2018年9月11日 日本代表 対 コスタリカ代表

2018/09/13(木)

2018/9/11(火)日本/大阪・吹田スタジアム
日本代表 3-0(1-0) コスタリカ代表

――森保監督の就任初戦でした。ガラッとメンバーが若返りました

賀川:やはり日本代表の試合は面白いですね。展開が早くて、ひとつひとつの技術も高いので、ミスがない。スピード感もあって、全体的なレベルが非常に高いですよね。欧州の人から見たら、落ち着きのないサッカーと言われるかもしれませんが、僕らからすれば、楽しめますね。森保監督は広島育ちで、サンフレッチェ広島の前身の東洋工業(マツダ)は、昔からボールをつないで、全員がひとりひとりが守備をしっかりとして、労力を惜しまないというチームでした。その伝統を持っている生え抜きの選手が監督をしているわけだから、代表チームもそういうスタイルになりますよね。

――森保監督は93年のドーハの悲劇のときに有名になりました。うまさもありますが、とにかく一生懸命な選手というイメージがありました

賀川:広島の選手らしいですよね。今回代表監督になって、選ぶ選手はうまいわけだから、攻撃も守備も一生懸命にやるというスタイルが代表に浸透できれば、より楽しみです。
――誰に注目されていましたか?

賀川:新しく選ばれた堂安と中島です。2人ともよかったですね。よく動くし、積極的でした。両サイドがその気にならなければ全体が前がかりになりませんから。サイドでのボールの持ち方とか従来の日本代表のいいところを持っていました。あの2人がしっかりとしているので全体の動きの量にもつながります。ハーフタイムにこの動きの量が続くのかどうかと思いましたが、要らぬ心配でした。

――OG、南野、途中出場の伊東が終了間際に決めて、3点入りました

賀川:この試合はどの選手も点を取ろうと攻撃に絡む選手たちは積極的でした。だから3-0という結果になったのでしょう。新しい日本代表としては先が楽しみな試合になりましたね。攻めて点を取るという気構えがチーム全体にあったので、面白く見ることができました。日本代表を応援するサポーターにとっても楽しい時間になったでしょう。北海道地震で1試合中止になったのは、やむを得ないことですが、非常に残念でした。攻撃する選手がシュートを打って点を取るということが前面に出てこないとチームが活気づきません。よく攻撃的にいかないといけないとはいいますが、1人1人に「やったろか」という気がなければ、そうなりません。このチームはそれが見えて、勢いがありました。見ていて非常に楽しかったですね。もちろん、相手との力も関係もありましたが、取れるチャンスがあったら取りに行く、シュートを打っていくというのが見えました。相手が強い試合もあるので、いつもそれができるかどうかは分かりませんが、攻める、点を取る、そのために自分でシュートを打つ。シュートも自分が決めるつもりでみんな打ってましたね。

――中島、浅野はW杯に選ばれなかった悔しさもあったでしょうね

賀川:この2人は特に積極的でしたね。

――1点目はOGだったので、南野が森保ジャパン、ゴール第1号になります

賀川:南野はC大阪にいたときから、もう代表に入ったのか、まだ入ってないのかというクラスの選手とみていました。力はあるし、もともとうまい選手。こういうところで実績を積んで、経験を高めてもらいたいですね。

――堂安と南野はボールの扱いが非常にうまい。

賀川:自信満々ですね。うまい選手がそのうまさを発揮できるのが一番大事なことですから。この2人に限らず、最近は代表の候補になる選手は技術はあるし、走力もある。試合前の整列で並んだときに、思ったよりも身長差があるな、相手の方が大きいなと思いましたが、試合が始まったら、守備の競り合いでも攻撃でもまったくハンディにならなかった。新しく選ばれた選手も十分やっていける力があるというのを見せてくれました。今度の代表は新しい監督の下での第1戦でしたが、試合内容を見て、ファンは安心したでしょう。Jリーグでやっている、伊東、天野らもいいプレーを見せてくれました。

――日本代表としてのロシアW杯からの継続は見られましたか

賀川:西野監督からのサッカーの流れが切れていないですよね。次につながっているというのははっきりと感じました。メンバーが替わっても、切れ目がないですよね。ディフェンスでも吉田ら古手の連中が呼ばれていないので、槙野が中心になっていましたが、ロシアのメンバーと比べてレベルが落ちたということもないですからね。前と同じ水準の守備力を維持していると感じます。スタートの時点でほぼロシアと同じレベルをキープして、しかも年齢が若いわけですから、これからの上積みが見込めます。希望があるというか、楽しみが大きいですね。サッカーはこれだけ盛んになっているわけだから、どんどんいい選手が出てくるのは自然なのですが、代表クラスの選手のレベルでもそれが続いているという感じがします。今度の代表は全体としてボールのあるところへ、複数の人間が動いて、そこで相手のボールを取り、取ったらすぐ展開するというサッカーを休みなくやっていました。久しぶりに気分のいい試合でした。サポーターのみなさんもそうでしょう。

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2018年5月30日 日本代表 対 ガーナ代表

2018/05/31(木)

2018/5/30(水)日本/横浜・日産スタジアム
日本代表 0-2(0-1) ガーナ代表

-西野朗監督の就任初戦でした
賀川:高校のときからずっと見ています。当時の浦和西高はテクニックのある選手が多かった。その中でもボールの扱いが上手で、上背もあって、スピードもあった。ボールもしっかり蹴ることが出来た選手でしたね。早大時代に日本代表に選ばれ、日立製作所でプレー。引退後は、監督として1996年アトランタ五輪でのブラジルを破る、マイアミの奇跡を演じました。柏、そして10シーズン監督を務めたG大阪での実績は紹介するまでもないでしょう。

――3バックで臨んだ試合でしたが、前半早々に失点しました

賀川:ほぼ中央、ゴールから25メートルでのフリーキックでした。雨の中のゲームでもあり、ガーナのパーティ選手は芝生でボールが滑ることを見越して、低いボールを蹴ってきました。日本は8人で壁を作りましたが、間に入った相手選手に崩され、その間を通されてしまいました。これは本番までに修正してくれるでしょう。

――2失点目は長谷部と川島の息が合わずに、PK与えてしまった

賀川:ガーナはディフェンスラインとGKの間を浮き球で狙ってきました。長谷部は3バックの真ん中は代表では初めて。キーパーとの声の連携はW杯本番までの期間に高めてくれるでしょう。この時期ですから、はっきりとした課題が出たのはむしろいいことです。

――0-2でW杯前の最終試合は完敗。W杯に出ない若手主体のガーナに対して、あまり見せ場はありませんでしたね

賀川:テレビを見ていたファンも、日本の方が強いと思った人の方が少ないでしょう。ほとんどの1対1でのボールの取り合いで負けていた感じがします。残念ながら久々に弱い日本を見せてもらった気がします。日本はアジアのトップクラスなので、W杯のアジア予選では余裕を持ってボールを持てますが、ガーナのような世界の中堅クラスを相手にすれば、こうなってしまいます。これが日本の今の力。ハリルホジッチ監督から西野監督への交代があって、どういうサッカーをするのか、注目されていましたが、監督は関係ない話です。

――1対1はハリルホジッジ前監督も「デュエル(決闘)」という表現で日本の課題にしていました

賀川:サッカーは1対1の力の差がそのまま勝敗につながります。相手が守っていて、どんどん攻め込んでいけるときでも、1対1で弾き返されてしまうから、自分たちが思っているような形でボールを拾えない。そのため、次の攻撃がチャンスになりにくい。そうなると苦しいばっかりで、何をやってもうまくいかないという試合でした。

――W杯になるとコロンビア、セネガル、ポーランドとガーナより強い相手が出てくる。1対1の争いはより厳しくなりますね

賀川:根本的に1対1負けてしまうなら、相手よりも余分に走ってカバーするとか、そういう気構えが必要です。メンバー確定の後の直前合宿で、どれだけ計画的に選手のフィジカルを上げることができるか。このクラスの勝負では生半可なことでボールの争奪には勝てません。走る量、ボールの取り合いの時の粘り、強さを少しでも上げていくこと。このままではダメだというのは誰もがわかっていることでしょうから。

――後半、いつも賀川さんが気にかけておらえる香川真司が出てきました。立て続けに2回ほどチャンスをつくりました

賀川:けが明けですがコンディションは悪くなさそうでした。香川という選手は、本田圭祐もそうなのでしょうが、きょうはメンバー入りが懸かっているから、とことんアピールをしなければ、というタイプではありません。自分のコンディションを考えてプレーしていたのでしょう。試合の流れをみながらプレーして、力を入れなければいけないところは入れる選手。結局、香川、本田、岡崎らあのクラスの選手を全部使うのか、はじめから使うのか、途中から使うのか、まだ西野監督の考えは見えてきませんが、経験のある選手は試合のどこかで使いたくなるでしょうね。香川は動きをずいぶん抑えていましたが、本番で使われれば、時間いっぱい、目いっぱいやるでしょう。

――後半は攻めていたようですが、ゴールが遠かった

賀川:一見攻めているようだけども、実はボールを持たせてもらっているので、どっからどう攻めてやろうかという意欲満々の攻めでなく、どっか隙間へボールをチョロっと流し込めたら…いう感じだった。それで相手を圧倒することはなかなか難しい。改めて選手も監督も我々はこの程度なのだと感じたことでしょう。監督交代があったから、選手はサポ―ターにいいところを見せたかっただろうし、我々も見たかったが、実際そうはいかなかった。

――監督交代はプラスに出るでしょうか

賀川:日本の力は監督が代わろうが、代わるまいが、大きくは変わらないでしょう。まして監督がプレーするわけでも、シュートを決めてくれるわけでもありません。西野監督は強化委員長を務めていたのだから、そのへんは一番よく知っています。日本のサッカーの力はどれくらいのもので、どれだけの覚悟を持ってやらないといけないか。W杯出場国の最低ラインのところにいるわけですから。

――チームで気になるところは

賀川:メンバーからして、きっと長友、香川、宇佐美らがいる左サイドが攻めどころになっていくのでしょう。話し合ってこういう形で攻めるんだというものが、できているのかと思っていましたが、なかったようです。代表でずいぶん長い間、何度も同じ顔ぶれでやっていて、実際本番もこの顔ぶれになりそうだという選手がこの試合に出ていましたが…。ただ、代表メンバーが確定するまでは、選手は神経質になるもの。31日に23人が発表されましたし、これから合宿すれば、まとまりも出てくる。攻めの形も徐々にできあがってくるでしょう。そこはあまり心配していません。

――決定力不足が日本の永遠の課題ですが、FWでは大迫も武藤もあまり存在感を発揮できませんでした

賀川:センターフォワードがまだチームとして、威力のあるものになっていないなあという印象ですね。武藤が後半34分、左足でシュートを打ちましたが、左に外れていきました。体の線が傾いてゴールの方向から外れているので、あの蹴り方ではボールがスライスします。W杯本番前の合宿はコンディション作りと同様に、どれだけ選手1人1人がボールを蹴っているかも大切。特に中盤から前の選手はゴールに向かってボールを蹴る、シュートレンジに近づけば、その気になって、シュートを打っていく、そういう練習をしてほしい。全体のコンビネーション練習も大切ですが、相手よりも多く点を取ったら勝つのがサッカー。MFから前の選手がゴールに向かう強い姿勢をチーム全体で作り上げてほしい。これは誰がうまいとか、そうではないとか、そういうことではありません。

――3バックはどうでした?

賀川:選手がやりやすい方をやったらいいと思います。4バックの方がいいと主力の選手がそう思えば、戻せばいいわけで、どちらがいいと今判断するものでもないでしょう。ただ、すぐ後ろに戻れるメンバーが余分にいる4バックの方が日本にとってはいいかもしれない。3バックに比べて、両サイドが前に出る回数は減りますが、W杯に出てくるFWは日本のDFよりも足が速いし、体も大きい。4バックにすれば、守備はいつも中央に2人いる。どの試合も守勢が予想されるだけに、4バックの方が選手は安心かもしれません。

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2017年10月10日 日本代表 対 ウクライナ代表

2018/03/29(木)

8/3/27(火)ベルギー/リエージュ
日本代表 1-2(1-1) ウクライナ代表

――23日のマリ戦から前線のメンバーを入れ替えて臨みました。マリと同様、ウクライナはロシアW杯に出ないチームですが、非常に強かった

賀川:日本が1964年の東京オリンピックを目指して強化をしている時期に、いつも相手をしてくれたのが、旧ソビエト連邦内にある代表クラスのチームでした。胸を貸してくれて、準備のためにいい対戦相手になった。ウクライナは昔からサッカーが盛んで強い地域でした。ソ連のチームは個人技がしっかりとしていて、動きの量も多い。南米のようにうまいけど、ちょいちょい手抜きがあったり、すきがあったりすることはありません。日本のように運動量が多いし、ピッチを走り回る力もある。真面目にサッカーをやるから日本としては特長を出しにくい。同じようなタイプで、しかも個人個人に力があったので、相性という意味ではいい相手ではなかった。日本よりちょっとずつうまくて強いわけだから。50年後にウクライナとやってみても、同じような感じがありましたね。

――ウクライナはカウンターが非常にうまかった

賀川:非常にオーソドックスな速攻を見せていましたね。日本から見て右サイドは非常に苦労していました。マークをちょっと離しすぎていた感がありました。

――攻撃ではなかなかチャンスをつくれなかった

賀川::日本も攻める場面はありましたが、アジア予選で戦っているのとは違って、攻め込む回数が少なかった。本田が今の日本では一番安定してボールをキープできて、攻撃の芯になったり、きっかけになったりする選手ですが、本田といえども、楽に試合ができない。ウクライナから見て、左サイドの選手はドリブルもうまくて、やられそうな場面がありましたね。欧州の平均的な国とやれば、日本がキープして攻める回数が減るのはある意味当然で、そのためには本番に備えてチャンスの数が多くなくても、それをものにする、点を取っていくことが出来ないといけません。そういう意味ではいい教訓になったと思います。

――本田は6カ月ぶりのスタメンでした

賀川::本田はいつも自分のところにくっついてくる相手を横を置きながらプレーをしていた。日本はほとんどノーマークのシュートの場面はなかなかつくれなかった。本田と香川が同時にピッチいれば、もうちょっと違う展開になっていたかもしれませんが。香川はこのタイミングで呼んでいないということは本番では使わないということでしょうか。

――本田はやはり代表メンバーに入れておいた方がいいですか

賀川::どこのポジションで出ても、ゲームを作れる選手ですから。攻撃のためのボールをひとつ持てる選手ですし、代表メンバーにいないとなれば、ちょっとしんどいでしょうね。本田という選手は周りをみながらボールをキープすることができます。彼のプレーを周りが利用しないともったいないような気がします。彼がボールに触ったときに周りが受けやすい位置にいくとか、ダイレクトでシュートを狙って、本田からのパスをもらえる位置を取るとか、やれることはもっとあると思います。そういう攻撃の形がそろそろできあがっていないといけないのですが、ハリルホジッチ監督はこの試合を経て、直前の合宿でメンバーを絞るつもりなのでしょうね。誰が攻撃の中心になるのか、リーダーなのか、見えてきませんでした。

――他に気になる点は

賀川::吉田麻也がけがで出ていない。後ろを安定させ、前方への指示などを余裕を持って出来る大ベテランが抜けているのはちょっと痛い。彼が間に合うのか、間に合わないのかで、大きく違ってくるでしょう。前の試合でよかった宇佐美をもう少し長い時間見てみたかった気がします。選手の力量、特徴は全部、監督が頭の中に入っているのでしょうが、もう1試合、ガーナ戦(5月30日)をやって、最終メンバーを組み合わせるんだと思います。

――欧州シリーズは1分け1敗でした

賀川::1対1で相手が互角かそれ以上だから、どんどんチャンスをつくれるという形にはなかなかなりません。こういう相手とやって、ぎりぎりの競り合いの中からボールをつないで、どこかで逆をとって、シュートチャンスをつくる、あるいは裏に走り込んでという形がないといかんのですが、ウクライナ戦ではペナルティーエリアの根っこまで攻め込んでいく形が少なかった。どんなに劣勢の試合でも1試合のうち3回か4回のチャンスは訪れます。そこで2点、3点と取っていかないと、なかなか世界では勝てない。ウクライナの寄せが早かったのかもしれませんが、ペナルティーエリアの外から思い切ってシュートを打っていたのは前半17分の植田ぐらいでした。それぐらいの気構えを見せないと突破口を見つけるのは難しい。

――自分たちよりも格が上の相手と対戦するときは、ミドルシュート、ロングシュートが局面打開のカギになる

賀川::ウクライナとの試合では決定的なチャンスはほとんどなかったですね。相手の引きが速いというのもありますが、引いているDFラインの前でボールを回しても、相手はさあ来いと待っているわけですから。引かれても、突っかけていきたい。理想は、引き始める前、相手が後ろ向いているときに突っかけていくこと。ウクライナの2点目がそうでした。

――マリ戦でゴールを挙げ、ウクライナ戦で後半途中出場した中島は思いきったシュートを打ちました

賀川::若い選手はシュートのタイミングが速い。小林悠の落としから中島が放った最初のシュートは前に相手がいても、打っていった。彼のようにゴールが見えたら打っていかないと損ですよ。そうすれば、何かが起こるかもしれない。相手に当たって、方向が変わるかもしれない。パンと軽く蹴るから、何も起こらない。しっかりと足首を固定して、甲にボールを乗せてガンと叩けば、強い球がいきます。GKには専門のコーチがいて、専門の練習を常にしている。それに比べて、FWはどこまで専門的な練習やシュートの数をこなしているのでしょうか。何かあったら、いつでも点を取ったるぞという気構えがある選手は、見ている方も面白いものです。日本に限らずですが、相手の裏に入り込みながら、シュートを打たないで、パスするようなシーンをよくみます。あそこまでいったら何でもいいから、エイと蹴ってほしい。蹴るところがなかったら、そのへんにいる相手の体に向かって蹴ってもいい。相手に当たって方向が変わって入るかもしれない。
――思い切りが必要

賀川::サッカーの戦術、戦略は緻密に練るものですが、攻撃で、特に得点を奪う場面はおおざっぱにやるぐらいでちょうどいいものです。釜本邦茂のようにゴールに向かって蹴ることを生き甲斐に感じている選手がいれば、得点は増えるものです。

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2017年10月10日 日本代表 対 ハイチ代表

2017/10/13(金)

2017/10/10(火) 19:30 神奈川/日産スタジアム
日本代表 3-3(1-2) ハイチ代表

――杉本、倉田、小林祐希、浅野、乾、昌子、酒井高、遠藤、東口が先発し、6日のニュージーランド戦からスタメンが9人入れ替わりました

賀川:ハイチはFIFAランク48位で日本(同40位)よりも少し下のチームでしたが、力はありました。ロシアW杯予選ですでに敗退している国といっても、やはりいつも出ている手慣れたベストに近いメンバーが最初から出ないと優勢に戦えないというのが、今の日本の力ということかもしれません。ハリルホジッチ監督は本番を見据えて、すでに16人ほどメンバーを選んでいるでしょう。それ以外のメンバーを選ぶために、入れ替わり立ち替わり選手を出しましたが、このクラスを相手にやれるかといえば、そうではなかった。それが国際試合というもの。監督は少々点は取られてもいいから、どの選手がどれぐらいできるか、見たかったんじゃないでしょうか。

――前半は倉田、杉本がゴールを決めました。倉田の先制点は賀川さんが常々攻撃の原則とおっしゃるサイド攻撃から。Jリーグで得点ランク2位(16得点)と結果を出している杉本はうれしい代表初ゴールでした

賀川:左サイドの深い位置からの長友のクロスを倉田がニアサイドで合わせました。あれだけ深い位置まで攻め込むと、相手のゴール前に隙が生まれます。クロスというものはニアサイドかGKを越して逆サイドに蹴るか、どちらに上げた方が得点になりやすいかの判断が大切になります。長友、倉田の息が合った先制点でした。杉本は自ら中央に攻め込んだ後、倉田に横パスを出した。その倉田の1対1のシュートがこぼれてきて、左足で押し込みました。ジャストミートしなかったので、少々不格好に見えたかもしれませんが、シュートはゴールの枠内にきちんと入りましたね。杉本はどこかで隙を作って、1対1で自分が優位な場面を作って、シュートまで持ち込むシーンを作り出せたら、得点以上の自信になったでしょう。相手の嫌がるところに入っていけるか。そういう気概があるか、ないかというところはFWにとって大切なことです。

――日本が2-0とリードしながら、ハイチが反撃に出て、一時は2-3になりました。サッカーでは2-0は安全圏ではない、まだまだ危ない点差だとよく聞きます。相手が1点取ると、あと1点で同点だと勢いづき、そのまま逆転されることもある

賀川:勝つためには3点差にしないといけないということはよくいわれますが、1-0であっても、2-0であっても、強い国、チームはそのまま勝ち切る力があるものですよ。日本の場合はそこまで守備の力があるとは言い切れない。だから2点目、そして3点目を取らないと危なっかしい試合になってしまうこともある。Jリーグでディフェンスの選手が1対1で粘る力をつけていかないといけませんね。

――ハイチは攻撃力があった

賀川:体も強いし、何よりスピードがありました。足の速い浅野が仕掛けても、振り切れませんでした。1点目は右サイドからのカウンターを受け、中央の対応が遅れたところに、クロスが入り、簡単にやられてしまった。同点の2点目は予想外のFKのリスタートに選手が反応できず、これもサイドから決められました。一時勝ち越された3点目はペナルティーエリア左の外から昌子の寄せが甘いところを思い切って、右足を振り抜かれました。しっかりとコースを狙ったキックでした。相手のプレッシャーがあまりなかったので、決めた選手からすれば、プレースキックのようだったかもしれません。3点はちょっと取られすぎですね。

――小林祐希はたくさんボールを触っていましたが、いかがでしたか

賀川:よくやっていたと思います。ボールを拾ってから出すのがうまい選手ですね。ただ、相手の攻撃のボールを奪ってから展開したいときに、キープを第一に考えていたんでしょうか、安全にボールを運ぶときがありました。自陣のハーフラインの手前で横パスを受けてから、思い切ったタテパスを出せれば、早い攻撃がもっと増えたでしょう。相手のペナルティーエリアに近いところまでつないでいって、少々詰まっているところへのパスが多かった印象もあります。その付近でボールを持ったときは、パスの構えと同時にシュートの態勢も作って入っていってほしい。そうした方が相手は怖い。力のある選手だから、今よりも早くシュートの仕掛けに入ることはできると思います。

――香川が途中出場して、終了間際に酒井高のシュートのコースを変えて、同点ゴール。後半25分過ぎからは攻撃の主導権を握って、細かくパスをつないで攻めました

賀川:あれだけ味方と相手が狭いエリアに密集していると、どんな名選手でもこじ開けていくのは難しいでしょう。日本はパスを細かくつないで、ディフェンスラインの裏を狙っていましたが、強引にでもシュートを打ちにいって、誰かが前でつぶれた後に、チャンスを見出すやり方の方が、現実的かもしれません。日本の攻撃には香川はやはり必要でしょう。彼がプレーメーカーになるのか、ゴール前で決める選手にならないといけないのか。これからも注目していきます。

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2017年10月6日 日本代表 対 ニュージーランド代表

2017/10/08(日)

キリンチャレンジカップ2017

2017/10/6(金) 19:20 愛知/豊田スタジアム
日本代表 2-1(0-0) ニュージーランド代表

――来年のロシアW杯本番を見据え、メンバー選考スタートの試合。立ち上がりから、日本が攻勢に出たので、何点取るかと思っていましたが、前半は0―0で折り返しました

賀川:これまでのW杯アジア予選でもそうでしたが、ボールのキープ率が高くても、必ずしもたくさん得点を取れるというものではない…というのが日本というチーム。前半はもう少し、両サイドに広がって攻めた方がよかったですね。サイドからの攻撃がなかったわけではないのですが、現実的にはペナルティーエリアの幅の間でサッカーをしていました。横から攻めて、相手のゴール前に隙間を作った方が点になりやすいのは、サッカーの原則。もちろん選手も分かっているのでしょうが、しばらく代表チームとして活動しないと、思いだすまで少々時間がかかりますね。

――サイド攻撃の有効性は普遍的なものですね

賀川:サイドでボールを持ったとき、中に入っていった方がボールを持ちやすいんです。でも、そうすれば、中へ中に入ってしまって、人が密集しているペナルティーエリアに近い場所から攻めることになります。混雑しているところをこじ開けるのは、どんな相手であっても難しい。この試合では前半からボールを支配できたため、まっすぐ相手のゴールに向かっていってしまいましたね。自分たちの攻撃に必要な幅というものを常に頭に入れてプレーできれば、得点のチャンスは増えるでしょう。

――前半8分、いつも気にかけておられる香川の惜しいシュートがありました

賀川:後方からの高いボールにまず大迫が競りました。落下地点に飛び込んだ武藤がつぶれて、ボールが香川の前にこぼれてきた。判断よく、右に切り返して、DFを交わして右足でシュートを打ちましたが、ポストに当たりました。香川はトップ下での出場でしたが、前にいく機会を減らして、もっと後ろでプレーした方がいいかもしれません。本当に膝を打ちたくなるようなパスを後方から出すのがうまい選手。彼がゴール前で得点に絡むよりも、後ろから決定的なパスを出す回数を増やす方が、ゴールにつながる可能性が高まるような気がします。

――先制点は大迫のPKでした

賀川:先制点はPKでしたが、得点がPKだから攻撃はダメだというものではありません。山口のミドルシュートを相手が手と胸で挟んで止めました。止めざるを得なかったので、ハンドになった。あれだけ攻め込んでいれば、どこかでそういう瞬間が出てくるものです。
――大迫は落ち着いていました

賀川:完全にGKの逆をついて、しかもポストに近いぎりぎりのところに決めた。PKは決めて当たり前と思われがちですが、簡単なものではありません。お手本になるシュートでした。

――常々サイド攻撃の重要性を唱える賀川さんの言葉が届いたのか、後半42分、左のサイド攻撃から倉田が決勝ゴールを決めました

賀川:乾というボールを持てる選手が後半途中から入って、落ち着きました。左サイドのぎりぎりまで開いた後、ドリブルでタテに進むから、おのずと幅が広がります。左からの乾のクロスをゴール右にいた酒井宏が折り返して、倉田が大事に頭で押し込みました。あれだけゴール前で左右に振って、ボールがつながってくると隙間ができます。足でなく最初から頭で押し込もうとした倉田の判断は正解でした。足でいくと浮かしてしまう可能性がある。一瞬でも判断が遅れるとおでこでなく、頭頂部にボールを当てて浮かしてしまったかもしれません。

――倉田は代表初ゴール。中盤の争いが激しくなりそうです

賀川:後ろの方のメンバーはだいたい見えてきましたが、前線と中盤にはいい選手がたくさんいます。ハリルホジッチ監督がどういう組み合わせを考えているのか、気になります。来年6月の本番まで、まだ時間はありますが、このコンビならこういうプレーができる…という形がまだ見えてきません。まだ時間はあるので、一番いい組み合わせを探し続けるのでしょうが、監督の頭の中にはイメージはあるはずです。いつごろ固定するのか、注目していきたいですね。

――来月大陸間プレーオフで南米5位とW杯出場権をホーム&アウェー方式で争うニュージーランドは非常にモチベーションが高く、後半は猛攻を仕掛けてきました

賀川:今回のキリンチャレンジ杯にニュージーランドが来てもらえたことは、代表チームにとっても非常によかったですね。点を取られても、ひとつひとつのプレーをしっかりやってくれた。特に先制された後は、雨が強まったこともあり、どんどん長いボールを蹴って攻め込んでくるキックアンドラッシュという戦法できました。日本が苦手にする戦い方です。8月31日のW杯最終予選で対戦したオーストラリアはポゼッションを重視する戦術を最後まで貫きましたが、フィジカルで劣る日本としては単純に蹴ってこられる方がつらい。この戦い方でこられたら、簡単な試合にはならなかったでしょう。ニュージーランドが最後まであきらめず戦ってくれたことで、日本は最後まで気が抜けない試合になりました。

――ニュージーランドではラグビーはオールブラックス、サッカーはオールホワイツと呼ぶそうです

賀川:ニュージーランドはオーストラリアと一緒でラグビーが国技。大柄で子供のころから、走ったり、ボールを奪い合って体をぶつけることには慣れている。そのラグビー王国でもサッカーは盛んで、6大会連続でW杯に出場する日本を相手にこれぐらいやれるということがわかりました。改めて世界の進歩を感じましたね。10日に対戦するハイチもどんなサッカーをしてくるか、楽しみです。

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2017年6月7日 日本代表 対 シリア代表

2017/06/09(金)

キリンチャレンジカップ2017
2017/6/7(水) 19:25 東京/東京スタジアム
日本代表 1-1(0-0) シリア代表

――このシリア戦は、13日に予定されているアジア最終予選グループB対イラク戦をひかえての試合で、スコアは1-1の引き分けでした

賀川:代表の試合はいつもおもしろいですね。この試合もリードされ、追いついて、勝ち越しゴールを目指す形になり、チャンスもあったので、スタジアムの観客はもちろん、テレビ観戦者にも見ごたえがあったでしょう。

――1-1から逆転ゴールが生まれれば、もっと盛り上がったのでしょうが

賀川:日本の同点ゴールは、後半の13分でした。この後の30分間で、勝ち越しゴールを奪えれば申し分なかった。シリア側に疲れがみえて、動きが鈍くなっていましたからね。

――押し込んで、ペナルティエリア内の相手の人数が多くなると、なかなかゴールは奪いにくいものです

賀川:日本のゴールは左サイドを長友がタテに出て、ゴールライン際から中央へグラウンダーのクロスを送り、中央へ走り込んだ今野が決めたものです。サイドから攻めるという基本に沿ったものでした。

――賀川さんがいつも言っていることですね

賀川:相手の守りを崩してシュートの態勢をつくるときに、いろいろなやり方がありますが、シュートする者がボールを横から受ける形が点を取りやすいのです。日本の同点ゴールは、まさにこれでした。

――サイドバックの長友がクロスを出し、ミッドフィルダーの今野が決めました

賀川:昔風にいえば、オーバーラップということでしょうが、現在ではこういう形はよくあります。FWは攻撃のスタートのときから相手のマークにさらられています。第2列、第3列の選手が飛び出したときには、相手もマークしにくいものです。疲労がたまって動きが遅くなるとなおさらです。

――相手を押し込む形になると、ペナルティエリアの少し手前から25メートルラインあたりに相手の防御ラインができて、ディフェンダーが4~5人いる。そしてのその前に、もう一列の守備線がつくられる。これを崩しにかかるという場面がよく見られます

賀川:相手にボールを奪われたとき、奪われた側はすばやく守りの態勢に入ります。守りの人数が少ないうちに攻める速攻ができなければ、ボールをキープして、攻撃の人数を増やすという光景は試合中に何度も見られるでしょう。互いの攻と守の切り替えのなかで、どのように攻める側(ボールを持つ側)が展開してゆくかが、試合の面白さです。この試合でも同点ゴール以外にも日本側にいくつかのチャンスがありました。

――日本の失点は

賀川:後半のはじめ、シリアが攻め込んでシュートし、その後も攻めに出て、右CKの後、右サイドからのクロスをCFのマルドキアンがヘディングで決めました。日本はクロスを送り込む相手へのプレスも弱く、ヘディングも防げなかった。

――点を取られるときは、不思議なほど相手を自由にしてしまいます

賀川:相手の得意の形になっていました。ボールを失ったときに、何人が「ヤバい」と思ったかですね。

――本番を前に、いいクスリになってくれればいいのですが…

賀川:この試合に入る前の選手たちのコンディショニングはどうだったのかな。ヨーロッパ組は長いシーズンが終わった直後で、必ずしもいいコンディションではなかったはずです。

――もちろん、それを確かめるための、この試合でもあるのですが

賀川:ヨーロッパから日本へ戻ってくるのにも長い飛行機の旅があり、時差の問題もある。それを克服するのも、日本代表選手の仕事でもあるのだが。

――選手たちも大変です

賀川:ヨーロッパでプレーする日本代表にとっては宿命のようなものです。この試合でそれぞれの体調を確認し、13日のイラク戦に向けて8日にイランに向けて出発することになっている。

――香川のような大事なプレーヤーの故障もあったが、こういうことがあるのも代表の戦いのひとつでしょう

賀川:今野のコンディションもまだ万全ではないようだが、このシリア戦で監督さんは選手の調子を確認したわけでしょう。

――得点は1点だけですが、ペナルティエリア付近での相手の守りの崩しもいくつか見ることができました。あとは本番までの体の手入れと、コンディショニングですね

賀川:大迫というCFタイプのFWが出てきた。選手たちも伸び盛り、充実期ともに経験を積んできています。

――本番の対イラク戦が楽しみですね

賀川:イラクの国内事情のために、試合はイランの首都テヘランで行われる。開催地を引き受けてくれるイランのサッカー人にも感謝しなければなりません。そういう難しい社会情勢のなかでもワールドカップ予選を開催する、サッカーという競技の大きさを考えながら、代表に声援を送りたいですね。

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2017年4月9日 日本女子代表 対 コスタリカ女子代表

2017/04/13(木)

キリンチャレンジカップ2017 ~熊本地震復興支援マッチ がんばるばい熊本~
2017/4/9(日) 19:04 熊本県民総合運動公園陸上競技場
日本女子代表 3-0(1-0) コスタリカ女子代表

3月のアルガルベカップでアイスランドとノルウェーに勝ち、スペイン、オランダに敗れたなでしこジャパンの今年の国内初戦が、キリンチャレンジカップとして
熊本で行われ、コスタリカ(FIFAランキング30位)に3−0で勝利した。

なでしこジャパンはワールドカップ優勝の澤穂希の時代から技術や戦術の高さだけでなく、活動量の点で相手チームを上回っていた。新しいなでしこもFIFA順位では格下のコスタリカを相手に、まず動きの量で勝っていた。日本の女子の技術レベルは、いま上昇中だが、国際舞台ではまず動きの量が必要で、この日はその点でまずますと言えた。ボールを左右のサイドへ散らし、フィールドを広く使うことで、フリーでボールを扱う時間が生まれ、そこを起点として攻撃を仕掛ける回数も多かった。

1点目は前半23分、ペナルティエリアいっぱい、正面近くからの横山の左足シュートだった。これは(1)右サイドでのキープから高木が内へ真横にドリブルして、ゴール正面の横山の足下へパス。(2)横山は右足インサイドで止め、(3)背後からマークする相手DFを左へかわして、(4)左足でシュート。(5)ボールはゴールキーパーの上を抜いてネットを揺らした。シュートレンジでボールを受けた相手のストライカーにタックルにゆかないで、間合いをあけていたところにコスタリカのDFの甘さが見られたが、ここはパスを受けて、ターンをしてシュートへ持っていった、日本のストライカー横山の能力の高さが発揮されたというべきだろう。もちろん、横山が右足で止めた時に、その右側を駆け上がった高木、右に開いた田中、左に上がっていった市瀬たちがいて、相手DF陣の中央へのマークを分散させていたことも覚えておきたい。

1−0となってからも、日本は攻撃の手を緩めず、コスタリカもドリブル攻撃を仕掛けて、互いに攻め合った。両チームともクロスを含めたラストパスの精度がもう少し高ければ試合はもっと緊迫したものになったはずだが…。またコスタリカは攻めながら守りを気にして前方へ送る人数が少ないために、攻撃の効果は小さかった。

後半に入って、コスタリカは挽回の意欲を高め、攻めに出てきた。ただし日本のゴールから25メートルあたりまでキープしながら、そこから先はゴール前への「放り込み」が主で、熊谷、市瀬たちはヘディングでも負けなかった。

互いの攻撃のなかで、日本側のチャンスが増え、スタンドでも、テレビの前でも期待が高まった29分に日本が2点目を決める。自陣でボールを奪い、ロングボールを送ったのを相手に防がれた後、相手DFのクリアキックが短くて、ハーフウェイラインに届かないのを佐々木(宇津木と後半18分に交代)が取って、すぐ前の長谷川へ。長谷川が左前方へ走った上野(横山と交代)にパス。上野がペナルティエリア左、すぐ外から中央へクロスを送った。ライナー性のボールがワンバウンドするのに、田中が左足で合わせた。自陣でボールを奪われたコスタリカは日本の左サイドからの攻めに対応できなかった。

勢いづいた日本はこの3分後にもチャンスをつくるが、シュートを蹴りそこない、その直後にも左CKのチャンスにヘディングしたがゴールにならなかった。

リードを広げられたコスタリカは、それでもゴールを奪おうと攻める意欲は衰えないが、日本は37分に3点目を加えた。左でボールを受けた長谷川からのグラウンダーのクロスを、右サイドで詰めていた籾木(中島と交代)が押し込んだ。

なでしこジャパンの快勝。後半に出場した交代メンバーを含めて、高倉監督の新しいチームの技術が高いことを示し、1対1の奪い合いでも相当な力を持っているように見えた。ここしばらくの日本代表を見ると、男子も含めてボールを扱う技術は平均して高いが、ボールを蹴る力、キックの力はいま一息のようにみえる。今度のなでしこも、それぞれのポジションに必要なキックの能力を高めることが必要だろう。

もちろん、澤穂希時代のなでしこの実績が華々しいので、それに比較される今の代表は大変だが、澤さんとその仲間たちも、ひたすら反復練習の繰り返しで、個人もチームも成長した。若く、いい素材が多いとされてるいまの「なでしこ」が再びかつての高みに上るためには、まだしばらく練習を重ねなければなるまい。コスタリカとの試合は、多くのサッカーファンの未来のなでしこへの期待を高めたと言えるだろう。

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キリンチャレンジカップから

2016/11/15(火)

――キリンチャレンジカップの記事で、代表の進歩について「ここまで来た」という言い方をしましたね

賀川:日本代表チームの選手個人の力も、チームワークも相当いいところに来ていると感じました。ピッチ上のそれぞれの局面で日本代表の一人ひとりがオマーン選手とのボールの奪い合いでもほとんど負けることはなかったからです。

――ミスが多いとも言っていました

賀川:はじめのうち、パスミスが多かったのは気になりました。それでも、代表チーム全体としてみれば、個人力もチーム力もずいぶん高くなっていると思いました。

――清武の充実ぶりを評価していましたね

賀川:個人的に清武がレベルアップしたことも、代表進化のひとつです。香川真司がケガなどで調子を落としているときに、同じセレッソの後輩ともいえる清武がトップ下の攻撃リーダーになってきました。

――もともと上手な選手でした

賀川:彼がセレッソに来たときに、香川たちがその上手さに驚いたそうです。彼のトラッピングはいつ見ても、ほれぼれします。相手がすぐ近くにいても、ボールを的確に扱える技術を持つ清武が経験を積んで、中盤で幅広く動き、ゴールにつながるパスを出し、自らも走って攻撃のリーダーを演じました。

――「伸びている」という勢いがありました

賀川:伸び盛りのプレーヤーがいると、チームが上向きになるので、とてもうれしいことです。そのことを清武は見せましたね。本人の能力からみれば、まだ上にゆくでしょうから、サウジアラビア戦のような重要な試合で、いい働きをしてくれるでしょう。

――山口蛍もいい働きをした

賀川:長谷部のようなベテランもいる日本の守備的MF陣に、これも伸びしろのある山口が加わってきました。ときにパスミスもありましたが、日本のMFグループでの明るい成長のひとつです。

――ハリルホジッチ監督が予選を通じてメンバーを数多く起用してきた成果があった

賀川:予選の、絶対に勝たなければ、という試合が続く間に、キリンチャレンジカップのような親善試合で選手の組合せをテストできるというのは、いまの日本代表にとって、とてもいい本番への準備になります。

――15日のサウジアラビア戦はどう見ますか

賀川:埼玉スタジアムというホームでの試合です。サウジアラビアは守りをしっかりしながらカウンターを狙うのが定石でしょう。日本代表はこのところ、自らのファウルでのFK、PKを与えることでピンチを招いています。タックルの入り方などは、当然復習していることでしょうが、正しいプレーを身に着けることはワールドカップの本番のためにも、あるいは自らのリーグでの活躍のためにも大切なことです。

――なんといっても、日本代表の動きの量と質でしょう

賀川:日本のホームで、しかも秋のサッカーシーズンです。気候的にはいくら走っても疲れを感じない、いい時期なのだから、代表イレブンはまず運動量で圧倒するくらいの気持ちでいってほしいですね。日本は攻撃も守備も、いつも相手以上の人数をかける形になります。その激しい動きのなかから相手の隙が生まれてくるはずです。

サウジアラビアにもいい選手がいるでしょうが、日本のスカウティングもしっかりしているから十分対応できるでしょう。全体にシュート力があがっていて、本数も増えているのが今の代表のいいところです。自信をもって攻撃からシュートに入り、そのこぼれ球を狙えば、ゴールは自ら生まれてくるでしょう。

ここで勝つことは、グループでの順位をあげることにつながり、次に向かっての大きなステップを積むことになります。

――日本中の皆さんの気持ちをひとつにするような、試合を観たいですね。

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2016年11月11日 日本代表対オマーン代表

2016/11/14(月)

キリンチャレンジカップ2016
2016/11/11(金) 19:20 茨城/茨城県立カシマサッカースタジアム
日本代表 4-0(2-0)オマーン代表

清武の充実ぶりが目立ち、攻めは彼を中心に展開された。前半の2得点は大迫が32分、42分に決めたものだが、1点目は左サイドからのクロスをゴール正面でヘディング。2点目は清武からのグラウンダーの縦パスを受けて決めた。

1点目の攻撃は、30分の右サイドからのクロスを大迫がトラップシュートしたところからはじまり、その第2波で清武がペナルティエリア左外から右足でクロスを送り、大迫がヘディングした。ボールの落下点には大迫の背後に本田も入っていた。

それまでの日本の右・左からの攻めで相手の5人の守りが崩れて、ノーマークになってゆく過程をスローで見直すと、とても面白かった。

2点目は右からつないで、ペナルティエリアの外を左へ動かしたボールを清武が相手DFラインの裏へスルーパスを通し、大迫が左から右にボールを持ち替えて、右足のサイドキックで左ポスト際へ決めた。密集防御地域のペナルティエリアいっぱいでの縦パスのつなぎと、相手の守りに大きなスキ(スペース)をつくった展開は見事だった。

こうした攻撃ができるようになってきたのが、従来からの同じ顔ぶれのチームでなく、試合ごとにメンバーを入れ替え、若い選手の成長とあわせて、チームが出来上がっているところに、今の日本代表の楽しさがあり、監督さんの苦心があるのだろう。

この日は代表チームのキャプテン長谷部を休ませ、MFは山口蛍と永木とした。攻撃のMFは右から本田、清武、齋藤、トップに大迫を配したスターティングメンバーの攻撃陣は、右の酒井宏樹、左の酒井高徳の攻め上がり(特に右サイド)を引き出し、サイドからの攻めも多く、前後半を通じて20本以上のシュートチャンスをつくった。

前回のオーストラリア戦では原口がゴールを決め、今回は大迫が目立つことになった。新しく起用される選手が、ここしばらくの日本サッカーの個人力上昇を背景に、ドリブル力があるのを見ると、かつての個人キープの少なかった日本代表を知る者には楽しいことだ。

メンバーを入れ替えつつ、チーム全体の攻撃力アップを図ってきた効果が4-0のスコアになったと言えるだろう。

もちろん、フレンドリーマッチであって、タイトルマッチではない。遠征してきたオマーンの代表にとっては、日本の秋のナイトゲームは気候的に楽ではなかったはず。そうした条件を考えると、4-0と言っても、手放しでよろこぶわけにもゆかないが、まずは日本代表の積み重ねと上達を知った今度のキリンチャレンジカップの値打ちはあったと見たい。

選手たちがこうした試合経験を足場に、サウジアラビア戦への準備をさらに積んでくれることを期待している。

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2016年6月29日 U-23.日本代表 対 U-23南アフリカ代表

2016/07/08(金)

キリンチャレンジカップ2016
2016年6月29日 長野/松本平広域公園総合球技場
U-23.日本代表 4(3-1、1-0)1 U-23南アフリカ代表

――相手がオリンピック予選を突破して本番に出場するチームということで、注目されましたが、日本が4-1で勝ちました。

賀川:会場に集まった人も、テレビで観戦した人も、日本のゴールのたびに声を上げたことでしょう。スピーディーな試合展開でしたね。前半にPKで1点を失ったが、3ゴールを奪って前半のうちに逆転しました。後半には1ゴールを加え、南アフリカの攻撃を防いで、結局4-1という大差になりました。相手は遠征でアウェイのハンデのあることは頭にいれておくべきでしょうが…。

――PKは日本のハンドの反則ということでした

賀川:前半28分に相手のDFからのロングボールをDFの亀川が胸でトラップした時に、ボールが右腕に触れて落下した。

――ちょっと亀川には気の毒な感じもありました

賀川:レフェリーがハンドを認めてPKになってしまった。こういうことも、本番前に経験したのはわるくない。

――GKの櫛引がどうするか見ていたら、シューターが蹴る前に動きましたね。シュートそのものは守備範囲、というより動かないでいたら正面にきたはずでした

賀川:ゴールキーパーにとって、試合中のPKを経験したのも、私はプラスになったと思います。

――37分に日本が同点にしました

賀川:35分に攻め込んで防がれた後、ハーフウェイラインからの攻めだった。

――今度も右からでした

賀川:足下へのパスを戻りながら受けた浅野が相手のDFとつぶれる形になり、そのボールが中央へ流れたのを矢島がとって、すぐ右を走り上がった大島にパスした。

――大島は一気に相手DFラインの裏へ出てボールをとり、10メートルほどドリブルしてペナルティエリア内に入り、出てきたGKを前にして、左へパスをした。このパスを受けた中島が、誰もいないゴールへ流し込みました。

賀川:この1点で勢いづいた日本が、この後、前半のうちに2点を決める。

――南アフリカも、点を取ろうと攻めに出るので、互いに攻め合う形になり、それだけにチャンスも増えたのだが、うまい攻撃からのゴールだった。

賀川:2点目は左サイドでのパス交換から長いパスを右へ送り、そこから矢島が右外を駆け上がる室屋にパス。室屋がタテにドリブルして内へパスを送ったのを矢島がダイレクトシュートで決めた。

――3点目はゴールキーパーの櫛引のキックから、相手DFが処理した後のパスを浅野が奪って、ペナルティエリア内でキープし、エリア内右寄りから中央へクロスを送り、中島がヘディングで決めた。

賀川:相手のCDFのヘディングが左DFにわたり、中央へリターンされたのを浅野が奪ってからの攻撃でした。

――前からのプレッシングの効果のひとつでしたね。3-1になりました。

賀川:この試合を見ながら私は、ロンドン五輪の代表を思い出しました。永井という足の速いFWを先頭に、前からのプレスで相手を圧迫した第一戦の対スペイン戦の勝利で、一気にチームの調子が上がったのでした。

――後半早々に、4点目が生まれました。

賀川:自陣からの植田の長いパスを相手DFが止め損ねたのを浅野が奪って、ドリブルして決めました。相手のミスという幸運もあったが、こういう「運」をつかむこともチームとしての実力ですからね。

――ゴールを奪えるチームになったとみてよいでしょうか

賀川:後半はこの1点だけだったが、多くの惜しいチャンスもありました。浅野は後半の14分に豊川と交代したが、この日の動きで、自分自身にも、チームの仲間にもこの代表の中心はストライカーになりえることを見せてくれたと言えます。

――南アフリカはゴールを奪い返そうと、後半もよく攻めました。日本にはラッキーな面もあったが、3点の点差で士気は高く、追加点を許さなかった。

賀川:手倉森監督がつくったU-23代表は、これで国内の試合を終えて、代表メンバーでの最後の合宿に入り、リオに向かいます。すでにオーバーエイジ枠のメンバーも決まっていて、次は本番用のチームを組むことになります。

――ここまでオリンピック代表の試合を見てきて、どういう評価になるのでしょうか

賀川:日本代表の伝統的な強さは、豊富な運動量と組織力ですが、サッカーの基礎である一人一人の戦いでもレベルは上がっていると見ました。サッカーはチームスポーツで、どのポジションの選手も大切ですが、オリンピックのような大会で勝ち上がってゆくためには、ゴールを奪う力がなくてはなりません。そのために浅野というストライカーが台頭してきたことはとてもよいことだと思っています。

――日本サッカーの男子のオリンピック唯一のメダルは1968年メキシコでの銅メダルでしたが、その時には大会の得点王になった釜本邦茂さんがいました

賀川:浅野という速さを基調とするストライカーの成長は、日本にとっての大きな力になるでしょう。体格や技術の上で、浅野を68年の釜本といえるかどうかは別として、持ち前のスピードと、ここ1年間の伸びを見ると、大きな期待をかけたくなります。

――チーム全体としてのレベルは

賀川:技術はしっかりしていますから、残り1か月でチームワークが高まれば、と期待しています。日本のサッカーは、選手のレベルの高さだけでなく、JFA全体の技術指導などの面でも、アジア諸国のなかで評価されています。そうした、日本サッカー全体の力を今度のブラジルでのオリンピックで見せてほしいと願っています。

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