてはいけないと、腕を背中の後ろに回していましたが、相手のシュートに対して背を向けてしまったので、後ろに回していたはずの右肘にボールが当たってしまいました。コロンビアもどちらかというと、とらえどころのないような感じで、点を取られた後、日本は交代で選手を次々と入れましたが、知らず知らずの間に時間が過ぎて、追いつくこともできなかったという感じでしょうか。選手にとってはにおもしろくない試合でしたが、これも経験と考えるべきでしょう。

 ――コロンビアが面目を保った試合になりました

賀川:南米勢が来て試合をしてくれるというのは、あまりないことですが、事前にどれだけの予習をしていたか…ということも少々感じました。相手の予備知識を入れることによって、試合中にいろいろ思いついて修正できることもあるでしょう。たくさんのお客さんが応援にきてくれたわけですから。チームも選手個人も事前の準備がどれだけできていたか、この試合を見ているとわかりにくかった。点を取らないと勝てないわけですから、どうやって点を取るのかということが相談しておかないと損ですよね。代表チームとして集まって活動する機会は多いわけではない。W杯予選まで時間はあるようで、あまりないんですから。

――開始3分で相手のカウンターを浴び、危ういシーンがありましたが、日本は南野、堂安、中島がどんどんゴールを狙っていきました

賀川:ペナルティーエリアの外からのシュートが何本かありました。遠目のシュートが一発で入らなくてもGKの姿勢を崩して、こぼれ球を詰めて点を取るといった約束事があればよかった。それぞれ思い切ったシュートでしたが、枠に飛ばず、ボールが少々おじきしているようものもありました。ロシアW杯をみても、世界各国代表クラスのGKは腕を上げているので、ロングシュート一発では簡単に入りにくくなっている。その後、どう飛び込んでいくかというところまで、考えないといけないでしょう。前半から右サイドの室屋を起点にクロスを入れるシーンを何回かつくりましたが、相手の中央の守りが強固でなかなか合わせることができなかった。ボールを保持して攻めているけども、有効的な崩しの形を作れず、遠目から打っていくしかなかったという見方もできます。

――賀川さんがいつも気にかけておられる香川真司は途中出場でした

賀川:伸び盛りの若手が多くいる中、これから代表チームとして、真司をどういうふうに使っていくかということを、森保監督は考えることになるでしょう。彼は中盤でもっとボールを渡していろいろやらせてみれば、確実に多くのチャンスをつくる選手です。その一方でゴール前に飛び込むタイミングがずば抜けてうまく、誰よりも速く大事なところにいる選手でもあります。その長所を周りに理解させないといけないでしょうね。一度ボールを持って、いったん誰かに渡してからゴール前に入っていく、周りに目を引きつけて、隠れ忍者のように入ってくる。そうなると誰がボールを出すねんということにもなります。中島も使いたいでしょうが、同じようなタイプの選手になるので、チャンスメークか、ゴールゲッターか、彼に求める役割をある程度決めなければいけないでしょう。3月26日のボリビア戦は彼の出身地の神戸ノエビアスタジアムであります。私も取材にいきますので、先発でプレーするところをみたいですね。

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2018年11月20日 日本代表 対 キルギス代表

2018/11/23(金)

2018/11/20(火)日本/愛知・豊田スタジアム
日本代表 4-0(2-0) キルギス代表

――森保監督は16日のベネズエラ戦からスタメンを11人入れ替えました

賀川:熱心にJリーグを観ているファンの方ならそうでもないでしょうが、サッカーを観るのは代表戦の時ぐらいという方には少々、なじみの薄い選手もいたでしょう。しかし、上手な選手ばかりでした。特に大柄な選手のボール扱いの技術が上がっています。日本サッカーの底上げ、レベルアップを感じた試合でした。

――4点入りました

賀川:今の日本代表の試合はおもしろいですね。お客さんも満足したでしょう。キルギスは局面でしっかりと競ってきましたが、日本はこの競り合いに勝っていました。中央アジアのチームはもっと体が強いと思っていましたが、こちらのレベルが上がっているのか、向こうが足踏みしているのか、これまでならば、ズバ抜けた選手が1人2人いて、対応するのに苦労することがありましたが、それがありませんでした。よく動いて、パスが繋がって攻撃するという日本の良さがよく出た、いいゲームでした。

――序盤にあっさり2点を先行。代表デビューの山中亮輔が前半2分、鮮やかに先制点を決めました。

賀川:そういう選手が出てくるということ自体が全体のレベルが上がっていることを証明していますね。

――左利きの左サイドバックは意外と少ない

賀川:左のフルバックは左サイドを走って、左足でセンタリングを上げる、昔でいう左のウイングと同じプレーを求められるので、絶対ではありませんが、左利きの方が、体の使い方が自然です。彼の左足のシュートは右のポストに当たって入った。ビビらないでシュートを打っていましたね。ボールが回ってきて、ヨッシャ…という感じで打っていました。心構えがいい。楽に力いっぱい蹴っていないので、正確に狙ったところに飛んでいくコントロールシュートだった。代表初出場の選手が大仕事をするというのは、チームの構成が良いからでしょう。全体的に余裕があるように感じます。個人個人のレベルアップをここでも感じます。

――無失点で終えました

賀川:三浦弦太も大柄ながら技術がありますね。ヘディングも強かった。経験豊富な吉田麻也、槙野智章がいますが、冨安健洋も出てきましたし、センターバックも人材が揃ってきました。

――GKはほとんど仕事がありませんでした

賀川:チーム全体で攻めに出て、攻撃で点を取れるというのが、非常にいい。伸び伸びとプレーしている。個々の選手の技術が高く、ボールを正確に止めることができ、ミスが少ない。欧州でプレーしている選手が、高いレベルにいるということが大きいでしょう。後半から出てきた大迫勇也、堂安律、中島翔哉、南野拓実のコンビネーションは期待できます。

――来年1月のアジア杯が楽しみです

賀川:当然優勝を狙いにいくでしょう。アジア同士の対戦となれば、ライバル意識があるし、この日のキルギスのように激しくきます。タイトルマッチになると、荒っぽいし、ファウルまがいのプレーも増えてくる。そう簡単には勝てないが、そういう相手とやるときでも今の代表チームは優位に立ちそうです。日本はパススピードが明らかに速くなっている。ノーマークのときは特にそうです。欧州のチームはもっと速いですが、ずいぶん近づいてきた。相手が寄ってくる前にボールを受けられるので、相手に引っかけられることが少ない。この試合でも4回ぐらいだったでしょう。個人のレベルもチームとしてのやり方も進歩しているので、アジア杯が非常に楽しみですね。

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2018年11月16日 日本代表 対 ベネズエラ代表

2018/11/19(月)

2018/11/16(金)日本/大分・大分銀行ドーム
日本代表 1-1(1-0) ベネズエラ代表

――ワールドカップに出たことがないベネズエラでしたが、なかなか手強い相手でした

賀川:南米のいわゆる御三家、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイには歴史的にも伝統的にも実力的にも少し及びませんが、日本よりもFIFAランクが上位(26位)のチームであります。人口2500万人ぐらいの国ですが、世界一厳しいと言われる南米予選でもまれているので、全体的にレベルが高く、個人も力がありました。南米の北の方に位置する国は米国の影響を受けて、野球も盛んです。ドミニカ共和国と並んで大リーグや日本のプロ野球にいい選手を送り込んでいますが、どちらかといえば少数派。隣国と同じで楽しみはサッカーしかないといってもいいお国柄という印象が強いですね。

――先月ウルグアイを倒したこともあり、立ち上がりから、積極的に攻めました。その中で前半39分中島のFKから酒井宏の先制ゴールが決まりました

賀川:しっかりと中島がコントロールした球を大外から飛び込んできた酒井宏が落ち着いて決めました。長い距離を走ってうまくマークを外していましたね。前半から大迫が中央でしっかりとボールを受けて、中島、南野、堂安といった若いアタッカーにボールを配して攻撃をつくるという形が、ウルグアイ戦に引き続きできていました。常にボールを前に運ぼうとする上に個人技に優れた中島、堂安のドリブルは相手にとって非常にやっかいです。1人2人なら簡単に交わすことができるので相手はファウルでもしないと止められない。その結果、ゴール前でのセットプレーのチャンスが増えているのでしょう。これで森保監督になって4試合目。これからどこでボールをキープして、どこで点を取るのか、チームの形が見えてくるでしょう。

――後半は追加点が入らず、終盤PKで追いつかれました。森保監督になっての4連勝とはいきませんでした

賀川:後半は入れ代わり立ち代わり、選手交代をしましたし、森保監督はいろんな選手をテストしたいのでしょう。選手の動きの量はこれまでの3戦と変わらず相手よりも多かったですし、ロスタイムには吉田麻也をゴール前に上げて、勝ち越し点を狙いにいきました。1対1でも勝つ、チームとしても最後まで勝利を目指す姿勢は見えました。今回ホームでしたが、この相手ならアウエーであっても動きの量で負けなかったでしょう。ある時間帯は押し込むことができるわけですが、押し込んで跳ね返された場合、その次にきたボールを攻撃に出るところで、どういう変化をつけることができるかというところが、前線の選手の課題になってくるでしょう。

――1メートル97のGKダニエル・シュミットが代表デビュー。大柄ですが、足下も安定していました

賀川:ここまで大きな日本のGKはこれまでいませんでした。ハイボールへの処理などは安定していましたね。吉田麻也が1メートル89、冨安健洋が1メートル88とこれまでにないサイズの選手がそろってきました。大型GKが登用されることで日本の国際試合での守り方が違ったものになってくるかもしれません。

――GKといえば、長く代表を引っ張ってきた川口能活が現役を引退しました
賀川:そうでしたね。彼はサイズがありませんでしたが、抜群の反応力とジャンプ力、ディフェンス陣への指示など、目を見張るものがありました。なによりもGKとして大切な気の強さがありました。それが一番です。若いころから国際試合に出場していたので、経験豊かで、ビッグマッチに強かった。GKは野球でいえば捕手のようなもので、地味で縁の下の力持ちのイメージがありましたが、彼の代表、クラブでの長い活躍で新しいGK像というものを作ってくれたのではないでしょうか。GKは最後も砦であり、守りの中心であり、攻撃の第一歩になります。彼にあこがれてGKを始めた子供たちもいたでしょう。身体能力のある大柄な選手が育ってきたのは彼の活躍とは無関係ではないと思いますよ。

――大分では久々の日本代表の試合でした

賀川:2002年W杯のときにやり手の知事さんががんばって作ったスタジアムですね。渋滞など、運営面での課題があったようですが、W杯の遺産がこうやってしっかり受け継がれていくのは非常にいいことですね。J2の大分トリニータも来季J1に上がってきますし、がんばってもらいたいです。


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